Z世代とはアメリカ発祥の言葉で、1996年~2012年までに生まれた若い世代を指します。今では世界共通の概念になりました。Z世代は国の将来を担う層として、日本だけでなく海外の国でも注目されている世代です。この記事では、情報化社会に生まれたデジタルネイティブであるZ世代の特徴や、前後の世代であるX・Y・a世代について詳しく解説。記事を参考に、「Z世代」について理解を深めましょう。
目次
Z世代の意味とは
「Z世代」は世界共通の概念であり、アメリカ発祥の言葉です。英語圏では「Generation Z」と呼ばれています。Z世代の「Z」の由来は、英語のアルファベット順によるものです。Z世代の前世代は、「X世代」「Y世代」と呼ばれていることから、X・Yの次はZとなるため「Z世代」と名づけられました。また、「Y世代」が別称で「ミレニアル世代」と呼ばれていることから、次のミレニアル世代という意味で、Z世代は「ポストミレニアル世代」と呼ばれる場合もあります。
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Z世代の年齢
Z世代とは、1996年~2012年までに生まれた若い世代を指します。2024年時点でZ世代に該当するのは11歳~28歳の人です。ただし、世代の線引きには諸説あるため、多少のずれがあります。
Z世代が注目される理由とは?
日本では、少子化の影響によりZ世代の人口は減少しています。しかし、世界的に見るとZ世代は増加しており、今後さらに増える見込みです。Z世代の支出や収入も増えていることから、今後経済を動かしていく世代であると期待されています。また、デジタルネイティブ世代と呼ばれるZ世代はメールやチャット、SNSなどデジタル技術を柔軟に利用し発信する能力を持っているため、ITに強い若手人材として企業からも注目が集まっています。
参照元
総務省統計局「世界の統計2024:世界の人口推移」
Z世代の特徴
Z世代の大きな特徴は「デジタル・ネイティブ」「ソーシャル・ネイティブ」であることです。Z世代は、SNSやスマートフォンが普及した時代に生まれました。そのため、他の世代に比べ、デジタルを使いこなせる能力が身についている人が多いといわれています。
Z世代の情報発信・情報収集方法
以下、「令和5年通信利用動向調査の結果」のグラフからも分かるように、Z世代はSNSを利用して、情報収集や発信を行うことが多い世代です。全世代の中でも、Z世代の20代のSNSの利用率が最も高い結果となっています。また、日常生活においてもパソコンよりもスマートフォンで情報収集を行う人がほとんどです。
引用:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」「3 SNSの利用動向(個人)」
日本では「LINE」や「X(旧Twitter)」、「Instagram」といったSNSが、コミュニケーションツールや情報収集ツールとしてZ世代に人気です。また、Z世代は、InstagramやX(旧Twitter)のハッシュタグによる検索で情報収集を行う人が多いといわれています。
情報発信を行う際も、SNSを通して友人とコミュニケーションを取ったり、投稿により自己表現を行ったりするのがZ世代の特徴です。
デジタルネイティブといわれるZ世代はネットリテラシーへの意識が高く、個人情報漏えいやコンピュータウイルスへの感染、ワンクリック詐欺などに敏感な側面を持っています。インターネットを積極的に利用する反面、一歩間違えれば危険なツールだと認識して、きちんと対策している人も多いようです。
参照元
総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」
Z世代の価値観
Z世代は幼少期からネット社会に身を置いて成長してきた世代であるため、多様な情報を見聞きする機会が多くありました。ここでは、情報化社会に生まれたZ世代の価値観について解説します。
多様性を受容し尊重する
Z世代は、LGBTQについて学校で教育を受けた世代です。そのため、ほかの世代と比較すると個人のセクシャリティに対して寛容な考えを持っている人が多い傾向にあります。LGBTQの友人とも分け隔てなく交流し、個人の考え方や性自認を認め、尊重できるのがZ世代の特徴といえます。
社会問題への関心が高い
Z世代はインターネットの発達によってさまざまな情報に触れられるようになったことで、社会問題への興味・関心が日常生活において自然に生まれてきた世代ともいえます。ニュースサイトを閲覧するだけでなく、SNSを通して政治や環境問題などについてさまざまな議論を交わしたり、自ら発信したりする機会が多いのも理由の一つといえるでしょう。
着実志向が強い
Z世代は、コロナ禍による世界情勢や経済の変化を目の当たりにし、不安定な世の中の移り変わりを見てきた世代です。そのため、安定的かつ保守的な考えを持っている人も少なくありません。就職活動においても、会社の将来的な安定性や個人のキャリアプランを重視するなど、人によっては着実志向が強い一面も見られます。
Z世代の消費行動
Z世代の消費行動の主な特徴は、以下のとおりです。しかしながら、消費行動には個人の嗜好も大きく反映されます。すべてのZ世代が以下の特徴に該当するとは言い切れないため、参考程度にご覧ください。
ブランドよりも自分に合ったものを選ぶ
多様性を尊重し、個性を大切にする時代に生まれたZ世代は、ブランドよりも自分に合っているかを重視して買い物をする傾向があります。他人と被らない自分だけのオリジナルの商品や、好みの仕様にカスタマイズできるアイテムも人気です。また、普段からSNSを多く利用していることから、インフルエンサーがおすすめする商品に興味を持ちやすい傾向があります。
オンラインショッピングを多用する
デジタルネイティブのZ世代はインターネットやアプリを多用し、欲しいものを見つける能力に長けています。そのため、インターネットで情報や口コミを確認し、買い物はオンラインで行う人が多いのが特徴です。SNSのトレンドを比較検討し、ネットで注文する人も多くいます。
日本のZ世代は、さまざまな価値観や視点から「若者言葉」という独特な言葉を生み出しました。若者言葉は、SNS上のコメントや友人同士でコミュニケーションを取る際にも良く使われています。Z世代が多用する若者言葉については、「【2023年版】若者言葉一覧!日常会話で使える略語も紹介」で詳しく紹介しているので、ぜひご覧ください。
Z世代の働き方とは
Z世代には、社会人として活躍している20代の若者も含まれます。
以下では、Z世代の社会人がどのような働き方を好み、何を重視するのかについて解説します。
フルリモートよりもオフィス出社を好む
Z世代の社会人は、オフィスに出社し、同僚や上司とコミュニケーションを取りながら働く環境を重視する若者が多いようです。その背景には、コロナ禍によるフルリモート勤務や外出自粛などの社会情勢が少なからず影響しています。上司と部下であっても自分の意見を伝えやすい雰囲気や、特定の人と狭く関わるよりも多くの人と幅広くコミュニケーションが取れる環境が、Z世代にとっては居心地の良い職場といえるでしょう。
安定志向でワークライフバランスを重視
Z世代は、SNSを通して多様な休日の過ごし方や楽しみ方を熟知しています。そのため、仕事だけでなく休日も充実させたいと考える人も少なくありません。残業や会社の飲み会などを好まず、プライベートな時間を大切にするのもZ世代の特徴です。
Z世代は、東日本大震災や新型コロナウイルスなど不安定な社会情勢のなかで育ってきた世代です。そのため、不安定な世の中であっても、解雇や倒産の心配のない安定が確保されている将来性のある業界や大手企業を好む傾向があります。
転職のハードルが低い
スマートフォンが普及した時代に生まれたZ世代には、短時間で効率よく情報収集したり物事を進めたりするスタイルが定着しています。無駄な時間を過ごしたくないという考えも強く、タイムパフォーマンスを意識する人も少なくありません。
残業を好まず、ワークライフバランスを重視する人もいます。そのため、会社への帰属意識は低く、転職に対するハードルはそれほど高くありません。
Z世代のメンタルヘルスに対する考え方
デジタルネイティブのZ世代は、SNSでの過剰な誹謗中傷などを目にする機会も多く、精神的な悩みに直面することもあります。しかし、個人のストレスや不安、うつなどの精神的な悩みを他人に打ち明けたり、専門家のサポートを求めたりすることに抵抗が少ないのも、Z世代の特徴です。昨今では、企業においてもカウンセリングの機会を設けるなど、社員のメンタルヘルスケアを行う会社が増えています。
Z世代以外の世代と特徴
以下では、Z世代以外の「X世代」「Y世代」「a世代」について解説します。
X世代
X世代は、英語圏において「GenerationX」と呼ばれ、1965年~1980年頃に生まれた世代を指します。2024年では、45歳~59歳の人がX世代です。日本では、「団塊世代ジュニア」とも呼ばれ、中年層として経済を支えている年齢の人がX世代に当たります。
X世代は、インターネットなどITの環境が整い始めた時代に生まれました。とはいえ、当時インターネットやITに触れていたのは一部の人のみです。そのため、デジタル技術に対して苦手意識を持つ人も少なくありません。Y世代やZ世代が「デジタルネイティブ」と称される一方で、デジタル化に移行する時代に生まれたX世代は「デジタルイミグラント」とも呼ばれています。
変化の著しい時代を生きてきたX世代は、適応能力が高く新しい変化にも寛容な世代といわれています。
Y世代(ミレニアル世代)
Y世代は、英語圏において「GenerationY」と呼ばれ、1980年~1995年頃に生まれた世代を指します。2024年では、29歳~44歳の人がX世代です。
アメリカでは、2000年以降に成人を迎えた世代や社会人になった人を「ミレニアル世代」ということから、Y世代も別称「ミレニアル世代」とも呼ばれています。Y世代は、幼少時代からインターネットが普及していたため、Z世代と同様に「デジタルネイティブ」といわれることも。Z世代同様に、デジタルに抵抗のない人が多いのもY世代の特徴です。
また、Y世代は「物」よりも「経験」にお金を使うことが傾向があります。これまでの日本人は自家用車やマイホームといった「物」にお金を使うことを重視していました。しかし、コストパフォーマンスを重視し、ミニマリズムの傾向があるZ世代やY世代にとっては、必要性が低く需要がありません。
その代わりに旅行やライブといった「経験」にお金を使う人が増えてきました。SNSが普及してリアルタイムで出来事を伝えられるようになったのも、「経験」消費を後押しした一因といえるでしょう。
日本のミレニアル世代とアメリカのミレニアル世代は異なる点もあります。日本のミレニアル世代については、「日本のミレニアル世代はアメリカと違う?外国人向けに特徴を解説!」で詳しくまとめているので、ぜひチェックしてみてください。
a世代
a世代(アルファ世代)は、英語圏において「Generation a」と呼ばれ、オーストラリアのコンサルタント、マーク・マクリンドル氏によって名付けられました。a世代に当たるのは、2013年~2024年頃に生まれ、2024年現在で0歳~11歳くらいまでの子ども達です。また、a世代は、全員が21世紀生まれで、今後は世界の人口増加により最大の世代になると予想され、注目が集まっています。
α世代は、タブレット学習、SNSを通したインターネット知識の取得、AIの活用など、他世代とは異なる多彩な方法で教育を受けています。また、バーチャル(VR)空間やメタバース、アバターなど新しいデジタル技術に触れる機会が多いのもα世代の特徴です。
まとめ
Z世代はデジタルネイティブであり、SNSや教育を通して多様な価値観を持つ世代です。日本のZ世代はテクノロジーが浸透した情報社会で生活しており、これからの社会経済をけん引するニュータイプな世代として、期待と注目を集めています。