日本は継続的な経済成長に加え、少子高齢化の影響により、労働力確保が求められています。そのために作られた在留資格が「特定技能」です。特定技能の在留資格は、人材が足りない業界で働ける外国人を増やすために作られました。
このコラムでは、特定技能の在留資格について解説します。技能実習との違いも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
労働力不足解消のための在留資格「特定技能」
日本は経済の発展がしているのにも関わらず少子高齢化が進んでいるため、労働力が不足しています。この問題を解決するために、さまざまな政策が打ち出されました。そのうちの一つが、専門的な技能を持つ外国人労働者の雇用の間口をさらに広げる政策です。これにより、在留資格「特定技能」が創設されました。「特定技能」は、特に人材が不足している14の産業で、外国人雇用を容易にするための在留資格です。
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在留資格「特定技能」の種類
在留資格「特定技能」は1号と2号があります。「特定技能1号」は14ある特定産業分野すべての産業が対象で、「特定技能2号」は労働者に高度なスキルを要求する特定の産業のみが対象です。それぞれ、有効期間や規定に大きな違いがあります。
「特定技能」の在留資格を取得したら、まず1号が付与されます。特定技能1号の在留期間は最長 5年です。なお、母国の家族を帯同させることは許可されていません。
一方、「特定技能2号」は在留期間が無期限で、家族を母国から連れてきて日本で一緒に住むことも認められています。また、日本で5年以上働き滞在すれば、永住権を取得できる可能性もあるのです。ただし、特定技能2号は2022年8月時点では「建設業」「造船・舶用工業」の分野でしか認められていません。ほかの分野でも特定技能2号の外国人を受け入れられるよう、協議が進められている最中なので、最新の情報をチェックしておいてください。
また、特定技能をはじめとした在留資格に関する知識をさらに深めたい場合は「在留資格29種類まとめ!外国人に知ってほしい基礎知識も紹介」で詳しく解説しているので、合わせて確認しておきましょう。
特定技能と技能実習との違い
「特定技能」と「技能実習」は制度の目的に違いがあります。技能実習制度は、外国人に日本の技術を教えて、母国に持ち帰ってもらうことが目的です。そのため、制度上は外国人を労働力としては捉えていません。一方、特定技能制度は日本の人手不足を解消するための制度であり、外国人を貴重な労働力として受け入れています。
特定技能とは?
特定技能とは、技術力と日本語でのコミュニケーション能力を備え、特定産業のノウハウを熟知している外国人に付与される在留資格です。2019年4月入国管理法改正により創設されました。以下で、特定技能1号の対象になる12の産業を解説します。
- 介護
- ビルクリーニング
- 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
- 建設
- 造船・舶用工業
- 自動車整備
- 航空
- 宿泊
- 農業
- 漁業
- 飲食料品製造業
- 外食業
在留資格「特定技能」を得るには、18歳以上で、選択した業界の技能試験および日本語の試験への合格が必要です。なお、学歴は要件として明記されていません。 参照元 出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」により日本で働くことを希望する外国人の方」
技能検定と日本語能力を測る試験について
技能検定と日本語検定は、在留資格「特定技能」を申請する際に重要な2つの要件です。技能検定は、働く業界ごとに内容が異なります。日本以外に、カンボジア、ミャンマー、モンゴル、タイ、ネパール、インドネシア、フィリピンなどの国で試験を受けることが可能です。ただし、業種ごとに受けられる国が異なるので、試験日程をよく確認しましょう。
日本語能力を測る試験は、国際交流基金日本語基礎テスト(Japan Foundation Test for Basic Japanese、通称JFT-Basic)と日本語能力試験(JLPT)の2種類です。JFT-Basicに合格すると、日本語検定でいうN4レベルの日本語能力を有していると証明できます。
日本語能力試験(JLPT)の基本的な流れは「JLPT(日本語能力試験)の申し込み方法や期間を外国人に向けて解説」でご説明しているので、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
なお、介護分野に関しては上記の2つのどちらかの試験に加えて、「介護日本語評価試験」にも合格しなくてはなりません。
参照元 厚生労働省「介護分野における特定技能外国人の受入れについて」
在留資格「特定技能」を得るには
在留資格「特定技能」を得るために、まず日本語の勉強を重点的に行いましょう。日本語能力が上がれば、それぞれの分野の技能試験にも役立ちます。
技能試験と日本語能力を測る試験に合格してから働き始めるまでの流れは以下のとおりです。
- 日本の企業と雇用契約を結ぶ
- 事前ガイダンスおよび健康診断を受ける
- 働く予定の企業に、日本の出入国在留管理官署で「在留資格認定証明書交付」を行ってもらう
- 就労予定の企業から在留資格認定証明書を送られてきたら、日本国大使館か総領事館に提出し査証(ビザ)を申請する日本に入国し生活オリエンテーションを受けたあと、業務を開始する
日本企業との雇用契約の締結や試験結果に関するやり取りは、現地の送り出し機関を通すとスムーズです。ただし、国から許可を受けている機関であるかをしっかり確認しておきましょう。
まとめ
在留資格「特定技能」は、在留期限が無期限になる2号の範囲拡大が予定されています。そうなれば、永住を見据えた日本就労がよりしやすくなるでしょう。今後の最新情報に注目してください。