「日本語の効率の良い勉強方法を知りたい!」「自分以外の人が日本語を学ぶ理由が気になる」という外国人もいるでしょう。日本語を学ぶ外国人は、言語自体への関心や日本のカルチャーに対する興味をきっかけに勉強を始める人が多いです。このコラムでは、おすすめの日本語の勉強方法や海外で日本語を学ぶ外国人についてのデータを紹介します。外国人の方はこのコラムの内容を参考にして、日本語学習を効率的に進めましょう。
目次
海外で日本語を学ぶ外国人について
この項目では、海外で日本語を学ぶ外国人の数を、国際交流基金が発表した「海外日本語教育機関調査」をもとに解説します。まずは、自分以外の日本語学習者の状況を知りましょう。
日本語学習者は全世界に約380万人
海外の日本語教育機関に通いながら日本語を学ぶ外国人の数は、2021年度の調査では3,794,714人でした。新型コロナウイルスの流行によって前回調査(2018年度)の3,851,774人より減少しているものの、日本語を勉強中の外国人の数が非常に多いことが分かる結果といえるでしょう。なお、この調査には日本語学習機関を利用せずに独学で日本語を学んでいる外国人は含まれません。そのため、実際の学習者数はさらに多いといえます。
日本語学習者数は、同調査が開始された1979年から2021年までの43年間で29.8倍に増加しました。調査開始以来、日本語学習者の数は、ほぼ右肩上がりの増加傾向にあります。
アジアの学習者が全体の7割以上を占めている
地域別に日本語を学ぶ外国人の数を比較すると、東アジアが最も多く1,713,833人でした。東アジアだけで全世界の日本語学習者のうち、45.2%を占めています。2番目に日本語学習者が多いのが東南アジアの1,185,375人です。日本語を学ぶ外国人のうち31.2%は東南アジアにいるため、上位2つの地域で世界の日本語学習者の7割以上を占めていることが分かります。日本語学習者が多い国は、上から中国、インドネシア、韓国、オーストラリアの順です。
日本語を学ぶ目的
2021年の調査によると、日本語学習機関に通う外国人が日本語を学ぶ目的で回答が最も多かったのが「日本語そのものへの興味」でした。日本語学習者の60.1%が、日本語への興味で日本語を学び始めたと答えています。日本語はほかの言語との共通点があまりない独特な言語なので、興味が湧く外国人も多いのでしょう。また、2番目に多い回答は「マンガ・アニメ・J-POP・ファッション等への興味」で、59.9%でした。この結果から、日本のサブカルチャーへの興味関心の高さがうかがえます。
参照元 国際交流基金「2021年度 海外日本語教育機関調査」
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日本語の勉強で外国人が難しいと感じるポイント
日本語は、外国人にとって習得するのが難しい言語とよくいわれます。ここで、日本語の勉強で外国人がつまづきがちなポイントについて確認してみましょう。
漢字の読み書き
漢字は、文字の形が複雑なうえ似ている字も多いので、覚えるのが大変だと感じる外国人が多いようです。特に漢字を使わない国の人にとっては、漢字を一から覚えなければならないため、ハードルが高く感じられることもあるでしょう。また、一つの漢字に複数の読み方があるところも、日本語学習において混乱を招くポイントになっているようです。漢字を覚える難易度の高さから、日本語を話したり聞いたりはできても、読み書きができないという外国人は少なくありません。
敬語
敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類があり、上下関係を把握したうえで、立場の差の程度によって適切な言葉を選ぶ必要があります。外国にも丁寧な話し方というものはありますが、日本のように立場の差で敬語を使い分けることはありません。そのため、そもそも外国人にとっては敬語の概念を理解するのが難しいようです。
文法
日本語は細かい文法の違いで意味が変わることもあるため、難しいと感じる外国人が多いようです。たとえば、「私は見た」と「私も見た」では、助詞の使い方一つで意味が違ってきます。日本語の文法については、日本人でも詳しく説明できる人は少ないでしょう。
オノマトペ
オノマトペは、ものの状態や動きを音で表現したものです。擬音語、擬声語とも呼ばれます。「きらきら」「わくわく」「じんじん」「ふわふわ」など、日本人が共通の感覚で使っている言葉を外国人が理解するのは難しいものです。
方言
覚えた日本語と異なる話し方をする日本人に出会ったとき、混乱する外国人は多いようです。日本の各地には、標準語とは異なる言い回しをする方言が存在します。独特なアクセントだったり、「~やん」と語尾が変わったりするだけで、理解するのが難しくなるのです。
自分の日本語スキルを試したい人は、「外国人が難しいと感じる日本語とは?難しい理由から例文まで徹底解説!」で例文をチェックしてみましょう。
外国人におすすめ!日本語の勉強方法
日本語を勉強する外国人におすすめなのが、SNSや映画、音楽を通して楽しみながら学ぶ方法です。また、失敗を恐れず日本語でコミュニケーションを取ると、みるみるうちに上達するでしょう。
映画・アニメ・ゲームから学ぶ
映画やアニメ、ゲームを活用すれば、楽しく日本語が学べます。ストーリー性のある作品なら、時間を気にせず熱中できるでしょう。日本語の勉強では、とにかく日本語に触れることが重要なので、好きなアニメや映画を繰り返し見るのが効果的です。日本語の作品に触れていれば、主にリスニング力を磨けます。現代で使われている日本語を学びたい方は、なるべく最近の作品を選ぶと良いでしょう。
日本の音楽(J-POP)を聞く
何か別のことをしながらJ-POPを聞き流していると、日本語の耳馴染みが良くなります。繰り返し聞いていればリスニングの練習になるうえ、覚えて歌えるようになればスピーキングの練習にもなるでしょう。歌詞の意味を調べながら聞けば、語彙力も高められます。ただし、イントネーションは曲調によって変わってしまうので注意が必要です。
歴史・文化から学ぶ
日本の歴史や文化について調べるのも日本語の勉強になります。母国語で書かれた資料を見てから日本語の資料やパンフレットを読めば、語彙を増やすことができるでしょう。日本には子ども向けの読みやすい歴史漫画もあるので、日本語初心者も勉強しやすいはずです。また、日本の歴史文化が好きな人はモチベーション高く勉強できるでしょう。
食文化から学ぶ
日本の料理名や調理方法を聞いて、日本語を学ぶこともできます。日本食レストランに足を運んで、料理を楽しみながら日本語を学んでみましょう。最近は動画で日本食の作り方を知ることができるため、調理の仕方や材料を聞いて語彙を増やすのもおすすめです。
アプリを利用する
スマートフォンのアプリでも、日本語の勉強ができます。イラスト付きで言葉を学べるものや、発音を学べるものまで、日本語学習アプリの種類は多種多様です。なかには、ゲーム形式で楽しみながら日本語を勉強できるアプリもあります。アプリなら場所を選ばないため、移動中や空いた時間に勉強できるでしょう。
日本人とコミュニケーションをとる
日本語を早く習得するには、日本人と積極的に会話を重ねるのが近道です。「発音が完璧ではないので恥ずかしい」「笑われたらどうしよう」などと、消極的になる必要はありません。間違っていても一生懸命伝えようとする様子を見ると、嬉しく感じるという日本人も多くいます。単語だけを並べたり身振り手振りを交えたりしながらでも、積極的に日本人とコミュニケーションを取る外国人の方が、日本語の上達は早いでしょう。
SNSを活用する
SNSを上手く活用して外国語を学ぶのもおすすめです。たとえば、自分の話す言語を学んでいる日本人とSNS上で繋がりコミュニケーションを取ると、楽しみながら日本語を覚えられるでしょう。SNS経由の学習は料金が掛からなかったり、日本人の友人ができたりといった利点もあります。また、同じように日本語を学ぶ人とSNSで繋がり、励まし合いながら頑張っている外国人も多いようです。
漢字の成り立ちから理解する
漢字を覚えるのに苦戦している人は、成り立ちから考える方法を試してみましょう。漢字の成り立ちには、目に見える形がそのまま文字になったもの、2つ以上の漢字が合体したものなどがあります。たとえば、「火」は物体が燃えてメラメラと火が上がる様子がそのまま漢字になりました。より強く燃える様子を表す「炎」は、漢字の火が上下に重ねることで表現しています。このように、漢字は成り立ちも含めて勉強していくと、ただひたすら暗記するより記憶に残りやすくなるでしょう。
おすすめの勉強方法については、「日本語の勉強方法を外国人に向けて解説!覚えるのが難しい内容も紹介」や「外国人向け!日本語の勉強方法を紹介」のコラムでも紹介しています。日本語の習得を考える外国人は、ぜひ参考にしてください。
「日本語は難しい」と身構えないのが大切
外国人が日本語を勉強する際は、「日本語は難しい」といった固定概念に囚われないのが大切です。確かに日本語は、世界的にも難易度が高い言語といわれています。しかし、日本語を習得して日本で働き、立派に生活を営んでいる外国人がたくさんいるのも事実です。諦めずに勉強を続けていけば、ゆっくりでも上達できるでしょう。「難しいから自分には無理」「覚えられるはずがない」などとネガティブに捉えず、自分に合った勉強方法を見つけてみてください。
「日本語が難しい」と感じる外国人の方は、「日本語が難しい理由って?ほかの言語と比較してみよう」や「日本語を学ぶ外国人が難しいと感じる理由とは?挫折しやすいポイントを解説」もチェックしてみてください。日本語が難しいといわれる理由を知って、今後の勉強に役立てましょう。
まとめ
日本語を学ぶ外国人は増加傾向にあります。日本語はただやみくもに暗記するだけではなかなか習得できません。SNSでコミュニケーションを取ったり、日本のカルチャーに触れたりして、楽しみながら学習を進めましょう。