日本の転職面接では、「あなたの強み(弱み)は何ですか?」と聞かれることがよくあります。そのとき、何を答えたら良いか分からないという外国人の方もいるでしょう。強みは長所、弱みは短所のことを指します。このコラムでは、強みと弱みを伝えるときのポイントを解説。面接で答える際の回答例も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
目次
転職面接で聞かれる「強み」「弱み」とは?
転職活動でよく耳にする「強み」とは、誇れる能力や性格といった長所のことです。一方、「弱み」は課題や改善したい点などの短所を指します。
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面接で強みと弱みを聞かれる理由
企業が面接で強みと弱みを聞くのは、しっかりと自己分析ができているかを判断するためです。また、求める人材とマッチするかを確認するためともいわれています。
自己分析ができているか判断するため
企業が面接で強みと弱みを聞く理由の一つは、自分の長所や短所を客観的に評価できているかを判断するためです。自己分析ができている人は、自分の強みを仕事でどのように活かせば良いかを理解できていることがほとんど。そのため、問題にぶつかったとしても、自分で考えて行動できると企業側は考えるのです。また、弱みを把握して克服していこうという気持ちや、課題に向き合う力があるかも判断します。
自社とのミスマッチを防ぐため
企業は、自社で活躍する人材を求めています。転職希望者が答えた強みやスキルが自社の業務や社風に合っていれば、入社後の活躍をイメージしやすいでしょう。そのため、入社後のミスマッチも起こりにくく長期的な活躍が期待できます。一方で、いくら魅力的な強みを有していても、企業が求める人物像に合わなければ評価はあまり高くないでしょう。
強みと弱みを伝えるときのポイント
強みと弱みを伝えるときは、企業が求める人物像に合っているかが重要です。また、強みと弱みはそれぞれ1つに絞って、具体的なエピソードを添えるのもポイント。ここでは、強みと弱みの伝え方について解説します。
企業が求める人物像に合っているか考える
先述したとおり、企業は自社で活躍する人材を求めています。そのため、強みは企業が求める人物像に合っているかが重要です。「足が速い」「お酒に強い」というような、仕事に活かせない強みでは意味がありません。また、一般的には魅力的とされる強みでも、その企業が求める人物像に合わなければ高い評価はされないでしょう。そのため、企業がどういった人材を求めているかしっかりとリサーチをしたうえで、自分の強みを伝えることが大切です。
強みと弱みはそれぞれ1つに絞る
強みと弱みを聞かれた際は、それぞれ1つに絞って答えましょう。自己アピールをしたいからといって、「責任感があって、コミュニケーション力が高く、努力家です」というようにいくつも述べると要点が伝わりません。それどころか、自己分析がしっかりできていないとマイナス評価を受ける可能性があります。
具体的なエピソードや理由を添えて伝える
強みや弱みは、実際の出来事と一緒に伝えるのがポイントです。まずは、「私の強み(弱み)は、◯◯です」と結論を述べ、その後に根拠や理由、エピソードを伝えましょう。自分の強みが活きた場面や自分の弱みに気づいたときのことを話すのがおすすめです。具体的に伝えることで、強みへの説得力は増し、弱みはしっかりと理解できていると印象づけることができます。
弱みは今後の改善策も含めて伝える
弱みは前述した根拠や理由、エピソードに加えて、改善策も伝えましょう。たとえば、「優柔不断」という弱みであれば、「常に物事の優先順位を考えるようにしている」「問題が発生した際に悩まずに済むよう、いくつもの案を考えておく」といった改善策を伝えることで、マイナスな内容をポジティブに伝えられます。
「長所と短所の伝え方とは?転職を考えている外国人に向けて例文もご紹介!」では、自分の長所と短所を見つける方法や伝え方のポイントをまとめています。さらに、例文もご紹介していますので参考にしてみてください。
面接で強みを聞かれたときの回答例
ここでは、強みを聞かれたときの回答例を紹介します。「コミュニケーション力がある」「リーダーシップがある」「忍耐力がある」の3つの例をあげるので、ぜひ参考にしてください。
コミュニケーション力がある
「私の強みは、コミュニケーション能力が高いことです。前職の企画では、難しいITの専門用語を分かりやすく説明するように心掛けていました。その結果、取引先からは日本語で分かりやすく説明してくれるので今までで1番分かりやすかったとお褒めの言葉を頂き、自社の売上に繋げることができました」
一口にコミュニケーション能力といっても、「初対面の人と積極的に関わることができる力」「顧客に分かりやすく説明する力」「さまざまな立場の人の意見をまとめる力」などさまざまです。
日本で転職を目指す外国人の方は、「日本人に対してどういった行動を取ったら強みが活きたのか」を伝えると、良いでしょう。
リーダーシップがある
「私の強みは、リーダーシップがあることです。前職では、さまざまな国籍のスタッフが働いており、考え方や目標に対するアプローチ方法が異なりました。私は一人ひとりの意見を尊重しながら、皆が前向きに取り組めるようにルールを決め、その結果、納期よりも早くサービスを完成させることができました」
自身の意見を通して、実行に移すことだけがリーダーシップではありません。他者の意見にしっかりと耳を傾けて、まとめあげることが重要です。どういった立場の人がいて、どのような取り組みをしたかというのを具体的に伝えると良いでしょう。
忍耐力がある
「私の強みは、忍耐力があることです。前職の営業で、予想を大きく上回る発注を受けることがありました。通常の納品フローでは納期に間に合わせることは難しかったですが、クライアントの要望に応えるため、商品管理や物流に何度も掛け合いました。その結果、なんとか期日内に納品することができました。クライアントからは難しい注文にも関わらず、スピーディーな対応だったとお褒めの言葉を頂き、追加注文をいただくことになりました」
忍耐力は要求や圧力に耐えることを想像させるため、伝え方を間違えると受け身の印象を与えてしまう可能性があります。そのため、忍耐力だけでなく、自身が積極的に行動したことを一緒に伝えると良いでしょう。
面接で弱みを聞かれたときの回答例
ここでは、弱みを聞かれたときの回答例を紹介します。「せっかち」「マイペース」「頑固」の3つの例をあげるので、ぜひ参考にしてください。
せっかち
「私の弱みは、せっかちなところです。何事も早めに行動しないと気が済まない性格で、以前は同僚にこっちまで急かされると言われたことがあります。そのときに、他者を焦らせてしまっていることに気付きました。それ以降は、他のスタッフの時間の使い方を意識しながら仕事をするようにしています。また、スピード感を持って行動できることを活かして、全体の業務量や先のスケジュールを把握し、他のスタッフのサポートに回れるよう心掛けています」
短所は、「せっかち⇔スピード感を持って行動できる」というように、言い換えれば長所になることを伝えると良いでしょう。改善策とあわせて、弱みを強みに変えて行動していると伝えるのがおすすめです。
マイペース
「私の弱みは、マイペースなところです。自分のペースで作業を進める癖があり、気になる案件や内容に多くの時間を割いてしまうことがあります。チームで業務を進める際は、周囲に迷惑をかける恐れがあるため、全体のスケジュールや進捗を確認し、時間配分を決めて作業するように心掛けています」
マイペースなのは周りの環境に左右されにくく、自分のペースで作業できる点がメリットといえます。しかし、チームワークを重視する職種では他者に迷惑をかける可能性も。そのため、全体のスケジュールや進行状況を把握して、業務するよう努めていると伝えましょう。
頑固
「私の短所は、頑固なところです。以前、納得ができない事象があったときに、つい頑固になって自分の考えを主張してしまいました。そのときは、自分の中で「こうあるべきだ」という考えが強く、広い視点で物事を見れていませんでした。上司からも自分の意見を言うのは良いことだが、周囲の意見も聞くことが大切と言われました。それからは、他者の意見に耳を傾け、なぜそう考えるのかという背景も理解するように心掛けています」
日本は、自己主張よりも協調性を重んじる傾向にあります。そのため、自身の意見を言えるということをアピールしつつ、協調性も持ち合わせていると伝えると良いでしょう。
面接の回答例は、「外国人が就活でよく聞かれる質問と回答例を紹介!面接時のマナーも解説!」でも紹介しています。就活時に覚えておきたいマナーについても解説しているので、面接をする際に役立ててください。
まとめ
日本の転職面接で「強み」と「弱み」は、必ずといって良いほど聞かれます。答えるときには、ただ長所や短所を述べるだけでなく、具体的なエピソードや理由、今後の改善策を伝えることが大切です。日本での転職活動を成功させるためにも、事前にしっかりと対策をしておきましょう。
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