「釈迦に説法」の正しい使い方とは?意味・例文・言い換え・英語表現

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2024/12/05

「釈迦に説法」はその道を知り尽くしている人に教えることの愚かさを表したことわざです。たとえば、税理士に税金に関するアドバイスをしたり、オリンピック選手に運動の基礎を教えたりするような行動が当てはまります。ビジネスシーンにおいては、相手の知識量を称えるときや自分が発言する前のクッション言葉としてよく使われる表現です。

この記事では、「釈迦に説法」の意味・正しい使い方を例文つきで詳しく解説。また、同じ意味の言い換えや英語表現についてもまとめています。使う際の注意点も紹介しているので、参考にして使ってみましょう。

目次

  1. 「釈迦に説法」とは
  2. 「釈迦に説法」の使い方と例文
  3. 「釈迦に説法」を使う際の注意点
  4. 「釈迦に説法」の言い換え表現
  5. 「釈迦に説法」の英語表現
  6. まとめ

「釈迦に説法」とは

「釈迦に説法」とはの画像

「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」は、ビジネスシーンで使われることが多いことわざです。ここでは「釈迦に説法」の意味や由来について解説します。

読み方と意味

「釈迦に説法」は、「しゃかにせっぽう」と読みます。その道を知り尽くしているような詳しい人に対して、素人や知識の浅い人がアドバイスしたり意見したりする愚かさを表したことわざです。立場をわきまえない見当違いな行為を意味します。

また、「釈迦に説法」はクッション言葉としても使われるフレーズです。自分よりも詳しい人に対して説明やアドバイスをしなければならないときに、自分をへりくだらせて使います。

由来

「釈迦」とは、仏教を開祖した人物のことです。仏教の教えを説明して聞かせることを「説法」といいます。仏教を説いた張本人のお釈迦さまに、仏教の教えを教えるという愚かな行為が「釈迦に説法」の由来です。

日本は仏教の教えが深く根付いているため、仏教にまつわる意味や言葉を用いたことわざが多くあります。「釈迦に説法」以外で例を挙げると、「仏の顔も三度まで」や「仏作って魂入れず」、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」などです。なお、「釈迦に説法」は「釈迦に経(しゃかにきょう)」とも言い換えられ、どちらも意味に違いはありません。

仏教にはどのような教えがあるのか興味のある方は「仏教とはどのようなもの?基本的な教えや伝説を分かりやすく解説」をご覧ください。

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「釈迦に説法」の使い方と例文

「釈迦に説法」の使い方と例文の画像

「釈迦に説法」は、謙遜しながら意見を述べたり、自分の無礼を詫びたりする際に使います。ここでは、シーン別に「釈迦に説法」を使った例文を紹介するので、実際に使う際の参考にしてください。

謙遜して意見を述べるとき

その分野を知り尽くしていたり、経験があったりする人に対して、自分の意見を述べるときに使える表現です。「釈迦に説法ではございますが」や「このようなことを申し上げるのは釈迦に説法ですが」などを添えることによって、謙遜の気持ちを表すことができます。

【例文】

「長年、この業界に携わってこられた部長に対して、釈迦に説法ではございますが、今回のプロジェクトに関する私の意見を申し上げます。」

上記は、自分の意見を言うときに相手に与える印象を和らげるために、クッション言葉として「釈迦に説法」を使った例文です。「お分かりかと思いますが」 「ご存知かと思いますが」「僭越ながら」と相手を立てる意味合いで使われています。特に会議やミーティングなどの場で、目上の人に対して自分の意見を言わなければならないときに使えるでしょう。

自分の無礼を謝罪するとき

相手がその分野に精通しているにも関わらず、アドバイスをしてしまったり、出過ぎた意見を伝えてしまったりしたときにも使える表現です。「釈迦に説法」を用いて自分の無礼な言動を謝罪できます。

【例文】

「釈迦に説法な言動をしてしまい、大変申し訳ございませんでした。」

「申し訳ございません」と謝罪するだけでも間違いではありません。しかし、「釈迦に説法」を使うことで、謝罪の気持ちと同時に相手を敬う気持ちも表現できるのです。

相手をたしなめるとき

その道を知り尽くしている人に対して、自分の知識をひけらかしている相手に「釈迦に説法」を使って、たしなめることができます。

【例文】

「新入社員の君が、弁護士資格のある部長にコンプライアンスについて意見を述べるなんて釈迦に説法だ。言葉を慎むべきだと思うよ。」

上記は、有識者に自分の知識をひけらかす人をたしなめる例文です。かなり関係性の近い人にしか使えないので、注意しましょう。たとえば、上司に対して「あの発言は釈迦に説法でしたね」などと言うのは大変失礼です。注意するときに釈迦に説法を使う場合は、同じ立場の人もしくは部下や後輩にしなければなりません。

日本のビジネスシーンでは気をつけるべきマナーがあります。「日本のビジネスマナーを解説!服装から人への接し方まで紹介!」では日本で働くうえで必要なビジネスマナーについて解説しています。

「釈迦に説法」を使う際の注意点

「釈迦に説法」を使う際の注意点の画像

「釈迦に説法」は見当違いで愚かな行為を意味する言葉です。不適切な使い方は、更なる事態の悪化につながりかねません。ここでは、実際に使うときの注意点を紹介するので、正しい使い方を理解しましょう。

自分に対しては使わない

自分のことに対して「釈迦に説法」は使いません。たとえば、複数の会社を経営している自分が経営学に関するアドバイスを受けたとします。「会社をいくつも経営してる私に、経営学に関するアドバイスは釈迦に説法ですよ」と相手に伝えることは「知識や経験のある自分に対してわざわざ説明するの?」と同じ意味になり、謙虚さがない高慢な人物だと捉えられかねません。自分に経験や心得があったとしても謙虚な姿勢でいることが大切です。

皮肉と取られる可能性がある

相手の知識量や立場によっては、嫌味や皮肉と捉えられる可能性があります。たとえば、自分より確実に相手の知識が少ないと分かっている場合です。そのようなときに釈迦に説法を使うと、相手は皮肉に感じてしまいます。使う際は相手の立場や経験を考慮しましょう。

丁寧な言い回しを心掛ける

釈迦に説法を使う際は、言い回しに注意が必要です。言葉自体は失礼な言葉ではありませんが、乱暴な言い回しをすると相手に与える印象が変わります。相手に敬意を払った表現や綺麗な言葉遣い、声のトーンなどを意識すれば、相手に正しい意味で伝わるでしょう。

「釈迦に説法」の言い換え表現

「釈迦に説法」の言い換え表現の画像

以下は「釈迦に説法」の言い換え表現です。その道に詳しい人に余計な教えを説いてしまうことを指す言葉が、言い換えとして使えるでしょう。

孔子に論語

ことわざの一つである「孔子に論語(こうしにろんご)」は、専門家に余計な意見や教えを説くことを意味します。「孔子」は儒教の始祖した人物で、『論語』は孔子の死後に教えを弟子たちがまとめた書物です。その孔子に人の道を説くのは愚かであることの例えとして、「釈迦に説法」と同じ意味として使われています。

河童に水練

「河童に水練(かっぱにすいれん)」の「河童」とは、古来から伝わる日本の妖怪です。泳ぎが上手で川に現れるとされていて、地方によっては川の神として扱われています。「水練」は、水泳の練習のことです。泳ぎの得意な河童に、水泳の練習を教えるなんて見当違いで無駄なことを表しています。

猿に木登り

「猿に木登り(さるにきのぼり)」は、猿のように木登りが得意な存在に木登りを教えることを例えたことわざです。そのことをよく知っている者に教えるような無駄な行為を意味します。

知り尽くしている人にそのことを説く愚かさを例えた「釈迦に説法」は、愚かさを強調しています。「河童に水練」 「猿に木登り」はそのことをよく知る人に教える無駄な行為を意味しており、「釈迦に説法」と似た意味ですが、どちらかといえば無駄な行為を強調する表現です。

「河童に水練」や「猿に木登り」はことわざの一種です。「日本の有名なことわざを一覧で紹介!英語と似た意味のことわざも」では日本で有名なことわざの種類や意味について解説しています。

「釈迦に説法」の英語表現

「釈迦に説法」の英語表現の画像

「釈迦に説法」は英語でも言い換え可能なフレーズです。ここでは、「釈迦に説法」の英語表現を3つ紹介します。

聖歌隊に説教する

「釈迦に説法」を英語で表現すると「Preaching to the choir」です。「聖歌隊に説教する」ことを意味します。すでにキリスト教の教えを理解して賛美歌や聖歌を歌う聖歌隊に、わざわざ聖書の教えを説くことは無意味だという例えです。

祖母に卵の吸い方を教えるな

詳しい人に教える愚かさを表す表現として「Don’t try to teach your grandmother to suck eggs」が挙げられます。「生活経験が豊富な祖母に卵の吸い方を教えても時間の無駄だ」という意味です。昔は、卵の両端に小さな穴を開けて、片方から中身を吸いだして食べていたことから生まれた例えといわれています。

魚に泳ぎ方を教えるな

「Don’t teach fishes to swim」は「魚に泳ぎを教えるな」という意味です。「釈迦に説法」と同様に、知り尽くしている人に教えを説く愚かさや無駄な行為を示しています。

まとめ

「釈迦に説法」の正しい使い方とは?意味・例文・言い換え・英語表現のまとめの画像

「釈迦に説法」はその道を知り尽くしている人に対して、教えることの無意味さや愚かさを表すことわざです。謙遜して意見を述べるときや自分の無礼を詫びるときなど主にビジネスシーンで使われます。自分がへりくだるときに使う表現ですが、間違った使い方は相手に不快な印象を与えかねません。正しい表現方法を心掛けるようにしましょう。

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