おすすめの日本語の勉強法として、日本のサブカルチャーや歴史、文化から学ぶ方法が挙げられます。基本からしっかりと勉強したい人は、日本語学校に通っても良いでしょう。
この記事では、おすすめの勉強法のほかに、聴解力や読解力、会話、書く力を上達させる学習方法や役立つWebサイトなども紹介。多様な勉強法があるため、自分に合ったやり方を探してみましょう。
目次
日本語を母国語としない人が勉強する際に苦労する点
日本語を勉強する人は、言葉の順番や敬語の正しい使い方、漢字の読み書きなどに苦労する傾向にあります。ここでは、日本語を母国語としない人が、勉強を進めるなかで特に難しいと感じる点を紹介します。
主語・動詞・目的語などの順番
日本語を勉強し始めたばかりの人にとって、「主語」「動詞」「目的語」などの言葉の順番を完璧に理解するのは難しいでしょう。
日本語は、言葉の順番が英語や中国語などの言語と異なっています。日本語の文法では、主語・目的語・動詞の順に言葉が並ぶのが基本です。
しかし、英語だと主語・動詞・目的語の順に単語が並びます。そのため、日本語の文法に慣れていない人は、文章を読んでどの言葉が主語や目的語なのか、分かりづらく感じるのです。
言葉の活用
日本語を母国語としない人が勉強する際に難しいと感じる点の一つが、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の「活用」です。活用とは、あとに続く単語によって言葉が変わることを意味します。
英語圏の人にとって、特に馴染みがないのが形容詞の活用です。
英語で過去形や否定形の文を作るときは、動詞の形が変化することはありますが、形容詞の形は変化しません。たとえば、「cute」「young」などは過去形であっても否定形であっても同じ形です。しかし、日本語だと文章によって変化します。日本語の形容詞の活用の例は、以下のとおりです。
- 彼女はかわいいです
- 彼女はかわいかったです
- 彼女は若いです
- 彼女は若くありません
形容詞の活用形は5種類あり、覚えるまで難しいと感じるのも無理はないでしょう。
助詞の使い方
「助詞」の使い方にも日本語特有の決まりがあります。助詞とは、「~を」「〜が」などの名詞に接続する言葉や、「~と~」と複数の単語を繋げる言葉のことです。助詞の使い方によって、主語や文章内での関係性が変化します。以下は助詞の使い方の例です。
- 彼と弟は似ている
- 彼は弟に似ている
- 彼に弟が似ている
助詞を誤ると、意図しない内容が相手に伝わる可能性があるので、正しい使い方を覚えることが大切です。
敬語の種類と使い方
日本語を勉強し始めたばかりの人は、「敬語」の種類を覚えて相手によって使い分けることも難しいと感じているでしょう。
日本語の敬語には、「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」があります。相手の立場を意識して、3つの敬語を使い分けなくてはなりません。海外でも丁寧な表現はありますが、日本語のように細かい決まりはないため、正しい敬語表現を理解し使いこなすには時間が掛かります。
漢字の読み書き
漢字の読み書きは、多くの人が苦戦するポイントです。
日本語には「ひらがな」「カタカナ」「漢字」があり、3種類すべてを覚えなければ複雑な文章を読めません。3種類の文字のなかでも、漢字の読み書きは最も難しいといえます。なぜなら、一つの漢字にいくつもの読み方があるからです。たとえば、「下」は「した・しも・げ・か・もと・さ・お・くだ」と読めます。
漢字に慣れていない人にとって、複数の読み方があるのは混乱する原因といえるでしょう。
語尾の使い分け
日本語の勉強を始めたばかりの人にとっては、語尾を正しく理解するのも難しいでしょう。日本語の語尾には複数の種類があり、表現したい感情によって使い分けます。日本語の語尾の例は以下のとおりです。
- このお菓子は美味しい
- このお菓子は美味しいね
- このお菓子は美味しいのよ
- このお菓子は美味しいのね
- このお菓子は美味しいんだよ
- このお菓子は美味しいんだなあ
すべての文章で「お菓子は美味しい」という意味は共通していますが、語尾によって同意を求めていたり感動を表していたりします。
日本語学習者にとって、語尾が表す意味やニュアンスを正しく理解するのは難しいでしょう。日本語に慣れないうちは、適切な語尾を使って感情を表現するのに苦戦する人も多くいます。
数の数え方
日本語が母国語でない人は、数の数え方を覚えるのにも苦労することが多いでしょう。
日本語では、対象によって数の数え方が変わります。たとえば、紙の枚数を数えるときは「1枚、2枚」と数えますが、人の数を数えるときは「1人、2人」です。
日本語を一から勉強する人にとって、ものによって変わる数え方を覚えるのは大変といえます。
擬音語や擬態語の習得
日本人が当たり前のように使っている擬音語や擬態語の習得も、初めて日本語を勉強をする人にとっては苦労するポイントです。
擬音語は、「ニャーニャー」や「サラサラ」など、動物の鳴き声や実際の音を表現した言葉を指します。擬態語は、「きらきら」や「うろうろ」などの状況を音で表した言葉です。
海外では動詞や形容詞に音や状況の表現も含まれているため、音のみを表す日本語の擬音語や擬態語に馴染みにくいといえます。
和製英語の理解
初めて日本語を勉強する人にとって、和製英語も理解しづらい言葉といえます。和製英語とは、外来語の意味や発音を参考にして、日本人が作り出した言葉です。カタカナで表記されており、一見外来語のように見えますが、日本語に馴染みがない人には通じません。
和製英語の例として、「bread=パン」「french fries=フライドポテト」などが挙げられます。
方言の聞き取り
日本語に慣れていない人にとって、方言を聞き取るのは至難の技です。滞在する地方によっては、勉強した日本語と実際の会話で聞く言葉が、まったく異なっているという人もいるでしょう。
日本には多くの方言があり、各地でアクセントが異なっていたり、さまざまな語尾が使われていたりします。知っている単語でもアクセントが異なると、違う言葉に聞こえるでしょう。また、独特な語尾の意味を理解できず、相手の言っている内容が理解できない場合もあるでしょう。
日本の方言については、「日本の方言の種類とは?いろいろな方言がある理由も解説」、「関西弁の特徴とは?特有のイントネーションやかわいい言葉を一覧で紹介!」でも解説しています。
ピックアップ記事
おすすめの日本語の勉強法6選
日本語の勉強をする際は、自分の好きな対象や興味のある分野を中心に学ぶのがおすすめです。ここでは、おすすめの日本語の勉強法を6つ紹介します。
1.日本の漫画・アニメ・音楽などに触れる
サブカルチャー好きの人におすすめなのが、日本語の漫画やアニメ、ドラマ、映画などに触れる勉強法です。これらの作品によく出るフレーズや登場人物のセリフから、日常会話に使える日本語を学べます。特に、好きな登場人物や気に入っているシーンの言葉であれば、より記憶に残りやすいでしょう。
映像作品の原作となった小説で、日本語を勉強をするのもおすすめです。面白いと思って読み進めるなかで、漢字や熟語などに触れられるでしょう。
日本の音楽を聞くのも良い勉強法です。好きなアーティストの曲を聴きながら、発音練習をしたり歌詞を英訳してみたりすると、楽しみながら多くの言葉を習得できます。
また、音楽は通学・通勤時など短い時間で気軽に聴けるので取り入れやすいでしょう。
2.日本の歴史や文化について調べる
日本の歴史や文化について調べることも、日本語の勉強法の一つです。
本やネットで日本の歴史を調べていると、難しい日本語や馴染みのない単語が出てくるでしょう。また、実際に訪れた神社仏閣や城などの案内板にも、知らない言葉があるはずです。
分からない言葉が出てくるたびに意味を調べれば、日本の文化や歴史に加えて、日本語の勉強にもなります。
3.日本語学校に通う
日本語を勉強するために、日本語学校に通うのもおすすめです。なかには、JLPT(日本語能力試験)やEJU(日本留学試験)などの合格を目指すためのカリキュラムが組まれている日本語学校もあります。日本語学校では、独学で学習するより短い期間で日本語の知識を習得することが可能です。学習に行き詰ったとき、勉強法を相談できるのもメリットの一つでしょう。
日本語の知識に加えて、日本社会で働く際のマナーを指導してくれる学校もあります。
4.SNSで日本人の友人を作る
日本語の勉強法として、SNSを通して日本人の友人を作るのも良いでしょう。
SNSを利用すれば、日本語でコミュニケーションをとったり、日本に関する知識を教えてもらったりできます。積極的に日本語でやりとりして、より良い表現やよく使う若者言葉などを学ぶのも良いでしょう。日本人の友人からアドバイスをもらうことで、効率良く日本語を学べます。
5.日本人の友人と直接会話をする
日本語を勉強するうえで、日本人の友人と直接会話ができる環境は大切です。相手の話を聞くだけではなく、自分自身も日本語で話すことにより自然な会話表現が身に付きます。
お互いの表情を見ながら会話をするので、言葉の細かいニュアンスや相手の感情を読み取りやすいでしょう。分からない日本語をすぐに質問して解決できるのも、直接会話するメリットといえます。
6.日本語学習を専門とした動画やアプリを利用する
日本語学習の動画やアプリを利用するのも、取り入れやすい勉強法の一つです。日本語を学習できる動画やアプリのなかには、クイズ形式で学習できたり日本語教師とオンラインで会話ができたりする種類もあります。無料で配信している動画やアプリが多く存在するため、初めて日本語を勉強する人も気軽に利用しやすいでしょう。
自分の好きな時間に学習できるので、忙しい人にもおすすめの勉強法です。
日本語を学びたい外国人の方には、「外国人向け!日本語の勉強方法を紹介」や「日本語の勉強でつまずきやすいポイントとは?効率の良い学習方法も紹介」もおすすめです。日本語の勉強で難しいと感じるポイントや効率の良い勉強法もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
技能別の日本語の勉強法
ここでは、日本語の聴解力や読解力、会話、書く力を上達させる勉強法について紹介します。
日本語の聴解力を上達させる勉強法
日本語の聴解力を上げるには、ディクテーションやシャドーイングを行うと良いでしょう。
ディクテーションは音声を聞いて、そのまま書き取る練習法です。聴き取りにくい日本語の音も正確に判別できるように意識します。
シャドーイングは音声を聴きながら、ほぼ同時に聞いた言葉を繰り返す練習法です。自然なイントネーションが分かり、自分でも発声できるようになります。そのため、単語の発音と意味が結び付けられ、正しく聞き分けられるようになるでしょう。
日本語での会話を上達させる勉強法
日本語での会話を上達させたいときは、よく使う言葉のリストを作っておくと役に立ちます。学校や職場の会話でよく聞く言葉の意味を調べて書き出し、実際に声に出して練習しましょう。
日本人と積極的に関わりを持ち、日本語で会話する機会を作るのも大切です。仲良くなった日本人に、日本語の間違いの訂正をお願いすると良いでしょう。分からないことがあったら、理解しているふりをせずに聞くことも重要です。
日本語の読解力を上達させる勉強法
読解の練習をする際は、自分に合ったレベルの読解教材を選びましょう。楽しめる読み物にたくさん触れる勉強法がおすすめです。読んでいるうちに言葉や漢字を覚えられる効果もあるため、後述する日本語の文章を読めるWebサイトを利用してみましょう。
また、読むときは分からない言葉で止まらず、意味を推測して読み進め、文章の全体を把握することも大切です。文章の内容に関係する知識があれば、より理解も深まります。日本の文化や生活にまつわる文章を読むときのために、日ごろから関心を持っておくと良いでしょう。
日本語で書く力を上達させる勉強法
日本語で書く力を上達させるには、SNSに投稿して練習すると良いでしょう。実際のコミュニケーションに近いため、目的を持って文章を書けます。誰かから質問されるような環境で行うことで、文章に足りない内容を意識できるのも利点の一つです。語学学習ができるアプリを使えば、ほかの人から添削を受けられる場合も。興味がある人は探してみましょう。
日本語の勉強に役立つWebサイト
ここでは、日本語の勉強に役立つWebサイトを紹介します。動画や文章で学べるものや、日本文化を知れるWebサイトもあるため、ぜひチェックしてみましょう。
動画で日本語を勉強できるWebサイト
「Learn Japanese」や「エリンが挑戦!にほんごできます。」は動画で日本語を勉強できるWebサイトです。「Learn Japanese」では、「NHKワールド JAPAN」の多様な日本語学習番組が観られます。日常会話や仕事など場面ごとに学べるだけでなく、ニュースやドラマから日本語を学べるプログラムもあります。「Easy Japanese for Work」の「Keego-Doojoo」では敬語の学習も可能です。敬語は苦手だと感じる人もいるかもしれませんが、明るくコメディ要素のある動画なので、親しみやすさを感じられるでしょう。
「エリンが挑戦!にほんごできます。」は、国際交流基金日本語国際センターが制作・運営しているWebサイトです。NHKや世界のさまざまな国で放送された「エリンが挑戦!にほんごできます。」というテレビ番組が観られます。さまざまなコーナーがあり、日本語を使う場面だけでなく、表現や日本の生活に関係する物の紹介動画も。マンガでオノマトペも学べます。1つの場面に対して情報を深く知りたい方におすすめです。
日本語の文章を読めるWebサイト
「NPO多言語多読」の「にほんごたどく」では、さまざまな無料の文章を読むことができます。レベル別に検索が可能で、読んだ人の感想も見られます。多読を始める際は、「読み方のルール」を読んでから始めましょう。
土曜日に「オンライン 日本語多読クラブ」を行っており、読む本のアドバイスをもらえたり、参加者同士で読んだ本について会話ができるのも魅力です。気になる方は、申し込んでみると良いでしょう。
「ひろがる もっといろんな日本と日本語」では、12のトピックに関連する記事が読めます。記事にはふりがなを付けるかどうかの選択や、音声の確認も可能です。トピックには動画があるため、視覚的に知識を得てから関連のある記事を読めます。記事の最後に簡単な理解確認問題も用意されており、読解の一連の練習ができるWebサイトです。
日本の文化を知れるWebサイト
先述のサイトでも、コンテンツによっては日本文化を学べます。「ひろがる もっといろんな日本と日本語」や「Learn Japanese」のMagical Japaneseは、動画で観たい人におすすめです。
ほかにも「NEWS WEB EASY やさしい日本語で書いたニュース」では、わかりやすい言葉でニュースが書かれています。多様なジャンルの情報が得られるため、興味のある記事も見つかるでしょう。難しい単語には辞書の説明が書かれています。漢字のふりがなを消すかどうか選べるため、読解の練習も可能です。
まとめ
日本語を勉強を始めたばかりの人は、敬語の正しい使い方や漢字の読み書きなどに苦戦する傾向にあります。好きな内容や興味のある分野から学習する方法を取り入れると、効率良く日本語を身に付けられるでしょう。日本人の友人と直接会話をしたり、日本語学習に特化した動画やアプリを利用したりするのもおすすめです。日本語学習には先述のWebサイトを活用するのも良いでしょう。WeXpats Guideでも日本語に関する記事を紹介しているので、あわせてチェックしてみましょう。