日本のサブカルチャーとして知られている漫画は、日本語を勉強する際の教材にもなります。「楽しく日本語を勉強したい!」という方には、漫画を使った勉強方法がおすすめです。このコラムでは、漫画が日本語の勉強に役立つ理由や難易度別のおすすめのタイトルを紹介します。日本語を初めて学ぶ人からある程度理解できる人まで、参考になる漫画をまとめているので勉強の際に役立ててください。
目次
漫画は日本語の文法や表現を学べる教材
漫画が日本語の教材として役立つのは、文法や会話表現、読み方を学べるのが理由です。子どもをメインターゲットにしている漫画の場合、簡単な言葉や表現を使っていたりセリフの漢字の横にひらがなで読み方を書いていたりします。そのため、日本語を勉強している方も読みやすいのです。現代日本が舞台の漫画であれば、教科書には載っていない活きた日本語も学べるでしょう。また、漫画は絵がメインの作品なので、完璧に日本語を理解できなくても楽しめます。これから日本語を勉強したい方は、漫画を活用してみると良いでしょう。
ネイティブな日本語を学べる
漫画には一般的な日本語だけでなく、若者言葉やスラングも登場します。ネイティブな日本語を学べるのは、漫画を利用して勉強するメリットといえるでしょう。たとえば、「ツンデレ」「ドン引き」「飯テロ」は、若者を中心に広く使われる日本語のスラングです。普段はそっけない態度なのに、ときどき優しくしてくれる人物を「ツンデレ」、誰かの言動や行動に思わずその場を立ち去りたくなる気持ちを「ドン引き」といいます。また、「飯テロ」はお腹がすいている相手に、ごはんの匂いだけを嗅がせたり写真を見せたりする行為です。ほかにも、英語のスラングで使われる「:)」「XD」と同じ意味を持つ「(笑)」「(照)」という言葉もあります。日本の漫画にはこのような若者言葉やスラングがたくさん使われているので、生きた日本語を勉強したい方は参考にしてみましょう。
オノマトペを理解しやすい
漫画は絵の表現がメインなので、「オノマトペ」を効果的に使って少ない言葉で場面を表せるよう工夫されています。オノマトペとは、雨が降る音や歩く音などを表す擬声語・擬態語・擬音語のことです。日本語には数百種類ものオノマトペがあり、雨の音だけでも「しとしと」「ざあざあ」「サーッ」などいくつもの表現があります。日本語の会話にも多用される表現なので、コミュニケーションをスムーズにするために覚えておいたほうが良いでしょう。
日本の漫画を使って勉強すれば、オノマトペを使う場面をイラストとあわせてチェックできます。日本語のオノマトペの意味や使い方を知りたい方には、漫画を使った学習方法がおすすめです。
日本語は習得するうえで覚えることが多く、世界的に見ても難しい言語とされています。ほかの言語と比べてどのような点が難しいのか知りたい方は「日本語が難しい理由って?ほかの言語と比較してみよう」をチェックしてみましょう。
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日本語の勉強に役立つ日本の国民的な漫画
日本で国民的な人気がある漫画は、日本語の勉強におすすめの教材です。外国語に翻訳されている漫画もあるので、見比べながら勉強を進めるのも良いでしょう。
ちびまる子ちゃん
『ちびまる子ちゃん』は、小学生の女の子が主人公の漫画です。小学生同士や家族との会話を中心に物語が進んでいくコメディ漫画で、作者の実体験に基づいて描かれています。子供向け漫画として出版されていますが、大人でも楽しめる内容です。セリフはひらがなが多く、難しい会話表現が少ないので、日本語の勉強をはじめたばかりの人でも読みやすいでしょう。なお、『ちびまる子ちゃん』はアニメにもなっている漫画作品です。アニメは現在も日本国内で放送されているので、日本語の発音を勉強したい方は、あわせてチェックしてみましょう。
サザエさん
『サザエさん』は、昭和の一般家庭であるサザエさん一家を中心としたコメディ漫画です。もともとは新聞に掲載されていた4コマ漫画なので、一つの話が短く、日本語に不慣れな方でも読みやすい作品といえます。『サザエさん』の舞台設定は1940年代の日本なので、現代における若者言葉やスラングは含まれていません。そのため、正しい日本語の言葉遣いが学べます。現代日本の日常生活とは異なる部分もありますが、会話の内容や表現は分かりやすく、日本語の勉強に役立つでしょう。なお、『サザエさん』もアニメが放送されている漫画作品です。実際の日本語の発音が知りたい方は、あわせて活用してください。
ドラえもん
『ドラえもん』は、海外でも翻訳して販売されている有名な日本の漫画です。未来から来たネコ型ロボットと主人公の小学生の男の子を中心に、コメディ調のストーリーが展開されています。小学生同士や家族との会話が中心なので、日常生活で使える日本語を覚えられるでしょう。なお、『ドラえもん』の舞台設定は昭和の日本なので、現代のような若者言葉やスラングは使われていません。ドラえもんは子どもから大人まで、幅広い層に愛されている国民的な漫画です。現代ではアニメや映画が中心の作品なので、漫画とあわせて日本語の勉強に取り入れることをおすすめします。
日本語を勉強する方法は漫画だけではありません。ほかの方法もあわせて実践すれば、短期間で日本語能力を向上させられるでしょう。漫画以外の日本語の勉強方法は、「日本語の勉強方法を外国人に向けて解説!覚えるのが難しい内容も紹介」で紹介しています。
日本語の勉強には日常系漫画もおすすめ
日本の国民的な漫画のように、コメディ調で描かれている作品は表現が分かりやすく、日本語の勉強に適しています。特に、「日常系」「空気系」と呼ばれるジャンルの漫画は、キャラクター同士の会話を中心に進むため、活きた日本語の教材として最適です。ここでは、日常系漫画のなかでも日本語を勉強したい方におすすめの作品を紹介するので、教材選びの参考にしてください。
ふしぎねこのきゅーちゃん
『ふしぎねこのきゅーちゃん』は、インターネット上で公開されている日常系の4コマ漫画です。主人公と飼い猫の日常を中心にストーリーが進むため、セリフが少なく、簡単な日本語で書かれています。また、『ふしぎねこのきゅーちゃん』はセリフが少ない分、状況説明のためにオノマトペが使われているのが特徴です。日本語の読み方や会話表現に加えて、オノマトペの勉強にも役立ちます。インターネット上で読める漫画なので、場所や時間を問わず日本語の勉強をしたい方におすすめです。
月刊少女野崎くん
『月刊少女野崎くん』は、紙媒体だけでなくスマートフォンの漫画アプリでも読める4コマ漫画です。高校生のキャラクターが中心となってストーリーが展開されており、若者言葉やスラングも勉強できます。恋愛要素を含んだコメディ漫画なので、楽しみながら日本語を学べるでしょう。また、セリフに使われている漢字の読み方がひらがなで書かれているので、日本語を読むのが苦手な方でも楽しめる作品です。
『月刊少女野崎くん』は、キャラクターのやり取りを音声だけで楽しむドラマCDやアニメも展開されています。漫画とあわせて参考にすることで、より日本語の勉強がしやすくなるでしょう。
銀の匙Silver Spoon
『銀の匙Silver Spoon』は、海外でも人気が高い『鋼の錬金術師』と同じ漫画家が描いた日常系漫画です。農業高校に入学した主人公が、寮生活や農業実習を通して成長していくストーリーが描かれています。動物とのふれあいやクラスメイトとのやり取りがコミカルながらもリアルに書かれており、日本語の勉強だけでなく、農業に対する理解にもつながるでしょう。『銀の匙Silver Spoon』では、現代日本を舞台に高校生たちが農業に取り組む様子が描かれているため、日本語の若者言葉やスラングも勉強できます。日本語だけでなくリアルな日本の農業に興味がある方は、勉強のためにも『銀の匙Silver Spoon』を読んでみましょう。
日常
『日常』は、個性的な登場人物が多いシュールなコメディ系漫画です。現代日本のとある高校を舞台に、キャラクターたちが学生生活を楽しむ様子が描かれています。セリフに漢字が使われている場合、ひらがなで読み方が書かれているので、日本語を読むのが苦手な方でも安心です。また、キャラクター同士のやり取りやイラストでの情景描写がおおいので、日本語での日常会話やオノマトペの勉強にも役立つでしょう。『日常』はアニメ化された作品でもあるので、映像と音声を通して日本語を勉強することもできます。楽しく日本語を勉強したい方には、コメディ要素が強い『日常』がおすすめです。
難しい日本語も勉強したい方向けの漫画
ある程度日本語を読めるようになり、「もっと難しい日本語を勉強したい!」という方には、時代背景や設定が特殊な漫画がおすすめです。ここでは海外で人気が高く、難しい日本語を勉強するのにも役立つ漫画を紹介します。日本語の勉強に慣れてきた方は、参考にしてください。
NARUTO
『NARUTO』は、忍者同士の戦いを描いたバトルアクション漫画です。日本らしいモチーフと世界観で、海外でも人気を博しています。ファンタジーな世界観で独自設定が多く、キャラクターの名前や技の名前に難しい漢字が使われているので、日本語の勉強にもおすすめの作品です。キャラクター同士の会話でも難しい言い回しや特殊な日本語が使われるので、日常会話に活かせることもあります。また、人気漫画である『NARUTO』を読んだ経験自体が、日本人とのコミュニケーションに役立つこともあるでしょう。
鬼滅の刃
『鬼滅の刃』は、大正時代の日本を舞台にした和風バトルアクション漫画です。10代の少年が鬼になってしまった妹を救うために戦うストーリーで、子どもから大人まで社会現象になるほどの人気を博しています。特殊な設定と時代背景を持つ『鬼滅の刃』は、作中で使われている日本語やキャラクターたちの会話内容が独特です。そのため、難しい日本語を勉強するのに適した漫画といえるでしょう。2022年時点でも根強い人気を持つ作品なので、日本語の勉強をしつつ、最新のサブカルチャーに触れたい方や日本人とのコミュニケーションのきっかけが欲しい方におすすめです。
進撃の巨人
『進撃の巨人』は、人類と巨人の戦いを描いたダークファンタジー漫画です。ファンタジーではあるものの、科学技術や軍事的な戦術・戦略を重視した設定が強く、男性を中心に幅広い層に人気があります。硬派な世界観と特殊な設定のため、キャラクターが難しい日本語を使うシーンが多いのが特徴です。難易度の高い日本語を習得したい人にとって、『進撃の巨人』は良い教材だといえるでしょう。なお、『進撃の巨人』はアニメも公開されている作品なので、漫画だけで勉強するのが難しい場合はあわせてチェックしてみましょう。
『NARUTO』『鬼滅の刃』『進撃の巨人』は、海外でも根強い人気を誇る漫画作品です。海外でも日本の漫画が人気な背景が気になる方は、「日本の漫画作品は海外でも人気?理由やブームの発端とは」を参考にしてください。漫画に対する理解を深めることで、より日本語の勉強が楽しくなるでしょう。
日本語の勉強を続けるコツは楽しむこと
継続的に日本語の勉強を行うためにも、学ぶこと自体を楽しむ姿勢は重要です。一つの漢字に複数の読み方があったり主語が省略されたりする日本語は、漢字圏で生活する外国人でも習得が難しい言語とされています。英語やフランス語、ベトナム語など文字や文法が全く異なる国の人々の場合、難易度はさらに上がるでしょう。日本語の習得難易度の高さに、心が折れてしまう人は少なくありません。そのため、楽しく勉強を続けられるよう工夫が必要です。たとえば、漫画やアニメ、映画などの娯楽を活用すれば、日本語の勉強を楽しめるでしょう。日本語を勉強するのが辛くなったときは、自分なりに楽しむ方法を探してみてください。
まとめ
漫画は日本語の勉強に役立つ教材です。日常会話レベルから特殊な表現まで、漫画のジャンルや設定によって幅広い日本語を身につけられるでしょう。また、日本語の会話でよく使われるオノマトペやスラング、若者言葉などを学べるのも漫画の魅力です。漢字の読み方がひらがなで書かれている漫画もあるので、日本語の勉強をはじめたばかりの方でも活用できます。日本語を楽しみながら勉強したい方は、ぜひ漫画を教材にしてみましょう。