日本で就職を考えている外国人留学生の中には、「興味のある業界ってどう探すの?」「日本の代表的な業界って何?」などと疑問を抱いている人もいるでしょう。
このコラムでは日本で就活をしている外国人留学生に向けて、基本の就活スケジュールや進め方のコツ、気になる業界の見つけ方を紹介しています。さらに、代表的な日本の業界についてもまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
目次
日本での就職活動の進め方
まずは日本の一般的な就職活動スケジュールについてチェックしていきましょう。日本では企業のエントリー時期や選考開始時期が経団連によって以下のように定められています。※
[2020年卒業生の場合]
・2019年3月→企業エントリー開始
・2019年6月→選考開始
・2019年10月→内定通知
※2022年以降の就活では現行スケジュールは廃止されると発表されています(2019年11月現在)
経団連に所属する企業の場合、この指針に基づいて採用活動が解禁となるため、学生側の就職活動もこれに合わせる形が一般的です。
とは言え、この決まりには強制力がありません。経団連に所属していない企業はもちろん、所属企業であっても早い時期から採用活動を開始しているケースもあります。志望企業については、例年の動向や採用に関するお知らせなど、積極的に情報収集しておきましょう。
また、多くの企業は採用が始まる前年の夏~冬にかけてインターンを開催しています。2020年卒であれば、2018年のインターンが参加対象です。なお、日本の就活におけるインターンシップについては、「就活をする外国人留学生必見!日本のインターンシップは海外とは違う」のコラムで詳しく解説しています。
つまり、大学3年生の夏から就職活動に向けた準備が始まっているということ。以下で紹介する就活のポイントを押さえ、乗り遅れないようにしましょう。
[やっておくべきこと就活のポイント]
・大学3年生の夏~冬→自己分析、企業分析、業界分析、インターン参加
・大学3年生の1~3月→試験対策、履歴書、エントリーシート対策
・大学4年生の4~5月→企業説明会参加、面接対策
上記はあくまでも目安です。予想以上に準備や対策に時間を取られることもあるので、後回しにせず、目標を決めて計画的に取り組んでください。日本で就活をする場合は、「日本の就活の流れや必要な準備とは何か?外国人留学生に向けて解説」のコラムも参考にしてください。
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外国人留学生が興味のある業界を見つけるには?
日本で興味のある業界を見つけたい外国人留学生は、まず「業界研究」から始めましょう。業界とは、「どんな活動を行っているか」といった区分で企業を分類したものです。業界研究をすることで、以下の目的を達成することができます。
(1)「働きたい」と思える業界や企業を見つける
(2)「志望動機」をはっきりさせる
(3)自分の将来設計とマッチしている業界が分かる
業界研究を進める段取りについては、下記を参考にしてみてください。
(1)世の中の動きを把握する:社会や経済の動向について、ニュース、経済誌などから情報収集をします
(2)業界の種類を調べる:日本の主な業界について調べます。当コラムでも後述していますので、次項を参照ください
(3)興味のある業界について調べる:自分のキャリアビジョンに合いそうな業界を調べます。業界の特徴と、自分との相性をよく考えましょう
(4)興味のある業界に関連する業界を調べる:関連業界を調べることで、志望業界の幅が広がります
(5)志望業界を絞り、その業界と主な企業を調べる:志望業界が絞られた段階で、その業界にどんな企業があるのかを調べます
また、業界研究の具体的な方法を以下にまとめました。
・自分で調べる→インターネット(企業のWebサイト・就活情報サイトなど)、経済誌、新聞、書籍など
・就活支援機関を使う→大学のキャリアセンターや就活課、ハローワークや民間の就職エージェントなど
・OB、OG訪問をする→所属大学やサークルの先輩など
・企業説明会に行く→企業や大学内で開催される企業説明会など
業界研究のやり方やポイントは「業界研究のやり方を外国人留学生向けに解説!ノートのまとめ方も伝授」のコラムでも紹介しています。自分に合った方法を見つけて、研究を進めて行きましょう。
日本にある業界の種類を知ろう
次に、日本の代表的な業界を紹介していきます。業界はその役割から以下のような産業区分で分けることができます。
(1)ものを作る
(2)ものを売る
(3)お金を動かす
(4)サービスを提供する
(5)情報産業
詳細について、以下より詳しく追っていきましょう。
(1)ものを作る
もの作る産業とは「製造業」を指し、いわゆるメーカーが該当します。以下に主な業界をまとめました。
・食品、農林、水産
・自動車、輸送用機器
・建設、インテリア、住宅
・化学、薬品、繊維、化粧品
・金属、鉄鋼、鉱業
・機械、プラント
・電子、電気機器
・精密、医療機器
・印刷、事務機器関連
・スポーツ、玩具
上記で分かる通り、メーカー業界の活躍の場はとても幅広く、日本経済の要ともいえる存在です。
(2)ものを売る
ものを売る産業の役割は、(1)のメーカーで作られた商品を、消費者に販売すること。以下のように「商社」と「小売」に大別されます。
[商社]
・総合商社
・専門商社
[小売]
・百貨店
・スーパー、コンビニ
・専門店
商社の役割は、メーカーから製品を買い付け、小売店へと販売すること。総合商社は「鉛筆から飛行機まで」と称されるように、業界を問わずあらゆるメーカーの製品を取り扱います。対して、特定の業界の製品を扱うのが専門商社です。
小売店は、メーカーや商社から買い付けた商品を消費者へと販売します。それぞれ、消費者と生産者を結ぶ「流通」において欠かせない存在です。
(3)お金を動かす
お金を動かす産業は、社会全体のお金の流れを組みながら、経済的な過不足を調整することが役割です。一般的には「金融業」と呼ばれています。代表的な業種は以下の通りです。
・銀行、証券、投資信託
・労働金庫
・信用金庫
・生命保険
・損害保険
・その他金融
日本には、国民の生活安定を目的とした政府系金融機関から、法人企業や一般の消費者を対象にサービスを提供する民間の金融機関まで、さまざまな企業が存在しています。
(4)サービスを提供する
サービス業とは、商品のように形として残るものではなく、満足や効用といった「形のない財」を提供する産業のこと。主な業界を以下にまとめました。
・鉄道、航空、運輸、物流
・医療、福祉
・電力、ガス、エネルギー
・飲食
・レジャー、アミューズメント
・宿泊、旅行
・不動産
・教育
・コンサルティング、調査
・人材サービス
・その他サービス
見て分かる通り、サービス業をなくして人々の生活は成り立たないといえるほど、社会のあらゆる場所で活躍しています。サービス業は、消費者の利便性を追求し、暮らしを豊かにする業界です。
(5)情報産業
情報産業は「発信」と「通信」に大きく分けられます。中心となる業界は以下の通り。
[発信]
・広告
・出版
・放送
・新聞
[通信]
・ソフトウェア
・インターネット
・通信事業
発信業は総じて「マスコミ」と称されています。膨大な情報を世の中に向けて発信する役割をもち、社会的な影響力が大きな業界です。
また、通信業は近年、インターネットによって急速な進化を遂げました。スマートフォンやタブレットの普及とともに、現代ではコミュニケーションツールや情報媒体の主役となっています。
このほか、公益社団法人・公益財団法人、国・地方公共団体の役所を指す官公庁などもあります。ただし、これらは利益を追求せず公的な立場で社会貢献をする企業・団体です。一般企業とは位置づけが異なることを知っておきましょう。