技能実習から特定技能への在留資格変更方法を紹介!メリット、特例措置も

2020年10月29日
古橋洋美 (監修)
古橋洋美行政書士事務所
平成28年5月行政書士として静岡県にて独立開業。当初から外国人在留資格関連業務、帰化申請業務を数多く手掛けている。主に就労系在留資格関連業務を得意とし、技能実習生の法的保護講習の講師も行っている。また日本で暮らす外国人の支援を行うNPO法人のスタッフとして外国籍の子供たちへの就学支援、若者への職業訓練を行うなど在留資格取得のみならず来日後の外国人とも深く関わっている。Facebook:https://www.facebook.com/profile.php?id=100012298991755/Twitter:@gyoseihiromi05 https://ameblo.jp/gyosei-hiromi

技能実習から特定技能への在留資格変更は可能ですが、業種をはじめいくつかの条件があるため注意が必要です。また、手続きでは書類の作成・提出が必要となるため、念入りに準備しましょう。

この記事では、技能実習から特定技能への在留資格変更について、手続き方法、メリット、関連する特例措置を中心に紹介します。技能実習と特定技能の違い、変更を検討すべきタイミングもまとめたので、在留資格変更の検討時にご活用ください。

技能実習から特定技能への在留資格変更は可能

技能実習から特定技能に在留資格を変更することは可能です。ただし、変更できる職種には制限が設けられています。この他にも、変更には条件があるため注意が必要です。

この章では変更の条件を詳しく紹介しますが、まずは技能実習と特定技能とはどういった在留資格なのか、相違点とともに見ておきましょう。

技能実習と特定技能の違い

ここからは、技能実習と特定技能の違いを6項目に分けて紹介していきます。

制度の目的 

技能実習とは開発途上国の経済発展に向けた知識・技術を伝達するための制度です。これに対して、特定技能とは日本企業の労働力不足を解決する目的を持つ制度となります。

対象となる国 

技能実習の対象国は、インド・インドネシア・ウズベキスタン・カンボジア・スリランカ・タイ・中国・ネパール・パキスタン・バングラデシュ・フィリピン・ベトナム・ペルー・ミャンマー・モンゴル・ラオスの16カ国です。

これに対して、特定技能の対象国は、原則としてイラン、トルコ等の一部の国を除き、すべての国が対象となります。実際には日本と「特定技能」に係る協力覚書を締結している国籍の外国人材の受入れが多くなると思われますが、協力覚書を締結した国でなければ受入れできないというものではありません。

在留期間 

技能実習の在留期間は、最長5年です(団体監理型)。内訳は、技能実習1号が1年以内・技能実習2号が2年以内・技能実習3号が2年以内となります。これに対して、特定技能の在留期間は通算5年です(1号)。

技能水準 

技能実習では外国人実習生について受け入れ時における技能水準は設けられていませんが、特定技能では在留資格の取得について相当程度の知識または経験が求められます。

雇用できる人数 

技能実習では常勤職員の総数に応じて雇用できる人数に制限が設けられていますが、特定技能では介護・建設分野を除いて雇用人数に制限はありません。

転籍・転職の規定 

技能実習での転籍・転職は、やむを得ない場合(企業の倒産など)および2号から3号への移行時を除き原則として不可能です。これに対して、特定技能では、同じ業務区分内または業種ごとに定められた技能試験に合格すれば異業種であっても転職できます。

技能実習から特定技能に変更できる職種 

技能実習の職種及び作業が特定技能の受入れが出来る下記14分野に該当する場合、特定技能に無試験で移行することが可能です。

  • 介護

  • ビルクリーニング

  • 素形材産業

  • 産業機械製造業

  • 電気・電子情報関連産業

  • 建設

  • 造船・舶用工業

  • 自動車整備

  • 航空

  • 宿泊(2020年2月25日には、技能実習2号への移行対象職種としても認定)

  • 農業

  • 漁業

  • 飲食料品製造業

  • 外食業(2018年11月16日から医療・福祉施設給食製造が対象職種に)

技能実習から特定技能への変更条件 

技能実習から特定技能への変更では、外国人本人に以下のような条件が求められます。

  • 技能実習2号を良好に修了している

  • 技能実習と特定技能1号で職種・作業内容が合致している

上記のとおり、特定技能への移行には技能実習2号の修了が求められますが、技能実習2号および3号に移行可能な職種も以下のとおり定められており注意が必要です。

  • 農業関係(2職種6作業) 

  • 漁業関係(2職種10作業)

  • 建設関係(22職種33作業) 

  • 食品製造関係(11職種16作業)

  • 繊維・衣服関係(13職種22作業) 

  • 機械・金属関係(15職種29作業)  

  • その他(16職種29作業) ※家具製作・印刷など

新型コロナにより解雇された技能実習生への特例措置 

従来は規定の業種でのみ就労を許可されましたが、現在は新型コロナウイルス拡大の影響で解雇された技能実習生などには他業種での労働も認める特例措置が講じられています。

新型コロナウイルス拡大による実習先の経営悪化などで技能実習の継続が困難となった場合、「特定技能外国人の業務に必要な技能を身に付けることを希望している」など一定要件を満たせば、特定活動(最大1年・就労可)に在留資格を変更可能です。

ここで技能試験に合格し、新たな受入先企業が見つかれば他業種への転職も認められ、そのまま特定技能として就労することもできます。

技能実習から特定技能への変更を検討すべきタイミング 

技能実習から特定技能への変更手続きは、技能実習の在留期限内に済ませなければなりません。期限内に変更手続きを済ませられないと、本人には一度帰国してもらい、在留資格認定申請により呼び戻す必要があります。

手続き期間は、多くの社内外資料を収集しながら特定技能の要件を満たすために社内制度を見直す必要もあるため、2ヶ月程度と捉えておきましょう。手続きにかかる期間を踏まえて、約3〜4ヶ月前からゆとりを持って変更の検討を始めることをおすすめします。

技能実習から特定技能に変更するメリット

ここでは、外国人本人から見た、技能実習から特定技能に在留資格を変更するメリットを紹介します。

在留期間が延長される 

特定技能に在留資格が変更されると、在留期間が通算5年間延長されます。技能実習では2号まで修了している場合、3号の在留期間は最長で2年間ですので、3号に移行した場合と比較して3年程度在留期間延長が期待できます。

雇用先・選択肢が広がる

特定技能は、日本の労働力不足の解消を目的とする制度です。2019年施行の比較的新しい制度ですが、今後は多くの企業が雇用確保のために利用すると推測されます。なお、特定技能では直接雇用できるため、技能実習より手間が少ない点も企業側にとって魅力的です。

以上のことから、特定技能の在留資格では、技能実習よりも雇用先・選択肢が広がる可能性があります。

無期限で滞在できる特定技能2号への移行も狙える 

2020年8月現在、建設業・造船舶用工業については、特定技能1号から2号への移行が狙えます。これらの業種では、特定技能1号の終了後に業種を所管する省庁が定める試験に合格することなどで特定技能2号への移行が可能です。

特定技能2号に移行すると無期限で滞在できるようになるため、日本での継続的な就労を希望する外国人にとって魅力的なメリットといえます。

技能実習から特定技能への変更手続き

技能実習から特定技能への変更手続きは、必要書類を地方出入国在留管理局・支局に提出し行います。

特定技能への変更に必要な書類 

必要書類は、以下のとおりです(※)。

  • 在留資格変更許可申請書 1通(地方出入国在留管理局・支局で用紙の用意あり)

  • 写真(縦4cm×横3cm)   1葉(申請前3か月以内に正面から撮影された無帽・無背景で鮮明なもの)

  • 申請人のパスポートおよび在留カード   提示

  • その他、法務省作成「特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表」で求められる書類

申請後の審査過程では上記以外の資料が求められるケースもあります。不明点がある場合は、最寄りの地方出入国在留管理局・支局に相談しましょう。

参照:法務省「在留資格変更許可申請「特定技能」(すでに日本に在留している外国人の方で,特定技能への移行を希望している方)」

技能実習から特定技能に変更する際の特例措置

2020年8月現在、新型コロナウイルス拡大による影響を受けた技能実習生に対して特例措置が講じられています。ここでは、先述の「新型コロナの影響で解雇されたケース」以外の特例措置をまとめました。

特例措置を受ける条件 

特例措置を受けるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります(※)。

  • 本国への帰国が困難である(特定活動(6ヶ月・就労可)または特定活動(6ヶ月・就労不可))

  • 技能検定などの受検が速やかにできない(特定活動(4ヶ月・就労可))

  • 技能実習2号を修了する人のうち特定技能1号へ移行準備がまだ整っていない(「特定活動(4ヶ月・就労可)」)

上記いずれかの条件を満たせば、それぞれ右記した在留資格の付与対象となります。

参照:出入国在留管理庁「新型コロナウイルス感染症の拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて」p1より

特例措置を受ける方法 

特例措置を受けるには、必要書類を提出します。必要書類はケースにより異なるため注意しましょう。ここでは、本国への帰国が困難な人のうち特定活動(6ヶ月・就労可)への変更を希望していて、同じ受入れ機関で引き続き就労する場合の必要書類を紹介します(※)。

  • 在留資格変更許可申請書または在留期間更新許可申請書

  • 帰国が困難であることについて、合理的理由があることを確認できる書類

  • 監理団体または実習実施者が作成した理由書

その他のケースの必要書類については、法務省および出入国在留管理庁のWebサイトなどをチェックして確認しましょう。

参照:法務省「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた技能実習生の在留諸申請の取扱いについて」

特例措置の注意点

特例措置を受ける際の注意点は、以下のとおりです。

  • 付与される特定活動の種類はケースごとに異なる

  • 手続きに必要な書類はケースごとに異なる

上記の点に注意して、なるべく早く変更申請を行いましょう。

まとめ

技能実習から特定技能への在留資格変更は可能ですが、職種をはじめいくつかの条件があるため注意が必要です。また、手続きには2ヶ月ほどの期間がかかると想定して、3〜4ヶ月ほど前から準備を始めましょう。

新型コロナウイルスで影響を受けた技能実習生が確実に特例措置を受けられるよう、念入りに準備・申請してください。