十五夜とはどんな日?食べ物や風習をわかりやすく紹介

WeXpats
2024/09/30

十五夜とは、月見団子やススキなどのお供えをして秋の収穫に感謝する伝統行事です。また、一年で最も美しいといわれる「中秋の名月」を眺めてお月見をする風習もあります。もともとは平安時代に中国から伝わり、現代の日本でも大切にされている行事です。

この記事では十五夜の意味や由来、お供えについて解説。そのほか、別の呼び方や各地域の独特な風習、十五夜以外の月見に関する日についても紹介しています。十五夜を過ごす際の参考にしてください。

目次

  1. 十五夜とは?
  2. 十五夜はいつ?【2024】
  3. 十五夜以外の月見をする日
  4. 十五夜の別の呼び方
  5. 十五夜にお供えする食べ物や植物
  6. まとめ

十五夜とは?

十五夜とは?の画像

日本では秋の十五夜にお月見をする文化があります。一年で最も美しい月を見ながら、ススキや月見団子を供えて農作物の収穫に感謝する行事です。ここでは十五夜の意味と語源について解説します。

意味

「十五夜(じゅうごや)」とは、旧暦の毎月15日の夜のことです。
旧暦は月の満ち欠けを基準にしています。新月から満月となる月の満ち欠けの周期は約15日で、旧暦では1日を新月、15日が満月です。旧暦の8月は空が澄んでいて月が一年で最も美しく見えることから、月見をするようになりました。

由来

もともとは中国の「中秋節」が発祥の行事です。中秋節とは旧暦の8月15日を意味します。月を見ながら餅を食べるという風習が、平安時代に日本の貴族の間で広まりました。当時、貴族たちは月を眺めながらお酒を飲んだり、船の上で詩歌や楽器を演奏したりして「月見の宴」を楽しんでいたとされています。
その後、庶民の間に広がったのは江戸時代です。貴族のように宴会を楽しむのではなく、収穫を祝い感謝する祭りとして感謝する日として広まっていきました。

そして現代では、十五夜とはススキや月見団子などを供えて、美しい月を楽しむ行事とされています。

日本には海外から伝わり、国内で独自の発展を遂げた行事があります。過ごし方や風習・行事食については「日本の年中行事や伝統行事を一覧で解説!特別な日の風習や行事食とは?」をご覧ください。

十五夜はいつ?【2024】

十五夜はいつ?【2024】の画像

2024年の十五夜は9月17日(火)です。

十五夜は旧暦の8月15日を指します。新暦と旧暦では1ヶ月から2ヶ月ほどの日付のずれがあり、十五夜は9月初旬から10月初旬の間にあります。そのため、毎年同じ日付が十五夜になるわけではありません。

十五夜以外の月見をする日

十五夜以外の月見をする日の画像

お月見を行うのは、一五夜が一般的です。しかし、十五夜以外の「十三夜」や「十日夜」に月見を行う風習もあります。十五夜は中国から伝わりましたが、十三夜は日本で生まれた風習です。ここでは、十三夜と十日夜のそれぞれの意味と特徴について紹介します。

十三夜

「十三夜(じゅうさんや)」は旧暦の9月13日の夜のことです。十五夜の次に美しい月が見られる日とされていることから「後の月」とも呼ばれています。

十三夜の始まりは明確ではありません。有力なのは、平安時代に書かれた「躬恒集(みつねしゅう)」という書物に醍醐天皇が月見の宴を催したと書かれており、そこから十三夜が始まったとされる説です。ほかには、平安時代後期の書物『中右記』に記載されていた、宇多天皇が催した宴が風習として広まったという説もあります。

十三夜も十五夜と同じく月見をしながら収穫に感謝する行事です。お供えする物はススキや月見団子など十五夜と変わりありません。月見団子は十三夜にちなんで13個もしくは3個供えます。ほかにも旬の野菜や果物を供えるのも習わしです。
なお、十三夜の時期は栗や豆が収穫されるため、十三夜を「栗名月」や「豆名月」と呼ぶ地域もあります。

十五夜もしくは十三夜どちらかしかお月見をしないことは「片月見(かたつきみ)」もしくは「片見月(かたみつき)」と呼ばれ、縁起が悪いとされてきました。月見は収穫の感謝を表す風習のため、十五夜・十三夜両方に感謝を表してこそ正式な感謝となると考えられていたことが由来とされています。

なお、2024年の十三夜は10月15日(火)です。

十日夜

旧暦の10月10日に行われる行事を「十日夜(とおかんや)」といいます。田の神様を祀り、秋の収穫を祝う日です。十日夜の月は、十五夜・十三夜に並ぶ秋の月見を楽しむ行事とされています。

2024年の十日夜は11月10日(日)です。

十日夜は、稲刈りが無事に終わり、田の神様が山に帰る日とされていました。そのため、田の神様の化身とされる「かかし」にお供えをしたり、「かかし」と一緒に月見したりする「かかしあげ」という風習を行う地域もあります。

十五夜・十三夜・十日夜を合わせて「三月見」といい、3日とも綺麗な月が見れることは縁起が良いとされているのです。

秋には月の出る様子や瞬く星に関係する美しい季語が多いのが特徴です。秋の季語については「【秋の季語一覧】美しい言葉やかっこいい表現を解説」にまとめています。

十五夜の別の呼び方

十五夜の別の呼び方の画像

十五夜の月は一年で最も美しい月とされ、さまざまな名前で呼ばれてきました。ここでは、十五夜の別の呼び方を紹介します。

中秋の名月

十五夜の別名は「中秋の名月(ちゅうしゅうのめいげつ)」です。
旧暦では7~9月を秋とし、その間にある8月を「中秋」と呼んでいました。中秋に月が最も美しく見えることから「中秋の名月」という名前がついたとされています。

中秋の名月は必ずしも満月というわけではありません。満月になる周期には14~16日と多少のズレが生じるためです。

芋名月

十五夜の別名に「芋名月(いもめいげつ)」があります。
旧暦の8月15日は芋類の収穫時期です。そのため、十五夜のお供えとして里芋やさつまいもを供える風習があることから名付けられたとされています。

また、十五夜のお供え物として里芋の形に似せた月見団子を供える地域もあるようです。

仏滅名月

「仏滅名月(ぶつめつめいげつ)」も十五夜の別名です。
日本の暦には、その日の吉凶を占う指標となる「六曜」と呼ばれる日付の考え方があります。種類は、先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口の6種類です。六曜は、日本で販売されるカレンダーの多くにも記載されています。旧暦の1日は月ごとによってどの六曜から始まるのか決められていて、旧暦8月は友引から始まるのが決まりです。そうすると、旧暦の8月15日は必ず「仏滅」になるため、十五夜を「仏滅名月」とも呼びます。

旧暦では、気候や行事にちなんだ月の名前が使われていました。各月の和風月名については「日本の旧暦は月の満ち欠けを元にしていた!各月の名前である和風月名も紹介」にまとめています。

十五夜にお供えする食べ物や植物

十五夜にお供えする食べ物や植物の画像

十五夜の代表的なお供えは、ススキや月見団子などです。月を司る神である「月読命(つくよみのみこと)」への信仰心から始まったといわれています。秋の収穫に感謝するとともに、食べ物を供えてお月見をするのが十五夜の一般的な過ごし方です。

月見団子

十五夜の月見に「月見団子」は欠かせません。
月見団子を供える習慣は江戸時代から始まったとされています。秋に収穫される米で団子を作って供えることで農作物の豊作を願いました。

十五夜では15個のお団子を供えるのが一般的です。三方と呼ばれる木の台に白い紙を敷き、三角形に積み上げるように並べます。大きい団子は縁起が良いとされ、一寸五分(4.5cm)の大きさで作られていました。

秋の収穫を月読命に感謝するとともに、長寿や健康、翌年の豊作を祈願します。十五夜をイメージするイラストにも月見団子がよく使われていることから、お月見には欠かせない食べ物の一つといえるでしょう。

旬の農作物

十五夜は収穫を祝う日なので、旬の農作物が供えられます。
里芋やさつま芋、大豆、栗など秋に旬を迎える野菜はお供えとして最適です。また、果物では柿や梨、ぶどうなども供えられます。特に蔓(つる)がついた野菜や果物は、月と人をつなぐものとして縁起の良いとされてきました。

供えたあとは料理の具材として使うなどして楽しみます。

水や酒

日本では、仏前や神前に水や米が供えられます。
祝いの席では、米と水から造られた日本酒も飲まれることから、供え物としても用いられるようになりました。お月見の際は、新酒や秋酒が多く供えられています。

ススキ

ススキは、十五夜に供える代表的な植物です。
病気や災害を追い払うという魔除けの意味があるといわれています。また、米と同じイネ科の植物であり、豊作や子孫繁栄などの象徴ともいわれ縁起物とされてきました。
十五夜に飾るススキの数は、3本もしくは5本など奇数が良いとされています。

秋の七草

古来から十五夜には「秋の七草」を供える習慣がありました。
秋の七草と呼ばれる植物は、「萩(はぎ)」「葛(くず)」「桔梗(ききょう)」「女郎花(おみなえし)」「藤袴(ふじばかま)」「撫子(なでしこ)」「ススキ(尾花)」です。

一般的に春の七草は食べる習慣がありますが、秋の七草は目で楽しみます。お月見の際は、食べ物と一緒に秋の植物を飾るのも良いでしょう。

日本の秋の魅力や旬の食べ物については「日本の秋の魅力は?季節の花や食べ物・秋祭り・行事・紅葉スポットを紹介!」にまとめています。

日本の十五夜の面白い風習

日本の十五夜の面白い風習の画像

十五夜では月見をするのが一般的な過ごし方ですが、全国には面白い独特の風習があります。

そのうちの一つが「お月見泥棒」です。神様の使いである子どもたちがお供え物をこっそり盗み取ることを意味していて、十五夜に限って許される行為とされてきました。むしろ、お供え物がなくなっていることは、月が食べたとして縁起の良い出来事とされています。

ほかにも、九州から沖縄地方では十五夜に綱引きや相撲大会が行われる地域も。山から採った藁(わら)や萱(かや)を竜に見立てて縄を編み、綱引きをします。災いをもたらす龍に見立てた縄を綱引きで引きちぎることで豊作を願うのです。その後、綱引きで使った縄で土俵を作り、奉納相撲が行われます。

相撲は日本の伝統芸能の一つで1500年以上の歴史があります。具体的なルールや見どころについては「相撲とは?外国人向けにルールや歴史を簡単に紹介」をご覧ください。

まとめ

十五夜とはどんな日?食べ物や風習をわかりやすく紹介のまとめの画像

十五夜とは旧暦の8月15日の夜のことです。もともとは中国から伝わり、のちに月見をしながら収穫に感謝をする日として広がりました。別名「中秋の名月」とも呼ばれ、一年で最も美しい月が見れる日となっています。
地域によって過ごし方や風習が異なりますが、十五夜にはススキや月見団子を供えて月見をするのが一般的です。十五夜がどのような行事なのか理解し、楽しく過ごしてください。

ライター

WeXpats
生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

Special Features 特集

Top Articles 人気記事

Our Social Media ソーシャルメディア

日本の最新情報を9言語で定期更新しています。

  • English
  • 한국어
  • Tiếng Việt
  • မြန်မာဘာသာစကား
  • Bahasa Indonesia
  • 中文 (繁體)
  • Español
  • Português
  • ภาษาไทย
TOP/ 日本文化を知る/ 季節の文化とイベント/ 十五夜とはどんな日?食べ物や風習をわかりやすく紹介

当社のウェブサイトは、利便性及び品質の維持・向上を目的に、Cookieを使用しております。Cookieの使用に同意頂ける場合は、「同意する」ボタンを押して下さい。
なお、当社のCookie使用について詳しくはこちらをご参照下さい。

Cookie利用ポリシー