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初めて技能実習生の受け入れを検討している企業にとって、「監理団体」は馴染みのない言葉でしょう。監理団体とは、企業から依頼を受けて、送出機関とのやり取りや手続き、受け入れ先の監査などを行う機関のこと。※「管理団体」ではなく「監理団体」です。
2021年末のデータを見ると、企業で働く技能実習生の98.6%が監理団体を通して受け入れられています。この数字を見ると、技能実習生の受け入れにおける、監理団体のサポートの重要性が分かるのではないでしょうか。
監理団体は日本全国に3000ヶ所以上あり、その質には大きなばらつきがあります。技能実習生の受け入れに乗り出す際は、ぜひこの記事でまとめられている監理団体を選ぶ際のポイントをご一読ください。
目次
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監理団体とは、企業から依頼を受けて、技能実習生の募集や受け入れ先の監査、相談対応などを行う機関のことです。監理団体は、法務大臣や厚生労働大臣によって許可を受けた「非営利団体」である必要があります。
役割としては、外国人労働者を派遣・紹介する会社とイメージすると分かりやすいでしょう。ただし、単に派遣や紹介を行うわけではありません。監理団体は海外の送出機関から預かった技能実習生が適切に技能実習を受けているか監理し、必要に応じて企業に対して指導する役目を担っています。
技能実習生の受け入れ方式には、「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があります。「団体監理型」で技能実習生を受け入れる場合は、監理団体による監査や支援を受けなければなりません。この場合、技能実習生の受け入れを始める前に、任意の監理団体に加盟する必要があります。
ここで、「そもそも技能実習制度とは何か」をおさらいしましょう。
技能実習制度は、日本で学んだ外国人が母国へ技術や知識を持ち帰ることを目的に、1993年に創設されました。海外の経済発展への貢献も目指しており、労働力としての技能実習生の雇用は認められていません。技能実習の期間は最長5年で、技能実習計画に基づいて行われます。
在留資格「技能実習」は比較的取得しやすいとされており、すでに多くの技能実習生が日本で働いています。「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」によると、その数はなんと41万2501人。コロナ禍明けの反動があると考えられるものの、前年の34万3254人から6万9247人も増加しています(対前年増加率は20.2%)。
なお、技能実習制度は2027年に廃止され、今後「育成就労制度」に移行する予定です。
技能実習には「1号」「2号」「3号」の3種類があり、それぞれ在留期間は1年・2年・2年とされています。
「技能実習1号」として来日した外国人は、最初の1ヶ月間、日本語教育や技能実習生の法的保護に関する座学講習を受けるように義務付けられています。その後、企業との雇用関係の下で、業務を行いながら技術や知識の習得をしていく仕組みです。
来日してから1年が経ち、技能検定基礎級もしくは技能評価試験初級を受けて合格し、要件を満たせば「技能実習2号」に移行できます。技能実習を続けてさらに2年経ったのち、技能検定随時3級または技能実習評価試験専門級に合格すると「技能実習3号」に移行可能です(移行不可の職種あり)。なお、「技能実習2号」から「3号」へ移行する際には、一度帰国しなければなりません。
前述したとおり、技能実習生を受け入れる際は、企業単独型か団体監理型のどちらかを利用します。
【企業単独型】
日本の企業(実習実施者)が、海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式です。主に日本の大企業や上場企業などが、海外現地工場の職員を受け入れる際に活用しています。監理団体に監理業務を依頼する必要はありません。企業単独型の場合は、講習の実施時期については入国直後でなくても可能です。
【団体監理型】
事業協同組合や商工会などの監理団体が技能実習生の支援や監理を行いつつ、受け入れ企業(実習実施者)で技能実習を実施する方式です。中小企業をはじめとする多くの企業が、団体監理型を利用し、技能実習生の受け入れを行っています。
監理団体になるためには、法務省と厚生労働省が定めた許可基準を満たさなければなりません。技能実習法第23条および第25条には、「監理事業を行おうとする者は、主務大臣の許可を受けなければならないこととされており、当該許可に当たっては、許可基準が設けられ、当該許可基準に適合しなければ許可を受けることはできない」とあります。
法務省と厚生労働省がまとめた「外国人技能実習制度について」に記載されている、監理団体の許可基準は以下のとおりです。
【監理団体の主な許可基準】
1.営利を目的としない法人であること
2.監理団体の業務の実施の基準に従って事業を適正に行うに足りる能力を有すること
3.監理事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること
4.個人情報の適正な管理のため必要な措置を講じていること
5.外部役員または外部監査の措置を実施していること
6.基準を満たす外国の送出機関と、技能実習生の取次ぎに係る契約を締結していること
7.優良要件への適合(第3号技能実習の実習監理を行う場合)
8.1~7のほか、監理事業を適正に遂行する能力を保持していること
7の「優良要件」は、2017年に施行された技能実習法によってできた制度です。詳しくは次の見出しで解説します。
監理団体には「一般監理団体」と「特定監理団体」の2種類があり、一般監理団体は「優良な監理団体」とも呼ばれます。一般監理団体となれるのは、監査の実施状況や技能の習得に関わる実績、相談・支援体制などに関する優良要件を満たした監理団体だけです。一般監理団体と特定監理団体では、以下のように扱える技能実習生の種類が異なります。
一般監理団体:「技能実習1号」「2号」「3号」に対応でき、通算5年にわたり技能実習生を預かれる
特定監理団体:「技能実習1号」「2号」のみに対応でき、通算3年までしか技能実習生を預かれない
以上のように、一般監理団体と特定監理団体では、技能実習生を預かれる期間が異なります。したがって、同じ技能実習生を4〜5年受け入れようと検討している企業は、一般監理団体を通さなければなりません。
なお、一般監理団体が支援を行い、さらに実習実施者である企業も優良要件を満たしている場合、受け入れ可能な技能実習生の数が2〜6倍に増加します。
参照元
厚生労働省「「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)」
厚生労働省「技能実習生等向け技能検定の概要」
厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について」
e-Gov法令検索「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」
外国人技能実習機構「技能実習について」
外国人技能実習機構「優良要件適合申告書(監理団体)」
監理団体は、企業が技能実習生を受け入れる際に全面的にサポートを行う機関です。外国の送出機関とのやりとりや企業への指導、技能実習生への入国後の講習などを行います。また、定期的な企業への監査や技能実習生からの相談にも対応し、適正かつ円滑に技能実習を実施するための重要な役割を担っているのです。
技能実習制度における送出機関とは、海外で技能実習生になりたい人を募集し、日本の監理団体と連携して送り出す機関のことです。監理団体は送出機関を選定し、企業に代わってやりとりを行う役目を果たします。企業の条件に合った人材を送出機関に伝えたり雇用に必要な契約を結んだりといった業務全般を担っているのです。そのため、技能実習生の受け入れ企業が、送出機関と直接やりとりをする場面はほぼありません。
外国人の受け入れを検討している企業のなかには、技能実習生と同じく就労可能な特定技能人材の雇用を考えている企業もあるでしょう。特定技能制度を利用して外国人を雇用する場合も、一部の国では送出機関を通さなければなりません。たとえば、ベトナムやミャンマー、フィリピンなどの国は、日本と特定技能に関する覚書を締結しているため、送り出し機関の経由が必要です。
技能実習生を受け入れる企業は、あらかじめ技能実習計画書を厚生労働省に提出する必要があります。その際に、技能実習計画書の作成指導を実施するのも、監理団体の業務の一つです。
技能実習計画書は、企業が技能実習生にどのような実習を実施するか明確に記載した書類です。技能実習生が来日するためには、技能実習計画が日本と送出国の2国間で認定される必要があります。
なお、監理団体の職員は技能実習計画の作成指導は行いますが、実際に内容を考えて記述するのは受け入れ企業の職員です。
入国した技能実習生が最初に受ける座学講習を実施するのも、監理団体の仕事です。座学講習では、日本語や文化、日常生活のルールなどを学びます。加えて、出入国管理及び難民認定法・労働基準法といった法律に関する授業や職場見学を通じて、働くうえで必要な知識も習得するのです。技能実習生にしっかりと講習を実施することで、受け入れ企業に配属されたあとスムーズに業務を開始できます。
ただし、入国後の講習は必ずしも監理団体が実施する必要はなく、適切な教育を行える施設に依頼することも可能です。
監理団体は、技能実習生の受け入れ企業への訪問指導も行います。訪問指導の既定の回数は、技能実習生が「1号」の場合は月に1回以上、「2号」「3号」の場合は3ヶ月に1回以上です。企業を訪れた監理団体の職員は、技能実習の実施状況や技能実習が計画通りに進んでいるか確認し、適切な指導を行います。
さらに、指導内容を記録して監理団体の施設に保管し、年に1度外国人技能実習機構に提出するのも業務の一つです。
技能実習生の受け入れ企業への監査も監理団体の仕事の一つです。監査には、「定期監査」と「臨時監査」の2種類があります。
【定期監査】
定期監査は、「監査責任者講習」を修了した監理責任者の指揮の下、3ヶ月に1回以上行います。「技能実習計画に沿って実習が行われているか」「法令に違反していないか」などを確認する監査です。以下のような作業が行われます。
1.受け入れ企業における技能実習の実施状況のチェック
2.技能実習責任者および技能実習指導員へのヒアリング
3.技能実習生の1/4以上との面談
4.実習実施者の事業所の設備や帳簿、書類などの閲覧
5.技能実習生の宿泊施設や生活環境などの確認
定期監査を終えたあとは、監査報告書を2ヶ月以内に外国人技能実習機構へ提出する必要があります。
【臨時監査】
臨時監査は、技能実習の実施状況や雇用環境に問題があると判断された場合に直ちに行われます。実施されるのは、以下のような問題があるとされた場合です。
技能実習が技能実習計画に沿って実施されていない
技能実習生に対する暴行や脅迫、そのほかの人権を侵害する行為が疑われる
企業(実習実施者)が不法就労者を雇用している
技能実習生が被害に遭う労働災害が発生した
臨時監査後は、遅くとも2週間以内に外国人技能実習機構に監査報告を実施するように定められています。
技能実習生から生活上・業務上の相談を受けたり、必要なサポートを行ったりするのも監理団体の仕事です。監理団体は、技能実習生が安心して働けるように支援体制を整えなければなりません。
たとえば、技能実習生が何らかの問題や悩みを抱えていても、職場の担当者に直接相談しづらい場合があります。このような場合、監理団体が間に入り双方の橋渡しをすることで、迅速に問題を解決し技能実習を円滑に進められるようにするのです。
監理団体は、技能実習生が実習を終えた際に、スムーズに帰国できるように支援を行う必要があります。具体的には、役所への転出届の提出・銀行口座の解約の手助け、帰りの航空券の準備、空港までの送迎などの支援です。
しっかりと帰国対応を行ってくれる監理団体を選ぶことで、企業の負担を軽減できます。
2024年8月26日時点で、日本全国にある監理団体の数は3738ヶ所に上ります。監理団体の種類別の内訳は以下のとおりです。
一般監理団体:2039ヶ所
特定監理団体:1699ヶ所
監理団体は数多く存在しますが、技能実習制度についての知見の深さや支援内容は団体によって異なります。まさに玉石混合の状態であり、どの監理団体にでも依頼さえすれば安心というわけではありません。
また、休眠している団体も多いため、監理団体を探すときには、稼働状況も確認しましょう。
参照元
外国人技能実習機構「監理団体の検索(Search for Japanese Supervising Organizations)」
監理団体は公正中立な非営利団体とされていますが、公的機関ではありません。そのため、顧客である企業に対して忖度し、定期監査の際に問題が判明しても看過したり適切な報告を行わなかったりする団体があるのが実情です。また、技能実習制度の趣旨を十分に理解しておらず、適切な指導や支援を実施できない団体も存在します。監理業務を適切に実施できていないことが発覚した監理団体は、許可が取り消され営業を続けられません。よくある監理団体の許可取り消し理由は、以下のとおりです。
訪問指導や監査を適切に実施しなかった
契約の不履行の際の違約金を定めていた
虚偽内容を含む監査報告書を外国人技能実習機構に提出した
依頼している監理団体の営業許可が取り消された場合、新たな監理団体と契約を結び直し、技能実習計画変更の届出を提出する必要があります。このように不適切な監理団体に依頼すると、法律違反問題が発生したり余計な労力がかかったりする事態が起きかねません。技能実習生を受け入れて円滑に実習を行うためには、信頼できる監理団体を選んで支援を受けることが重要です。
なお、こうした問題を解消するために、2027年に開始される「育成就労制度」では、監理団体に求められる要件が技能実習よりも厳格になります。名称も「監理支援機関」と改められ、不適正な団体が一掃されることが期待されています。
それでは、ここからは実際に監理団体を選ぶ際のポイントを解説します。監理団体を選ぶ際には実際に担当者と話してみて、「技能実習制度に関する知見があるか」「誠意を持った対応をしてくれるか」を判断しましょう。特に、初めて技能実習生を受け入れる場合は、多くの疑問や問題が生じると予想されます。そのときに、迅速かつ明確に対処してくれそうかという点も重要です。
監理団体を選ぶ際は、必ず複数の機関の実績や規模、費用、支援内容を見比べ、十分に検討しましょう。初めての技能実習生の受け入れで全く知識がない状態でも、さまざまな機関を比較するうちに費用の相場や一般的な支援内容が分かってきます。
特に見比べるべきなのが、技能実習生を雇用している間に監理団体に対して毎月支払う監理費です。監理費は、監理団体と送出機関の運営コストによって異なります。「監理費が高いと質が良い・低いと悪い」ということではなく、支援内容と見比べて適切な額か見極めるようにしましょう。毎月の監理費の相場は、実習生1人あたり1〜5万円です。監理費があまりにも安い場合は実体のないペーパー団体の疑いもあるので注意しましょう。
なお、多くの技能実習生を受け入れる場合、複数の監理団体を利用するという方法もあります。複数の監理団体を利用すると、やりとりが多少煩雑になりますが、外国人雇用に関するアドバイスを多角的に得ることができます。
技能実習生を受け入れて滞りなく実習を実施するためには、監理団体の多岐にわたる支援が欠かせません。どのような支援が含まれるのかを、契約前に確認しましょう。
たとえば、受け入れ準備一つとっても、宿泊施設や備品の準備をサポートしてくれる団体から、企業にすべて任せる団体までさまざまです。訪問指導を行う際も、時間を掛けて技能実習生との面談を行う団体から形式的に書類の確認や聞き取りを行う団体まで差があります。
技能実習生と企業にとって十分なサポートを行ってくれるか、実際に依頼してみないと分からない点もあります。しかし、実施している支援や訪問指導の内容を契約前に具体的に確認することで、ある程度ふるいにかけられるでしょう。
監理団体は技能実習制度を正しく理解し、適切な制度運用を促す立場にあります。企業に都合のいいように法律を解釈したり、抜け道を提案したりする行為は違法です。もし、監理団体が技能実習制度に反する指導や提案を行った場合は不正行為とみなされ、場合によっては営業許可が取り消しになります。そうなると、企業側にも悪影響が出ることは避けられません。技能実習生の受け入れを検討している企業に対し、法令に背くような都合の良い言葉で営業をかける監理団体は避けましょう。
違反した企業のなかには、故意にではなく、監理団体が適切に監査・指導しなかったため法令に抵触したところも存在します。したがって、技能実習制度に精通しており、適切な監査や指導をしてくれる監理団体を選ぶことが重要です。
監理団体は、それぞれ繋がりが強い国の送出機関が異なります。受け入れを希望する外国人の国籍が決まっている場合、契約を検討している監理団体がその国に対応しているか確認しましょう。
また、希望している国の言語に対応できる職員がいるかも、確認すべきポイントです。前述したように、技能実習生の相談対応は監理団体の職員が請け負います。しかし、技能実習生と監理団体の職員が使用する言語が異なる場合、間に通訳を入れなくてはなりません。そうなると、技能実習生と監理団体の職員が意思の疎通を直接できず、信頼関係を築きにくいと考えられます。円滑に技能実習を進めるためには、技能実習生が話す言語に対応できる職員がいる監理団体を選ぶと良いでしょう。
希望する国籍が決まっていない場合は、対応可能な国が多い監理団体を選ぶことをおすすめします。多様な国に対応していれば、外国人に対する企業の希望に対して柔軟な提案を行ってくれるでしょう。
監理団体のなかには、全職種を扱っている団体と特定の職種だけを扱っている団体があります。初めて技能実習生を受け入れる場合、自社の業種や職種を得意としている監理団体を選ぶのがおすすめです。特に地場産業の場合、地元の協同組合や商工会が監理団体を運営しており、高い実績を持っているケースがあります。
自社の業種・職種を得意としている監理団体が地元にない場合は、過去の実績を聞いて少なくても自社の業種・職種を扱った経験があるかを確認しましょう。
監理団体のなかには、実務で使う充実した設備を持ち、企業配属前の技能実習生に訓練を実施してくれるところも存在します。監理団体を検討する際、配属前の教育カリキュラムの内容や実務に使う設備の有無も確認しておくと良いでしょう。
監理団体が連携している現地の送出機関も、チェックすべきポイントの一つです。技能実習生から不当な額の手数料や保証金を徴収する送出機関と連携している監理団体は避けましょう。多額の手数料や保証金は技能実習生が失踪する原因となる場合があり、悪質な送出機関は受け入れ企業にとっても円滑な技能実習の妨げになりかねません。
ほかにも、来日までに、送出機関でどのような教育体制が取られているかも大切なポイントといえます。日本に馴染めるように、日本語やマナー、仕事への姿勢などを教える体制がとられているか監理団体を通して確認しましょう。
なお、海外に行き、送出機関の様子を直接確認することも可能です。現地に行きたい場合、監理団体に相談すれば、たいてい視察の日程を送出機関と調整してくれます。現地で視察することで得られる、「送出機関がどのように教育しているのか」「どんな人材が学んでいるのか」といった情報は貴重です。「百聞は一見に如かず」といいます。特に初めて技能実習生を受け入れる際には、一度視察に行くことがおすすめです。
「契約後に監理団体が自社に合わないと感じたり、問題が生じたりしたらどうしたら良いのだろう」と不安に思う企業も多いでしょう。想定されるのは、「実際に行われる支援に対して監理費が割高に感じる」「監理団体が技能実習生の相談にあまり応じてくれない」といった事態です。
契約中の監理団体を信頼できないと感じた場合、新たな団体を選んで変更できます。ただし、監理団体の変更には、以下の4者の合意が必要です。
契約中の監理団体
新しく契約する監理団体
送出機関
技能実習生
特に、契約中の監理団体の合意を得るのは、スムーズに進まない可能性があります。そのため、監理団体に対して不信感や不満がある場合、いきなり変更を申し出るのではなく、まず相談し希望を伝えてみましょう。うまくいけば、監理団体を変更せずに、改善や担当職員の変更によって問題が解決する場合もあります。
「外国人技能実習機構(OTIT)」とは、法務省と厚生労働省が認可した法人であり、技能実習制度そのものを監理監督する機関です。
企業向けの相談窓口も設けられているため、監理団体や送り出し機関との間でトラブルが発生した際は、まず技能実習機構に問い合わせを行うとよいでしょう。
技能実習生を雇用するためには、監理団体との提携が不可欠です。監理団体と一口に言っても、対応できる技能実習生の国や業務、職種には違いがあります。自社で活躍してくれる技能実習生を確保するためには、監理団体について十分に調査し信頼できる団体と提携することが重要になります。
企業の負担軽減や法令違反のリスクヘッジのためにも、適切に監理業務を行ってくれる監理団体と契約しましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net