日本のクリスマスは海外と異なる点が多くあります。たとえば、その一つが「過ごし方」です。日本では家族と過ごすよりも、恋人とのデートや友人との約束が優先されます。宗教上の行事としてではなく、イベントとして楽しむ人がほとんどです。
この記事では、日本のクリスマスの歴史や過ごし方を解説。また、海外との違いについてもまとめています。日本のクリスマスの定番グルメや各地で行われるクリスマスイベントも紹介しているので、クリスマスを楽しみたい方はぜひ参考にしてください。
目次
日本でクリスマスが始まったのはいつから?
日本における最古のクリスマスは1552年といわれています。現在の山口県で宣教師たちがキリストの誕生を祝う「降誕祭」を行ったのが始まりです。しかし、1612年に江戸幕府が「禁教令」と呼ばれるキリスト教を禁止する法令を発し、クリスマスを賑やかに祝うことはなくなりました。
その後、1873年に禁教令が解かれ、海外からさまざまな文化が取り入れられるようになります。クリスマスが改めて伝わり、日本でも徐々に受け入れられるようになりました。1900年には「明治屋」が銀座のデパートでクリスマス向け商品を発売し、1910年には洋菓子の老舗メーカーである「不二家」がクリスマスケーキを販売します。そうして、日本でもクリスマスが認知されるようになりました。
本格的にクリスマスが日本に定着したのは第二次世界大戦以降です。戦時中はクリスマスを大々的に祝うことは控えられてましたが、戦後デパートなどで華やかなディスプレイやプレゼント用品を取り扱うようになり、イベントとして楽しむようになりました。
本来、クリスマスはキリスト教信者がイエス・キリストの誕生を祝う日です。日本ではイベントの一つとしてクリスマスを祝う家庭が多く、日本の年中行事として定着しています。
クリスマスは、日本の価値観や考え方を取り入れつつ定番となった年中行事です。「日本の年中行事や伝統行事を一覧で解説!特別な日の風習や行事食とは?」では、日本の年中行事や特別な日に振舞われる行事食について紹介しています。
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日本と海外のクリスマスの違い
クリスマスの風習や過ごし方は、国によってさまざまです。ここでは、日本と海外のクリスマスの違いについて紹介します。
一緒に過ごす相手
日本では、クリスマスは恋人と過ごすイベントと認識している人も少なくありません。恋人や大切な人とプレゼントを交換したり、オシャレなレストランでディナーを楽しんだりして過ごします。日本においてクリスマスは宗教的な意味を持たず、イベントとして楽しむことがほとんどです。
海外では家族や親戚が集まり、ホームパーティーを開いて楽しく過ごします。日本とは異なり、家族との団らんを優先する過ごし方が一般的です。
休暇
日本のクリスマスは土曜日や日曜日でない限り、休みではありません。平日であれば、授業や仕事は通常通り行われます。スーパーマーケットや百貨店なども営業しており、人気の飲食店は予約をしないとお店に入れないほど賑わいます。
クリスマスを祝う多くの国は、12月25日が祝日です。クリスマスの1週間ほど前から有休を使い、長期休暇を取ります。帰省したり、家族や親戚などの親しい人たちと集まったりして自宅でゆっくりと過ごすのが一般的です。
食べるスイーツ
日本ではクリスマスにケーキを食べます。生クリームの上にサンタの飾りやイチゴが乗ったショートケーキや、切り株をモチーフとしたチョコレート味のブッシュドノエルなどが定番です。クリスマスが近づくと洋菓子店やスーパーマーケットなどでケーキの予約や販売が始まります。
一方、海外ではパイやクッキーなど食べるものは家庭や国によってさまざまです。クリスマスケーキを必ず準備する習慣はありません。
街の印象
日本のクリスマスは12月24日がメインです。ドラマやクリスマスソングの影響を受けて、クリスマスイブのほうが盛り上がる傾向にあります。街は賑やかで活気がある状態です。
海外では12月24日になると、スーパーなどの商業施設や会社は早い時間から閉まります。夕方ごろから家族や親戚が集まり、家や教会で過ごすためです。クリスマスマーケットの多くも24日もしくは25日には営業を終了し、街全体が静かな状態となります。
プレゼントを置く場所
日本では、クリスマスプレゼントを枕元に置きます。親から子へ1つのプレゼントを贈るのが一般的です。
海外では、プレゼントを置くのはツリーの下です。クリスマスシーズンになると祖父母や親戚からもプレゼントが送られてくるため、ツリーの下がプレゼントだらけになる光景は珍しくありません。また、プレゼントは大人同士で交換したり、お世話になった方に贈ったりすることも。ツリーの下に集まったプレゼントは、クリスマスの朝に開けます。
「日本の行事やイベントを英語で紹介!季節のお祝いや祭りについて理解しよう」ではクリスマスをはじめ、季節ごとの行事やイベントを英語で紹介しています。
日本におけるクリスマスの過ごし方
日本ではクリスマスに恋人と過ごしたり、家族とパーティーをしたりなど楽しみ方はさまざまです。なかには、友人とプレゼント交換をする人もいるでしょう。ここでは、日本のクリスマスの過ごし方を紹介します。
家族・恋人・友人とパーティーをする
クリスマスに家族や恋人、友人と集まってパーティーを楽しむ人は多くいます。
特に子どもがいる家庭では、クリスマスケーキやチキンを囲みながら食事を楽しむのが一般的です。カップルにとってクリスマスは特別なデートの日でもあり、多くはロマンチックなレストランでクリスマスディナーを楽しみます。また、友人同士のパーティーでは、ゲームなどで盛り上がることも。世代や関係性を問わず、賑やかで楽しい時間を共有しています。
イルミネーションを見に行く
クリスマスシーズン中、日本の街は美しいイルミネーションで彩られます。早いところでは、11月ごろからライトアップしているところも。多くの人々が幻想的な風景を楽しみに訪れています。なお、主要な都市やテーマパークなどでは、ライトアップイベントも。クリスマスシーズン中は街全体が色鮮やかなデコレーションで光り輝き、クリスマスの雰囲気が感じられます。
クリスマスツリーを飾る
日本でもクリスマスツリーを飾る習慣が定着しています。近年は定番のオーナメントやライトに加え、個性的な装飾やテーマに合わせたツリーも人気です。子どもがいる家庭では、子どもと一緒に飾り付けを楽しんでいます。
また、なかには巨大なツリーを設置している商業施設も。多くの人がその迫力や美しさを見に足を運んでいます。
プレゼント交換をする
プレゼント交換も、クリスマスには欠かせないイベントです。プレゼントを渡すのは、25日とは限りません。前日のクリスマスイブやパーティーの日などにプレゼントを渡しています。25日以外の日にクリスマスを楽しめることも、日本独自といえるでしょう。
日本のクリスマスの定番の食べ物とは
世界でクリスマスの食べ物といえば、七面鳥やシュトーレン、ブッシュドノエルなどが有名です。一方、日本では生クリームが載ったクリスマスケーキやフライドチキンが定番。
ここでは、日本のクリスマスの定番の食べ物を紹介します。
クリスマスケーキ
日本ではクリスマスにケーキを食べます。ふわふわのスポンジに生クリームとイチゴがたっぷりと乗ったケーキが定番です。ほかにも、クリスマス限定のデザインやフレーバーのケーキが発売され、特別感を演出しています。
クリスマスケーキにロウソクを灯すのは日本だけの習慣です。バースデーケーキにロウソクをつける習慣があることから、イエスキリストの生誕を祝ってクリスマスケーキにも同じようにロウソクを挿したといわれています。
フライドチキン
日本のクリスマスの肉料理といえばフライドチキンです。海外から日本にクリスマスが伝わった当初、クリスマスの定番メニューといえば七面鳥を使ったローストターキーと紹介されていました。しかし、日本では七面鳥が手に入りにくく高価だったことから、ファーストフード店の「ケンタッキー・フライド・チキン」が代替品としてフライドチキンを売り出したのが始まりといわれています。
日本のようにファーストフード店のフライドチキンをクリスマスの夕食とするのは、海外からみても珍しい食事といえるでしょう。
ローストビーフ
ローストビーフは、イギリスの伝統料理です。牛肉の塊をオーブンなどで蒸し焼きし、薄くスライスしてソースをかけて食べます。肉の旨味をしっかりと感じられるのが特徴です。彩りの良い野菜と合わせると見た目も豪華で、食卓が華やかになります。
ビーフシチュー
濃厚なデミグラスソースに牛肉やじゃがいも、にんじん、ブロッコリーなどを合わせたビーフシチューは、クリスマスの定番メニューです。洋食のレストランでは、クリスマスのコース料理のメインとしてビーフシチューを出すお店も少なくありません。にんじんを星型に切っておくと見た目も華やかになり、クリスマスらしい雰囲気を演出できます。
日本のクリスマスで行われるイベント
クリスマスシーズンになると、イルミネーションやコンサートなど大人も子どもも楽しめるイベントがいっぱいです。ここでは、日本のクリスマスシーズンに行われるイベントを紹介します。
クリスマスマーケット
クリスマスマーケットは、主にドイツを中心に開催されているクリスマスに向けた市場のことです。近年、日本でも各地でクリスマスマーケットが開催されるようになりました。
クリスマスの数週間前から始まり、イブや当日まで開催されます。マーケットで売られているものは、ツリーのオーナメントやキャンドル、ランタンなどクリスマス用品です。ワインや食材も売られており、煌びやかなクリスマスデコレーションのもと、ショッピングや食事が楽しめます。
マーケット内にはクリスマスの装飾をしたお店がたくさん並び、夜はイルミネーションが灯されるところがほとんどです。クリスマスの雰囲気を味わいたい方はぜひ足を運んでみてください。
イルミネーション
日本では冬になると、イルミネーションイベントが開催されます。なかでも、見ごろはクリスマスシーズンです。日本では恋人とクリスマスを過ごす習慣があり、ロマンティックな雰囲気を味わえます。
イルミネーションが見られる場所は、街の大通りやテーマパーク、商業施設などさまざまです。デート向けではなく、家族や友人たちと楽しめるイベントもあります。煌びやかなイルミネーションを見に出かけてください。
コンサート
クリスマスシーズン中は、クリスマスコンサートも行われています。クラシックやジャズ、ゴスペルなどジャンルはさまざまです。
また、パイプオルガンの演奏や聖歌隊の合唱などを行っている教会もあります。信仰している宗教に関わらず誰でも参加できるコンサートもあるようなので、音楽を楽しみたい方はぜひ足を運んでみてください。
まとめ
日本のクリスマスは宗教的な意味合いではなく、行事やイベントとして楽しむ人が多いのが特徴です。
海外では家族や親戚と自宅でゆっくりと過ごすのが一般的ですが、日本は恋人同士で出かけたり、食事をしたりする傾向にあります。過ごし方や食べ物など海外と異なる点も多く、日本独自のクリスマス文化が根付いているといえるでしょう。
各地で行われるクリスマスマーケットやイルミネーションイベントに足を運び、日本のクリスマスを楽しんでください。