在留資格「介護」とは?在留期間・取得要件について解説

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2023/11/06

在留資格「介護」は、介護業界の人手不足を解消するために2017年に創設されました。幅広い介護業務への従事を認めており、取得には介護福祉士の資格が必要です。家族帯同が可能で、在留資格の更新回数に制限がないため、日本で長く就労したい方におすすめといえます。
このコラムでは、外国人の受け入れを行っている「介護」の在留資格も解説。内容をチェックして介護業界での就労を目指しましょう。

目次

  1. 介護業界で外国人人材の受け入れが進められている
  2. 「介護」はどのような在留資格?
  3. 在留資格「介護」取得に必要な介護福祉士になるには?
  4. 在留資格「介護」の申請に必要な書類
  5. 外国人を受け入れられる「介護」以外の在留資格
  6. まとめ
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介護業界で外国人人材の受け入れが進められている

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公益財団法人日本介護福祉士会がまとめた「在留資格「介護」の実態把握及び活躍支援に向けた調査研究事業報告書」によると、在留資格「介護」で就労する外国人の人数は年々増加しています。2020年は1,714人、2021年は3,794人、2022年は5,339名が就労していました。

介護業界で外国人人材の受け入れが進められている理由に、慢性的な人手不足が挙げられます。日本では高齢化が進んでおり、厚生労働省が発表した「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」によると、必要な介護職員の人数は2025年度には約243万人、2040年度には約280万人に達する結果が出ました。ところが、日本では少子化が進んでおり、将来的にますます介護業界の人材確保が難しくなる見込みです。そのため、今後さらに外国人人材の受け入れが拡大すると考えられています。

転職におすすめの業界は?外国人に向けて紹介」のコラムでも、介護業界について紹介しているので、ぜひご覧ください。

参照元
公益財団法人日本介護福祉士会「在留資格「介護」の実態把握及び活躍支援に向けた調査研究事業報告書」
厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

ピックアップ記事

「介護」はどのような在留資格?

「介護」はどのような在留資格?の画像

2017年に施行された「介護」は、介護福祉士の資格を持つ外国人の介護業務への従事を許可する在留資格です。家族帯同を認めてられており在留資格の更新回数に制限がありません。

在留資格「介護」は無期限に日本で生活可能!

在留資格「介護」は何度でも更新が可能なため、長期間日本で就労できます。なお、在留期間は5年・4年・1年・3ヶ月で、在留期間が満了になる前に必ず更新することが必要です。在留状況や提出書類の審査のうえ、問題がなければ許可されます。

家族が「家族滞在」の在留資格を取得すれば、帯同も認められているため、長期間日本で生活したい外国人に向いている在留資格といえるでしょう。

在留資格「介護」を取得するとできること

在留資格「介護」を持つ外国人は、介護や介護の指導に従事できます。具体的には、食事・入浴・排せつや介護に関連する業務が可能です。介護職で働ける在留資格のなかでもっとも幅広い業務を行えるのが「介護」で、ほかの在留資格には許可されていない訪問サービスも行えます。
在留資格「介護」は、ハイレベルな介護のスキルを身に付けて幅広い業務を行えるのが特徴です。

在留資格「介護」の取得要件

在留資格「介護」には、以下の4つの取得要件があります。

  • 日本の国家資格である介護福祉士を取得していること
  • 業務内容が介護や介護の指導であること
  • 介護施設を運営している組織と雇用契約を結んでいること
  • 日本人と同等かそれ以上の報酬・福利厚生を受けられること

国籍によって、給料や福利厚生などの待遇に差が付けられているのは違法です。外国人の待遇が日本人と同等かそれ以上でないと在留資格は許可されません。就職活動を行う際は、応募する施設の給料が不当に安くないかを調べてみましょう。

雇用契約書と労働条件通知書とは?違いや役割を分かりやすく解説」のコラムでは、労働条件が記載されている雇用契約書や労働条件通知書について解説しているので、ぜひご覧ください。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「介護」

在留資格「介護」取得に必要な介護福祉士になるには?

在留資格「介護」取得に必要な介護福祉士になるには?の画像

在留資格「介護」を取得するには、介護福祉士の試験に合格する必要があります。ここでは、介護福祉士になるためのルートを紹介するので、チェックしてみてください。

養成施設を卒業したのちに国家試験に合格

一つ目は、専門学校といった介護福祉士養成施設で必要な知識・技能を修得して、介護福祉士国家試験を受けて合格するルートです。

なお、2026年度まで介護福祉士養成施設を卒業し5年間続けて介護職に従事した外国人は、国家試験を受けずに介護福祉士の資格を取得可能です。もともと、2016年度以前は養成施設を卒業した学生は国家試験を受けずに、介護福祉士の資格を取得することができました。養成施設卒業後に介護福祉士の国家資格の合格が必須となったのは、2017年度からです。しかし、介護福祉士国家試験の義務化により人材不足の加速が考えられるため、施行が先送りされています。

福祉系高校を卒業したのちに国家試験に合格

福祉系高校とは、介護福祉士になるための基準を満たすカリキュラムや実習施設などがある高等学校や中等教育学校のことです。文部科学大臣および厚生労働大臣が指定した福祉系高校で決められた科目・単位を取得し卒業すると、介護福祉士国家試験の受験資格を取得できます。福祉系高校を卒業しただけだと介護福祉士になれず、必ず国家試験に合格することが必要です。

実務を経験し研修を修了したのちに国家試験に合格

介護施設で3年以上働いて実務者研修を修了したのちに、介護福祉士の国家試験に合格し資格を取得する方法もあります。多くの技能実習生や特定技能外国人が、介護福祉士になるために選ぶルートです。

なお、介護福祉士国家試験に合格した外国人が介護施設に就労する際は、一旦、在留資格「特定活動」を取る特例措置がとられています。
在留資格を「介護」に変更するには、介護福祉士として登録されたことを示す「介護福祉士登録証」が必要です。しかし、「介護福祉士登録証」が交付されるのは4月1日以降の可能性が高く、介護施設に就労する際に在留資格「介護」を取得していない外国人が発生すると考えられます。そのため、「介護福祉士登録証」の代わりに「介護福祉士国家試験の受験票の写し」を提出して、在留資格「特定活動」によって介護施設に就労できる措置が取られているのです。
実務と研修を得て介護福祉士の資格を取ろうと考えている人は、流れを把握しておきましょう。

外国人留学生向け!介護職アルバイトから就職する方法」のコラムでは、外国人留学生が介護のアルバイトをする方法やメリットをまとめています。

参照元
文部科学省「高等学校における福祉科教育」
厚生労働省「ページ5:介護福祉士の資格取得方法

在留資格「介護」の申請に必要な書類

在留資格「介護」の申請に必要な書類の画像

在留資格「介護」の申請に必要な書類は、海外にいる外国人の場合と日本国内にいる外国人の場合で異なります。

海外にいる外国人の場合

海外にいる外国人は在留資格認定証明書交付申請を行い、在留資格「介護」を取得します。必要な申請書類は以下のとおりです。

  • 在留資格認定証明書交付申請書…1通
  • 写真…1葉
  • 返信用封筒(宛先を記入して必要な金額の郵便切手を貼り付けた定型封筒)…1通
  • 介護福祉士登録証(写し)…1通
  • 労働基準法第15条第1項および同法施行規則第5条に基づいて労働者に交付される労働条件を示した文書…1通
  • 招へい機関の沿革や事業内容などが記載された案内書もしくは勤務先が作成した企業の概要が分かる文書…1通
  • 派遣契約に基づいて就労する場合は外国人の派遣先での活動内容を示した労働条件通知書や雇用契約書などの資料…1通
  • 在留資格「技能実習」で在留していた経験がある外国人の場合は技能移転に係る申告書…1通

雇用形態や在留資格「技能実習」の取得の有無によって、必要な種類が異なるので注意しましょう。なお、就労する本人以外が申請書類を提出する場合は、代理人の身分を証明する会社の身分証明書といった文書の提示が必要です。

日本国内にいる外国人の場合

すでに日本に滞在している外国人が活動内容を変更して在留資格「介護」を取得する際は、在留資格変更許可申請を行います。必要な申請書類は以下のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書…1通
  • 写真…1葉
  • パスポートおよび在留カードの提示
  • 介護福祉士登録証(写し)…1通
  • 労働基準法第15条第1項および同法施行規則第5条に基づいて労働者に交付される労働条件を示した文書…1通
  • 招へい機関の沿革や事業内容などが記載された案内書もしくは勤務先が作成した企業の概要が分かる文書…1通
  • 派遣契約に基づいて就労する場合は外国人の派遣先での活動内容を示した労働条件通知書や雇用契約書などの資料…1通
  • 在留資格「技能実習」で在留していた経験がある外国人の場合は技能移転に係る申告書…1通

就労する本人以外が申請書類を提出する場合は、代理人の身分を証明する申請取次者証明書や戸籍謄本などの文書の提示が必要です。

在留資格の変更について知りたい方は「在留資格の申請方法や必要書類は?外国人の疑問を解決!」や「在留資格変更許可申請書はどのように書く?種類ごとに解説」のコラムもご覧ください。

外国人を受け入れられる「介護」以外の在留資格

外国人を受け入れられる「介護」以外の在留資格の画像

外国人を受け入れられる「介護」以外の在留資格には、「EPA介護福祉士候補者」「技能実習」「特定技能1号」があります。なお、3つのうちのいずれかの在留資格を取得して実務経験を積んだあと、介護福祉士国家試験に合格して介護福祉士になると、在留資格の「介護」への変更が可能です。

特定活動「EPA介護福祉士候補者」

EPA介護福祉士候補者は、在留資格「特定活動」に基づいて介護業務を行えます。EPA(経済連携協定)は、特定の国同士の経済の連携を強化を目的とした制度です。EPA介護福祉士候補者には、母国で介護や看護の知識・経験を持つ外国人が選ばれます。来日後、介護施設で実務者研修を経て、4年以内の介護福祉士国家試験合格を目指す在留資格です。
介護分野でEPAを結んでいるのは、ベトナム・インドネシア・フィリピンの3ヶ国のみです。EPA介護福祉士候補者に選ばれる要件は、外国人の国籍によって異なります。

在留資格「技能実習」

「技能実習」は日本の技能・知識を海外に移転するために創設された在留資格で、介護職にも就労できます。作業内容は細かく決められており、在留期間は最長でも5年です。

来日すると、日本語と介護の知識について1〜2ヶ月の講習を受けたのちに受け入れ機関に配属されます。講習後の実習は賃金が発生するので、給料をもらいながら勉強したい人におすすめの在留資格です。

在留資格「特定技能1号」

在留資格「特定技能1号」は、日本の人手不足が深刻な分野において人材確保をするために創設されました。2023年10月時点で介護業界を含む12分野で特定技能外国人が受け入れられています。

在留資格「特定技能1号」を取得し介護施設で働くためには、介護技能評価試験と介護日本語評価試験を受けなければなりません。また、国際交流基金日本語基礎テストの合格、もしくは日本語能力試験N4以上の取得が必要です。一定の日本語と介護の知識を有する人向けの在留資格といえます。

まとめ

まとめの画像

日本の介護業界では、人材確保のために外国人の受け入れが進められています。看護施設に就労できる在留資格のなかでも、もっとも幅広い業務が行えるのが「介護」です。更新回数の制限がなく日本で長く就労可能な点が特徴といえます。
介護施設で働ける「介護」以外の在留資格には、「EPA介護福祉士候補者」「技能実習」「特定技能1号」も。日本の介護施設で働く際は、自身のスキルや希望に合った在留資格を取得しましょう。

ライター

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