「日本はなぜ日本というの?」「いつから日本と呼ばれ始めたのだろう」と気になる外国人もいるでしょう。もともとは「倭」という名前でしたが、700年前後から「日本」と呼ばれ始めたといわれています。このコラムでは、日本の名前の由来を紹介。また、日本はなぜJAPANと呼ばれるのかもまとめています。内容を参考にして、日本の成り立ちを知りましょう。
目次
日本という名前の由来
ここでは、日本という名前が使われるようになった由来を紹介します。また、日本になる前の名前や変えることになった経緯も説明するので、参考にしてください。
日本という名前の由来は「日出ずる国」から
日本という名前の由来は、「日出ずる国」といわれています。日本は700年ごろに中国に送ったごろ中国に送った国書の中で天皇を「日出ずる処の天子」と表現しました。「太陽が昇ってくる場所で世界を治める王者」という意味です。いろいろな説がありますが、「日出ずる処」から「日が出てくる本(もと)にある国」となり、さらに「日の本」と変わり「日本」になった説が有力といえるでしょう。
中国との外交上のやり取りから生まれた
日本という名前は中国との外交上の関係から生まれたといえます。日本になる前は、中国から「倭」と呼ばれていました。「倭」の言葉には「従順」「ゆだねる」という意味合いがあり、日本はこの呼び方に良い印象を持っていませんでした。そこで、700年ごろ中国に送った書簡で自ら「太陽が昇ってくる場所で世界を治める王者」と名乗り、中国に対等な呼び方を望んだようです。実際に「日本」という名前が使われるようになった正確な年代を記載した書物は現在のところ見つかっていません。
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日本の名前の呼び方の歴史
日本の名前は現在までに何度も呼び方を変えてきました。理由は、「日本」という漢字にはさまざまな読み方があるためです。また、時代によってひらがなの発音の仕方も変わってきたことも関係しているでしょう。ここでは、昔から今までの「日本」という名前の呼び方を解説します。
昔の日本の読み方は「ひのもと」
700年ごろ、日本は「ひのもと」と呼ばれていました。書物に書かれた「日出ずる処」から誕生した「日本」という文字を「ひのもと」と読んでいたためと考えられています。「日」が太陽を意味するのを考えると、「に」ではなく「ひ」と呼ぶようになったのは自然なことといえるでしょう。
日本を「にっぽん」と呼び始めたのは奈良時代
日本を「にっぽん」と呼ぶようになったのは、中国とのやり取りが盛んになった800年ごろの奈良時代です。中国人が「日本」を「ニエットプァン」と発音したのをまねて、日本人も「にっぽん」と呼ぶようになったと考えられています。また、昔の日本では「はひふへほ」を「ぱぴぷぺぽ」と発音していたため、「にほん」を「にっぽん」と読んでいたという説もあるようです。どちらにせよ、800年ごろの奈良時代に「にっぽん」と呼ばれるようになったと考えてよいでしょう。
日本を「にほん」と呼ぶようになったのは室町時代
日本を「にほん」と呼ぶようになったのは室町時代です。ただし、現在の発音と異なり「ほ」の発音が「ふぉ」に近い発音でした。それまで使われていた「にっぽん」の呼び方も失われることなく、「にっぽん」と「にほん」の両方の呼び方が使われるようになったのです。室町時代から現在まで2つの呼び方が使われています。
「にほん」と「にっぽん」どちらが正しい?
日本は「にほん」か「にっぽん」の呼び名はどちらを使っても正解です。1934年にNHKと文部省臨時国語調査会が日本の呼び方を「にっぽん」にするとしました。しかし、政府はこの決定を採用せず「にほん」と「にっぽん」のどちらを正式名称とするか決めなかったのです。1965年には郵便切手に日本の名前を「NIPPON」と印刷することが決まります。しかし、この後30年以上もどちらを正式な名前とするか決定は出ませんでした。その後、ついに政府が2009年「にほん」と「にっぽん」どちらの名称でも良いと閣議決定をしたため、2つ名前が正式に使えるようになったのです。なお、会社名や固有名詞などは「にほん」か「にっぽん」のどちらで呼ぶか決まっている場合もあるので注意しましょう。
日本が「JAPAN」と呼ばれるようになった由来
日本の名前を英語で表す場合、アルファベットで「NIHON」もしくは「NIPPON」と考えるのが自然です。しかし、日本は英語で「JAPAN」と書かれます。ここでは、日本が海外から「JAPAN」と呼ばれるようになった理由をまとめているので、英語圏の方は参考にしてください。
日本の中国語の発音が由来といわれている
日本が「ジャパン」と呼ばれるようなったのは、日本の中国語の発音が由来といわれています。中国語で日本を「リーベン」と発音していたのが「ジーペン」になまり、「ジャパン」に変化していったという説です。漢字の読み方は何通りかあるため、別の中国語の漢字の読み方で「ジッポン」と呼ばれていたこともありました。以上のことから、中国語の発音が由来との説が有力です。
マルコ・ポーロが広めた説もある
日本を「JAPAN」と呼ぶようになった由来にマルコ・ポーロが関わっているという説があります。
13世紀に世界を旅したマルコ・ポーロは、日本が中国で「ジッポン」と呼ばれているのを聞き、「東方見聞録」で日本を「黄金の国ジパング」と紹介しました。この「ジパング」が「ジャパン」として広まったと考えられています。日本の名前は他の言語だと、フランス語では「Japon(ジャポン)」、ドイツ語では「Japan(ヤーパン)」です。ヨーロッパの国で日本の名前の読み方が似ていることから、マルコ・ポーロが広めた「ジパング」が変化していったと考えられるでしょう。
日本の現在の正式な名前は?
日本の現在の正式な名前は「日本国」です。「日本国」という名前が使われている例は、日本のパスポートの表紙や「日本国憲法」「日本国大使館」などが挙げられます。いずれも公的な度合いが高いものに使われているため、日本の正式な名前は「日本国」といって良いでしょう。ただし、憲法や法律で「日本国」が正式な名前と決められているわけではありません。
まとめ
日本という名前の由来は「日出ずる国」で、中国との外交上のやり取りから生まれたものです。日本の名前の由来、どのように呼ばれてきたかについて知ると、日本の歴史や時代ごとの外国との関わり方が見えてきます。このコラムを参考にして、日本の名前の由来について理解を深めましょう。
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