日本独自の就職文化である新卒採用に戸惑いを覚える留学生の方は多いのではないでしょうか。また、年によって変わる就活スケジュールに混乱する方もいるでしょう。
このコラムでは、2022年卒の就活スケジュール例を参考に、いつ何をやるべきかを解説。就活の進め方と対策、注意点もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
目次
日本の就活には「新卒採用」と「中途採用」の2つがある
海外は個人で就活のタイミングが異なりますが、日本では新卒を一括で採用する「新卒採用」が一般的です。まずは、日本の採用市場における「新卒採用」と「中途採用」について解説します。
新卒採用とは
新卒採用とは、学校を卒業する予定の学生を企業が採用することです。卒業予定者に対して年度ごとに企業が一括して求人を出して採用を行うので、「新卒一括採用」とも呼ばれています。多くの企業が足並みを揃えて行う新卒採用は、海外では類を見ない日本独自の就活文化といえるでしょう。
新卒採用では、基本的に就業経験のない学生を採用するため、ポテンシャルを重視した選考が行われるのが一般的です。また、求人数が比較的多く、研修や教育制度が充実している点がメリットといえます。
中途採用とは
中途採用は、欠員補充や事業拡大による人員増加のために不定期で採用することを指します。そのため、時期によっては求人が少ない場合も。新卒採用とは異なり、即戦力を求めている場合が多いため経験やスキルを重視した選考が行われるのが一般的です。また、社会人としての基本的なマナーは身についていると考えられているため、新卒採用のように手厚い研修や教育は少ないでしょう。
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新卒の就活スケジュール
ここでは、新卒の就活スケジュールを紹介します。
日本の就活スケジュールは毎年変化している
日本の就活スケジュールは、これまで経団連(日本経済団体連合会)と政府を中心に議論がされ、
毎年変化してきました。
過去の就活スケジュールを確認すると、選考活動の開始時期は2013年卒~15年卒は4月1日、2016年卒は8月1日です。また、2017年卒~20年卒は6月1日に選考活動が開始となっています。
なお、経団連は2021年卒から採用選考に関する指針を策定しない方針を決定。2021年卒以降は政府で議論され、2021年卒と2022年卒は前年までと同じく6月1日に選考活動が開始となっています。
2022年卒の就活スケジュール例
2022年卒の就活スケジュール例は以下のとおりです。
2020年3月~自己分析と業界・企業研究
2020年6月~サマーインターンシップ
2020年9月~オータム&ウィンターインターンシップ
2021年3月~企業説明会およびエントリー
2021年6月~選考開始
2021年10月~内定式
上記はあくまでも一例であるため、企業によってはインターンシップや企業説明会、エントリーを早く行う場合があります。
詳しい就活の流れは「日本の就活の流れや必要な準備とは何か?外国人留学生に向けて解説」でも紹介しているので、参考にしてみてください。また、就活をはじめる時期を知りたい方には「外国留学生が就活をスタートするべき時期はいつ?」のコラムもおすすめです。
外資系の就活は早めの行動を
外資系企業の選考は、ほかの企業よりも早く行われることがほとんどです。前述したように、2022年卒のサマーインターンシップは一般的な企業が2020年6月からなのに対し、一部の外資系企業は2020年4月頃から行いました。そして、そのサマーインターンシップで内定が出ることも。また、企業説明会やエントリーも半年程早く行わる場合があります。
外資系企業への就職を希望する人は早めの就活対策を心掛けましょう。
また、「日本で外資系企業の就活を成功させるには?外国人留学生向けに解説!」のコラムでも、日本独自の就活スケジュールを解説しています。ぜひ、就活にお役立てください。
就活の進め方と対策
就活では自己分析や業界・企業研究、履歴書作成、面接対策など、やらなければならないことが数多くあります。ここでは、実際の就活の進め方と対策方法について解説。希望する企業へ就職するためにも、就活のポイントや注意点をチェックしておきましょう。
1.自己分析
自己分析とは自身の経験や特性から、自分の適性や強みを知るために行う作業のことです。自分の適正を理解することで自分に向いている業種や企業を絞れ、強みを知ることで自分自身を効果的にアピールできます。そのため、就活において自己分析はとても重要な項目といえるでしょう。
自己分析では、過去の経験や印象に残っているエピソードを具体的に振り返るのがポイントです。勉強や部活、アルバイトなどで努力したことや苦労したことを具体的に振り返ることで、自分の強みやなりたい自分、やりたい仕事がおのずと見えてきます。
2.業界・企業研究
業界研究で志望する業界の特徴や安定性、今後の動向を調べ、企業研究で志望する企業が自分のやりたいことや価値観に合うかを見極めます。
企業研究を先にしてしまうと、就職先の選択肢が狭まってしまう恐れがあるので、業界研究で幅広い情報を収集して視野を広げてから、企業研究をするのがポイントです。また、企業研究が不十分だと自分の強みと企業が求める人材にミスマッチが生じる可能性があります。企業の特性や求める人材をより深く理解するためにも、企業研究はしっかりと行いましょう。
3.インターンシップ
インターンシップとは、企業が一定期間職場体験を受け入れる制度のことです。6月から行われるサマーインターンシップと9月から行われるオータム&ウィンターインターンシップがあります。なお、インターンシップには短期間で終わるものや長期間従事するものなど、企業によってさまざまです。
インターンシップには社内事情を知れたり、社風に対して向き不向きが判断できるので入社後のミスマッチが防げたりといったメリットがあります。また、実務スキルを身につけることもできるので、希望する業界や企業のインターンシップには積極的に参加すると良いでしょう。
4.企業説明会
企業説明会とは、会社の概要や取り組み、事業内容などについて説明する場のことです。1社が単独で行う場合もあれば、数社が集まって合同説明会を開くこともあります。説明会の後に一次選考を行ったり、企業説明会の参加が採用試験のエントリー条件になったりする企業もあるので、希望する企業の説明会の情報は事前に調べておきましょう。また、事前に企業研究を行い、質問を考えておくのもおすすめです。就職意欲を伝えられるだけでなく、自分に合う企業なのかを確認することができます。
5.履歴書作成
履歴書は、面接前に自身を印象づける重要な書類です。履歴書が第一印象を左右することもあるため、不備がないよう丁寧に作成しましょう。
なお、履歴書の作成では日本の履歴書マナーを守ることが大切です。日本の履歴書にはパート・アルバイト用や就職用など、用途別にさまざまな種類や規格があります。用途にあった履歴書に書くようにしましょう。また、コピー&ペーストや使い回しはせずに、受ける企業ごとに履歴書は準備します。
6.筆記試験
筆記試験には一般常識テストや適性検査、小論文の作成などがあります。実施方法もパソコンで受けるwebテストやマークシート、ペーパーテストなどさまざまです。
筆記試験は難易度が特段高いというものではありませんが、問題数がかなり多い傾向にあります。そのため、事前に試験対策をして解き方に慣れておくのが大切です。
7.面接
筆記試験を通過したら、次は面接です。企業によって面接の回数は異なり、2次面接で終わる企業もあれば、5次面接まであるところも。また、面接には数人のグループで行うグループディスカッションや集団面接、1対1の個人面接などがあります。
面接も筆記試験と同じく事前の対策が重要です。日本独特の入退室のマナーや質問に対する受け答えなど、しっかりと面接練習をしておきましょう。なお、日本は個人プレーよりもチームプレーを重視する傾向にあります。そのため、グループディスカッションや集団面接のときには、協調性の高さが分かるような言動や振る舞いが求められます。
まとめ
日本で就職を考えている留学生の方は、上記の就職スケジュールを参考にして、自身がいつ何をやるべきなのかを考えてみましょう。就職活動を成功させるには、早めの準備が大切です。年によって就活スケジュールは変わる可能性があるので、選考開始になって慌てないよう、早い段階で自己分析や筆記試験対策を行っておきましょう。