昨今の日本では少子高齢化による労働人口減少のため、定年退職の年齢が見直されてます。日本で働いている外国人のなかには、「定年まで働きたい!」「定年っていくつ?」と気になる人もいるでしょう。そこで、このコラムでは日本の平均的な定年の年齢を紹介します。また、2021年に施行された改正高年齢者雇用安定法による定年制度の変化や、定年延長と再雇用制度の違いも解説。長く働きたい方はチェックしてみましょう。
目次
日本の定年退職の年齢はいくつ?
厚生労働省の調査によると、2017年時点で定年制を設けているのは全企業の95.5%で、60歳を定年退職の年齢にしているところが多いです。ほとんどの日本企業では、職種に関わらず一定の年齢に達したら退職する一律定年制を採用しています。アメリカやイギリス、オーストラリアなどは「定年は差別だ」という考えのもと定年制を禁止・廃止していますが、日本ではいまだに根強い文化です。
日本で働く外国人は勤め先に定年制が導入されているのか、何歳で退職になるのかを確認しておきましょう。なお、昨今の日本では高齢者も経済社会で活躍できるよう法整備が行われています。65歳までは雇用確保措置を受けられるうえ、企業によっては70歳以上になっても働けるように制度を整えているため、勤務先を選ぶ際の参考にしてください。
参照元 厚生労働省「平成29年就労条件総合調査 結果の概況」
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日本の定年は高年齢者雇用安定法によって決まる
定年制を採用している日本の企業は、高年齢者雇用安定法に則って定年の設定、および就業規則の作成・改定を行います。2021年4月には労働者の多様性や社会的ニーズに合わせて、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。日本で定年まで働きたいと考えている外国人は、高年齢者雇用安定法をチェックしてみましょう。
定年は60歳以上
2021年時点で定年を60歳未満にするのは禁止されており、定年制を導入している企業は最低でも定年を60歳以上に指定しなければなりません。また、企業は従業員が65歳になるまで雇用確保を行うことが義務です。定年が65歳未満の場合は定年引き上げや継続雇用制度の導入、定年制の廃止などの高年齢者雇用確保措置が講じられています。
70歳までの就業確保は企業の努力義務
65歳を過ぎても就業意欲がある高齢者のために、改正高年齢者雇用安定法では70歳までの就業確保を企業に求めています。日本は少子高齢化が急速に進んでおり、労働力の確保が課題です。そのため、日本政府は65歳までの雇用確保措置を義務化したうえで、働きたい人は70歳まで就労できるように企業に環境整備を促しています。2021年時点では、70歳までの就業確保はあくまで企業の努力義務に留まるものの、労働力不足が加速すれば65歳の雇用確保措置のように義務化されるでしょう。
70歳まで就業機会が確保されていることにより、定年制を導入している企業で働く従業員は定年退職と継続雇用のどちらかを選択可能です。また、昨今の定年の引き上げに伴い、早期退職制度を採用している企業もあります。日本で働く外国人は、将来設計に合わせて退職するタイミングを考えましょう。
参照元 厚生労働省「高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~」
日本企業の定年制度の現状
日本では65歳まで雇用確保が義務付けられており、ほぼすべての企業が継続雇用制度の導入や定年の引き上げ、定年制の廃止などの措置を講じています。
厚生労働省が集計した「高年齢者の雇用状況」によると、65歳が定年の企業は全体の18.4%、継続雇用制度の導入は64.9%で定年制廃止は2.7%です。多くの企業は継続雇用制度で65歳まで雇用確保を行っており、場合によっては70歳以上でも働けます。なお、継続雇用制度の適用者は原則として希望者全員ですが、企業によっては健康面や能力面など一定の基準を満たさなければなりません。
参照元 厚生労働省「高年齢者の雇用状況」
定年延長と再雇用制度の違い
定年延長は勤務延長制度とも呼ばれており、定年に達しても退職することなく雇用を継続します。雇用形態や給与、業務内容がほとんど変わらないため、今まで通りに働ける制度です。一方で、再雇用制度は定年に達した際に一度退職し、再び雇用契約を交わします。退職前の役職を失ったり雇用形態が嘱託やアルバイトになったりするため、給与は下がる可能性が高いです。
高年齢者雇用確保措置としてさまざまな企業に導入されている継続雇用制度は、定年延長と再雇用制度に大きく分かれます。どちらを導入しているかによって収入や働き方が異なるので、定年後も働きたい外国人は勤務先の制度を確認してみましょう。
日本の定年については「日本の定年は何歳まで?外国との違いも紹介!」のコラムでも詳しく解説しています。再雇用制度や勤務延長制度といった定年後の雇用に関連する制度も紹介していますのでぜひご覧ください。
まとめ
日本の定年は60歳以上です。2021年には70歳まで働けるよう、改正高年齢者雇用安定法が施行されました。定年を迎えても65歳までは雇用確保が義務付けられており、企業によっては70歳まで就業機会が確保されているため安心して働けます。多様なニーズに合わせて働き方の選択肢は増えつつあるので、日本で働く外国人はライフプランを立てる際の参考にしてください。