脱退一時金とは?対象となる外国人や手続きについて解説【行政書士監修】

濵川恭一
濵川恭一
脱退一時金とは?対象となる外国人や手続きについて解説【行政書士監修】

雇用していた外国人が退職して帰国する際に、脱退一時金について質問される場合があります。脱退一時金とは、支払った年金保険料が掛け捨てにならないように一部が払い戻される制度です。払い戻される額は、年金を納めた日数や年収によって変わります。

外国人の中には、年金の加入を拒む人が少なくありません。その場合、強制的に押し付けるのではなく、脱退一時金について説明し理解を得ましょう。支給される脱退一時金の額も伝えられると、より説得力が増します。

この記事では、脱退一時金の支給条件や請求手続き、支払い時期について解説します。脱退一時金についての知識を深め雇用前に説明できると、外国人が安心して働けるでしょう。

目次

  1. 脱退一時金とは?
  2. そもそも外国人は年金制度に加入する?
  3. 脱退一時金の支給条件
  4. 脱退一時金の請求手続きや支給時期について
  5. 脱退一時金の支給額の計算方法
  6. 脱退一時金に関する注意点
  7. 企業は外国人労働者に脱退一時金の説明をしよう
  8. まとめ

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脱退一時金とは?

脱退一時金は、外国人が年金の支給開始より前に帰国する場合、支払った年金保険料の一部が払い戻される制度のことです

日本で年金保険料を納めていた外国人が帰国後に再来日せず、老齢年金の支給条件を満たさない場合の救済措置として創設されました。年金保険料が掛け捨てになるのを防ぐための制度で、払い戻される金額は年金を納めた日数と年収によって異なります。

脱退一時金は、外国人の出国後にドルやユーロなどの外貨で銀行口座に振り込まれます。日本国内の外国人本人名義の銀行口座を指定することにより、日本円での受け取りも可能です。ただし、ゆうちょ銀行および一部インターネット専業銀行では脱退一時金を受け取れません。

そもそも外国人は年金制度に加入する?

外国人も、日本人と同じように年金制度に加入しなければなりません。将来的に母国への帰国を予定している場合も同様です。なぜ外国人も年金に加入しなければいけないのかを、以下で説明します。

20歳以上60歳未満の外国人は年金加入が義務

年金制度は、日本に住所を持つ20歳以上60歳未満の全ての人が対象です。国籍での区別はされていないため、外国人にも日本人同様に加入義務があります

ただし、留学生には学生納付特例制度も適用されます。留学生の方は忘れずに手続きしておきましょう。

なお、外国人が日本国籍を取得するための必要な帰化申請の際には、年金の支払い状況が必ず確認されます。在留資格「永住者」を申請する際も同様です。そのため、将来的に日本で国籍を取得し長く働きたいと考える外国人にとって、年金の加入は特に重要といえます。

将来帰国を予定している場合も支払う

将来、母国への帰国を予定している外国人も年金への加入義務があります。なぜなら、年金制度は個人が自分のために積み立てるのが目的ではなく、現在働いている人が支払ったお金を高齢者に給付するための仕組みだからです。

そのため、短期滞在者や19歳未満・60歳以上に当てはまらない外国人は、年金への加入義務があります。さらに、強制適用事業所で働いている外国人は、日本人と同じく国民年金に加えて厚生年金の保険料も納めなければなりません。強制適用事業所とは、株式会社といった法人や従業員5人以上の個人事業所を指します。

企業は外国人に年金制度について説明する責任がある

外国人を雇用する企業には、従業員が納得して年金を支払うように年金制度について説明をする責任があります。年金制度に加入するメリットとして、10年以上納付期間があると日本の年金が支給されることを説明しましょう。年金受給年齢になった時に日本に住んでいなくても支給されます。

10年以上と聞くと長いように感じられますが、該当する外国人が少ないわけではありません。たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ人の中には、培ったスキルを生かし長く日本で働く人がいます。また、技能実習と特定技能はそれぞれ最長5年、日本への滞在が可能です。そのため、技能実習から特定技能に移行した人は、将来的に年金の受給条件に当てはまる可能性が高いといえます。

外国人の中には「10年未満で帰国するから年金を支払いたくない」と言う人もいるでしょう。そうした場合、単に「義務だから」と強制するのではなく、日本の年金制度の目的や仕組みを説明し、理解を得ることが重要です。

脱退一時金の支給条件

外国人に脱退一時金の話をすると、「自分には支給されるのか」と質問されるケースが考えられます。急に聞かれても慌てないように、脱退一時金の支給条件を把握しておきましょう。脱退一時金の支給条件と対象外になる場合は以下のとおりです。

【脱退一時金の支給条件】

  • 日本国籍でないこと

  • 公的年金制度(国民年金または厚生年金保険)の被保険者でないこと

  • 年金保険料の納付期間が6ヶ月以上10年未満であること

  • 老齢年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間などを合算して10年間)を満たしていないこと

  • 障害基礎年金を含む年金を受ける権利を有したことがないこと

  • 日本に住所を有しないこと

  • 最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していないこと

「日本に住所を有しないこと」が脱退一時金を受け取る条件であるため、日本を出国してからでないと請求できません。

【脱退一時金の支給対象外となる条件】

  • 年金の被保険者となっている場合

  • 日本国内に住所を有する場合

  • 障害基礎年金といった年金を受けている場合・過去に受けた経験がある場合

  • 最後に社会保険の資格を喪失した日から2年以上経過している場合

ただし、公的年金制度の被保険者資格を喪失した日に日本に住所を有していた場合は、資格喪失後に初めて日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内であれば請求できます。

社会保障協定について

社会保障協定とは、外国人の社会保障制度にまつわる不利益を無くすために、各国間で結ぶ協定のことです。

年金の二重払いや掛け捨てを防止するための協定

社会保障協定は、年金や保険料の二重支払いを防ぎ、日本と相手国における年金加入期間を通算するために創設されました。社会保障協定を結んでいる国から来た外国人が日本で年金を納めた場合、支払い期間は母国の年金加入期間に通算されます。

ただし、日本に滞在する年数が短いと、母国に年金を納めるように取り決められている場合もあります。相手国によって異なりますが、滞在年数が5年以内であれば母国、5年以上であれば日本で支払うという協定内容が一般的です。

社会保障協定を結んでいる国から来た外国人は、支払った年金保険の受け取り方を以下のどちらかから選べます。

  • 日本出国後、すぐに脱退一時金を受け取る

  • 帰国後、母国の加入期間と通算して将来的に老齢年金として受給する

なお、社会保証協定を結んでいる国の人の中には、両国の年金に加入している人もいます。将来受け取る年金がそれだけ多くなりますし、リスクヘッジにもなります。こうした選択肢もあるということを外国人社員に伝えてあげるのもよいでしょう。

協定を締結している国は一部

社会保障協定を結んでいる国は、2024年9月時点で以下の23ヶ国です。

ドイツ・英国・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー・インド・ルクセンブルク・フィリピン・スロバキア・中国・フィンランド・スウェーデン・イタリア

なお、英国・韓国・中国・イタリアとの協定内容は「保険料の二重負担防止」のみです。

社会保障協定の注意点

外国人が脱退一時金の支給を受けた場合、日本で年金を納めた期間は母国での年金加入期間として通算されなくなるので注意が必要です。社会保障協定を結んでいる国から来た外国人に脱退一時金の説明をする際は、トラブルを防ぐためにこの注意点を伝えましょう。

また、社会保障協定の内容は、国によって異なります。おおまかな部分は共通していても、細かい適用条件やルールが異なる場合があるので、雇用する外国人の国籍ごとに協定内容を確認しましょう。詳しい協定内容は、日本年金機構のWebサイトで確認できます。

参照元
日本年金機構「社会保障協定」
厚生労働省「海外で働かれている皆様へ(社会保障協定)

脱退一時金の請求手続きや支給時期について

脱退一時金の請求手続きについて知っておくと、帰国する外国人から質問を受けた際にスムーズにフォローできるでしょう。以下では、請求に必要な書類・提出先・提出方法・提出時期・支給時期について解説しています。

請求する際に必要な書類

脱退一時金を請求する際には、「脱退一時金請求書」と「添付書類」が必要です。

脱退一時金請求書

脱退一時金請求書は外国語と日本語が併記された様式で、以下の14ヶ国語に対応しています。

英語・中国語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・インドネシア語・フィリピノ(タガログ)語・タイ語・ベトナム語・ミャンマー語・カンボジア語・ロシア語・ネパール語・モンゴル語

脱退一時金請求書は、以下の方法で入手できます。

添付書類

脱退一時金申請に必要な書類と確認される事項、注意点などは以下のとおりです。

【パスポート(旅券)の写し】

  • 氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格の確認できるページの写しを用意する

  • 本人からの請求であることを確認するために必要

【日本に住所を有しないことを確認できる書類】

  • 住民票の除票の写しやパスポートの出国日が確認できるページの写しなど

  • 日本から出国していることを確認するために必要

  • 帰国前に市区町村に転出届を提出している場合は不要(ただし、日本年金機構が外国人のアルファベット氏名の管理を開始した「平成24年7月」以前から被保険者である場合など、日本年金機構でアルファベット氏名を把握しておらず、住民票の消除情報を確認できない場合には、提出が必要)

【受取先金融機関名・支店名・支店の所在地・口座番号・請求者本人の口座名義であることを確認できる書類】

  • 金融機関が発行した証明書または「銀行の証明」欄に銀行の証明がある請求書など

  • 受取可能な金融機関であること、および請求者本人名義の口座であることを確認するために必要

  • 日本国内の金融機関で受け取る場合は、口座名義がカタカナで登録されていることが必要

【基礎年金番号を明らかにできる書類】

  • 基礎年金番号通知書または年金手帳など

  • 年金の加入期間の確認するために必要

【委任状(代理人が請求手続きを行う場合)】

脱退一時金は基本的に外国人本人が請求手続きをしますが、代理人が行うことも可能です。詳しくは、後ほど解説します。

提出方法・提出時期・提出先

脱退一時金の申請書類の提出方法・提出時期・提出先は以下のとおりです。

  • 提出方法:郵送・電子申請(旅行など就労以外の目的で来日した場合には、年金事務所または街角の年金相談センターの窓口での提出が可能)

  • 提出時期:外国人が日本の住所を有しなくなって出国後2年以内

  • 提出先:日本年金機構本部または各共済組合など

日本滞在中に加入していた年金が国民年金または厚生年金保険のみである場合、請求先は日本年金機構です。共済組合に加入していた場合は、期間や最後に加入していた機関によっては各共済組合が請求先になる場合があります。詳しくは、日本年金機構のWebサイト「脱退一時金を請求する方の手続き」をご覧ください。

支給時期

脱退一時金の支払いは、提出書類の不備や確認事項がなければ、請求書受理後4ヶ月ほどで行われます。書類に不備がある場合、脱退一時金の支給額の決定および支払いまでに時間がかかる可能性があることも外国人に伝えましょう。

支給が決定すると日本の銀行経由で脱退一時金が入金され、同時に「脱退一時金支給決定通知書」が送付されます。

参照元
日本年金機構「脱退一時金を請求する方の手続き」
日本年金機構「脱退一時金に関する手続きをおこなうとき」
日本年金機構「ねんきんダイヤル」
日本年金機構「年金相談や手続きを代理人に委任するとき

脱退一時金の支給額の計算方法

脱退一時金は、年金保険料を納付した期間に基づき計算されます。以前は支給上限が3年とされていましたが、2021年4月の法改正により5年に変更されました。つまり、変更前は3年以上年金保険料を納付しても3年間しか支給対象とされませんでしたが、最大5年間まで引き上げられたということです。

前述したとおり、脱退一時金は外貨で支払われます。支給額を計算する際には、申請書を提出した時点の為替レートではなく、支給が決定された月の平均為替レートが採用されるのが決まりです。外国人から質問された際に説明できるように、脱退一時金の支給額の計算方法を確認しておきましょう。

国民年金の場合

国民年金の脱退一時金は、最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額と、保険料納付済期間の月数によって決まります。

【支給額の計算方法】

支給額=最後に保険料を納付した月が属する年度の保険料額×2分の1×支給額計算に用いる数

支給額計算に用いる数は、日本年金機構のWebサイト「脱退一時金の制度」に記載されています。同機構のWebサイト「国民年金の脱退一時金額」でも国民年金脱退一時金の支給金額の一覧が掲載されているので、外国人にこちらの表を提示しても良いでしょう。

厚生年金の場合

厚生年金の脱退一時金については、概算額の計算方法と正確な額の計算方法の2つがあります。

概算額の計算方法

入社した外国人に脱退一時金について説明する際は、年収が確定していないため正確な金額は伝えられません。以下の概算額の計算方法を用いて、おおよその金額を伝えましょう。

【概算額の計算方法】

概算の支給額=過去の年収×9%

例:給与23万円・賞与年間25万円で年収301万円の人が厚生年金に3年加入した場合

301万円×3年×9%=81万2700円

この式で求められるのは、あくまでも概算額です。実際の支給額とは異なることを必ず説明しましょう。

正確な額の計算方法

外国人が退職する際は年収が確定しているため、脱退一時金の正確な金額を計算できます。退職時に外国人から脱退一時金の受け取り金額について聞かれた場合は、以下の計算方法で求めた金額を伝えましょう。

【正確な金額の計算方法】

正確な支給額=被保険者であった期間の平均標準報酬額×支給率(厚生年金保険料率×2分の1×支給率計算に用いる数)

例:給与23万円・賞与年間で25万円で年収301万円の人がが厚生年金に3年加入した場合

平均標準報酬額:(23万円×36ヶ月+25万円×3回)÷36ヶ月=25万0833円

支給率18.3%(厚生年金保険料率)×2分の1×36(支給率計算に用いる数)=3.3

正確な支給額=25万0833円×3.3=82万7749円

なお、支給額から所得税が引かれますが、還付申告をすると還付されることも併せて外国人に伝えると良いでしょう。

参照元
日本年金機構「脱退一時金の制度」
日本年金機構「国民年金の脱退一時金額」
日本年金機構「Q厚生年金保険の脱退一時金として、いくらもらえますか。」
日本年金機構「厚生年金保険料額表

脱退一時金に関する注意点

脱退一時金には、「受け取ると日本での年金加入期間が消失する」「請求書受理日に日本に住所があると適用外になる」といった注意点があります。外国人が受け取れる年金の額に関係する注意点もあるので、トラブルにならないように企業側も押さえておきましょう。

脱退一時金の請求手続きは外国人本人が行う

退職時には企業が対応する手続きもありますが、脱退一時金の申請は基本的に外国人本人が行うと定められています。手続きをするのが企業でないことを、事前に外国人労働者へ伝えましょう。企業が手続きすると外国人が誤解している場合、脱退一時金の支給が行われず退職後にトラブルが生じる可能性があります

ただし、外国人が頼んだ代理人によって脱退一時金の請求手続きを行うことも可能です。企業が代理人となる場合は、外国人が退職・帰国する前に必要書類を準備しておくと手続きがスムーズに進むでしょう。外国人の退職・帰国後に必要書類を用意しようとするとやり取りが煩雑になり、手続きが滞る恐れがあります。

脱退一時金を受け取ると年金加入期間が消失する

脱退一時金を受け取ると、日本での請求以前のすべての年金加入期間が消失します。したがって、一度帰国したあとに再来日して働き、通算10年以上年金に加入しようと考えている外国人は、注意が必要です。将来的に日本の老齢年金の支給を希望している場合、脱退一時金を受け取らない選択肢もあります。

なお、社会保障協定を結んでいる国の場合も、脱退一時金を受け取ると、前述したように日本でのすべての年金加入期間が消失します。その結果、母国での年金加入期間として通算されなくなるため、年金加入期間が短くなるのです。

なお、脱退一時金には受給回数に制限がありません。脱退一時金を一度受け取った外国人でも、再来日して就労後に支給条件を満たせば、帰国後に再び申請できます。再来日する可能性が高い外国人の場合、併せて伝えると親切です。

請求書受理日に日本に住所があると適用外になる

日本年金機構や共済組合が脱退一時金請求書を受理した日に日本にまだ住所がある場合は、制度の適用外となります。そのため、居住地を管轄する自治体に転出届を提出したあとで、脱退一時金を請求しなければなりません。

出国前に日本国内から脱退一時金請求書を提出する際は、住民票の転出予定日以降に届け出る必要があります。郵送で手続きをする場合には、転出予定日以降に脱退一時金請求書が日本年金機構や共済組合に届くように投函すると良いでしょう。

受け取るには再入国する場合でも転出届が必要となる

一時的に帰国し短期間で再来日する予定の外国人が、再入国許可みなし再入国許可を受けて出国する場合、脱退一時金を請求できるか気になる企業もあるでしょう。この場合、自治体に転出届を提出していれば、脱退一時金の請求・受け取りが可能です。

転出届を提出せずに再入国許可・みなし再入国許可を受けて出国した場合、外国人は引き続き国民年金の被保険者であるとみなされます。したがって、再入国許可・みなし再入国許可の有効期限が過ぎるまでは脱退一時金を請求できません。

確定拠出年金の手続きも忘れずに

確定拠出年金制度を導入している企業もあるでしょう。その場合は、手続き方法や必要書類が異なります。申請場所は年金事務所ではなく、各共済組合などになりますので、ご注意ください。

参照元
日本年金機構「Q代理人を通じて、脱退一時金の請求を行うことはできますか。」
日本年金機構「Q脱退一時金を請求するにあたって、どのような点に注意すればよいですか。」
出入国在留管理庁「再入国許可(入管法第26条)」
出入国在留管理庁「みなし再入国許可(入管法第26条の2)

企業は外国人労働者に脱退一時金の説明をしよう

「年金について説明すると加入を拒む外国人がいる」という話は、よく聞きます。外国人が年金への加入を拒否する理由の一つが「給与の手取りが減るから」です。ほかにも、「将来的に帰国するため年金の支給を受けないのに、保険料を払わないといけないのは嫌だ」という理由も挙げられます。

外国人が年金への加入を拒む場合、「脱退一時金を受け取れるため掛け捨てにならない」と説明しましょう。脱退一時金の概算額を示すと、より納得してもらいやすくなります。押し付けではなく説明を聞いて理解できると、外国人も安心して働けるでしょう。

まとめ

近年、日本で働く外国人が増えており、働き方が多様化しています。長期間の就労を視野に入れている外国人がいる一方で、日本で働きスキルを身に付けて数年で帰国したい人もいるのです。日本で働く年数により、脱退一時金もしくは年金が支給されるかが異なります。自社で働く外国人を応援する意味でも、脱退一時金制度についての知識を深め説明できるようになりましょう。

なお、外国人が一時帰国する際に、再雇用を前提として一旦退社し、脱退一時金を受け取るケースが散見されています。これは本来の脱退一時金の趣旨とは異なります。現時点で罰則などはありませんが、同じ会社でこうしたケースが多くなると審査が厳しくなる可能性があるためご注意ください。

濵川恭一

監修:濵川恭一

外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net