温暖な気候に恵まれた日本では、古くから農業が盛んに行われてきました。しかし、昨今は農業を仕事にする若者が減り、高齢化が進んでいる状況です。人手不足を解消するために、日本政府は外国人労働者を積極的に受け入れる政策を打ち出しています。
この記事では、日本の農業従事者が高齢化している原因を解説。また、日本で農業関係の仕事に就くメリットもまとめています。
目次
日本の農業が外国人を必要としている理由
日本の農業が外国人を積極的に受け入れているのは、高齢化が進んでいるからです。また、後継者が育ちにくい状況なのも関係しています。
日本の少子高齢化が進んでいるから
日本社会は少子高齢化が進んでいるため、外国人の労働力を求めています。少子高齢化の主な原因として考えられるのは、晩婚化や未婚化が進んだことによる出生率の減少です。このほかにも、核家族化や子育て支援の不足などのさまざまな要因があり、子どもの数が減り続けています。
少子高齢化による労働力不足はさまざまな業界で起こっていますが、特に農業は深刻です。農林水産省の「農業労働力に関する統計」によると、2023年に農業を主な仕事としている自営業者(基幹的農業従事者)は116.4万人でした。2015年と比較すると約60万人ほど減少しています。年々農業従事者の人数は減り続けているうえ、平均年齢は68.7歳とほかの業界と比べても非常に高くなっている状況です。
上記のような理由から、農業では多くの外国人労働者を積極的に受け入れています。
農業の後継者がいないから
農業の後継者不足も、外国人の労働力が必要とされる要因です。日本の農業は、親の仕事を子どもが引き継ぐ「世襲」で成り立ってきました。しかし、昨今は収入が不安定な農業を継がずに都会に出て働く子どもが増えてきています。さらに、日本で農業を一から始めるのは多額の費用が掛かるため、新規で参入するのが容易ではありません。跡継ぎのいない農業従事者は事業を存続するために、外国人労働者の力を必要としています。
すでに日本では、さまざまな業界で外国人が活躍しています。「日本で働く外国人が多い職業ランキングを紹介!狙い目の業界や職種とは?」の記事では、多くの外国人が働いている業界・職種を紹介しているので、ぜひご覧ください。
参照元 農林水産省「農業労働力に関する統計」
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外国人が日本で農業をするメリット
外国人が日本で農業をすると、以下のようなメリットがあります。
社会保障が充実している
日本は年金保険や健康保険、労災保険などの社会保障が充実している国です。健康保険に加入していれば少ない負担で医療を受けられます。ほかにも、老後に年金が支給されたり仕事で負ったケガや病気に対しても保証があったりと、安心して暮らしやすい環境といえるでしょう。
雇用が安定している
農業は気候に左右される不安定な業種といえますが、農業法人に雇用された場合、すぐに職を失うということはめったにありません。日本では安直な解雇が法律で規制されています。海外では即時解雇が可能な国もありますが、日本では企業が労働者を簡単に解雇することは禁止です。一度就職したら、重大な契約違反や企業の経営悪化がない限り、長く勤め続けられます。
母国よりも高い給料を得られる
母国の賃金が低い人は、高い給料を得て働けるというメリットがあります。農業は賃金が低くなりがちな業界です。しかし、日本には最低賃金法という法律があり外国人にも適用されるため、ほかの職種と比べて極端に低賃金になることはありません。経営がしっかりしている農業法人に就職すれば、日本で農業のノウハウを学びつつ、母国で働くよりも高い賃金を得られます。
充実した福利厚生を受けられる
農業法人で働けば、充実した福利厚生を受けられる場合もあります。福利厚生とは、企業が従業員やその家族に対して提供するさまざまなサービスのことです。日本企業は従業員を満足させて長く働いてもらうために、さまざまな福利厚生を用意しています。個人農家よりも、株式会社や農事組合法人を運営する農業法人のほうが、充実した福利厚生を受けやすいでしょう。
参照元 農林水産省「農事組合法人制度の概要」
日本で農業に従事できる在留資格の種類
農業に関わる業務が許可されている在留資格がなければ、日本で働けません。ここでは、日本で農業の仕事に就ける在留資格を紹介します。
特定技能
「特定技能」は人手不足の業界のために作られた在留資格です。2024年4月時点では12種類あり、農業もそのうちの一つに含まれています。
特定技能「農業」の特徴は、幅広い業務に携われる点です。「耕種農業」と「畜産農業」の2種類の業務があり、どちらかの業務に従事できます。耕種農業であれば栽培管理や農作物の集出荷、畜産農業の場合は家畜の世話や畜産物の集出荷などの業務が可能です。
日本語と技能に関する試験に合格することで、特定技能1号の在留資格が取得できます。特定技能1号の在留資格で働けるのは最長で5年間ですが、特定技能2号に移行すれば、事実上無期限で日本に在留可能です。学歴や実務経験が問われないため、取得の間口が広い在留資格といえるでしょう。
技能実習
「技能実習」は、日本の技術を学ぶ外国人に付与される在留資格です。実務を通した実習なので、賃金を得ながら日本の農業を学べます。技能実習の在留資格で働けるのは最長で5年です。ただし、先述した特定技能の在留資格に変更すると、引き続き日本で働き続けられます。
なお、技能実習制度は今後廃止され、育成就労制度に変更される予定です。日本で農業をしたい人は、最新情報をチェックしておきましょう。
特定活動
在留資格「特定活動」は既存の在留資格に当てはまらない活動が許可され、いくつもの種類があります。農業に従事できる代表的な種類は「特定活動46号」です。特定活動46号は、日本の大学や大学院を卒業し、留学生活で培った高度な日本語能力を活かした仕事に就く外国人に付与されます。
特定活動46号を持つ外国人が農業分野で働く場合、技能実習生および特定技能外国人の通訳や指導業務が考えられるでしょう。通訳だけでなく、空き時間に農作業に従事することも可能です。
身分に基づく在留資格
身分に基づく在留資格は「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」の4つです。身分に基づく在留資格は仕事の制限がないため、業務や職種を気にせず農業に携われます。ふさわしい身分の人しか取得できないので、取得難易度は高いといえるでしょう。
留学(資格外活動許可)
在留資格「留学」を持つ留学生は、資格外活動許可を得れば農業に関するアルバイトができます。ただし、資格外活動許可で働けるのは週28時間以内です。夏休みや冬休みなどの学校が定めた長期休みであれば、1日8時間・週40時間のアルバイトが許可されます。
資格外活動許可を得ていない留学生がアルバイトをすることは違法なので、忘れずに申請しましょう。資格外活動許可は住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で申請できます。また、成田国際空港や羽田空港など、在留カードを受け取れる空港で入国する際も申請可能です。
留学生がアルバイトする際のルールについては、「留学生がアルバイトする際は資格外活動許可が必要!申請の仕方とは」や「留学生は春休みにどのくらいアルバイトできる?就労可能時間を解説」の記事で詳しく解説しています。
参照元 外務省「新たな外国人材の受入れ在留資格 特定技能」 外務省「制度の概要」 厚生労働省「外国人技能実習制度について」 出入国在留管理庁「在留資格「特定活動」」 出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」
まとめ
日本の農業は少子高齢化や後継者不足などの影響で、深刻な人手不足に陥っています。今後も多くの外国人を受け入れる予定のため、日本での就労に興味がある人や日本の農業技術を学びたい人はぜひチャレンジしてみてください。
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