日本で就職活動をする外国人留学生の中には「業界研究のやり方が分からない」という方もいるでしょう。業界研究は、就職活動の一番初めに行うと良いとされている作業です。このコラムでは、業界研究の目的や、効率的なやり方を説明しています。また「業界研究ノート」のまとめ方も解説。参考にして、日本での就職活動をスムーズにスタートさせましょう。
目次
- 業界研究の目的って?
- 業界研究のやり方~情報収集~
- 業界研究のやり方~ノートにまとめる~
- 外国人留学生向け!業界研究で調べておくと良いデータ
- 外国人留学生向け!業界研究のやり方に注意点はある?
- まとめ
業界研究の目的って?
業界とは企業を事業内容によって細分化したもののことです。なぜ、就職活動で業界研究をするのか、理解できない人もいるでしょう。この項目では、業界研究をする目的について解説します。
志望する業界の方向性を定める
就職活動で業界研究をする最大の目的は、自分が働く業界を絞り込むことです。販売しているものやサービスの名前を知っていても、実際にその企業で働くとなるとイメージとは違う業界だったということがよくあります。実際の仕事の内容を正しく知って、選考を受ける業界選びの目安とするのが、業界研究の主な目的です。
企業を絞り込む「企業研究」に繋がる
業界研究はその後の「企業研究」に繋がります。企業研究とは、選考を受けようとする企業について細かく知る作業です。自分が進むであろう業界について詳しく調べたあと、さらに興味のある企業を絞り込んで研究を進めていくのがスムーズなやり方でしょう。
企業研究については、「企業研究のやり方を知りたい!外国人留学生が日本の企業に就職するために」を参考にしてみてください。
外国人留学生にとって業界研究は必要不可欠
外国人留学生にとって、業界研究は重要なプロセスです。日本で生まれ育っていない外国人の方にとって、深く調べないまま、日本の業界の動向や今後の方向性をイメージすることは難しいといえます。
外国人留学生の場合、在留資格の関係で、日本の学校での専攻が理系か文系かによってある程度は将来進む業界が定まっています。しかし、実際に調べてみると、自分が働く業界の実像が想像と違ったということもあるでしょう。就職後のミスマッチを防ぐためにも、業界研究は必要不可欠です。
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業界研究のやり方~情報収集~
実際に、業界研究をどのように進めていくか、やり方を紹介します。まずは、業界についての情報収集から始めましょう。情報の集め方をまとめました。
書籍
日本の出版社は、毎年「業界本」とよばれる各業界について詳しくまとめた本を出版しています。性別や事業規模ごとの業界本を出している出版社もありますので、自分にあったものを探しましょう。
新聞やニュース
新聞やニュースは、最新の状況を見られるため、業界研究をするうえでは欠かせません。景気や株価など、さまざまな角度から業界について知れます。また、日本の採用面接では、時事問題に関しての意見などを求められることがあるので、日頃から新聞やニュースを見る習慣をつけておくと安心です。
就職サイト
就職情報サイトには、業界の情報のほか、採用情報や業界セミナーの案内など、就活に役立つ情報が多数掲載されています。就活生に分かりやすいようにまとめられているので、上手く活用しましょう。
インターネット
インターネットでの検索は、最も手軽な情報収集の手段といえます。おすすめなのは、業界団体のWebサイトです。業界団体は、その業界に属する企業によって構成される団体で、業界に関するさまざまな情報を発信しています。自分の調べたい団体のWebサイトを探して、確認してみましょう。なお、インターネット上の情報は、全てが正しい訳ではありません。情報の正誤の判断は、慎重に行う必要があります。
セミナー
業界研究セミナーに参加するのもおすすめです。業界研究セミナーは、学校内や合同説明会の会場で開催されます。業界で働いている人の生の声を聞けるチャンスなので、積極的に参加しましょう。
OB・OG訪問
ある程度業界研究が進んだら、興味のある業界で働いているOG・OBを訪問し、調べても分からなかったことを聞いてみましょう。OG・OBとは「Old boy」「Old girl」の略で、自分の所属先の卒業生を指す和製英語です。外国人留学生の場合は、同じ国の出身者も含まれるでしょう。仕事の内容や業界の動向を、実際に働いている人の目線で教えてもらえます。OG・OBは、仕事の合間で対応してくれるので、できる限り自分で調べて、聞きたいことの要点だけまとめておくのがマナーです。
業界研究のやり方~ノートにまとめる~
業界についての情報が集められたら、ノートにまとめて「業界研究ノート」を作成しましょう。具体的なやり方や、ノートにまとめる項目を説明します。
業界の市場規模
業界の市場規模を、可能な限り数値化して書きましょう。取引総額や前年比、就業者数など、詳しくデータを記録しておきます。
業界の主な仕事
興味のある業界が、実際にどのような仕事をするのか詳しく記録しておきましょう。具体的な仕事内容を知ることによって、自分に適性があるか分かったり、選考を受ける企業を絞り込みやすくなったりします。
外国人留学生の場合は興味のある業界に、自分が取得できそうな在留資格で、従事できる仕事があるかを確認しておくと安心です。
業界のこれから
業界の将来性は、就職活動において重要な判断材料の一つです。できるだけ将来性のある仕事に就きたいと思う方も多いでしょう。業界の将来性を知るには、業界のトップの企業を数社ピックアップします。その後「売上高」「純資産」「経営利益」などの数値を調べ、過去数年の数字と見比べて判断する方法が一般的です。
業界に必要な人材
業界が求める人材の特徴も、調べておくのがおすすめです。実際に選考を受けることになった際、自己PRや志望動機を考えるのに役立ちます。求められている人物像は、業界が今後どうなっていきたいのかを調べる過程で、見えてくるでしょう。
外国人留学生向け!業界研究で調べておくと良いデータ
この項目では、前述した業界の基本情報のほかに、調べておくと就職活動に役立つデータを紹介します。
外国人の就業者数
外国人留学生の場合、興味のある業界にどれほど外国人がいるのか調べておくと、就職活動で役立ちます。また、自分の母国や、周辺の国出身の労働者がどれだけいるのかも知っておくと、働くイメージがしやすいでしょう。外国人の雇用に関する情報は、厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出情報などを参考にしてください。
参照元
厚生労働省
外国人雇用状況の届出状況
関連の業界
自分の興味のある業界だけではなく、関連する業界のデータも一緒に見ておくのをおすすめします。たとえば、旅行業界に興味があるのなら、ホテルなどの宿泊産業や、航空機や鉄道業界もあわせて調べてみると、確かな実情が見えてくるでしょう。
平均年齢や年収
業界の平均年齢や年収も知っておくと、後々の企業選びに役立ちます。平均年齢を知ることによって、安定して長く働ける会社なのか、また、若手が中心となって盛り上げている会社なのかといった情報が分かります。
平均年収は将来設計に役立つ情報です。実際に業界について詳しく調べてみると、収入事情が想像と違ったということはよくあります。インターネットを活用し、データを集めましょう。
キャリアパスについて
その業界のキャリアパスについても知っておきましょう。キャリアパスとは、目標として定めた役職や仕事内容にたどり着くまでの道筋です。その業界で働くと、どのようなゴールを目指せるのか、また、何をするとそのゴールに到達できるのかを調べます。キャリアパスについて調べることにより、その後の選考を受ける企業選びが楽になるでしょう。
外国人留学生向け!業界研究のやり方に注意点はある?
業界研究のやり方には、いくつか注意点があります。以下の点を参考にして、効率よく業界研究を進めましょう。
深く追いすぎない
業界研究をする際は、情報の深追いに注意しましょう。業界研究をする目的は、大まかな業界の流れを知ることです。業界は細分化していくと数えきれないほどあり、区切りをつけないと時間がいくらあっても足りません。確実に進みたい業界が決まっている人以外は、業界研究では大まかな動向や状況の把握に留めておきましょう。
はじめから企業や業界を絞りすぎない
はじめから、調べる対象を絞りすぎないのも大切です。限られた業界についてしか研究をしていないと、ほかの業界との比較ができなかったり、その業界の選考に全て落ちたときにすぐに対応ができなかったりします。業界研究は、いくつかの業界を並行して進めましょう。
日本人にアドバイスを求めよう
日本の業界について正確に調べることは、外国人の力だけでは大変な場合もあります。大学の就職課の担当者や、日本人の知り合いにアドバイスを求めると良いでしょう。
まとめ
正しい業界研究のやり方を知ることは、選考を受ける企業選びや、選考試験の対策をするうえでとても重要です。就活の一番始めに行うことで、その後の活動がスムーズに進められます。
業界研究ノートも上手く活用して、効率よく業界研究を行いましょう。