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「外国人留学生はどの健康保険に加入するの?」と疑問に思う方もいるでしょう。外国人留学生は健康保険の加入条件を満たさないため、原則国民健康保険に加入します。このコラムでは、外国人留学生が国民健康保険に加入・脱退する際の手続き方法を紹介。外国人留学生が国民健康保険に加入することで得られる給付についてもまとめています。内容を参考にして、外国人留学生の国民健康保険加入をサポートしましょう。
目次
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外国人留学生は国民健康保険に加入します。日本に3ヶ月以上滞在する外国人は、国民健康保険に加入する義務があるためです。
外国人をアルバイトとして雇う場合、1週間の労働時間もしくは1ヶ月の労働日数が社員の4分の3以上であれば健康保険に加入させなければなりません。しかし、外国人留学生は原則週28時間以内しか勤務できないため、加入するのは健康保険ではなく国民健康保険です。
外国人留学生は、国民健康保険に加入し保険料を支払うことで給付を受けられます。国民健康保険加入者への主な給付内容は、以下のとおりです。
国民健康保険に加入している外国人留学生は、保険医療機関の診察・治療を受けた際、医療費の30%を自己負担で支払います。残りの70%は国民健康保険から後日支払われる仕組みです。これを療養の給付といいます。療養の給付を受けるには、保険医療機関の窓口へ国民健康保険証の提示が必要です。療養の給付の範囲には以下の5つがあります。
なお、個室に入院した際の差額ベット代や美容整形の費用、予防接種などは療養の給付の対象外なので、全額自己負担で支払います。
高額療養費制度とは、国民健康保険に加入している人の1ヵ月の医療費の自己負担額が一定の金額を超えた場合、申請を行うと自己負担限度額を超えた分の金額が戻ってくる制度です。自己負担限度額は、国民健康保険料の算定の基礎となる基礎控除後の総所得金額等によって異なります。なお、医療費すべてが高額療養費の対象になるわけではありません。自己負担の範囲になるものは高額療養費制度の対象外です。
海外渡航時に現地の医療機関を受診した際は、申請すれば一部医療費の払い戻しを受けられます。なお、支給対象になるのは日本で保険診療として認められているもののみです。美容整形やインプラント等は含まれません。海外で支払った医療費から、自己負担分を差し引いた金額が支給されます。
出産一時金は、出産による家計負担を軽減するのが目的で支給されます。正常分娩での出産は療養の給付の適用外です。その代わりに、出産一時金として1人の子どもにつき42万円が支給されます。出産一時金を利用する際は、分娩を行った医療機関が被保険者本人に代わって請求する「直接支払制度」が一般的です。このほかに、医療機関が被保険者の代理として出産一時金を受け取る「受取代理制度」もあります。
上記で説明したもの以外に、国民健康保険加入者が受けられる給付を紹介します。
入院したときの食事代は、1食につき460円が自己負担、残りが国民健康保険からの給付です。なお、入院時の食事代の自己負担額は、減額されることもあります。具体的には、小児慢性特定疾病児童または指定難病患者、減額認定を受けている人は食事代の自己負担の減額が可能です。
国民健康保険に加入している人が亡くなった場合、葬儀を行った人に支給されます。
歩行が困難な国民健康保険の加入者が、通院や転院のための移動に使った費用が給付されます。バスやタクシー、電車の運賃をはじめ、運転手を雇った際に支払う賃金も支給の対象です。
参照元 e-Gov法令検索「健康保険法(大正十一年法律第七十号)」 厚生労働省「出産育児一時金の支給額・支払方法について」
外国人留学生が支払う国民健康保険料は、住んでいる市町村や前年の所得によって左右されます。国民健康保険料が減免できる場合もあるので、納付が厳しそうな外国人留学生がいたらアドバイスできると良いでしょう。
国民健康保険料は住んでいる自治体や加入者の年齢によって異なります。また、前年の1月から12月の所得によっても左右されますが、その点を理解できていない外国人留学生も多いようです。なかには、国民健康保険料が急に高くなって混乱してしまう人もいます。外国人留学生の不安を軽減するために、前年のアルバイトの収入により国民健康保険料の金額が変わることを説明しておくと良いでしょう。
国民健康保険料は、減免できる場合があります。前年の所得の金額が一定基準以下の場合は減免の対象です。なお、細かい減免措置の内容は外国人留学生の住む市町村によって異なります。もし、雇用している外国人留学生の国民健康保険料の支払いが難しそうな場合は、減免措置を説明してみましょう。
外国人留学生の国民健康保険の手続きを、「加入」「変更」「脱退」に分けて紹介します。外国人留学生をアルバイト雇用する企業は、各種手続き方法を知って、いざというときに手助けできるようにしましょう。
国民健康保険加入の手続きは、居住する市町村の市役所や区役所で行います。住民登録をした段階で国民健康保険の加入義務が発生するので、転入届を出すタイミングで一緒に手続きを行うのがスムーズでしょう。なお、国民健康保険の加入手続きにはパスポートと在留カードが必要です。
国民健康保険の加入時から氏名が変わった場合は、変更から14日以内に居住する市町村の市役所で変更の手続きを行います。また、同じ市町村内で引っ越しを行った場合も同様です。
日本を出国したり別の市町村に転居したりする場合は、国民健康保険料の脱退手続きが必要です。脱退手続きを行わなければ、日本に居ないのに国民健康保険料の請求が来たり、二重で請求が来たりする可能性があります。別の市町村に引っ越す場合は脱退手続きをしたうえで、あらためて転入先の市町村役場で国民健康保険の加入手続きが必要です。
就職して健康保険に切り替わる場合も、国民健康保険の脱退手続きは自らが行わなければなりません。企業がやってくれると思い、二重で加入したままになってしまう外国人留学生も多いようです。企業は、外国人留学生に国民健康保険の脱退手続きを行ったか確認することをおすすめします。
また、外国人全般の各種保険加入に関する情報は、「外国人は医療保険に加入できるの?企業に向けて解説」に掲載しています。ぜひ、参考にしてみてください。
日本で外国人留学生が加入するのは国民健康保険です。日本とは保険制度の仕組みが異なる国も多く、日本語に不慣れな外国人留学生が自分だけで加入や脱退手続きを進めるのは困難といえます。外国人留学生をアルバイト雇用する企業は、できるだけ手続きのサポートを行えると良いでしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net