技能実習生の指導員とは?役割や選任されるための要件について解説

2020年10月13日
佐藤安弘 (監修)
ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所
行政書士・特定社会保険労務士。在留資格の更新・変更申請業務の他、労務に関するコンサルティング業務に従事。都内専門学校にて、外国人留学生への講師業務もしており、会社・労働者双方の事情に詳しい。 https://www.ys-sr-office.com/

技能実習生の指導員とは、実習実施機関にて外国人技能実習生を直接指導する人です。十分に技能・技術を習得できているのか、計画どおりに進行しているのかといった視点から指導する役割を担います。実習実施機関は、技能実習指導員を1人以上選任しなければなりません。

この記事では、技能実習指導員の役割・選任に関する要件をまとめました。そのほか、技能実習指導員以外に選任が必要な人員(技能実習責任者・生活指導員)も紹介します。

技能実習指導員とは 

技能実習生の指導員とは、外国人技能実習生に対して、十分に技能・技術を習得できているのか、計画どおりに進行しているのかといった視点から指導する役割を担う人です。外国人技能実習生を受け入れる機関は、技能実習指導員を選任する必要があります。

・選任されるための要件 

技能実習指導員に選任される人は誰でも良いというわけではなく、以下のように要件が明確に定められています。

  • 技能実習を行わせる事業所に所属する者

  • 修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有している者

これら2つの要件に加えて、以下に挙げる3つのいずれにも該当しないことも要件とされています。以下は、欠格事由にあたるものです。

  • 法第十条第一号から第七号まで又は第九号のいずれかに該当する者

  • 過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者

  • 未成年者

参照:厚生労働省 法務省 技能実習制度 運用要領(令和2年4月)P.77~78

・欠格事由について 

上記に挙げた欠格事由のうち、「法第十条第一号から第七号まで又は第九号のいずれかに該当する者」が示す「法」とは、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」のことです。また、「法第十条」は、技能実習計画の認定における欠格事由を規定しています。

法務省および厚生労働省が作成した「技能実習制度 運用要領(令和2年4月)」より具体例を挙げると、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して5年を経過しない者(法第十条第一号)」は、技能実習指導員になれません。

参照:法務省 厚生労働省 「技能実習制度運用要領(令和2年4月)」P.77-78
技能実習法第10条第1号

・技能の経験に関する要件 

冒頭で紹介した要件のうち「修得等をさせようとする技能等について5年以上の経験を有している者」は、技能実習指導員に求められる技能の経験を示しています。これは、外国人技能実習生が十分な指導を受けられるように設けられた要件です。

ちなみに、ここでいう「5年以上の経験」は、必ずしも実習実施機関における経験のみに限定されていないため、実習実施機関以外の他機関における経験年数も含めて計算できます。

・複数の職種及び作業に係る技能実習を行わせる場合の要件 

実習実施機関によっては、外国人技能実習生に複数の職種及び作業に係る技能実習を行わせるケースもあります。こうした方針を取る機関の技能実習指導員は、実施する技能実習に関するすべての職種及び作業について5年以上の経験が必要となるため注意してください。

ただし、1人の技能実習指導員がすべての経験を網羅することが困難である場合には、職種及び作業ごとに異なる技能実習指導員を配置する対応も認められています。

技能実習指導員を養成する講習について 

選任に関する要件ではありませんが、技能実習指導員を養成する講習も存在します。法務省および厚生労働省がまとめた「技能実習制度 運用要領(令和2年4月)」によると、養成講習の受講は、技能実習の適正な実施および技能実習生の保護の観点から効果的です。

そこで2019年4月1日以降、養成講習の受講は、優良な実習実施者の基準に適合するための要件の加点要素に位置づけられています(直近過去3年以内の受講に限定)。

参照:法務省 厚生労働省 「技能実習制度運用要領(令和2年4月)」P105~106

・技能実習指導員講習の開催日程 

技能実習指導員講習の開催日程は、講習を実施する団体ごとにさまざまです。一例を挙げると、「株式会社ウェルネット」が東京都で実施する講習は1ヶ月間に3回〜7回ほどの頻度で開催されており、開催日は平日1日のみで済ませられるようにコース設定されています(2020年6月現在)。

開催日程は月ごとに異なるほか事前の申込み・予約が必要となるので、受講を検討している場合には、なるべく早く公式Webサイトなどで確認しましょう。このほか、土日に講習を実施する団体も存在します。

・技能実習指導員講習の講習内容 

技能実習指導員講習の内容は、主務大臣が定めています。講習を行う団体自体が内容を充実させることはできますが、ほとんどの団体で講習内容は共通しているのが現状です。

法務省および厚生労働省は「技能実習制度 運用要領(令和2年4月)」の中で、講習内容(合計5.5時間)を以下のとおりまとめています。

  • 外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律について(1時間)

  • 労働基準法及び関係労働法令について(1時間)

  • 技能実習指導の行い方(1.5時間)

  • 技能実習生との向き合い方について(0.5時間)

  • 労働災害防止・労働災害時対応について(1時間)

  • 理解度テスト(0.5時間 ※日本語での実施)

ちなみに、講習時間についても各実施団体の間で大きな差異は見られません。具体例を挙げると、9時あるいは10時といった午前中の時間帯から開始して、昼食を含む数回の休憩を挟みつつ、16時あるいは17時といった時間帯に終了するケースが多いです。

参照:法務省 厚生労働省 「技能実習制度運用要領(令和2年4月)」P301~302より

技能実習指導員の他に選任が必要な人員 

実習実施機関では、技能実習指導員の他にも欠かせない以下の人員が存在します。

  • 技能実習責任者

  • 生活指導員

ちなみに、技能実習指導員と上記2つの人員は、それぞれ求められる要件を備えれば兼務も認められています。それぞれの特徴や役割・選任されるための条件を見ていきましょう。

・技能実習責任者 

技能実習責任者とは、自身の所属する技能実習機関が行う技能実習を管理・運営する責任者をさします。

・技能実習責任者の役割 

技能実習責任者は、技能実習指導員や生活指導員をはじめ技能実習に関わる人員を監督するだけでなく、技能実習の進捗状況を管理します。そのほか、技能実習責任者が統括・管理する事項は以下のとおりです。

  • 技能実習計画の作成に関すること

  • 技能実習生が修得等をした技能等の評価に関すること

  • 法務大臣および厚生労働大臣若しくは機構または監理団体に対する届出・報告・通知その他の手続に関すること

  • 帳簿書類の作成・保管や実施状況報告書の作成に関すること

  • 技能実習生の受入れの準備に関すること

  • 監理団体との連絡調整に関すること

  • 技能実習生の保護に関すること

  • 技能実習生の労働条件・産業安全および労働衛生に関すること

  • 国および地方公共団体の関係機関・機構その他関係機関との連絡調整に関すること

参照:厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」第12条第1号

・技能実習責任者になるための条件 

技能実習責任者になるための条件は、実習実施者・常勤の役員・職員のうち以下のいずれの要件にも該当することです。

  • 自己以外の技能実習指導員、生活指導員その他の技能実習に関与する職員を監督することができる立場にある者

  • 過去3年以内に技能実習責任者に対する講習(主務大臣が告示した養成講習機関が実施する講習)を修了した者

上記に加えて、技能実習指導員と同様の欠格事由が定められているほか、新人職員を形式だけの技能実習責任者として選任することは禁止行為です。

参照:厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」第13条

・生活指導員 

生活指導員とは、外国人技能実習生の生活を指導する人をさします。

・生活指導員の役割 

生活指導員は、外国人技能実習生に対して、生活上の留意点に関する指導・生活状況の把握・相談への対応などを実施して、問題の発生を未然に防止する役割を担います。ちなみに、生活指導員は必ずしもすべての生活指導を自身のみで実施しなければならないわけではなく、補助者を付けることも可能です。

・生活指導員になるための条件 

生活指導員になるための条件は、技能実習を行わせる事業所に所属する者のうち、技能実習指導員と同様の欠格事由に該当しないことです。

参照:厚生労働省「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則」第12条第3号

まとめ

技能実習指導員は、外国人技能実習生を直接指導する役割を担う人です。実習実施機関では、技能実習指導員を最低1人選任しなければなりません。また、技能実習指導員を養成する講習は、優良な実習実施者の基準に適合するための要件の加点要素となっている点も把握しておきましょう。

さらに、実習実施機関では、技能実習責任者・生活指導員という人員も選任が必要です。各人員の役割・選任要件を把握したうえで、怠ることなく外国人技能実習生の受け入れ準備を進めましょう。