日本企業で働きたい外国人留学生のなかには、「就職活動のスケジュールが分からない」「自分に合った就職先を探す方法はあるの?」と悩む方もいるでしょう。日本の就職活動は、大学3年生の3月から企業エントリーが始まります。このコラムでは、就職活動の流れや就職先を決める方法を紹介。外国人留学生が就職活動を成功させる方法も解説しているので、参考にして希望の企業への就職を叶えましょう。
目次
- 外国人留学生必見!日本の就職活動とは
- 外国人留学生が希望の就職先を決める方法
- 外国人留学生に人気のある業種と業務内容
- 外国人留学生が就職活動を成功させる方法
- 外国人留学生が日本企業に就職するための方法
- まとめ
外国人留学生必見!日本の就職活動とは
日本の就職活動とは、教育機関を卒業後正社員として働く企業を探して採用試験を受ける活動のことです。ここでは、日本の就職活動の概念やスケジュールを解説します。
正社員採用されるための求職活動
日本の就職活動とは新卒の学生や職に就いていない人が、一般企業や行政機関に正社員として就職するための求職活動です。日本では、新卒で採用されるための就職活動に重点を置きます。なぜならば、以前存在していた「終身雇用制度」の考え方の名残りが学生や企業にあるためです。終身雇用制度は新卒で入社した企業に定年まで雇われる制度を指します。なお、海外では学生全員が同じ時期に就職活動を行う仕組みがありません。対して日本では、企業が決められた時期に新卒採用の求人を出し選考を行う「新卒一括採用」が基本のため、学生全員が同じタイミングで就職活動を行います。「外国人留学生が知るべき就職活動の進め方!志望企業に採用されるには」のコラムでも、日本の就活の特徴を紹介しているので、参考にしてください。
就職活動のスケジュール
日本の就職活動は、基本的に下記のスケジュールで行います。
大学3年生の6月頃
就職活動の準備段階で自己分析や業界研究を行います。インターンシップも始まるため、積極的に参加すると良いでしょう。
大学3年生の3月頃
企業エントリーが開始されます。本格的に就職活動が始まる時期です。6月頃に行った自己分析や業界研究の結果をもとに、応募先の企業を決めてエントリーしていきます。企業エントリー後は、エントリーシートの提出や試験・面接の準備を進めるのが基本です。
大学4年生の6月頃
企業の採用試験や選考は、大学4年生の6月から9月の間で行われるのが一般的です。就職活動が順調に進んだ学生は、9月中に企業の選考が終了し内々定の通知が届きます。内々定が出たあとは10月の内定式まで待ちましょう。
本格的に就職活動が始まると自己分析や業界研究の時間が確保できないため、大学3年生の6月頃からしっかりと準備を行うのが大切です。なお、インターンシップは自分に向いている仕事を知れたり社会人として働く意識を高められたりする機会なので、できるだけ参加する方が良いといえます。就職活動の流れを詳しく知りたい方は、「就活を成功させたい外国人留学生必見!流れや注意点まとめ」のコラムも一読ください。
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外国人留学生が希望の就職先を決める方法
外国人留学生は就職先を決めるために、日本にある業界や職種をしっかり調べるのが重要です。ここでは、外国人留学生が自分に合った就職先を探す方法を紹介します。
自己分析を行う
本格的に就職活動を始める前に自己分析を行います。自己分析とは、自分の性格を客観視したり強みや課題を探したりする作業です。自己分析を行うと、どのような仕事をしたいのかが分かり、応募先の企業を決めやすくなるでしょう。また、自己分析で気付いた自分の強みや性格は、履歴書や面接の自己PRで企業にアピールできます。
外国人留学生は「日本企業に就職したい理由」や「日本に留学したいと思ったきっかけ」などを自己分析の際に考えてみると、自分の目標や目指す方向が明確になるでしょう。
業界や職種を把握する
外国人留学生は応募先の企業を決める前に、日本にある業界や職種を把握しましょう。業界とは事業を産業ごとに分けたもので、「商社」「サービス」などが該当します。日本にある主な業界は、以下のとおりです。
・商社
・ホテル、旅行
・保険
・ソフトウェア、ゲームソフト
・情報、インターネットサービス
・小売
・サービス
・マスコミ
・銀行
なお、職種は仕事の分類のことで「営業」「事務」などを指します。日本にある主な職種は、以下のとおりです。
・事務
・総務
・人事
・営業、販売
・会計
・国際業務
・通訳、翻訳
・商品開発
・貿易業務
上記以外にも多くの職種が存在します。外国人留学生は日本にある業界と職種を把握して、興味のある仕事を探しましょう。最初に希望の職種を絞って、その職種がある業界を調べる方法がおすすめです。職種と業界を同時に選択しようとすると迷いやすいため、まずは興味のある職種を決めましょう。職種と業界の違いや、それぞれの仕事内容については「外国人留学生のための職種や業界の選び方ガイド」のコラムでも解説しています。
外国人留学生に人気のある業種と業務内容
出入国在留管理庁が発表した「令和元年における留学生の日本企業等への就職状況について」の資料によると、2019年は30,947人の外国人留学生が就職のために在留資格変更許可申請の許可を得ています。就職先の業種は、非製造業が35,475人で製造業が6,261人です。なお、複数の項目にチェックがあるものは重複して計上しているため、許可数の30,947人よりも多くなっています。非製造業のなかでは、 卸売業と小売業及び職業紹介、労働派遣業が上位を占めており、製造業では食料品及び電気機械器具が上位です。
外国人留学生の就職先での業務内容は、翻訳・通訳が11,745人と最も多い結果でした。続いて、海外取引業務が5,783人、法人営業が5,457人、情報処理・通信技術が3,549人です。これらの4つの業務内容で、在留資格変更許可申請を受けた外国人留学生の52.4%を占めており、人気があります。
参照元 出入国在留管理庁「留学生の日本企業等への就職状況について」
外国人留学生が就職活動を成功させる方法
外国人留学生が就職活動をスムーズに行う方法は、語学力や国際理解力をアピールすることです。そのほかにも外国人留学生に限らず、履歴書の内容を濃くしたり面接で見られるポイントを把握したりしましょう。ここでは、外国人留学生が就職活動を成功させる方法を紹介します。
履歴書の内容を充実させる
履歴書の内容で重視されるのは、主に志望動機と自己PRです。志望動機は、応募先の企業を選んだ理由を詳しく記載します。どの企業でもいえる内容や漠然とした理由は避けましょう。志望動機で詳しい内容を書くためには、企業研究をするのも大切です。企業が求めている人材や力を入れている事業などを把握しましょう。なお、自己PRは自分の強みを書くのはもちろん、それを裏付ける出来事や経験を具体的に書くのが重要です。
面接でチェックされるポイントを知る
外国人留学生は、日本の面接で見られるポイントを把握しましょう。海外と日本では、面接でチェックされる点が異なります。たとえば、海外の面接ではスキルや学歴を重視される傾向がありますが、日本の面接ではスキルや学歴に加えて人柄を見られるのです。そのため、明るい表情を意識したりはきはきと話したりして、面接官に良い印象を残す必要があります。なお、就職活動や日本のビジネスシーンでは敬語の正しい使い方も重要です。外国人留学生は、「ありがとうございます」「失礼します」などの基本的な敬語を使えるようにしておきましょう。
面接では人柄以外にも、会社への理解や入社意欲を見られます。企業研究を念入りに行い具体的な志望動機を伝えると、面接官に入社意欲が伝わるでしょう。
外国人留学生ならではの強みをアピールする
就職活動を成功させるには、外国人留学生ならではの強みをアピールする方法もおすすめです。たとえば、語学力や国際理解力は外国人留学生の強みといえます。企業が海外に進出する際に、取引先の外国人と会話ができたり、海外と日本の文化や習慣の違いを理解できたりする人材は重宝されるでしょう。なお、日本企業に就職したい理由と目標を明確に伝えるのも大切です。母国ではなく日本企業を選んだ理由や入社後の目標を具体的にアピールすると、内定を得られる可能性が高くなります。「日本の就職面接の対策を外国人に向けて解説!質問例も紹介」のコラムも参考に、よくある質問に対する回答を考えておくと良いでしょう。
外国人留学生が日本企業に就職するための方法
外国人留学生は日本で就職するために、在留資格の変更手続きを行う必要があります。外国人留学生が持っている「留学」の在留資格では、就労が認められていません。そのため、「留学」の在留資格から、「技術・人文知識・国際業務」「教育」などの就労可能な在留資格へ切り替えます。在留資格の変更は、外国人留学生が4月から就職できるように大学4年生の1月から手続きが可能です。地方出入国在留管理官署に以下の必要書類を持参して、変更申請を行いましょう。
・在留資格変更許可申請書
・在留カード
・写真(縦4cm×横3cm)
・旅券又は在留資格証明書(提示出来ない場合は、その理由を記載した理由書)
・日本での活動に応じた資料
日本での活動に応じた資料は、取得を希望する在留資格によって異なります。出入国在留管理庁のWebサイトで、希望する在留資格への変更に必要な書類を確認しましょう。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
まとめ
外国人留学生が日本企業への就職を成功させる方法は、語学力や国際理解、企業への入社意欲をアピールすることです。また、日本の就職活動のスケジュールを知り、事前に自己分析や業界研究を行うとより就職が決まりやすくなるでしょう。