流行語大賞に選ばれた言葉とは?2020年と2021年のトレンドを紹介

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2023/02/07

「日本の流行語大賞とはどのようなもの?」「選ばれた言葉の意味を知りたい」と思う外国人もいるでしょう。流行語大賞とは、日本で流行した言葉に関わった人や団体へ贈られる賞のことです。このコラムでは、2020年と2021年の流行語大賞を紹介します。また、流行語大賞の選考方法についても解説。流行語大賞に選ばれた言葉の意味や選定された理由もまとめているので、参考にして日本の流行を把握しましょう。

目次

  1. 流行語大賞とはどのようなもの?
  2. 2020年の流行語大賞
  3. 2021年の流行語大賞
  4. まとめ

流行語大賞とはどのようなもの?

流行語大賞とはどのようなもの?の画像

流行語大賞とは、日本で流行した言葉に深く関わった人や団体へ贈られる賞のことです。流行語大賞の正式名称は「ユーキャン新語・流行語大賞」で、自由国民社という出版社が運営しています。自由国民社が出版している雑誌「現代用語の基礎知識」の読者アンケートをもとに、流行語大賞にノミネートされる言葉が選ばれるのです。そして、「流行語大賞選考委員会」により年間大賞とトップテンが決められます。ノミネートされた流行語大賞の発表は毎年11月ごろに行われ、年間大賞とトップテンが発表されるのは毎年12月1日です。12月1日が土日祝日の場合は次の平日に行われます。

流行語大賞を最終的に決定するのは選考委員会であるため、国民の意見と一致するとは限りません。ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉の方が、流行語大賞に選ばれやすい傾向があります。

2020年の流行語大賞

2020年の流行語大賞の画像

ここでは、2020年の流行語大賞を紹介します。2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、「3密」や「GoToキャンペーン」などの言葉が選ばれました。

3密

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2020年流行語大賞の年間大賞に選ばれたのは「3密」です。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するために厚生労働省が発表したもので、「3つの密(密閉・密集・密接)」を指します。部屋の換気をしたり人と人との距離を取ったりして、3密を避けるように国民に呼びかけました。飲食店の人数制限や企業のテレワークの導入も、3密を避けるための対策の一つです。当初は3密が国民の間で広まらなかったものの、東京都知事である小池百合子知事が報道陣に対して「密です」と連呼したことで話題になりました。

あつ森(あつまれどうぶつの森)

あつ森(あつまれどうぶつの森)の画像

あつ森(あつまれどうぶつの森)は、2021年3月に任天堂から発売されたNintendo Switch用ソフトで、自分でオリジナルの島を作り、動物たちとのスローライフを楽しむゲームです。あつ森は、どうぶつの森シリーズの第7作目として発売されました。もともとの人気に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大防止による「外出自粛」の影響で、あつ森の需要が高まったといえます。家にいる時間を楽しむためのアイテムとして、日本だけでなく世界中で注目されました。

GoToキャンペーン

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GoToキャンペーンは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で落ち込んだ日本経済を回復させるためのキャンペーンです。飲食店や旅館などの代金を割引価格に設定して、国民が旅行やイベントを楽しむ機会を増やそうとするものでした。GoToキャンペーンには、「GoToトラベル」「GoToイート」「GoToイベント」「GoTo商店街」があります。

GoToキャンペーンが始まってからは、キャンペーンを利用して詐欺をする人が出てきたり新型コロナウイルスの感染が拡大したりと、さまざまな問題点が発生し、良くも悪くも「GoToキャンペーン」という言葉が国民に広まりました。

鬼滅の刃(きめつのやいば)

鬼滅の刃(きめつのやいば)の画像

鬼滅の刃(きめつのやいば)は、漫画家の吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)による作品です。漫画と、漫画を原作にしたアニメが社会現象となり、鬼滅の刃の登場人物と同じ髪色にしたりグッズを身に付けたりする人が急増しました。2020年の10月には『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が公開され、日本映画のなかで歴代1位となる興行収入400億円を突破しています。

ソロキャンプ

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、3密を避けられる「ソロキャンプ」が流行しました。遠出ができなくても3密を気にせずに野外で楽しめることから、キャンプ生活を充実させる人が増えたのです。キャンプはもちろん、さらに魅力的なキャンプ生活を楽しむ「グランピング」という言葉も広まりました。グランピング施設では、キャンプに必要なグッズや食事が用意されています。キャンプ経験の少ない人でも気軽に楽しめるのが魅力です。

アベノマスク

アベノマスクの画像

「アベノマスク」とは、政府が新型コロナウイルスの感染防止のために国内の全世帯に配布した白い布マスクのことです。安倍元首相の経済政策であったアベノミクスを言い換えて、アベノマスクと呼ばれました。国民のなかには、アベノマスクのサイズが小さいと感じる人もいたようです。アベノマスクを丁度良いサイズや違う形にリメイクして利用する人も出てきました。

フワちゃん

フワちゃんは、バラエティ番組やYoutubeで活躍するタレントです。カラフルな服装や自撮り棒で撮影する姿が特徴的で、多くの若者から指示されています。また、物怖じせずに発言するところや自分らしく生きる姿も人気を集め話題になりました。

フワちゃんは2020年上半期だけでも100以上の番組に出演し、Youtubeの登録者数も2022年1月時点で80万人以上います。令和にふさわしいタレントとして流行語大賞に選ばれました。

アマビエ

アマビエの画像

アマビエとは、江戸時代に誕生した疫病をおさめるといわれていた妖怪のことです。新型コロナウイルスの消息を願って、アマビエのイラストをSNSに投稿する人が増えました。SNS上に投稿する際のハッシュタグは、「#アマビエチャレンジ」「#みんなのアマビエ」です。漫画家やイラストレーターもハッシュタグとともに、アマビエのイラストを投稿していました。

愛の不時着

愛の不時着の画像

愛の不時着は、2020年2月に動画配信サービスのNetflixで配信された韓国ドラマです。外出自粛の影響で家にいる時間が増え、動画配信サービスを利用してドラマや映画を観る人が増加しました。

愛の不時着は、北朝鮮の将校の男性とパラグライダーの事故で北朝鮮に不時着した韓国人女性との恋を描いたドラマです。北朝鮮の暮らしや国家の分断などがリアルに描かれていることから、世界中の人々が注目しました。

オンライン~

オンライン~の画像

3密を避けるための策として、オンラインで授業を行う「オンライン授業」や出社せずに会議を行う「オンライン会議」という言葉が誕生しました。また、新型コロナウイルスの影響で飲食店が休業している間に、Zoomのアプリを利用して「オンライン飲み会」を行う人も多くいたようです。「オンライン~」は3密を避けることができますが、人と会う機会が減ることで孤独を感じたり友達を作りづらくなったりすることが問題として挙げられます。

2021年の流行語大賞

2021年の流行語大賞の画像

ここでは、2021年の流行語大賞を紹介します。2020年の流行語大賞と比べて、新型コロナウイルスに関する言葉が減り東京オリンピックにまつわる言葉が登場しました。

リアル二刀流/ショータイム

リアル二刀流/ショータイムの画像

2021年流行語大賞の年間大賞に選ばれたのは、「リアル二刀流/ショータイム」です。リアル二刀流はロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷翔平選手を指す言葉で、投手と打者をこなすことから名づけられました。プロ野球の世界で投手と打者をこなすのは非現実的でありながらも、圧倒的な実力を持つ大谷選手が登場したことで「リアル二刀流」と呼ばれ始めたのです。

大谷選手は、2021年11月19日にアメリカン・リーグのMVPを受賞しました。リアル二刀流とともにランクインした「ショータイム」は、大谷翔平選手の名前の翔とShowを掛け合わせた言葉です。「大谷翔平選手の時間」という意味で、大谷翔平選手の活躍ぶりを表す際に使われました。

ジェンダー平等

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ジェンダー平等とは、すべての人が性別に関係なく平等に権利を持つことを意味する言葉です。

日本オリンピック委員会の評議委員会で、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会前会長が「女性がたくさん入っている会議は時間が掛かる」と発言しました。この発言をきっかけに、ジェンダー平等に関する国民の理解が深まったと考えられています。

ジェンダー平等は、2021年に浸透したSDGs(持続可能な開発目標)の一つです。SDGsが注目されていることで、ジェンダー平等が流行語大賞に選ばれたともいえるでしょう。

Z世代

Z世代の画像

Z世代とは、1990年代後半から2000年代までに生まれた世代のことです。Z世代が流行語大賞に選ばれたのは、東京オリンピックでメダルを獲得したスケートボードの女子選手たちが関係しています。Z世代のスケートボードの女子選手たちは、自分が練習している技を動画で撮影してプレー仲間同士でシェアしているのです。ライバルでありながらも写真や動画をシェアしてモチベーションを高め合うのは、Z世代ならではのコミュニケーションといえるでしょう。

親ガチャ

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親ガチャとは、ランダムにアイテムが出てくるガチャガチャのように、子どもは親を選べず生まれた環境によって人生が決まるという考えを表した言葉です。インターネット上で流行した言葉で、「親ガチャ当たり」「親ガチャ外れ」と表現する若者が増えています。「親ガチャ」を使う人は、恵まれた環境にいながら自分の境遇を親のせいにする人や貧困で十分な教育を受けられていない人などさまざまです。

うっせぇわ

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「うっせぇわ」は、歌い手として活動するAdoのメジャーデビュー曲です。社会現象となるほど流行し、2021年流行語大賞に選ばれました。「うっせぇわ」の歌詞には、社会や大人に対する不満が辛辣な言葉で表現されています。若者だけでなく、新型コロナウイルスが流行している時代に生きる人のストレスを代弁してくれた曲ともいえるでしょう。

スギムライジング

スギムライジングの画像

「スギムライジング」とは、パラリンピックのボッチャという競技で金メダルを獲得した杉村英孝選手の技です。ボッチャは赤と青のボールを6球ずつ投げて、ジャックボールと呼ばれる白いボールに近づける競技で、密集したボールにほかのボールを乗り上げさせる技を「ライジング」といいます。杉村選手がライジングを完璧にこなしたことから、「スギムライジング」と名づけられました。

黙食

黙食の画像

新型コロナウイルス感染拡大防止のために、ある飲食店が人と会話せず黙々と食べるようにポスターで呼びかけたことから、「黙食」という言葉が広まりました。飲食店のなかには、黙食を広めるために無言で食事をした人を対象にサービスの品を提供するという工夫を行ったところもあります。黙食は飲食店だけでなく、学校や会社でも呼びかけられました。

ゴン攻め/ビッタビタ

ゴン攻め/ビッタビタの画像

「ゴン攻め/ビッタビタ」は、スケートボード競技・ストリートで解説を行った瀬尻稜選手が発した言葉です。ゴン攻めは階段や手すりなどを「ガンガン攻めること」を指し、ビッタビタは狙った場所にずれることなくはまることを指します。競技に馴染みのない人も「ゴン攻め/ビッタビタ」などの印象に残る言葉により、スケートボードを身近に感じられるようになりました。

人流

人流の画像

人流とは、新型コロナウイルスの感染予防に関する言葉です。具体的には主要繁華街で、特定の場所・時間帯に滞在している人の流れを表す際に使用されます。

3度目の緊急事態宣言が発令されて人流抑制が求められましたが、東京オリンピック・パラリンピックの開催を進める方向であったため、国民からは疑問の声が多く上がりました。

ぼったくり男爵

ぼったくり男爵の画像

ぼったくり男爵とは、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長を揶揄する表現として使われた言葉のことです。新型コロナウイルスの感染が拡大しているなか、東京オリンピック・パラリンピックの開催を中止する動きはありませんでした。国民の疑問に対して政治家は「国民の健康を守る」とだけ発言しており、トーマス・バッハ会長らも日本の感染状況を考慮せずに開催の準備を進めたのです。アメリカのワシントンポスト電子版は、IOCは日本を踏み台にしていると指摘し、トーマス・バッハ会長のことを「Baron Von Ripper-off」と表現しました。和訳すると「ぼったくり男爵」という言葉です。国民の間で一気に広まり、2021年の流行語大賞に選ばれました。

流行語とともに注目したい若者言葉について、「日本語の若者言葉いくつ分かる? 「きまZ」「ピ」「草w」ほか会話が楽しくなる日本語スラング40選(2022年最新版)」のコラムで紹介しています。ぜひ併せてご覧ください。

まとめ

まとめの画像

2020年の流行語大賞には、新型コロナウイルスの感染拡大にまつわる言葉や「外出自粛」の影響で流行したゲームやドラマがランクインしています。2021年の流行語大賞は、東京オリンピック・パラリンピックに関する言葉が多く選ばれているのが特徴です。

流行語大賞は国民投票で決まるものではないものの、日本の動きや流行が色濃く反映されています。

ライター

WeXpats
生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

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