日本で就職活動を行う外国人留学生のなかには、「留学ビザ」から「就労ビザ」への変更について知りたい方もいるでしょう。就労ビザとは、外国人が日本で報酬を得る活動をするために必要な資格です。このコラムでは、「留学ビザ」から「就労ビザ」へ変更する際の審査基準や提出書類を紹介します。就労ビザの種類もまとめているので、参考にして必要な手続きを行いましょう。
目次
外国人留学生必見!就労ビザとは
就労ビザとは、外国人留学生が日本で働くために必要な資格です。ここでは、就労ビザの種類を紹介します。
日本企業に就職するために必要な資格
外国人留学生が日本企業に就職するには、就労ビザを取得する必要があります。外国人留学生に人気の就労ビザは、「技術・人文知識・国際業務」です。「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを取得すると、「通訳・翻訳」「営業」「商品開発」などの職種に就けます。取得する就労ビザによって就ける職種が異なるため注意が必要です。
就労ビザの種類
就労ビザの種類は、以下のとおりです。
- 外交
- 公用
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営、管理
- 法律、会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術、人文知識、国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能
- 技能実習
外国人留学生は上記の就労ビザのなかから、専攻分野と関連性のあるものを選ぶ必要があります。教育機関で学んだ分野と関連性がない就労ビザは取得できません。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格一覧」
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外国人留学生は留学ビザから就労ビザへの変更が必要
日本企業に就職する外国人留学生は、「留学ビザ」から「就労ビザ」への変更が必要です。ここでは、変更申請に必要な書類や審査基準を紹介します。
変更申請をする時期
「留学ビザ」から「就労ビザ」への変更申請は、卒業年の12月から可能です。外国人留学生が4月から就職できるように、出入国在留管理局ではこの時期から受け付けを開始しています。変更申請を行ってから許可が降りるまでには2週間から1ヶ月程度掛かるため、余裕を持って申請しましょう。
必要な書類
「留学ビザ」から「就労ビザ」への変更申請に必要な書類は、以下のとおりです。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm、横3cm)
- 日本での活動内容に応じた資料
- 在留カード
- 旅券または在留資格証明書(提示できない場合は理由を記載した理由書)
- 資格外活動許可書(同許可書の交付を受けている者に限る)
- 身分を証する文書等(申請取次者が申請を行う場合)
「日本での活動内容に応じた資料」は、取得する就労ビザの種類によって提出する書類が異なります。在籍していた教育機関や、就職予定先の企業が発行する書類が必要な場合もあるため、事前に確認しましょう。
外国人留学生が就労ビザに変更する理由と申請の流れについては、「外国人留学生はいつ就労ビザへ変更する?手続きの流れや必要書類を解説!」でもまとめています。就労ビザへ変更する予定のある外国人留学生は、参考にして必要書類を揃え、正しく申請を行いましょう。
出入国在留管理局の審査基準
就労ビザへ変更する際の審査基準は、以下のとおりです。
- 外国人留学生が教育機関で学んだ分野と就職予定先で行う業務に関連性がある
- 外国人留学生が従事する業務が専門的なものである
- 外国人留学生が持つスキルや知識を業務で活かせる
- 就職予定先の企業に安定性や将来性がある
- 同じ業務を行う日本人と同等以上の報酬を得られる
外国人留学生が「就労ビザ」から「留学ビザ」へ変更するには、上記のすべての条件を満たす必要があります。外国人留学生本人だけでなく、企業の規模や事業実績なども審査基準の対象です。
「外国人留学生が就労ビザへ変更するには?申請の流れや必要書類を紹介」では、卒業後に進学や結婚をする場合のビザも解説しています。ぜひ一度チェックしてみてください。
参照元 出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
就労ビザへ変更した外国人留学生はどのくらい?
出入国在留管理庁が発表した「留学生の日本企業等への就職状況について」によると、2019年に「留学ビザ」から「就労ビザ」へ変更申請を行った外国人留学生は、38,711人でした。そのうち、30,947人が変更許可を受けています。変更許可を受けた外国人留学生を国籍・地域別でみると、中国が11,580人と最も多く、次いでベトナムが7,030人、ネパールが3,591人、韓国が1,663人、台湾が1,259人でした。
外国人留学生が変更した就労ビザで最も多いのは「技術・人文知識・国際業務」です。「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザに変更した人は28,595人で、全体の92.4%を占めています。
参照元 出入国在留管理庁「留学生の日本企業等への就職状況について」
卒業後も就活継続予定の外国人留学生が取得するビザ
教育機関を卒業した後も就職活動を継続する外国人留学生は、「特定活動ビザ」の取得が必要です。ここでは、「特定活動ビザ」について解説します。
留学ビザから特定活動ビザへ変更する
大学や専門学校の在学中に就職先が決まらず、卒業後も就職活動を続ける場合は、「留学ビザ」から「特定活動ビザ」へ変更する必要があります。「特定活動ビザ」を取得すると、卒業後も6ヶ月間の就職活動が可能です。もし、6ヶ月の間で就職先が決まらなかった場合は、一度だけ更新をして1年間の就職活動を行えます。
必要な書類
「留学ビザ」から「特定活動ビザ」への変更に必要な書類は、以下のとおりです。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm、横3cm)
- パスポート及び在留カード
- 申請人の在留中の一切の経費の支弁能力を証する文書(申請人以外が経費支弁をする場合は、その者の支弁能力を証する文書、その者が支弁するに至った経緯を明らかにする文書)
- 身分を証する文書等(申請人本人以外が申請を提出する場合)
大学卒業後に就職活動を続ける場合と、専門学校卒業後に就職活動を続ける場合で、以下のように提出書類が異なります。
【大学卒業後に就職活動を続ける場合】
- 直前まで在籍していた大学の卒業証書の写しまたは卒業証明書
- 直前まで在籍していた大学による継続就職活動についての推薦状
- 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料
【専門学校卒業後に就職活動を続ける場合】
- 直前まで在籍していた専修学校の発行する専門士の称号を有することの証明書
- 直前まで在籍していた専修学校の卒業証書の写しまたは卒業証明書及び成績証明書
- 直前まで在籍していた専修学校による継続就職活動についての推薦状
- 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料
- 専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料
外国人留学生が「留学ビザ」から「特定活動ビザ」に変更する場合は、卒業した大学もしくは専門学校が発行する書類を揃える必要があります。事前に必要な書類を確認して、不備がないように準備しましょう。
「外国人留学生は就活後「就労ビザ」への変更が必要!手続き方法を解説」では、留学ビザから就労ビザに変更するために必要な書類や審査基準を紹介しています。「特定活動ビザ」や「特定活動46号」についても解説しているため、参考にしてスムーズに手続きを行いましょう。
参照元 出入国在留管理庁「特定活動9」
まとめ
日本企業に就職する外国人留学生は、「留学ビザ」から「就労ビザ」に変更する必要があります。必要書類を揃えて、居住地を管轄する地方出入国在留管理局で変更申請を行いましょう。なお、卒業後も就職が決まらなった場合は、「特定活動」ビザを取得すれば、継続して就職活動を行えます。