年々増加中!在留資格「企業内転勤」とは?

2020年10月12日
福谷陽子 (監修)
ライター事務所HARUKA
弁護士を10年間経験した後、専業ライターへ転身。各種の法律メディアや法律事務所サイトにおいて、精力的に記事の執筆や監修を行っている。 モットーは「難しい法律を誰でも理解できるようにわかりやすく伝える」こと。 「法律×SEO」をキーワードに、弁護士時代に培った法律知識とウェブ業界で取得したスキルを両輪として幅広いウェブマーケターとして活動中。 https://legalharuka.com/

日本では専門的な知識や技術を持つ外国人労働者は、就労のための在留が可能とされています。在留資格「企業内転勤」もそのような在留資格のひとつです。さらに平成29年(2017年)日本政府により「未来投資戦略2017 -society 5.0の実現に向けた改革-」が発表され、第四次産業革命(IoT、ビックデータ、人工知能、ロボット、シェアリングエコノミー)のイノベーションを進めるためにも、専門的な知識や技術を持つ外国人労働者を積極的に日本へ迎え入れる方針を打ち出しました。在留資格「企業内転勤」の外国人労働者は年々増加傾向にあり、平成30年度(2018年)には17,328名の方が在留資格「企業内転勤」により就労しています。

参照:厚生労働省「我が国で就労する外国人のカテゴリー」
首相官邸「未来投資戦略2017 -society 5.0の実現に向けた改革-」 p.90
出入国在留管理庁「出入国在留管理庁「専門的・技術的分野の外国人材受入れについて(令和2年1月)」p.2~3

在留資格「企業内転勤」とは

・従事できる仕事内容

在留資格「企業内転勤」で就労できる外国人は、日本に本店や支店のある会社の外国事業所から国内の事業所へ転勤し、日本で働くことになった労働者です。大卒ホワイトカラーや技術職が該当します。従事する業務は、「技術」または「人文知識・国際業務」です。在留資格「技術」の具体例としては、機械工学等の技術者、システムエンジニアなどが該当します。在留資格「人文知識」の具体例には企画・営業・経理などの事務職、「国際業務」の具体例としては語学教師、通訳、デザイナーなどが該当します。在留資格「企業内転勤」で従事する仕事は、専門的な技術や知識が必要とされる内容です。単純労働は認められません。専門知識や技術を使う業務の経歴を持っているかどうか、転勤後一定の業務経験が活かせる業務かどうかが審査対象になります。

参照:出入国在留管理庁「出入国在留管理庁「専門的・技術的分野の外国人材受入れについて(令和2年1月)」p.2~3
厚生労働省「我が国で就労する外国人のカテゴリー」
法務省「企業内転勤 日本において行うことができる活動内容等」

・在留期間

在留資格「企業内転勤」を取得した外国人労働者の在留期間は、その外国人労働者の状況に応じて、5年,3年,1年又は3か月となります。決められた在留期間を超えて在留したい場合は、事前の在留期間更新許可申請が必要です。

参照:出入国在留管理庁「専門的・技術的分野の外国人材受入れについて(令和2年1月)」p.4
法務省「在留期間更新許可請書」

・転勤の範囲

在留資格「企業内転勤」に該当する「転勤」は、外国の事務所から関連のある日本の事務所への一定の期間を定めた転勤のことです。外国の事務所とは、官公庁などの公法人も企業などの私法人も含まれます。企業には日系企業も外国企業も含まれます。ただし単なる業務提携のケースなど、資本関係のない国内企業への出向は「転勤」に含まれません。

参照:出入国在留管理庁「Q&A Q31在留資格「企業内転勤」と「技術・人文知識・国際業務」の違いについて説明してください」
法務省「企業内転勤 日本において行うことができる活動内容等」

在留資格「企業内転勤」の要件

・法人の関連性

在留資格「企業内転勤」では、同じ官公庁や同じ企業など、同じ法人内での転勤だけでなく、子会社や関連会社への出向も含まれます。法人が異なる場合は、外国の事務所と日本の事務所の関連性が要件となります。

・転勤前、転勤後の業務

在留資格「企業内転勤」は、専門的な知識や技術を持つ外国人労働者のための在留資格です。そのため、転勤前の外国の事業所での業務と転勤後の日本の事務所での業務が、その基準に見合ったものでなければなりません。転勤前過去1年間の業務内容と、日本の事務所での業務内容が基準を満たすことが要件となります。このことから、企業内転勤をするには「1年以上の勤務実績」が必要であり、入社間もない社員などは企業内転勤できません。

参照:法務省「企業内転勤 日本において行うことができる活動内容等」

在留資格「企業内転勤」申請における提出書類

・外国人労働者に関する書類

申請書

写真

履歴書

履歴書は、申請する外国人労働者が専門的な知識や技術を持つことを明らかにする書類です。どのような専門業務にどのくらいの期間従事していたか、審査されます。

・法人(官公庁や企業など)に関する書類

外国人労働者の日本の事務所への異動が「転勤」に該当することを明らかにする書類が必要です。

同一法人内の人事異動である場合は、日本国内に確実に事務所が存在することがわかる「登記事項証明書」などの書類を用意しましょう。

異なる法人間の出向である場合は、法人間の出資関係・資本関係がわかる「定款」や「株主名簿」などの書類が必要です。

雇用関係を証明する「雇用契約書」も用意しましょう。

・カテゴリーによって異なる書類

企業内転勤で雇用主となる法人(官公庁や企業など)は、規模に応じて4つのカテゴリーに区分されています。必要書類はカテゴリーによって異なるので、どのカテゴリーに該当するか確認しましょう。

上場会社の場合、四季報や上場している証明書が必要ですし、前年度の職員の源泉徴収票など法定調書の合計表が必要となるケースもあります。

企業によって必要書類が異なるので、入国管理局や行政書士に相談しながら進めるのが良いでしょう。

参照:法務省「企業内転勤 日本において行うことができる活動内容等」

おわりに

日本の経済活性化および第四次産業革命の推進のために、日本政府は専門的な知識や技術を持つ外国人労働者を積極的に受け入れる方針です。在留資格「企業内転勤」を取得し日本国内で活躍する外国人労働者数も年々増加しています。

企業内転勤はは外国の事業所から日本の事業所への転勤もしくは出向であることを条件とするため、法人の関連性を証明する書類を用意しなければなりません。外国の事業所から国内事業所へ専門スキルを持った外国人労働者を呼び寄せたい場合には、在留資格「企業内転勤」の利用をご検討ください。