日本国憲法前文について外国人へ向けてわかりやすく解説!

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2022/05/17

「日本国憲法前文の意味が知りたい」という方もいるでしょう。日本国憲法前文で示されているのは、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3つの原則です。日本国憲法前文では、この原則を軸に、平和への願いや政府が戦争を行わないこと、世界と協力していく姿勢などが書かれています。このコラムでは、日本国憲法前文を段落ごとにわかりやすく説明しているので、日本の法令について知識を深めてください。

目次

  1. 日本国憲法前文の意味を段落に分けて説明
  2. 日本国憲法前文の3つの原則
  3. 日本国憲法前文をわかりやすく解説
  4. まとめ

日本国憲法前文の意味を段落に分けて説明

日本国憲法前文は、憲法条文の前にある文章です。憲法を制定する意味や目的、3つの原則が書かれています。日本国憲法前文を大きく4つの段落に分けてわかりやすく解説しているので、日本国憲法を理解するための参考にしてみてください。

1段落目:日本国憲法の目的や基本原理の解説

日本国憲法前文の1段落目で示されているのは、政府が憲法を成立した目的や基本原理です。平和への決意のほか、国民には幸せや利益を享受する権利があるとの内容が書かれています。

【日本国憲法の前文】

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

【意味】

日本国民によって選挙で選ばれた国会議員が、国民の代表として行動をする。私たちは私たち自身とその子孫のために、外国と協力して国民全員が自由に暮らせるように国内の繁栄を図り、政府の行為によって戦争が起こることのないように決意する。主権は国民にあることを宣言し、この憲法を作った。

そもそも国の政治は国民から任されたものであり、国家権力は国民の代表が行使し、それによって得られた福利は国民が受け取る。これは人類にとっての共通認識であり、この憲法はこの考え方に基づくものである。私たちは、これに反する憲法や法律、天皇の文書は無効とする。

【解説】

日本国憲法は、国民から選ばれた代表者によって制定された憲法であり、平和への決意と自由の確保、民主主義を基本原理とし、これに反する憲法や法令は許さないという内容です。

2段落目:平和への決意と戦争の放棄

日本国憲法前文の2段落目では、平和を願う決意が込められています。人類の生命を脅かす戦争が起きないように、平和を守る内容が書かれている段落です。

【日本国憲法の前文】

日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

【意味】

日本国民はいつまでも平和であることを願っており、平和を愛する外国の人々を信頼して、私たちの安全と生存を保ち続けることを決意した。私たちは平和を維持し、支配や奴隷状態、差別をなくそうと努力している国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。全世界の人類は恐怖と貧困から免れ、平和に生きる権利を持っている。

【解説】

恒久の平和を願い、戦争を放棄し、武器や軍を持たず、世界平和を保ち続けるための、国民の決意が示されています。

3段落目:他国との協調

日本国憲法前文の3段落目では、他国との関わり方が述べられています。1、2段落目で示されている人類の平和を守るために必要な国際協力について示されている段落です。

【日本国憲法の前文】

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

【意味】

いずれの国々も自国のことだけを考えて、他国を無視するようなことがあってはならない。自国の主権を維持し、他国と対等な関係にありたければ、世界中で通用するルールを守らなければならない。

【解説】

自国の利益だけを追求するのではなく、他国と協力しながら共存しようという国際協調主義が示されています。どの国も他国と対等な関係で協調していくことが必要であり、友好的な関係を築く責任があるという内容です。

4段落目:理想と目的の実現を全力で目指す決意

日本国憲法前文は、4段落目の一文で締めくくられています。書かれているのは、憲法前文の1、2、3段落目の内容に全力で取り組むという内容です。

【日本国憲法の前文】

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

【意味】

日本国民は、国家の名誉にかけて、全力を挙げて理想と目的の実現のために取り組むことを誓う。

【解説】

前文に書かれている崇高な理想と目的の実現に向けて、全力をあげて取り組む決意を宣言しています。

参考元
国立国会図書館「日本国憲法の誕生

日本国憲法前文の3つの原則

日本国憲法前文には、基本原理である「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の原則が示されています。この3つの原則は日本国憲法において非常に重要です。以下では、各原則をわかりやすく解説します。

日本の政治を決めるのは国民

日本の政治を進めるのは国民が選挙で選んだ国会議員です。また、実際に政治を行う内閣は、国会議員が指名した内閣総理大臣によって組織されます。つまり、国民が間接的に選んだ政府によって日本の政治は行われているのです。そのため、日本の政治を決めているのは実質、国民といえるでしょう。国民が自国の政治を決める権利を持つことを「国民主権」といいます。

2022年3月以前は、20歳以上の国民に選挙権が与えられていましたが、法令の改正により2022年の4月からは選挙権が与えられる年齢が18才に引き下げられました。

参照元
総務省「選挙権年齢の引下げについて

国民に与えられた権利の尊重

「基本的人権の尊重」は、人類が生まれながら持っている権利を大切に守ることを指します。「基本的人権」とは、「自由権」「平等権」「社会権」「参政権」「請求権」の5つの権利のことです。ただし、「基本的人権の尊重」には、参政権の年齢制限のように制限が加えられる場合もあります。

「自由権」「平等権」「社会権」「参政権」「請求権」の内容は、以下のとおりです。

 

・自由権:思想や良心、信教や学問、表現の自由などの権利

・平等権:人種や性別、社会的身分などによる差別的な扱いを受けない権利

・社会権:人として最低限度の生活をするための保障や教育、労働に関する権利

・参政権:選挙の際に、投票したり立候補して代表者になったりする権利

・請求権:損害を受けた際に、賠償請求をしたり裁判を起こしたりする権利

 

日本国憲法前文では、国民が社会活動に参加し人間らしい生活を営むため、5つの権利を持つことを定めています。

恒久平和主義

「平和主義」とは、戦争をしない考えのことです。日本国憲法前文では、「日本国民は、恒久の平和を念願し」と示されています。第2次世界大戦の反省から、憲法に取り入れられました。争いが起こっても決して戦争をしないことや、陸軍・海軍・空軍などの戦力を持たないことが書かれています。なお、日本国憲法第9条の「戦争の放棄」は、前文を元に定められた法令です。

日本国憲法前文をわかりやすく解説

日本国憲法前文は、日常生活では使われない言葉や言い回しが見られるため、非常に難解です。また、言葉の意味が分かっていても、書かれている内容が抽象的で理解が難しいといえるでしょう。以下では、3つの原則を踏まえたうえで、日本国憲法前文のポイントをわかりやすく解説しています。

主権が天皇から国民へ移行

日本国憲法前文で国民主権が示されたことで、主権が天皇から国民へ移行します。日本国憲法以前の大日本帝国憲法では、天皇が統治権をもつ「天皇主権」が原則でした。統治権は、国権ともいわれる国家の最高権力で、国土や国民などを治める権利のことです。1946年に日本国憲法ができるまで、あらゆる権利が天皇にあるとされてきました。日本国憲法では、天皇は日本国の象徴、または、日本国民統合の象徴とされています。

日本の政治を行うのは国民が選んだ代表者

日本国憲法前文では、国民から選ばれた代表者が政治を行うという内容が示されています。選挙は国民の意思を政治に反映できる重要なものです。選挙で選ばれた代表者は、すべての国民のために政治を行います。ただし、日本国籍でない外国人には参政権がありません。外国人が参政権を得るには、日本に帰化する必要があります。

世界平和に対する日本の役割

日本国憲法前文では、永久に続く平和への願いが示されています。日本の役割は、人類の平和を目指し、世界と協力をすすめていくことです。そのため、戦争の悲劇を起こさないとの決意が書かれています。人類が安全に安心して生存するためには、世界の国々を尊重し、対等な立場であることが重要です。人類の平和を維持するため、日本は世界に働きかける役割があるといえます。

まとめ

1946年に制定された日本国憲法前文には、憲法を制定する目的や3つの原則が書かれています。3つの原則とは、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」です。日本国憲法前文はこの3つの原則に則り、国民の権利や世界平和のため日本が果たすべき責務を示しています。

日本国憲法の内容は、日本人でも理解するのが難解です。日本国憲法前文の意味や解説を参考にして、日本の憲法について知識を深めてください。

ライター

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