日本で就活中の留学生の中には、最終面接を控えている人もいるはず。しかし、最終面接は他の面接と何が違うのか、どのような質問をされるのか分からず、不安な方もいるでしょう。
このコラムでは、最終面接でよく聞かれる質問と回答例を紹介します。最終面接は、企業の重役が就活生の採用を決断する場。最終面接をクリアすれば、内定獲得です。十分に自分の魅力をアピールし、日本での就職を叶えましょう。
目次
最終面接とは?
最終面接とは、企業の採用選考の最後に行われる面接のことを指します。社長や取締役、人事を統括する立場の職員などが面接官を務め、その就活生を採用するかどうか、最終的な判断を下します。最終面接に合格した場合は「内定」が出され、企業へ入社する権利が得られます。
他の面接との違い
一次面接や二次面接などは、就活生が企業に適した人材であるか、採用基準を満たす能力を持っているかを確認する場です。面接官は人事部の社員や、実際に現場で働いている社員が務める傾向があります。
一方、最終面接は、これまでの面接を突破した就活生が本当に採用するにふさわしい人材か、企業の重役が最終確認をする場です。内定を獲得するには、最終面接で入社の強い意思と、自分が企業にマッチした人材であることをしっかり伝える必要があります。
最終面接の質問数が少ないと不採用って本当?
日本の就活生の間では「最終面接の質問数が少ないのは不採用のサイン」という意見が聞かれますが、これは信用に値しません。最終面接の質問数や所要時間は、企業によって大きく異なります。1時間程度、就活生に数多くの質問を投げかけて採用を判断する企業もあれば、最終面接を就活生と重役との顔合わせの場ととらえ、10分程度で終了する企業もあるようです。
採用・不採用のサインに関する噂は鵜呑みにせず、面接中は前向きに自己PRに集中しましょう。
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最終面接でよく聞かれる6つの質問と回答例
ここでは、最終面接で聞かれやすい6つの質問とその回答例を紹介します。質問の意図を理解し、存分に自分の強みをアピールしましょう。
一次・二次面接ですでに聞かれた質問をされる可能性もありますが、最終面接だからといって余計な修飾・誇張をする必要はありません。むしろ「相手によって主張を変えている」と思われないよう、回答の軸がぶれないようにすることが大切です。
1.自己PRをしてください
「強みを教えてください」「長所・短所を教えてください」という聞かれ方をすることもあります。短所を伝える場合はマイナスイメージを持たれないよう、それを改善しようとする姿勢を示すようにしましょう。
回答例
私の強みは、積極性です。目標を達成するためには、自発的に行動して問題を解決します。
学生時代は日本語の会話レベルを上げるため、居酒屋のアルバイトに励みました。最初は分からない言葉が多かったのですが、その都度同僚や店長に確認し、自作のノートにメモを取りました。また、始業前には個別に接客のロールプレイングをしてもらい、自然な言葉遣いを身に付けました。半年後には店長から「もうロールプレイングをしなくても十分な会話力がある」とお墨付きをいただきました。また、お客様から「敬語が上手に使えている」と褒められた際には、努力の成果を実感でき、とても嬉しかったです。
社会人になってからも積極的に新しい知識を吸収し、自分で考え工夫しながら問題を解決するつもりです。
ポイント
アピールポイントと、それを裏付ける具体的なエピソードを述べると、回答の説得力が増し、面接官の印象にも残りやすくなるでしょう。最後に自分の強みが企業にとって役立つことを述べると、より好印象です。
2.なぜ当社を志望したのですか?
志望動機も面接の定番質問です。きちんと企業研究や業界研究をしたうえで回答すると説得力が増します。
回答例
私は、経験や年齢を問わずに新しいことに挑戦できる社風に魅力を感じ、御社を志望しました。
御社のインターンシップに参加した際、若手社員の方々が積極的に新規プロジェクトを立ち上げている様子を目の当たりにし、大変感銘を受けました。〇〇業界では、若手は年長者の後についていく風潮があると感じたのですが、御社では若いうちから幅広い経験を積み、成長を加速させることができると感じています。
御社であれば、私の強みである問題解決力を十分に発揮できると自負しています。お客様のニーズを叶えるプロジェクトを立ち上げ、貢献する所存です。
ポイント
企業側は「なぜ、数ある企業の中から当社を選んだのか」を確かめようとします。そのため、志望企業ならではの理由を述べると良いでしょう。また、志望企業の特徴と自身の強みを結びつけることも大切です。
どの企業に対してもいえる意見を述べてしまうと「当社でなくても良いのでは」「企業研究ができていない」とマイナスイメージを与えてしまう恐れがあります。
3.学生時代に最も力を入れたことは何ですか?
面接官は思い出話が聞きたいのではありません。経験から何を得たのか、どんな力が身についたのかを話しましょう。
回答例
私が学生時代に最も力を入れたことは、演劇サークルでの活動です。
入部当時は、自分のセリフを覚えるだけで精一杯でしたが、チームをまとめる人が不在だったため、このままでは他の役者がうまく立ち回れないことに気付きました。その後は、周囲の動きにもしっかり目を向け、客観的に物語全体の流れを掴むようにしました。また、他の役者と積極的に意見交換をするようにし、チームワークの向上に努めました。その結果、舞台上でもメンバーと協力しながら自然な演技ができるようになったのです。
このように、周囲の状況から、柔軟に自分の役割を判断する力を御社でも活かしたいです。
ポイント
具体的に何をどのように頑張ったのか、そして、どのような結果が出て何を得られたのかを伝えられると、面接官に好印象を与えられるでしょう。ポイントを押さえて話せば、身近な経験でも十分自己PRにつながります。
4.今までの挫折経験について聞かせてください
「今までの一番の失敗談を教えてください」といった聞かれ方をすることもあります。一見ネガティブな質問に感じられますが、実は自己PRのチャンスです。
回答例
私が最も挫折を感じたのは、日本語の勉強を始めた時です。日本に留学すると決め、日本語の基礎だけでも固めようと思って勉強を始めたのですが、文法が全く理解できず投げ出しそうになりました。
しかし、日本語を嫌いになりたくないと思い、元々興味のあったアニメを見て勉強することにしました。また、アニメのファン同士の交流の中で日本人の友人ができたため、インターネット通話を活用し、会話の練習に付き合ってもらいました。好きな話題について会話しているうちに、楽しい気持ちで日本語を学ぶことができ、留学開始時には、基本的な会話ができるようになっていました。困難から逃げず、前向きに取り組める方法で乗り越えた経験は、今後も活かしたいと思っています。
ポイント
面接官は就活生のストレス耐性や問題解決力を量るために、ネガティブな質問をすることがあります。単に挫折や失敗について話すだけではなく、それらを解決・改善した経験や身についた強みまで伝えられると好評価につながるでしょう。
5.当社に入社したらどのような仕事をしたいですか?
面接において「どのような仕事をしたいか」と質問をされた場合は、営業職や事務職といった「職種」を聞かれているわけではありません。入社後のキャリアビジョンや将来像を伝えましょう。
回答例
私は御社に入社できたら、外国人留学生向けの求人広告の営業に注力したいです。私は学生時代にアルバイトを探す際、なかなか自分に合った条件の求人が見つからずにとても苦労しました。一方、人手不足解消のために外国人を活用したい日本企業では、どのように採用や人材教育を行えばよいか分からず、二の足を踏んでいる人事担当者が多いと聞いています。
そのため、私は、日本で働きたい留学生と外国人を採用したい企業の、橋渡し役を努めたいと思っています。留学生としての目線を活かし、サービスを勧めるだけではなく、適切な採用や研修のアドバイスもしたいです。入社後はまず、持ち前の学習意欲で御社のサービスの特徴や営業スキルをいち早く吸収し、さまざまな企業の担当者とコミュニケーションをとる所存です。
ポイント
入社後、自分がどのように志望企業に貢献するつもりなのかを伝えるようにしましょう。「あなたの夢は何ですか?」「10年後はどのような仕事をしていると思いますか?」という聞かれ方をするケースもあるため、目指したい将来像を明確にしておく必要があります。
6.もし内定が出たら入社しますか?
就活生の志望度を判断するための質問です。内定を得るためには、第一志望の企業でなくとも入社の意思を伝えるのが賢明。本音は内定を遠ざける原因になります。
回答例
はい。御社から内定をいただいた際には、ぜひ入社させていただきます。
就職活動を開始した当初から、御社の理念とサービスの方向性には深く共感しています。また、選考に参加させていただく中で、社員の皆様のお客様を思いやる心や成長意欲を知り、より入社の意思が強まりました。私の「留学生を同じ目線に立ってサポートする」という夢も御社でなら実現できると確信しています。
ポイント
第一志望の企業であれば、熱意をしっかり伝えましょう。単に「入社します」という返事だけでなく、その理由も添えられると、より意欲がアピールできます。
本命の企業でない場合も、「第一志望に落ちたら入社します」「迷っているので考えます」といった返事は望ましくありません。日本のビジネスシーンにおいて、「本音」は相手の気分を害することもあります。入社しない場合は後で内定辞退をすれば良いので、最終面接では「入社する」と伝えましょう。
面接で聞かれやすい質問が知りたい方は、「外国人が就活でよく聞かれる質問と回答例を紹介!面接時のマナーも解説!」や「日本で就職活動を行う外国人が面接で聞かれる質問とは?回答のコツを解説」のコラムも参考にしてみてください。
最終面接では「逆質問」も重要
最終面接では「逆質問」をする場合もあります。逆質問をアピールのチャンスとして活用しましょう。
逆質問とは
逆質問とは、面接の最後に企業側から「何か質問はありますか?」と尋ねられることです。質問内容によっては熱意や入社意欲を示せるため、日本の就活において逆質問は重要なアピールタイムの一つといわれています。
逆質問の例
面接官から「何か質問はありますか?」と聞かれた場合は、企業や仕事に対する関心を示せることを質問しましょう。「特にありません」と答えてしまうと、入社意欲が低いのではないかと疑われてしまう恐れがあります。また、調べればわかることや、給料や休日などの待遇について聞くのも望ましくありません。
・風通しが良い社風とお伺いしたのですが、若手から意見を出す機会はありますか?
・いずれは〇〇の仕事に挑戦したいのですが、どのようなスキルが求められますか?
・入社前にあらかじめ勉強しておくべきことはありますか?
・〇〇様(面接官)が、これから入社する人に特に求めていることを教えてください。
以上の例を参考に、逆質問を上手く活用して自己PRしましょう。
「日本の就活でよく聞く逆質問ってなに?外国人留学生向けに分かりやすく解説」では、逆質問を求められる理由と逆質問するときのポイントを解説しています。ぜひ参考にしながら、しっかりと質問を考えておきましょう。
最終面接をクリアするための3つのポイント
ここでは、最終面接をクリアするための3つのポイントをご紹介します。内定目前だからといって、焦りや過剰な緊張は禁物。これまでの面接を通過してきたことに自信を持ち、落ち着いて臨みましょう。
1.履歴書やエントリーシートを見直す
最終面接に臨む前に、改めて履歴書やエントリーシートを見直しておきましょう。多くの面接官は、応募書類をもとに質問する傾向があります。応募書類に書いたことと、面接での回答に矛盾が生じないよう、あらかじめ自分の主張を確認しておきましょう。
2.自己PRや志望動機を改めて明確にする
自己PRや志望動機を改めて明確にしておくのも、最終面接前の重要な準備です。
自己PRと志望動機を重視する企業は多く、就活生の人間性や企業とのマッチング度合い、熱意を判断する材料にしています。緊張で上手く伝えられなかった…ということがないよう、しっかり自分の気持ちを固めておくことが大切です。
3.最後まで気を抜かずにマナーを守る
最終面接が終わるとついホッとしてしまいがちですが、最後まで気を抜かないようにしましょう。
面接会場から退室し、会社の建物の外に出るまでは、丁寧にふるまうことが大切です。面接官や他の社員にだらしない様子見られては、せっかくの面接も台無しになってしまいます。
また、最終面接の当日中、遅くとも翌日の午前中までには、「お礼メール」を送りましょう。最終面接の時間をもらったお礼や、これまでの選考で評価してもらったことへの感謝、内定したら就職したい気持ちなどを伝えると、採用担当者や面接官も嬉しく思うはずです。
まとめ
日本の就職活動において、最終面接は最後の関門といえます。聞かれやすい質問や気を付けるべきポイントを確認し、気を引き締めて臨みましょう。
ただし、面接中は合否を意識しすぎないことも大切です。普通、学生が企業の重役と話す機会はなかなか得られません。最終面接という貴重な機会を得られたことに自信を持ち、ポジティブな気持ちで自分の魅力を伝えましょう。