在留資格の申請を検討する外国人の中には、「文化活動」を検討する方もいると思われます。
では、この「文化活動」とは、具体的にどのような活動を指しているのでしょうか。
当コラムでは、文化活動に関して、取得する条件や申請に必要な書類を紹介。
履歴書は必要なのか、在留資格とビザで手続きは異なるのかなどをまとめています。
目次
外国人の在留資格「文化活動」とは
外国人が日本に滞在するには在留資格が必要で、在留資格は主に以下の3つに分けることができます。
・就労関係の在留資格…経営や医療、研究、技術など収入を伴う活動を対象とした在留資格
・留学、文化活動、研修関係の在留資格…留学や文化活動、家族滞在など収入を伴わない活動を対象とした在留資格
・日本人や永住者の配偶者、定住者関係の在留資格…就労に制限のない、身分系の在留資格
この中で、当コラムが紹介するのは「文化活動」。
具体的な活動内容や該当条件は以下をご覧ください。
活動内容
・収入を伴わない学術、芸術上の活動
・我が国特有の文化、技芸について専門的な研究を行う活動
・専門家の指導を受けて、我が国特有の文化または技芸を習得する活動
「我が国特有の文化、技芸」とは、生け花や茶道、柔道、日本画、日本建築、日本舞踊、空手、日本料理、禅、邦楽など。
日本固有のものに限らず、日本文化を形成したり発展させたりした過程で大きな役割を果たしたものが該当します。
該当例
「収入を伴わない学術、芸術上の活動」は、外国の大学や研究機関から派遣されて日本で調査・研究を行う人や、大学教授のもとで無報酬で研究を行う研究生などが例として挙げられます。
いずれも、「日本の機関に雇われずに活動していること」がポイントになるでしょう。
また、「日本文化、技芸の研究」「専門家の指導を受けて日本文化、技芸を習得する活動」の場合、在留資格を申請する外国人が、あらかじめ日本文化に精通していることが重要になります。
指導を受ける場合も、週2日、1回60分のような「習い事」レベルは不可。研究者・習得者として然るべき知識・技術を学ぶことが求められるでしょう。
条件
在留資格の認定条件は以下のとおりです。
・在留中に使用する経費の支払い能力があること
・当該する学術や研究に対して、過去に実績を持っていること
・専門家の指導を受けて文化や技芸を習得する活動の場合は、指導者に当たる専門家に適性があること
3点目の「専門家の適性」とは、その分野に関する資格や肩書を持っているだけでは不十分。
過去に指導の経歴があったり、現在も指導を継続していたりすることが条件となります。
在留期間
在留期間は最長で3年。
1年、6ヶ月、3ヶ月と続いており、個人の状況や資質によって変わります。
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在留資格「文化活動」の申請に必要な書類
具体的な活動内容や条件が分かったら、申請に必要な書類を用意しましょう。
申請では、収入を伴わない文化活動を「文化活動1」、専門家の指導を受けて日本文化の研究をする活動を「文化活動2」としています。
文化活動1の申請に必要な書類
・在留資格認定証明書交付申請書
・証明写真
・返信用封筒
・日本での具体的な活動内容や期間、活動先の概要を記した資料
・学術上、芸術上の業績を明らかにする資料
・日本に在留した場合の経費支払い能力を証明する文書
・身分を証明するもの
上記の書類が日本語以外の言語で作成されている場合は、日本語訳を添付することを忘れないようにしましょう。
文化活動2の申請に必要な書類
文化活動2の申請に必要なのは、文化活動1で必要とする書類に以下を加えたものです。
・指導を受ける専門家に関する資料
また、いずれの申請においても提出した資料は返却されないのが原則。
再度入手するのが難しいといった理由がある場合は、申請時に伝えておきましょう。
日本に入国するための査証とは
在留資格と混合しやすい査証(ビザ)。そもそも査証とは、渡航先の国が自国民以外の外国人に対して入国を許可するために必要なもので、各国の大使館などで発行されます。
日本の場合は観光用や商用、留学、就労など目的や用途ごとに分類されており、文化活動の査証は留学や研修と同じ「一般査証」。
文化活動の査証申請に必要な書類
在留資格とは異なり、日本への入国許可証となる査証。
文化活動の査証を取得するには、以下の書類を用意する必要があります。
・パスポート
・査証申請書
・証明写真
・文化活動の在留資格認定証明書(出入国在留管理局で発行されたもの)
在留資格認定証明書とは、申請するビザに沿っている、入管法上の在留資格のいずれかに当てはまる活動をしているなど、「日本に入国する条件に当てはまっている」ということを証明するための書類。
査証が各国にある日本大使館で発行されるのに対し、在留資格は出入国在留管理庁の管轄のため日本国内で申請するのが基本です。
ですが、この「在留資格認定証明書」は、在留を予定する本人が外国にいても、日本国内の代理人による代理申請が認められています。
在留資格認定証明書を取得していると、文化活動の査証発給がスムーズになります。。
この在留資格認定証明書がなくても文化活動査証を申請することは可能ですが、上記4つ以外にも多くの書類が必要になったり、処理に時間がかかったりするため、ビザの発給を検討しているなら在留資格認定証明書を取得しておくことをおすすめします。
在留資格認定証明書を持っていれば、ビザが発給されないというリスクを減らすことも可能(必ずビザが発給されるわけではありません)。
また、空港によってはその場で「在留カード」が発行されることもあり、日本での活動をスムーズにスタートさせることができるでしょう。
▶監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net