ビジネスシーンで使えることわざを知りたい方におすすめしたいのが、「釈迦に説法」です。相手の知識量を称えるときや自分が発言する前のクッション言葉として使えます。
このコラムでは、釈迦に説法の意味や正しい使い方を紹介。また、英語での意味も解説しています。使い方の注意点もまとめているので、参考にして仕事のときに使ってみましょう。
目次
- ビジネスシーンでよく使われる「釈迦に説法」
- 「釈迦に説法」の英語表現
- 「釈迦に説法」のビジネスシーンでの使い方
- 「釈迦に説法」をほかの表現に言い換えると?
- 「釈迦に説法」は使い方や使いどころに気を付けよう
- まとめ
ビジネスシーンでよく使われる「釈迦に説法」
「釈迦に説法(しゃかにせっぽう)」は、ビジネスシーンで使われることが多いことわざです。ここでは、意味や語源を紹介します。
釈迦に説法とはどのような意味
釈迦に説法は、一つの道の専門家に対して素人や知識の浅い人がアドバイスをする行為を指します。立場をわきまえずに、人に自分の知識をひけらかす愚かさを表す言葉といえるでしょう。
主に使う場面は「へりくだるとき」「誰かに注意するとき」「自分のした発言を謝罪するとき」です。自分の意見を述べる前に一言添えると、謙遜している気持ちが伝わるでしょう。また、自分や誰かが有識者に失礼な発言をしたときに使うこともあります。
釈迦に説法の語源
釈迦に説法の語源は、仏教の開祖である釈迦(ガウタマ・シッダールタ)が関係しています。説法とは、仏教の教えを説明して聞かせることです。仏教を作った本人である釈迦に得意げに説法を行うのは、意味のない行為といえます。
日本は仏教の教えが深く根付いている国です。そのため、「釈迦に説法」以外にも「仏作って魂入れず」「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」など、仏教にまつわることわざが沢山あります。
日本のことわざについては「日本の有名なことわざと意味を紹介!よく使うことわざ 一覧から英語のことわざまで」や「かっこいいことわざを紹介!読み方や意味も合わせて覚えよう」のコラムでも紹介しているので、ぜひご覧ください。
ピックアップ記事
「釈迦に説法」の英語表現
釈迦に説法の英語表現には「Preaching to the choir」が当てはまります。意味は「聖歌隊に説教をする」です。すでにキリスト教の教えを理解して賛美歌や聖歌を歌う聖歌隊に、わざわざ聖書の教えを説くことは無意味といえるでしょう。
少しニュアンスは離れますが、「Don’t teach fishes to swim(魚に泳ぎを教えるな)」も伝えたい内容は一緒です。
「釈迦に説法」のビジネスシーンでの使い方
ここでは、ビジネスシーンで釈迦に説法を使う際の例文を紹介します。使い方を誤ると、言いたいことと真逆の意味に捉えられてしまうケースもあるので、気を付けましょう。
例文1
例「彼は前の会社で売り上げトップだったそうです。私などが指導するのは釈迦に説法ですよ」
前職で同じ業種を経験している人が、部下として中途入社した場面が想定されます。いくら新人とはいえ、優秀な人に自分が教えるのは恐れ多いという、謙遜の気持ちを表す例文です。
例文2
例「釈迦に説法ではありますが、自分にはA案よりB案のほうがブランドイメージに合っているように感じます」
この例文では、自分の意見を言うときに相手に与える印象を和らげるために「釈迦に説法」を使っています。「お分かりかと思いますが」「ご存知かと思いますが」と、相手を立てる意味合いです。特に会議やミーティングなどの場で、目上の人に対して自分の意見を言わなければならないときに使えるでしょう。
例文3
例「部長にあんなことを言うなんて、釈迦に説法だよ。自分の能力を過信しないほうが良いよ」
有識者に自分の知識をひけらかす人をたしなめる例文です。かなり関係性の近い人にしか使えないので、注意しましょう。たとえば、上司に対して「あの発言は釈迦に説法でしたね」などと言うのは大変失礼です。
注意するときに釈迦に説法を使う場合は、同じ立場の人もしくは部下や後輩にしなければなりません。
例文4
例「そのような経歴をお持ちとは知らず、釈迦に説法な発言をしてしまいました。申し訳ございません」
相手よりその道に明るくないのにも関わらず、偉そうに発言した失礼を詫びる言葉です。釈迦に説法をクッション言葉として使用することで、相手に与える印象を良くできるでしょう。もちろん、「申し訳ございません」と謝罪するだけでも間違いではありません。しかし、「釈迦に説法」を使うことで、謝罪の気持ちと同時に相手を敬う気持ちも表現できるのです。
ビジネスシーンで使う日本語については「日本語のビジネス用語を紹介!今さら聞けない言葉の意味も解説」や「ビジネスで使う基本的な日本語の例文を場面ごとに紹介!」のコラムで詳しくまとめています。
「釈迦に説法」をほかの表現に言い換えると?
釈迦に説法は、以下の表現にも言い換えられます。
- 猿に木登り(さるにきのぼり)
- 孔子に論語(こうしにろんご)
- 河童に水連(かっぱにすいれん)
- 極楽の入口で念仏を売る(ごくらくのいりぐちでねんぶつをうる)
どれも状況は違うものの、すべて詳しい人に知識をひけらかす愚かさを説いたことわざです。
「釈迦に説法」は使い方や使いどころに気を付けよう
釈迦に説法は、使い方や使いどころに注意しないと相手を不快にさせる可能性があるので、注意しましょう。
必ず相手に対して使う
釈迦に説法を自分に対して使ってはいけません。たとえば、「私は経験があるからその説明は釈迦に説法ですよ」といった使い方はNGです。「知識のある自分に対してわざわざ説明するの?」の意味になり、謙虚さがない高慢な人物と思われる可能性があります。
皮肉と取られる可能性がある
相手の知識量や立場によっては、嫌味や皮肉と捉えられる可能性があります。たとえば、自分より確実に相手の知識が少ないと分かっている場合です。そのようなときに釈迦に説法を使うと、相手は「そんなわけがないのに…」と不快に思うでしょう。
丁寧な言い回しを心掛ける
釈迦に説法を使う際は、言い回しに気を付けましょう。言葉自体は失礼な言葉ではありませんが、乱暴な言い回しをすると相手に与える印象が変わります。綺麗な敬語や声のトーンを意識すれば、相手に正しい意味で伝わるでしょう。
まとめ
釈迦に説法はビジネスの場で使えることわざで、相手を立てるときや自分の発言を謝罪するときに使います。便利な言葉ですが、使い方を間違うと相手を怒らせてしまう可能性があるので注意しましょう。