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外国人を受け入れたくても、特定技能制度の仕組みが分からない建設事業者もいるでしょう。建設分野での特定技能外国人の受け入れは、労働環境や安全面への配慮からほかの分野より条件が厳しくなっています。このコラムでは、特定技能外国人を受け入れる企業の要件を解説。人手不足に悩む建設事業者は内容を参考にして、外国人雇用に踏み出しましょう。
目次
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日本の建設業は特に人材不足が深刻な業界です。ここでは、有効求人倍率から見る人材不足の現状や要因を解説します。
厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和5年5月分)」によると、2023年5月の建設・採掘従事者全体の有効求人倍率は4.95倍でした。ほかの人手不足といわれている業界と比べても特に高く、人材確保が難しい状況になっています。
業界のなかでも特に人材が不足しているのは、建設躯体工事従事者(9.56倍)、土木作業従事者(5.50)です。一方、 電気工事従事者(3.08倍)や採掘従事者(3.87倍)は比較的有効求人倍率が低い状態でした。それでも、ほかの業界と比べるととても高い有効求人倍率です。
建設業界の人材が不足しているのは、少子高齢化による労働人口の減少と若年層が集まりにくい労働環境が関係しているでしょう。労働力となる若年層の人口自体が減っているうえ、建設業界は「休みが少ない」「体力的にきつく危険」などのイメージがあり、若者離れが進んでいます。
建設業界では、豊富な経験と熟練したスキルを持つシニア層が多く働いていますが、新しく建設業に従事する人が増えなければ、人材は減っていく一方です。人材を安定的に確保するためには、労働環境を整備したうえで、外国人や女性などの新たな層まで採用の間口を広げる必要があるでしょう。
参照元 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和5年5月分)について」
「特定技能」の在留資格は、特定産業分野といわれる人材が不足している業界のために創設されました。特定産業分野には建設業も含まれています。外国人雇用を考えている企業は、ぜひ特定技能外国人の受け入れも検討してみましょう。
特定技能は、人手不足を解消するために作られた在留資格です。2019年4月に特定技能の在留資格ができるまで、人手不足の業界では外国人雇用が簡単にはできない状態でした。理由は、外国人の単純労働が許可されている在留資格が「技能実習」や「日本の配偶者等」「永住者」などの身分系のものに限られていたためです。
特定技能の在留資格を持つ外国人は、許可された範囲であれば単純労働も行えます。現場作業の多い建設業界でも外国人を受け入れやすくなったといえるでしょう。
特定技能の在留資格で外国人が働けるのは、建設業を含めた以下の12種類です。
以上は特定産業分野といい、外国人雇用を拡充する必要があると判断された業種です。以前は14職種でしたが、2022年5月に製造3分野が一つに統合されました。
特定技能「建設」には1号と2号があります。日本で働ける期間に違いがあり、1号は最長5年ですが2号は事実上無期限の就労が可能です。また、2号になれば母国から子どもや配偶者を呼び寄せ、「家族滞在」の在留資格のもと一緒に暮らすこともできます。
特定技能制度が始まった当初、特定技能2号を受け入れられるのは「建設業」「造船・舶用工業」分野だけでした。しかし、2023年6月の閣議決定により、今後「介護」以外のすべての特定技能分野で2号受け入れができるよう制度が変わります。今後、各分野で特定技能外国人の受け入れがさらに活発化していくでしょう。
特定技能制度については「特定技能とはどのような在留資格?簡単にわかりやすく解説【2号範囲拡大】」を参考にしてください。
ここでは、特定技能の在留資格を取得して建設分野で働いている外国人の人数を紹介します。また、特定技能外国人を受け入れ可能な職種もまとめているので、受け入れ時の参考にしてください。
2022年12月末時点で、特定技能1号の在留管理のもと建設業界で働く外国人は12,768人でした。なかでも、ベトナム国籍者が最も多く、8,847人と半分以上を占めています。
特定技能2号の在留資格で働く外国人は中国人6名、ベトナム人2名の8人でした。初めて特定技能2号の受け入れがあったのは2022年4月なので、少しずつ増えている状況です。
特定技能「建設」で行える業務は「土木」「建設」「ライフライン・設備」の3区分に分かれています。主にできる作業は以下のとおりです。
【土木】
コンクリート圧送、とび、建設機械施工、塗装など
【建設区分】
建築大工、鉄筋施工、とび、屋根ふき、左官、内装仕上げ、塗装、防水施工など
【ライフライン・設備区分】
配管、保温保冷、電気通信、電気工事など
上記の区分は行う作業の区分であり、働く現場の場所を限定しているわけではありません。たとえば、左官作業は建設分野だけでなく、土木分野やライフラインに関する現場でも行えます。
特定技能以外にも建設現場で働ける在留資格があります。「外国人建設就労者とは?建設業で働ける主な在留資格を企業に向けて紹介」のコラムで紹介しているので、ぜひご覧ください。
参照元 出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表」 業務区分の統合に係る関係資料【特定技能制度(建設分野)】
外国人が特定技能「建設」の在留資格を得るには、試験を受ける方法と技能実習2号から移行する方法があります。
特定技能1号の在留資格を得る方法は、以下のとおりです。
建設分野の技能を測る試験の正式名称は「建設分野特定技能1号評価試験」といい、建設技能人材機構(JAC)が運営しています。試験内容は職種ごとに異なり、学科試験と実技試験の2種類です。学科試験はパソコンを用いるCBT方式で行われ、30問を60分で回答します。実技試験は工具や材料が支給され、作業を行うのが一般的です。ただし、試験を行う職種によって詳細は異なります。
日本語能力を測る試験では、日本語能力試験(JLPT)のN4レベルの取得、もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)への合格が必要になります。どちらのテストも、求められているのは日本語で基本的な日常会話ができるレベルです。JLPTは世界最大規模の日本語能力を測る試験で、年2回実施されています。JFT-Basicは特定技能の在留資格申請のための試験ともいえ、年6回実施されているので、受験のタイミングは図りやすいでしょう。
建設分野で技能実習2号を優良に修了した技能実習生は、日本語能力を測る試験と技能を評価する試験が免除されます。ただし、試験の免除を受けるには、技能実習で行っていた作業と特定技能の在留資格で行おうとする職種が適合していなくてはなりません。もし、職種変更を希望する際は、行おうとする職種の技能評価試験を受ける必要があります。
特定技能1号で実務経験を積み、定められた試験に合格すれば特定技能2号を取得できます。特定技能2号を得るには、班長としての実務経験が必要です。班長とは「複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理できる者」と定められています。実務経験の年数は職種によって異なりますが、最低でも半年、長くても3年以上必要となる場合が多いようです。
特定技能2号の技能試験は、職業能力開発協会が実施する「技能検定1級」への合格が必要です。建設技能人材機構が実施する「建設分野特定技能2号評価試験」も要件とされていますが、2023年7月時点では試験が実施されていません。
特定技能外国人を受け入れる企業にも要件があります。以下の要件が守られていなければ、特定技能外国人を雇用できませんので注意しましょう。
特定技能外国人を受け入れる企業は、必ず支援計画を策定し、実施しなくてはなりません。支援計画とは、法的に定められている特定技能外国人の仕事や生活のサポートです。具体的な支援には、生活オリエンテーションや住居や生活に関係する各種契約支援が挙げられます。各種支援の実施方法や担当者をまとめた「支援計画書」を作成し提出することで、特定技能外国人の受け入れが認められるのです。
支援計画を自社で実施するのが難しい場合は、登録支援機関に委託できます。
特定技能「建設」は、外国人に日本人と同等以上の報酬を支払わなければ許可されません。正当な理由なしに、同じ仕事をする日本人より報酬を下げることは禁止です。外国人の報酬条件は、特定技能に限らず就労に関するすべての在留資格で共通しているので、覚えておきましょう。
建設分野において、特定技能外国人は直接雇用のみ認められています。特定産業分野で派遣雇用が認められているのは、「農業」もしくは「造船・舶用工業」のみです。2つの分野は、季節や時期によって業務量が違うため、派遣雇用が許可されています。
特定技能外国人の受け入れには、国土交通省に建設特定技能受入計画を提出し、国土交通大臣の認定を受ける必要があります。認定書の写しを地方出入国在留管理官署に提出しなければ、外国人は特定技能の在留資格を取得できません。ただし、在留資格の申請のみならば、国土交通省に建設技能受入計画を提出していることを条件に認定前でも行えます。
特定技能外国人を受け入れる建設事業者は、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録が必須です。また、あわせて外国人本人の技能者登録も行わなくてはなりません。2023年から、CCUSへの登録はあらゆる工事で義務化されています。
外国人を受け入れられる建設事業者は、建設業許可を受けていなくてはなりません。今までに500万円以上の工事や公共事業への参加経験がない建設事業者は、建設業許可を受けていないこともあるでしょう。建設業許可の取得には時間が掛かるので、あらかじめ手続きを進めておく必要があります。
特定技能外国人を受け入れる条件の一つに、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)への加入が挙げられます。JACへの加入方式は正会員と賛助会員の2種類です。正会員になるには、JACに加入している建設業者団体に加入します。会費は加入した建設業者団体ごとに異なるので確認が必要です。
賛助会員の場合は直接JACに加入し、年会費の24万円を支払います。
参照元 一般社団法人建設技能人材機構(JAC)「建設技能人材機構(JAC)入会のご案内」
外国人の受け入れは、人手不足を解消する有効な手段です。なかでも、在留資格「特定技能」を持つ外国人は単純作業も行えるため、業務を任せやすいでしょう。受け入れには通常の外国人雇用とは異なる点があるので、よく内容を確認してから採用を開始してください。
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執筆:WeXpats
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