日本の就活準備には、自己分析や企業研究など、留学生には馴染みがない作業があります。
このコラムでは、日本ではどのような流れで就活をするのかを解説。また、就活に必要となるものや覚えておきたいマナーもまとめています。「日本で働きたいけど就活のやりかたが分からない…」という留学生は、ぜひ参考にしてください。
目次
日本の就活のやりかた
日本の就活は、インターンシップに参加することから始まります。その後、自己分析や企業研究を行い、自分がどのようなところで働きたいかが分かったら、志望する企業に応募。気になる企業へエントリーが完了したあとは、説明会に足を運んだり、履歴書の準備をしたりするなど、入社試験や面接の対策を始めます。それでは、日本での就活の進め方を見てみましょう。
インターンシップに参加する
まずは、インターンシップに参加しましょう。インターンシップとは、実際に企業で就労体験ができる機会のことです。日本では6月から9月にかけて「サマーインターンシップ」、10月から2月にかけて「オータム・ウィンターインターンシップ」を行っている企業が多く存在します。気になる企業でインターンシップを行っていれば、積極的に参加しましょう。
インターンシップに参加すると、実際に企業でどのような仕事をしているのかということや従業員の雰囲気がわかります。また、企業で働く人から直接話を聞ける良い機会です。企業によって特色は変わるので、複数のインターンシップに参加してみると良いでしょう。
自己分析をする
自己分析とは、「自分はどのような人物なのか?」ということを探るもの。学生生活ではどのようなことをしてきたか、今までどういう経験をしてきたかを思い出しましょう。自分はどのようなことに興味があるのか、その一方で、どのようなことには興味がないのかをはっきりさせることが大切です。また、自分には何ができるのか、何ができないのかも理解すると良いでしょう。自己分析をやっておくことで、自分に本当に合う職場を見極めることができますし、面接で質問をされたときに答えやすくなるでしょう。
留学生が自己分析をするにあたり、重要なポイントは以下の7つです。
1.どうして日本に来たのか?ほかの国を選ばなかった理由は何か?
2.日本に興味を持ったきっかけは何か?
3.日本に来て良かったことは何か?
4.日本で働きたいと思った理由は何か?
5.留学生として、どのような貢献ができるのか?
6.数年後は何をしていると思うか?数年後の目標はあるか?
7.母国と日本では何が違うと感じたか?
自己分析の方法は「外国人留学生のための簡単な自己分析のやり方」のコラムでも詳しく紹介しているので、チェックしてみましょう。
企業研究を行う
自己分析ができたら、企業研究をしましょう。企業研究では、「どのような企業であれば自分に向いているのか」を明確にします。そのためには、企業のことを調べ、仕事内容や経営理念、職場の雰囲気の理解を深めましょう。比較するためにも、多くの企業の情報を集めるのがおすすめです。企業のことがよく分かったら、自己分析ではっきりさせた自分の素顔をもとに、どのような場所で自分のような人材が求められているのか、共通点を見極めます。
「企業研究のやり方を知りたい!外国人留学生が日本の企業に就職するために」では、企業研究のポイントや注意点をまとめています。スムーズに情報を得られる方法を紹介しているので、ぜひご一読ください。
志望する企業に応募する
どのような職場で働きたいかが分かったら、実際に志望する企業に応募しましょう。応募したら必ず採用試験を受けなくてはいけないわけではありません。そのため、応募する段階では、さまざまな企業にエントリーすると良いでしょう。
企業の説明会に行く
複数の企業へエントリーが完了したら、志望するところが開催している説明会に参加しましょう。志望した会社で行われる単独の説明会のほかに、就活エージェントが主催するような合同説明会もおすすめです。いくつもの企業が集まり、説明会を開いているので、さまざまな話を聞くことができます。説明会に参加したあとでのエントリーが可能な企業もあるので、気になるところがあれば、積極的に応募しましょう。
履歴書やESを書く
就活の際に必要となるのが、履歴書やエントリーシート(ES)です。履歴書やエントリーシートには、基本的に学生時代に努力したことや志望動機、自己PRを書く欄があります。自己分析や企業研究で明確になった自分の強みと企業の特色の共通点を意識して記入すると良いでしょう。
筆記試験の勉強をする
選考には筆記試験、またはWeb試験がある企業も。試験内容は、SPIといった性格特性および基礎能力を測る試験や適性検査と呼ばれる性格検査などがあります。企業によって、どのような試験があるのかは異なるので、事前に確認しておくと良いでしょう。企業は、SPIや適性検査を行うことで、応募者がどのような人なのかを理解しようとしています。
Webでテストを行う際には、パソコンの使用に慣れていないと手間取ってしまうので、事前にどのような形式で試験が行われるのか、確認しておきましょう。また、性格検査の場合は採用されようとして、実際とは異なる「企業が求めていそうな人物像」をイメージして嘘の内容で答えてしまうと、入社してから職場に合わず、自分が困ってしまう可能性も。そのため、偽りなく自分に正直に回答することをおすすめします。
面接の練習をする
事前に面接の練習をしておくことはとても重要です。選考では基本的に面接があります。知人に練習相手を頼み、繰り返し練習することをおすすめします。自分の姿や質問への回答を客観的に評価してもらい、アドバイスを受けましょう。
また、面接には個人面接や集団面接、グループディスカッション、グループワークなど、さまざまな種類があります。個人面接は自分1人に対して、採用担当者が1人~複数人ついて面接する方式です。時間は15分程度のことが多く、自分に対しての質問がどんどん堀下げられていきます。質問の数が多く、深くまで聞かれるため、対策も念入りに行っておくと良いでしょう。
集団面接では、同時に応募者2~3人ほどに対して面接が行われます。ほかの人と比較されることもあるため、どれだけ自分の存在感をアピールするかが重要です。しかし、悪目立ちはしないように気をつけましょう。
グループディスカッションでは、複数人でグループを作り、与えられたテーマで話し合いを行います。また、グループワークと呼ばれる、グループで何か1つの物を作るという作業の場合も。グループディスカッションやグループワークで採用担当者から見られているのは、リーダーシップや協調性、発想力など。活動に消極的であると採用担当者にマイナスイメージを与えてしまうので、気をつけましょう。
試験や面接を受ける
試験や面接当日は身だしなみに気をつけ、忘れ物がないかの確認を怠らないようにしましょう。試験や面接の日に持参したほうが良いものを以下にまとめています。
大きめの鞄
試験や面接の日は資料や書類を持ち帰る場合もあるので、A4サイズの資料や書類が入る鞄を持参しましょう。大きすぎてもあまり印象が良くないので、適度なサイズのものを選ぶことをおすすめします。
A4サイズのクリアファイル
もらった資料や書類を折らずに入れられるように、クリアファイルを持っていると安心です。
地図
念のために、会場までのルートが分かる地図を持っていくと良いでしょう。携帯電話の充電が切れてしまっても安心です。
筆記用具
シャープペンシルやボールペン、消しゴム、メモ帳を持参しましょう。履歴書やエントリーシートに記入漏れがあることに気づいても、その場で書くことができるのでおすすめです。
企業の資料
待ち時間に企業の情報を復習できます。
履歴書またはES
必要な場合は持参しましょう。
履歴書またはESのコピー
コピーを持っておくと、提出したあとでも内容を振り返ることができるので、おすすめです。
腕時計
携帯電話で時間を確認するより、腕時計で確認したほうが採用担当者に良い印象を与えられます。必ず着用しておきましょう。
携帯電話
携帯電話には応募した企業の連絡先を登録しておきましょう。何かあったときにすぐに採用担当者へ連絡できる手段があると安心です。
試験や面接当日は、時間に余裕を持って早めに出かけましょう。電車やバスの運休や遅延があっても遅刻をしないことが大切です。
内定の連絡を待つ
試験や面接を受けたあとは、内定の連絡を待つのみです。内定の連絡を受けたらはやめに返事をしましょう。その後は、企業の連絡に従い、入社となります。
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就活をはじめる前に
就活をはじめる前に、必要なものをそろえ、就活向けの髪型やメイクを学びましょう。就活に必要なものや就活向けの髪型、メイクをご紹介します。
必要なものをそろえる
日本の就活で基本的に必要となるものが、以下の7つです。それぞれ確認し、面接の前に準備ができていなくて焦るようなことがないようにしましょう。
リクルートスーツ
1~2着ほどあれば良いでしょう。黒のスーツでボタンは2つのものが基本です。女性の場合、スカートタイプであれば、ひざ丈のタイトスカートを選びましょう。
ワイシャツまたはブラウス
スーツとは違い、基本的に一度着用したら洗濯をするため、3~4着持っておくと安心です。
靴下またはストッキング
男性の場合は靴下、女性の場合はストッキングを用意します。靴下であれば、しゃがんだときに肌が見えてしまわない長さで黒色もの、ストッキングであれば自然な肌色を選びましょう。
革靴またはパンプス
スーツに合う黒色を選びましょう。男性の場合はプレーントゥの革靴がおすすめです。女性の場合、パンプスはヒールが太目で3~5cmほどの高さのシンプルなものが良いでしょう。
リクルートバッグ
A4サイズの資料や書類が入る、黒いものを選びましょう。
証明写真
あらかじめ写真館で撮影しておきましょう。応募した企業の数だけ、多めに用意します。
就活向けの髪型やメイクにする
髪型が整っていないと、採用担当者にマイナスイメージを与えてしまいます。清潔感を意識し、男性であれば整髪料で髪を整え、女性であれば長い髪はポニーテールやハーフアップに束ねると良いでしょう。また、女性の場合は、就活時にノーメイクで挑むのはおすすめできません。ナチュラルを意識した就活メイクで面接に備えましょう。
就活に失敗しないためのマナーとは?
就活で失敗しないために、メールや電話のマナーを知っておくことも大切です。メールのマナーと電話のマナーをそれぞれご紹介します。
メールのマナー
メールでは以下の5つに注意しましょう。
宛先
アドレス帳に登録している名前を、そのまま相手が見れてしまう場合もあります。その際、名前を間違えていると失礼になってしまうので、正しく登録しましょう。
件名
簡潔で内容がすぐに分かる件名にしましょう。また、企業から来たメールに返信する際は、件名を変えてはいけません。件名を変えてしまうと、どのメールへの返信か分からなくなってしまう可能性があります。
宛名
本文のはじめに会社名と部署名、担当者名を入れましょう。その際「(株)」といった表記は失礼に当たるため、避けたほうが無難です。
本文
適度に改行をしましょう。相手に思いやりの気持ちを忘れずに文章を作成することが重要です。
企業に初めて送るメールであれば「お世話になります」で始め、2通目からは「お世話になっております」と入力しましょう。
署名
最後に自分の名前や所属、住所、連絡先を入れましょう。
また、先方からのメールに返信する際、履歴が本文内に残ります。履歴は残したまま返信しましょう。採用担当者が以前の内容を確認する際に役立ちます。
電話のマナー
電話をかける際に注意したいのは、以下の5つです。
必ずメモを取る
電話をかける際、また受けるときにも必ずメモの準備をしておきましょう。聞き間違いがあると大変なので、大切なことは復唱するといったことも必要です。
電話をかける時間を気をつける
電話をかける時間は、企業の営業時間中にしましょう。また、お昼休み中であろう時間は避けたほうが無難です。
挨拶をきちんとする
「ただいまお時間はよろしいでしょうか」と伺い、自分の所属や名前を名乗るなど、挨拶はしっかりしましょう。挨拶ができると、採用担当者に良いイメージを持ってもらえます。
電波が良く静かなところで
電波が途中で切れてしまうことがないように、電波が良いところで電話をかけましょう。また、ガヤガヤしていて、お互いの声がうまく聞こえない場所は避けたほうが良いです。
姿勢よく、笑顔で会話する
相手に姿が見えていなくても、自分がどのような姿勢で、どのような表情で話しているかは伝わってしまいます。笑顔ではきはきとした受け答えをしましょう。
まとめ
日本での就活のやりかたが分かったら、まずはインターンシップに参加してみましょう。就労体験をしてみて、日本で働くイメージがつかめたら、自己分析や企業研究を行います。その後、志望する企業にエントリーし説明会に参加するなど、試験や面接を受けるまでの準備はさまざま。また、試験や面接の直前で慌てないように、就活で必要になるものを早めに用意しておくのがおすすめです。
準備がしっかりと整ったら、実際に日本で就活を始めてみましょう!