大晦日とは?意味や由来、過ごし方について知ろう

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2022/12/31

「大晦日(おおみそか)とは何だろう」「大晦日の行事を知りたい」と思っている方もいるでしょう。大晦日は一年の最終日である12月31日を指す言葉です。除夜の鐘や年の湯といった行事を通して、一年間に溜まった心身の疲れを落とし新年を迎えるための準備をします。
大晦日は、日本特有の神道と仏教の教えに基づく行事があるのも特徴です。大晦日について知りたい方は、このコラムをぜひ参考にしてください。

目次

  1. 大晦日とは
  2. 大晦日の伝統的な行事・食べ物
  3. 大晦日の楽しみ方
  4. 大晦日にしてはいけない行いとは?
  5. まとめ

 

大晦日とは

12月31日を指す大晦日という言葉には由来があります。ここでは、大晦日の由来と歴史、習わしを紹介するので、「大晦日とは何か」という疑問を解決する際の参考にしてください。

大晦日は月の末日を意味する「晦日」が由来

大晦日とは、もともと太陰暦で月の末日を意味する「晦日(みそか)」から生まれた言葉です。「晦」は月が隠れている様子を意味し、昔の日本では晦が起こる30日を晦日と呼んでいました。その後、太陽暦が取り入れられ、月の最終日を晦日と呼ぶようになります。なかでも、一年の最終日である12月31日を特別な日と捉え、「大晦日(おおみそか)」と呼ぶようになったのです。

晦日を「みそか」と呼ぶようになった理由は、30に「みそ」という読み方があるからです。ほかにも、「かいじつ」や「月隠り(つきごもり)」が変化した「つごもり」という読み方もあります。ただし、大晦日には「おおみそか」という読み方しかありません。

大晦日の歴史と習わし

日本では古くから大晦日を特別な日と考えており、平安時代には歳神様(としがみさま)を迎えるための行事を行っていました。歳神様とは農作物の豊作をもたらす神様のことです。

昔は、大晦日の夜に歳神様が各家庭にやってくると考えられていました。そのため、大晦日の夜は一晩中起きておくという、「年籠り(としごもり)」の風習が生まれたのです。現代では、歳神様をもてなすという意味は薄れたものの、日付が変わるまで起きておく、神社にお詣りに行くという習わしがあります。

日本では、大晦日だけでなく新年にも特別な行事をします。「日本の伝統行事には何がある?年末年始の行事や通過儀礼についても紹介」のコラムでは、お正月についても解説しているので、ぜひご覧ください。また、「日本の行事を一覧で紹介!季節ごとのイベントを楽しもう!」のコラムでは、季節ごとの行事を紹介しています。

大晦日の伝統的な行事・食べ物

大晦日には、身体や心を清めて新年を迎えるための「除夜の鐘(じょやのかね)」や「掃き納め」、「年の湯」などの行事があります。また、年越しそばを食べたり新年に食べるおせち料理を準備したりする日です。以下では、大晦日の伝統的な行事や食べ物を紹介します。

除夜の鐘

除夜の鐘

「除夜」は一年最後の夜を意味する言葉で、除夜の鐘は「大晦日から1月1日になる午前0時に寺院で鐘をつく」ことです。鐘の正式名称は「梵鐘(ぼんしょう)」といい、除夜の鐘の音には人の迷いや苦しみの原因となる「煩悩」を払う効果があるとされています。鐘をつく回数は、煩悩と同じ数である108回です。除夜の鐘は鎌倉時代に中国から日本に伝わり、室町時代から江戸時代にかけて日本中の寺院へ広がりました。

参拝客が鐘をつける場合もあるため、実際に挑戦してみたい方は近隣の寺院に問い合わせたりWebサイトで調べたりしてみましょう。

掃き納め

掃き納め

12月になると家全体をきれいにする「大掃除」を行い、大晦日には簡単に掃くだけの「掃き納め」をします。地域によっても異なりますが、大掃除を行う期間は12月13日から大晦日前日の12月30日までです。ただし、12月29日は数字の読み方「にじゅうく」から、苦しい状況や不運などが重なる「二重苦」を連想するため、掃除を行いません。

「大掃除」や「掃き納め」をするのは、家の汚れを落とし清々しい状態にして、歳神様を迎えるためです。なお、新年最初の日である1月1日は、迎え入れた歳神様を掃き出す行為になるため、掃除をするのは良くないとされています。

年の湯

年の湯

大晦日の夜に入るお風呂のことを、「年の湯」や「除夜の湯」といいます。昔は毎日お風呂に入っていなかったため、入浴は特別な行為と考えられていました。特に「年の湯」は身体についた垢を落とすだけでなく、災いや苦しみを払う「厄落とし」の意味があるとされています。大晦日の夜にゆっくりと湯に浸かり身体に溜まった疲れを癒すことで、気持ち良く新年を迎えられるでしょう。

なお、新年最初の1月1日の入浴は「歳神様からもらった福を洗い流してしまう」と考えられており、避けた方が良いとされています。

年越しそば

年越しそば

日本では、大晦日に「年越しそば」を食べます。年越しそばの習慣が始まったといわれているのは江戸時代です。「三十日(みそか)そば」や「つごもりそば」ともいわれ、麺の長い形状から長寿や健康を連想させる縁起の良い物として食べられるようになりました。また、そばの切れやすい性質から、「一年間にあった災難を断ち切る」との意味もあります。

そばは地域ごとに特色がある食べ物で、大晦日に食べられる年越しそばも各地で異なります。たとえば、北海道や京都府で食べられるのが、にしんの干物を乗せた「にしんそば」です。岩手県では、小ぶりな椀に長めの麺を入れた「わんこそば」がよく食べられます。ほかにも、大根おろしを入れた福井県の「越前おろしそば」や甘辛いつゆをかけた島根県の「釜揚げそば」も、特色ある年越しそばとして挙げられるでしょう。

おせち料理の準備

おせち準備

大晦日には、お正月に食べるおせち料理の準備も行います。おせち料理は新年に各家庭に来た歳神様にお供え物として捧げる料理のことです。もともとは、季節の節目である節句(せっく)に作られていた料理のことですが、現代ではお正月に食べるさまざまな食べ物を指します。おせち料理は、農作物の豊作や子孫繁栄などの縁起の良い意味を持っているのが特徴です。代表的なおせち料理を紹介します。

・数の子:ニシンの卵のことで、「子孫繫栄」の願いが込められている

・黒豆:魔除けの効果があるとされる黒い豆の煮物で、「豆」が「まめに働ける」という意味も持っている

・海老:ひげが長く腰が曲がっている様子から、長寿を連想させる縁起の良い食材とされている

・昆布巻き(こぶまき):「こぶ」は「喜ぶ(よろこぶ)」との語呂合わせから、縁起の良い意味があるとされる

・れんこん:穴が空いていおり向こうが見えるため、「将来の見通しが立つ」との意味がある

・紅白カマボコ:半円形の形状が日の出を連想させ、さらに赤は魔除けやめでたさ、白は清浄や神聖さを表している

おせち料理は、一般的に三重から五重に積み重ねられる箱型の容器「重箱」に入れられるのも特徴です。重箱には「めでたさを重ねる」との意味があります。

日本の季節の食べ物には何がある?春夏秋冬の旬の食材を紹介」のコラムでも、おせち料理の解説をしています。ほかにどのようなおせち料理があるのか、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

参照元
農林水産省「おせち料理ってどんな料理?」
https://www.maff.go.jp/j/agri_school/a_menu/oseti/01.html

大晦日の楽しみ方

大晦日の楽しみ方

大晦日の夜は、家族揃って食事をとったり団らんしたりするのが伝統的な過ごし方です。また、実家に帰省したり神社に初詣に行ったりするのが楽しみな人もいます。昨今は、さまざまなカウントダウンイベントも行われているので、興味がある方は調べてみてください。

カウントダウンイベントに参加する

大晦日には年越しライブやカウントダウンイベントなど、さまざまな催しが行われています。好きなミュージシャンや芸人のライブに行き、一緒にカウントダウンするのを楽しみにしている人もいるでしょう。

ほかにも、テーマパークやホテルなどさまざまな場所でカウントダウンイベントが行われます。花火やライトを用いた大掛かりな演出をするイベントもあり、非日常を味わえるでしょう。

旅行や帰省をする

多くの人が、大晦日から新年にかけて旅行を楽しみます。一年の疲れを癒すために温泉に行く人も多いでしょう。また、長い休みを利用して、海外旅行に行く人も少なくありません。

大晦日に帰省し、家族や親戚と過ごす人も多くいます。地元にいる幼なじみや友人に会ったり忘年会といわれる宴会に参加したりする人もいるでしょう。親しい人たちと一年間の出来事や新年に向けた抱負を話すのも、大事な時間といえます。

神社に初詣に行く

初詣とは、一年の最初に神社にお詣りに行き、新しい年の幸せを願うことです。「初参り」という言い方もあります。1月1日に日付が変わってすぐにお詣りしたいという人も多く、有名な神社では大晦日の夜から参拝客で賑わう様子が見られるでしょう。なお、大晦日から1月1日の午前0時にかけての参拝は「二年参り」といい、ご利益が2倍になるといわれています。

初詣は神社だけではなく、寺院に行っても良いとされています。寺院は仏像が置かれ僧侶が修行している仏教の施設です。しかし、明治時代以前の日本では、神道と仏教は区別されていませんでした。そのため、現代でも初詣に寺院に行く習慣が残っています。

日本の宗教観に興味がある人の中には、神社と寺院の特徴や違いが気になる方もいるでしょう。「神社とお寺の違いは何?参拝方法も解説【外国人向け】」のコラムでは、神社・寺院の違いや参拝方法を解説しています。ぜひご一読ください。

大晦日にしてはいけない行いとは?

日本ではお正月にお餅を食べますが、大晦日に餅つきをするのは避けるべきとされています。また、しめ縄や門松、鏡餅などのお正月飾りも、大晦日に準備してはいけません。31日についた餅を「一夜餅」、施した飾りを「一夜飾り」といい、1日で準備する葬式を連想させ縁起が悪いというのが理由です。なお、縁起が悪いという理由のほかに、歳神様を迎える準備を1日で簡単に終わらせることは良くないという考えもあります。そのため、餅つきやお正月飾りは30日までにしましょう。

まとめ

大晦日とは、一年最後の日である12月31日を指す言葉です。太陰暦で月の最終日を意味する「晦日」から生まれました。
大晦日は除夜の鐘や年の湯などの行事を通して、心や身体に溜まった汚れを落とす日です。また、掃き納めやおせち料理作りなど、歳神様を迎える準備も行います。大晦日に来日する機会があったらぜひ日本特有の年越しを体験して、日本の文化や宗教観に触れてみてください。

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