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入管法は正式名称を「出入国管理及び難民認定法」といいます。数年毎に改正されており、なかでも2019年の改正で創設された在留資格「特定技能」は大きな話題になりました。
このコラムでは、2019年4月の入管法改正について解説します。また、2021年に国会に提出されたのちに取り下げられた、入管法改正案も紹介。外国人雇用を考えている企業は参考にしてください。
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目次
入管法の正式名称は「出入国管理及び難民認定法」といいます。その名のとおり、日本への出入国を管理し、難民認定に関する内容を定めることを目的とした法律です。
日本への入国および出国は、入管法によって管理されています。
外国人が日本に入国・上陸するためには、有効なパスポートを提示したうえで、入国審査官に上陸申請をし、審査を受けなくてはなりません。入国審査官は入管法に基づいて審査を行い、結果によっては上陸を拒否することができます。
入管法は、外国人だけでなく日本人の出入国についても規定を定めています。日本人も入国審査官の確認を受けなくては出国や入国ができません。原則、入国審査官にパスポートを提示し、出国・帰国の証印を受けて初めて日本を出入りできます。
外国人に対する在留資格の付与や違反行為の罰則なども、すべて入管法によって定められてます。外国人は与えられた在留資格の範囲を超えての就労は不可です。不法に就労した場合は入管法第73条により罰せられます。加えて入管法第24条により強制的に退去強制となり、一定期間日本への再入国ができません。このように、さまざまな決まりを設け外国人の生活や就労を管理しているのが入管法です。
難民に関するさまざまな取り決めをしているのも、入管法です。
何らかの理由で母国を追われ、他国に保護や援助を求める人を難民といいます。日本で難民に認められれば「定住者」の在留資格が与えられ、国民年金や児童扶養手当、福祉手当などを得ることが可能です。難民として入国する外国人のなかには、自らの状況を偽り保護を求める「偽装難民」もいます。なお、近年の難民認定率は、約0.5%です。つまり、難民申請をしているほとんどの外国人が偽装難民です。難民申請中の外国人を雇用する時はこの点を知っておいてください。
出入国在留管理庁は本来守るべき対象を適切に見極めるため、入管法のもと審査を行い必要に応じて難民認定証明書を交付するのです。
入管法については、「出入国管理及び難民認定法とは?外国人を雇用する企業に向けて解説」で詳しく解説しているので、ご参照ください。
参照元
出入国在留管理庁「出入(帰)国手続について」
e-Gov法令検索「昭和二十六年政令第三百十九号出入国管理及び難民認定法」
入管法は適宜見直されており、近年では2019年4月に大きな改正がありました。この改正により特定技能制度が始まり、在留資格「特定技能」が創設されたのです。
ここでは、2019年4月の入管法改正により創設された在留資格、「特定技能」について紹介します。
在留資格「特定技能」は、特に人材不足が深刻な業界(特定産業分野)にて、より多くの外国人労働者を受け入れるために創設されました。就労系の在留資格を持つ外国人は単純労働への従事が許可されていません。しかし、在留資格「特定技能」を持つ外国人は、単純労働に分類される業務への従事が許可されています。
外国人が「特定技能」の在留資格を得るには、日本語に関する試験および就業する分野に関連する技能試験の合格が必要です。学歴や実務経験は必要ありません。
在留資格「特定技能」は「技能実習」からの移行も可能です。移行すると技能実習終了後も最大5年継続して外国人に働いてもらえるので、スキルを身に付けた人材の流出防止に繋がります。
在留資格「特定技能」は従事する分野によって以下の12種類に分けられています。
在留資格「特定技能」には1号と2号があります。1号は在留期限が最長で5年なのに対し、2号になると在留資格の更新制限はありません。2号の受け入れが認められているのは、2023年2月時点で「建設」「造船・舶用工業」分野のみです。2022年4月に初めて、特定技能2号を取得する外国人が「建設」分野で誕生しました。
在留資格「特定技能」を持つ外国人(特定技能外国人)を雇用する企業は、支援体制を整える必要があります。「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、計画に基づいて「生活オリエンテーション」や「個別相談対応」などの支援を行わなくてはなりません。支援計画の実施が難しい企業は、支援業務を「登録支援機関」に委託できます。
特定技能外国人を雇用する場合は、通常の外国人雇用とは異なる手続きが発生することを覚えておきましょう。
2019年の入管法改正については反対意見も存在しました。具体的には、特定技能外国人の受け入れ開始が移民解禁に繋がるといった批判です。これまで就労にまつわる在留資格は、専門的な知識や技能を持つ外国人にのみ許可されていました。一方、「特定技能」は単純労働が可能になるうえ、2号に移行すれば事実上無期限の在留や家族の帯同が許可されます。これらの内容が、「移民政策を取らない」という政府の方針に反していると考えられたのです。
さまざまな意見はあったものの、特定技能制度は2019年4月から運用が開始されました。2022年6月末時点で、合計87,472人の外国人が在留資格「特定技能」を取得し日本で働いています。
日本の移民政策については「移民とは?難民との違いや定義をわかりやすく解説!日本や各国の政策も紹介」や「MIPEXとは何のこと?外国人雇用を考える企業に向けて解説!」で詳しくまとめています。
参照元
出入国在留管理庁「最近の入管法改正」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」
特定技能総合支援サイト「雇用における注意点」
2019年の入管法改正により、日本企業は外国人労働者をより受け入れやすくなりました。ここでは、入管法改正が日本企業に及ぼす影響について解説します。
特定産業分野に該当する企業は、入管法改正により雇用できる人材の間口が広がり、人材不足の解消が期待できるでしょう。
以前まで、単純労働を行えるのは「永住者」や「日本人の配偶者等」などの身分に基づく在留資格の所有者といった、限られた外国人のみでした。しかし、日本で人手が足りないのは単純労働に分類される業務・業界が中心です。人手が不足しているのにも関わらず、在留資格の関係で外国人をなかなか雇えない企業が数多くありました。
特定産業分野に該当する企業は、入管法が改正され在留資格「特定技能」ができたことにより、外国人雇用に踏み出せるようになりました。
特定技能外国人の雇用は、即戦力となる人材の確保に繋がります。前述したとおり、外国人が在留資格「特定技能」を得るには日本語に関する試験と技能試験への合格が必要です。日本語に関する試験では、基本的な日常会話レベルが求められます。技能試験では、従事する分野に関する学科および実技の試験に合格しなくてはなりません。
以上のことから、特定技能外国人は未経験者を雇用するよりも業務に適応しやすく、即戦力になりうる人材といえるでしょう。
入管法改正により外国人労働者の増加が見込まれるため、企業は受け入れ環境の整備が急務になるでしょう。外国人労働者が働きにくい職場環境のまま雇用しても、早期離職やトラブルに発展する可能性があります。外国人の受け入れを開始する前に「マニュアルの多言語化」や「就業規則の改定」などを済ませておきましょう。
外国人労働者の受け入れ方法について詳しく知りたい方は「外国人労働者を受け入れるには?雇用の流れを企業向けに解説」や「外国人雇用の流れを募集~入社後まで解説!在留資格の確認方法も紹介」のコラムをご覧ください。
2021年2月に新たな入管法改正案が国会に提出されましたが、議論の末最終的に廃案となりました。ここでは、入管法改正案の内容や取り下げの理由を解説します。
2021年に国会に提出された、入管法改正案の主な内容は以下のとおりです。
入管法改正の目的 |
具体的な対応 |
外国人の在留の可否を適切に判断する |
・「在留特別許可」を創設する |
不法に滞在する外国人をスムーズに退去させる |
・難民認定申請中の退去指示を可能にする |
入管施設での不法滞在者の長期収容を解消する |
・外国人を収容せず監理する制度を設ける |
不法滞在者の増加や入管施設における収容の長期化など、現在の日本が抱える問題を解決するための改正案だったといえるでしょう。
2021年2月に提出された入管法改正案は、結果的に廃案となりました。理由は、世論からの反発が起きたためです。改正入管法には、難民申請中の強制送還や退去命令を拒否する外国人に対する罰則を定める内容が含まれていました。これらの内容が人権侵害に該当するとして、各方面からの批判が相次いだのです。また、3月に入管施設に収容されていた外国人女性が命を落とすという事件の影響もあり、最終的に与党は法案を取り下げました。
2023年1月からの通常国会にて、2021年に提出した内容を修正した新たな入管法改正案が提出されます。変更点として「外国人の収容長期化を防ぐため3ヶ月ごとに検討を行う」「監査人への報告義務をなくす」などの内容が盛り込まれました。廃案となるか可決となるか、今後の動向に注目していきましょう。
参照元
出入国在留管理庁「入管法改正案について」
2019年の入管法改正により在留資格「特定技能」が創設され、人手不足の業界で外国人労働者を受け入れやすくなりました。入管法は今後も定期的に見直されていくと考えられるので、外国人を雇用する企業は最新情報をチェックしておきましょう。