外国人留学生の中には「エントリーシートの書き方が分からない…」という方もいるでしょう。海外の就職活動では履歴書のみの提出が主流のようですが、日本の就職活動においては、エントリーシートはとても重要な書類と位置づけられています。このコラムでは、履歴書との違いや具体的な書き方を例文と併せて解説します。外国人留学生の方は、ご一読ください。
目次
日本の就職活動はエントリーシートが重要
日本の就職活動において、エントリーシートは非常に重要な役割をはたします。外国人留学生にとって、あまり馴染みのないものでしょう。まずは、エントリーシートとは何なのかについて解説していきます。
エントリーシートってどのようなもの?
エントリーシートとは、就職活動の際、企業に提出する書類で「ES」と略されることもあります。選考の第一段階に位置づけられていて、エントリーシートで自分を最大限にアピールし、良い印象を残せなければ、その先の選考に進むことはできません。エントリーシートの内容や書き方は、就職活動のなかでもかなり重要なポイントといえます。
履歴書とは違うの?
履歴書は自分の名前や住所などの「基本情報」を記入するもので、コンビニエンスストアで市販されていたり、大学の購買で売られていたりします。履歴書は公的な書類ですので、就職活動が終わり入社したあとも、社員のデータとして会社で保管されることが多いようです。虚偽の内容を記載することは許されていません。
対してエントリーシートは、採用選考で、採用担当者が参考にするために提出します。自己PRや志望動機など、応募者の人柄や強みが分かる内容を記載することが多いようです。エントリーシートの質問内容やフォーマットは企業によってさまざまで、会社のWebサイト上で入力したり、ダウンロードして手書きで書いたりします。
インターンシップの選考にもエントリーシートが必要
インターンシップとは、就職活動の本選考が始まる前に企業が開催する就業体験のことです。日本の就職活動におけるインターンシップは、志望する業種の絞り込みや、本選考の練習の機会と捉えられています。
インターンシップにも選考があり、エントリーシートの提出が必要なケースがほとんどです。そのため、エントリーシートの書き方を理解していないと、就職活動のスタートの遅れに繋がります。インターンシップのエントリーシートでは「なぜインターンシップに参加しようと思ったか」という質問の内容を、どれだけ充実させられるかが重要なポイントです。
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エントリーシートの書き方を解説
この項目では、エントリーシートの書き方を事例も併せて解説します。コツを掴めば、外国人留学生の方でも書くことは難しくありません。参考にして、選考が始まったらすぐ書き出せるようにしておきましょう。
会社のWebサイトからダウンロードする
まずはエントリーシートを入手します。企業のWebサイトから専用の用紙をダウンロードする方法が一般的です。そのほかの入手方法としては、企業から郵送で送られてきたり、説明会で直接受け取ったりする方法があります。
体験談は具体的なエピソードを盛り込む
エントリーシートでは、今までの経験や経験から学んだことなどをよく聞かれます。エントリーシートの書き方は、具体的な内容を書くのが基本です。採用担当者に伝わりやすいよう、できるだけ詳しく書きましょう。たとえば、頑張ったことを教えてくださいという質問に、アルバイト仲間の外国人留学生のサポートをしたことを答えるとします。その場合は「アルバイト仲間が困っていた内容」「自分がした具体的なサポートとそれにより出た結果」「この経験を通して自分が学んだこと」など、あなたのことを知らない人が読んでも、あなたの人柄まで分かるように具体的に書きましょう。
伝えたいことを簡潔に分かりやすく書く
エントリーシートの書き方は「結論ファースト」が基本です。結論ファーストとは、先に結論を述べたあとに、理由を挙げていく方法のこと。特に、エントリーシートの志望動機を書く場合は、必ず結論から書くことを意識しましょう。「私は◯◯◯と思い、貴社の◯◯職に応募しました」と冒頭で簡潔に書いたあとに「なぜならば〇〇◯な理由からです」と続けるのが自然です。また、だらだらと複雑な文章を書くと、ビジネス能力が低いと判断されてしまう恐れもあるため、分かりやすい簡潔な書き方を心がけましょう。
社会人目線で強みをアピールする
日本で就職活動をする外国人留学生の方は、社会人経験のないケースがほとんどでしょう。そのため、エントリーシートに自己PRを書く際、どうしても学生目線になってしまうことがあります。学生しか経験していなければ仕方のないことですが、エントリーシートを書く際は、社会人目線を意識するようにしましょう。たとえば、「日本語能力の高さ」を自分の強みとしてアピールするとします。ただ日本語が上手という内容では、日本語学習を頑張った留学生ということしか分かりません。企業へ提出するエントリーシートの場合は「日本語能力を活かし、貴社の◯◯事業で◯◯な貢献をする」といった、働く人の目線で自らをアピールすることが重要です。
エントリーシートを書く前に
この項目では、エントリーシートの書き方のうち、書き始める前にやっておくと良い「自己分析」について説明します。紙とペンがあればすぐに始められますので、ぜひ実施してみましょう。
自分を見つめなおす「自己分析」の時間を持とう
「自己分析」とは、自分の過去の出来事や体験を掘り起こしていくことにより、自分自身を深く知る作業のことです。日本の就職活動において、自己分析は重要なプロセスとして知られています。自己分析を行うことにより、エントリーシートに確かな説得力を持たせることができます。具体的には、生まれてからどのような環境で育ち何に興味を持っていたか、また、どのような体験をしてきたかなどを紙に書き出し、整理する作業です。自己分析は、エントリーシートをスムーズに書くために、欠かせない作業といえるでしょう。
外国人留学生は日本に来た理由が聞かれることも
外国人留学生の就職活動では、エントリーシートで留学先に日本を選んだ理由を書く場合があります。採用担当者は外国で生まれた人が日本に興味を持ったきっかけや、なぜ日本で働こうと思ったかを知りたいためです。この質問に答える際も、自己分析を活用しましょう。自己分析で振り返った成育歴や経験から、日本と関係するエピソードをピックアップしていきます。そうすることにより、エントリーシートに、日本に来た理由がより説得力のあるものとして書けるでしょう。
外国人留学生のエントリーシートの書き方の例文
エントリーシートをどのように書いたら良いか分からない外国人留学生の方に向けて、よく聞かれるエントリーシートの質問を中心に、書き方の例文を挙げています。参考にして、就職活動に活かしてください。
例文1
<質問>
「学生時代に力を入れたことについて教えてください」
<回答>
「私が学生時代に力を入れたことは、日本で暮らすタイ人の子ども達に日本語を教えるボランティアです。私は11才のときに、両親の仕事の都合で母国のタイからオーストラリアに数年間移住した経験があります。英語が分からず苦労したことから、自分のような外国で暮らすことになった子どもをサポートしたいと思い、ボランティアを始めました。最初は無口な子ども達も、自分がタイ人で同じ言葉が話せると分かると一気に心を開いてくれました。母国語ではない日本語を教えるのは難しかったですが、子どもの将来のことを考え、熱心に取り組みました。その結果、ある子どものご両親が、自分の子どもは学校の友人とコミュニケーションが取れるようになり、性格がとても明るくなったと教えてくださいました。この結果から、自分が熱心に取り組んだことが、他者の生活を向上させるきっかけにもなることを学びました。」
この例文のように、具体的な内容や、経験からどのようなことを学んだかを順序立てて書くと良いでしょう。
例文2
<質問>
「あなたの自己PRを行ってください」
この例文は、外国人留学生がホテルを運営する企業の就職活動で提出するエントリーシートの自己PRを想定しています。
<回答>
「私の強みは、行動力です。中学生の時に家族と旅行のため来日した際、日本の建造物や風景の美しさに感銘を受けました。自国に帰ってすぐに、日本について詳しく調べ始めました。その後日本語を習い始め、どうしたら日本で長く暮らせるかを考えるようになりました。将来は、父親の経営している会社を継ぐことが決まっていましたが、長い時間をかけて両親を説得し、日本の大学で学ぶ許しを得ました。日本に来てからも、異文化交流サークルに入って日本人から日本の素晴らしさを教えてもらったり、各地に頻繁に旅行に行って、有名な建造物を見に行ったりしていました。そうした経験をしているうちに、日本の独特な文化を、自分をとおして世界中の人々に伝えたいと思うようになりました。今まで自分が学んできた日本の文化を、ホテルに宿泊に来た海外の人に知ってもらえるよう、自分の行動力を活かしていきたいと思います。」
この例文のように、行動力を示せる具体例を書くと分かりやすく、好印象です。
自己PRについては「新卒の就職活動では自己PRが重要!外国人留学生に向けて例文も紹介」、志望動機については「留学生が日本で就職するために!志望動機の書き方の定義や例文をご紹介!」や「インターンのES、留学生が知りたい志望動機の書き方」のコラムを参考にしてみてください。
まとめ
日本の就活は、エントリーシートの書き方がとても重要です。自分のことを採用担当者に最大限アピールするために、書き方のポイントやコツを理解しましょう。
エントリーシートを書く際には、「自己分析」の機会を持つことも忘れずに。自分がどのような人間かを知ることにより、自分の強みや、なぜこの会社を選んだかといった理由を見えてきます。このコラムを参考にして、日本での就職活動をスムーズに進めましょう。