将来は日本で働きたいと考えている外国人留学生の方はいませんか?
外国人留学生の方が日本で従事できる職業は、ある程度決まっています。
どんな職業でも大丈夫という訳ではないので、仕事選びの正しい知識を身につけておくことが大切です。
当コラムでは、外国人留学生の方向けに日本で就労可能な職業を一覧にしてご紹介しています。
日本で働くために必要な手続きについてもまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
目次
外国人留学生が従事できる日本の職業一覧
外国人留学生が日本で従事可能な職業は、在留資格で認められたものに限られます。
在留資格とは、外国人の方が日本に滞在する活動内容や期間を定めたもの。外国人の方が就労目的で日本に在留するには、専門的・技術的分野の在留資格を取得するのが一般的な流れです。
そして、外国人留学生の9割近くが、専門的・技術的分野である「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得して日本で就労しています。
「専門的・技術的分野」に該当する在留資格は次の3つのカテゴリーに分けることが可能です。それぞれ主な職業例も記載しているので参考にしてください。
特殊な能力等を活かした職業
・技能…外国料理の調理師、建築家、パイロット、宝石加工職人、スポーツ指導者
大卒ホワイトカラー、技術者の職業
・技術、人文知識、国際業務…語学教師、デザイナー、通訳、翻訳、企画、営業、事務職、機械工学等の技術者、システムエンジニア
・企業内転勤…外国の事業所からの転勤者
高度な専門的な職業
・教授…大学教授等
・医療…医師、看護師、歯科医師、薬剤師、診療放射線技師
・教育…中学校、高等学校などの語学教師
・研究…政府関係機関、企業等の研究者
・経営、管理…企業の経営者、管理者
・法律、会計業務…弁護士、会計士
ご紹介した在留資格は一例です。在留資格をすべて知りたい方は、出入国在留管理庁の在留資格一覧表をご覧ください。「外国人留学生に人気の職種とは?仕事の種類や内容を解説」や「外国人留学生が選べる職種とは?人気の仕事を紹介」のコラムでは、外国人留学生に人気の職種やその仕事内容を紹介しています。こちらもあわせてご覧ください。
参照元 出入国在留管理庁 - 在留資格一覧表 厚生労働省 - 我が国で就労する外国人のカテゴリー
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日本で働く外国人の内訳
厚生労働省が発表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ」によると、平成30年10月末現在の外国人労働者数は約146万人です。そのうち、就労系の在留資格によって働いている人は約27.7万人。意外なことに、全体の2割にも満たないのが実情です。
日本で働く外国人の内訳
・就労目的で在留が認められる者 約27.7万人
・身分に基づき在留する者 約49.6万人
・技能実習 約30.8万人
・特定活動 約3.6万人
・資格外活動 約34.4万人
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・外国人労働者数全体 約146万人
「就労目的で在留が認められる者」とは、前項でご紹介した専門的・技術的分野の在留資格を取得している人。活動範囲や期間などの制限つきで日本での就労が認められています。「身分に基づき在留する者」は、定住者や永住者、日本人の配偶者など。日本人同様に制限なしであらゆる職業に就くことが可能です。「技能実習」は外国人技能実習制度に基づくもの、「特定活動」はワーキングホリデーなどで、法務大臣が指定した活動に限り就労することができます。「資格外活動」では、一定の条件下で就労が認められていますが本来の在留資格は「留学」や「家族滞在」などです。
このように、日本で働く外国人と一口に言っても、在留する目的や条件は人によってさまざまです。「活動内容の制限なし」で働けるのは、定住者や永住者、日本人の配偶者のように身分に基づいて在留する人のみ。それ以外は、制限付きで就労が認められることになるので覚えておきましょう。
参考元 厚生労働省 外国人雇用状況の届出状況まとめ(平成30年10月末現在)
留学生は「特定活動」にも注目しよう
在留資格「特定活動」とは、外国人留学生の就職チャンスを拡大する目的で2019年5月に新設された制度です。同年4月に日本における深刻な人材不足に対応すべく在留資格「特定技能」が創設されましたが、これにより既存の在留資格では受け入れられなかった新たな人材の受け入れが可能になりました。
しかし、就労を認めているのは単純労働の特定産業分野14業種(下記参照)に絞られています。
特定産業分野(14業種)
・介護
・ビルクリーニング
・素形材産業
・産業機械製造業
・電気、電子情報関連産業
・建設
・造船、舶用工業
・自動車整備
・航空
・宿泊
・農業
・漁業
・飲食料品製造業
・外食業
一方、「特定活動」では、一定の条件を満たせば、業種・職種の指定はなく、これまで認められていなかった単純作業(サービス業務や製造業務)にも従事できるようになりました。
特定活動で就労可能な業務一例
・飲食店の接客業務
・製造業の現場業務全般
・小売店での接客販売業務
・介護施設における介護業務
・タクシードライバーとしての業務全般
・ホテルや旅館での接客業務や翻訳業務を兼ねたホームページ作成など
特定技能と特定活動における条件の大きな違いは、学歴要件の有無。特定活動の在留資格が認められるには、日本で大学、または大学院を卒業・修了した外国人留学生(本邦大学卒業者)であることが必須です。加えて日本語能力が高いこと(日本語能力試験N1またはBJTテスト480点以上)や学校で学んだ知識を活かせる仕事であること、フルタイムで働くこと、日本人と同等以上の給与であることなどの条件があります。
「特定活動」は外国人留学生向きの在留資格です。正しく理解して就職チャンスを広げましょう。
就職するときに必要な手続き
外国人留学生が日本で就職する場合、在留資格の変更手続きを必ず行いましょう。
外国人留学生の在留資格は「留学」なので、このままでは就職し報酬を得ることはできません。
就職先が決まったら、すみやかに在留資格変更許可申請を行ってください。
手続きに必要なもの
・在留資格変更許可申請書
・証明写真(3cm×4cmサイズ)
・在留カード
・旅券、または在留資格証明書
・日本での活動内容に応じた資料
・資格外活動許可書(交付を受けている場合)
・手数料4,000円
申請場所は住居地を管轄する地方出入国在留管理局。平日午前9時~正午,午後1時~4時が受付時間です。
標準処理期間は2週間~1か月となっていますが、不備があれば遅くなることも。申請は余裕を持って行い、不備のないよう気をつけましょう。詳しい手続きの方法は、「外国人留学生は就活後「就労ビザ」への変更が必要!手続き方法を解説」にまとめてあります。
最後に、在留資格で認められない就労活動は違法です。不法就労となり、自分だけでなく雇用者も処罰の対象になります。バレなければ大丈夫…というものではないので、必ず手続きを行ってください。