けん玉や折り紙、鬼ごっこ、あやとりなど、日本には古くから親しまれてきた遊びが多くあります。携帯ゲーム機やスマートフォンが普及した現代でも、楽しまれている遊びは少なくありません。
この記事では、日本の遊びを一覧で紹介しています。また、遊び方やルール、由来について解説。古くから伝わるわらべ歌遊びや正月遊び、歴史のあるおもちゃについてもまとめています。
日本の伝統的な遊びは、ルールさえ分かれば国籍に関わらず楽しめるものがほとんどです。日本の遊びを楽しみたい方は参考にしてください。
目次
日本の遊び・おもちゃの歴史
日本で最も古いおもちゃは「独楽(こま)」です。その歴史は6〜7世紀ごろまでさかのぼるとされています。現代の独楽はひもや指を使って回し、回転するのを眺めたり対戦させたりするおもちゃとして親しまれていますが、昔の人々は独楽の回転によって運勢を占っていたようです。
飛鳥時代の政治家である聖徳太子が幼少期に遊んでいた「お手玉」は、中国から伝わったとされています。当時は水晶で作られた四角形のもので「石名取玉(いしなとりだま)」と呼ばれていました。この石名取玉は、お手玉の起源とされています。
「双六(すごろく)」や「鞠(まり)」は平安時代に中国から伝わり、主に貴族の大人の遊びとして楽しまれてきました。ほかにも、同じ種類の貝殻の形や美しさを競う「貝合わせ(かいあわせ)」「貝覆い(かいおおい)」や「囲碁(いご)」なども平安時代の遊びの一例であり、現代の遊びの起源となっているものも多くあります。
日本の伝統的な遊びのなかには、もともと大人が遊んでいたり、占いや魔除けを目的としていたりするものも少なくありません。また、かつては異なる理由や目的で作られた道具も、時代とともに娯楽として貴族から庶民へと広まっていき、現代でもおもちゃとして親しまれています。
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歴史ある日本のおもちゃ遊び
日本のおもちゃのなかでも、独楽・お手玉・けん玉・めんこは特に歴史が古く、昔ながらの遊びとして人気です。日本のおもちゃ屋さんや駄菓子屋、インターネットショッピングなどで手に入れられるので、遊び方を覚えて実際に遊んでみましょう。
独楽(こま)
独楽の遊び方は、紐や糸を巻きつけて回す「投げ独楽」や指でひねって回す「ひねり独楽」などです。また、回した独楽を鑑賞したり、独楽同士をぶつけてどちらか止まるか対戦したりする遊び方もあります。
古来、独楽は占いや宮中儀式に使用され、江戸時代以降には子どもの間でおもちゃとして普及しました。
独楽は紐の巻き方や投げ方、形状によって上手く回せるかが変わるおもちゃです。回して遊ぶというシンプルな楽しみ方ができるため、現代では日本のみならず世界でも人気があります。
けん玉
けん玉は江戸時代に生まれた日本のおもちゃです。角のあるハンマーのような形をしており、糸でつながれた球をとがった部分や側面に乗せて遊びます。
近年ではけん玉の存在が海外にも広まり、各国から参加者が集まる世界大会も開催されるほど人気のあるおもちゃです。
玉を乗せる部分によって「飛行機」「ろうそく」などの技があり、難易度の高い技は熟練者でも成功が難しいといわれています。けん玉は気軽に購入できるおもちゃなので、気になる方はチャレンジしてみましょう。
お手玉
お手玉は、布製の袋のなかに小豆や大豆、ビーズなどをいれた日本のおもちゃです。両手で交互に上に投げて、落ちないように受け取り、また投げるを繰り返すジャグリングのような遊び方をします。
お手玉は「隔世伝承(かくせいでんしょう)」と呼ばれる日本古来の遊びの一つです。隔世伝承とは、単に楽しむのではなく、作法や礼儀が学べる遊びのことを指します。たとえば、お手玉の作成を通じて裁縫の方法や正しい座り方を身につけることができるため、隔世伝承遊びとされてきました。
お手玉は4枚の布を縫い合わせて作られるのが一般的です。もともとは中国から伝わったとされていますが、布に包まれたお手玉は日本独特の形といわれています。中に詰める物によって触り心地や音が変わるおもちゃです。
めんこ
「めんこ」は長方形や丸い厚紙でできています。地面に散らばっためんこに、自分のめんこを打ちつけて、風圧を利用して相手のめんこを裏返す遊びです。裏返っためんこは自分の物にでき、獲得した枚数で勝敗が決まります。
めんこの起源は江戸時代です。当初は粘土で人の顔を面形に焼いたものを「めんこ」として使用し、おはじきやビー玉のようにめんこ同士をぶつけて遊んでいました。紙製のめんこを打ち付けて遊ぶようになったのは明治時代以降です。当時は力士や野球選手、映画スター、漫画の主人公などが印刷されためんこが人気だったとされています。
わらべ歌のある日本の遊び
わらべ歌とは、子どもたちが遊びながら歌う歌のことです。遊びや日常生活の中で自然に生まれ、世代を超えて伝承されてきました。
わらべ歌の特徴はメロディがシンプルで覚えやすく、子どもでも簡単に歌えること。現代でも日本の伝統文化の一部として大切にされており、子どもたちの間で歌われています。
かごめかごめ
かごめかごめは、日本の代表的なわらべ歌遊びの一つです。メンバーの中から鬼の役を1人決めて、鬼は目隠しをしてしゃがみます。その周りを、ほかのメンバーが「かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だあれ?」とわらべ歌を歌いながら回り、歌い終わったときに鬼が自分の後ろにいる人を当てるゲームです。4~5人以上で遊ぶとより楽しめます。
はないちもんめ
はないちもんめも、かごめかごめと同様に伝統的なわらべ歌遊びです。わらべ歌を歌いながら身体を動かして複数人で遊びます。
2チームに分かれて、チーム内で相談したり相手チームとじゃんけんをしたりしながら味方を増やすルールです。メンバーを半分に分け、手を繋ぎ横一列になって向かい合い、じゃんけんで勝ったほうが先攻として一行ずつ歌います。
以下は、はないちもんめの歌詞です(歌詞の内容は地域によって異なります)。
(先攻)勝って嬉しい はないちもんめ
(後攻)負けてくやしい はないちもんめ
(先攻)あのこがほしい
(後攻)あのこじゃわからん
(先攻)そうだんしましょ
(後攻)そうしましょ
(同時)きーまった
歌が終わったら、相手のチームから自分のチームに欲しい人を相談して、決まったら相手チームに「きーまった」と言います。その後、誰が欲しいか宣言して、指名された人同士でじゃんけんをし、負けた方が勝ったチームに移動し、一方のチームが0人になったら終了です。
なべなべそこぬけ
なべなべそこぬけは、身体を大きく動かしながら複数人で楽しみます。鍋の底に穴が開いて抜けていることを意味したわらべ歌で、シンプルな歌詞が特徴です。
2人で向かい合って両手をつなぎ、「なべなべそこぬけ そこがぬけたら」と歌いながらつないだ両手を揺らし、「かえりましょ」と歌い終わるタイミングで手をつないだまま背中合わせになります。今度は背中合わせになった状態から同じように歌い、「かえりましょ」で再び手をつないだまま向かい合う形に戻って1周する遊びです。
なべなべそこぬけは、大人数で楽しんだり自由にアレンジしたりして楽しめます。
おしくらまんじゅう
おしくらまんじゅうは、主に秋から冬の時期に楽しむ遊びです。わらべ歌とともに、後ろ向きになって背中を押し合うことで身体を温めます。歌詞は以下のとおりです。
おしくらまんじゅう 押されて泣くな
あんまり押すと あんこが出るぞ
あんこが出たら つまんでなめろ
遊ぶ人数がギリギリ入れるくらいの円を地面に描き、全員が入ります。「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」と歌詞を一行ずつ歌いながら、背中やお尻を使ってお友だちと押し合うのが基本です。地域によっては「おしくらまんじゅう 押されて泣くな」のフレーズだけを繰り返すこともあります。円の外側に出たり、倒れたりしたら負けです。
室内で遊べる日本の遊び
ここでは室内で遊べる日本の遊びを紹介します。なかには、天候に左右されず室内で楽しめたり、世代を超えて遊べたりするのもあるので、興味のあればチャレンジしてください。
折り紙
折り紙は、正方形の和紙を折って動物や生活用品などを形作る遊びです。日本の折り紙の起源は平安時代といわれています。当時、まだ貴重だった紙を折って貴族たちが贈り物やお供え物を包んでいました。現代のように遊びとして折り方を楽しむようになったのは、江戸時代以降です。
折り紙では、平面的なものから立体的なものまで、折り方によってさまざまな作品を作れます。日本では、お見舞いのときに相手の回復を願って折り紙の鶴を1,000羽連ねた「千羽鶴」を贈るのが風習です。折り紙は子どもの遊びと思われがちですが、手先や脳のトレーニングにもなるため、老若男女問わず幅広い層に人気があります。
あやとり
あやとりとは、輪っか状にした1本の紐や毛糸を両手に掛け、指を使ってさまざまな形を作り出す遊びです。1人でも複数人でも楽しく遊ぶことができるため、汎用性が高い遊びといえます。用意するものも少ないので、いつでもどこでも遊べるのが魅力です。
あやとりで作る形には、「ほうき」や「流れ星」「東京タワー」などさまざまな種類があり、複雑な形を作る場合はそれなりの長さの紐が必要になります。
すごろく
すごろくは、奈良時代から娯楽として親しまれている日本の遊びです。さいころを振ってコマを進め、ゴールを目指すシンプルなゲームで、旅や人生を題材にした「道中すごろく」「出世すごろく」もあります。
現代で遊ばれている絵すごろくの起源は「仏法すごろく」です。仏法すごろくとは、仏教の教えを僧侶に説くために作られました。その後、江戸時代には庶民の遊びとして広く普及します。
すごろくは複数人で楽しめるのが魅力です。また、勝敗がわかりやすいという特徴もあり、世代を問わず楽しめる遊びといえます。
折り紙は海外でも人気の遊びです。遊び方については「折り紙(Origami)は海外でも人気の日本文化 歴史・魅力・簡単な作品の折り方を紹介」をご覧ください。
おはじき
おはじきは、ガラス製の平たい玉を弾く遊びです。床やテーブルなどの平たい場所で遊びます。おはじきの遊び方は多種多様です。たとえば、5個のおはじきを指ではじいて相手のおはじきを飛ばしたり、自分のおはじきを前に進めたりして、勝敗を競います。
おはじきは自分で独自のルールを作って遊ぶこともできるので、慣れてきたらオリジナルのゲームを作ってみるのもおすすめです。
身体を動かす日本の遊び
日本には身体を動かす遊びがたくさんあります。道具やおもちゃがなくても楽しめる遊びも少なくありません。ここでは、身体を動かす日本の遊びを紹介します。
鬼ごっこ
鬼ごっことは、鬼から逃げ回る遊びです。地域によって呼び方はさまざまで「鬼あそび」や「鬼ごと」などと呼ばれます。
遊び方はシンプルです。鬼役を1人決めたら、鬼は10数え、数え終わった鬼はみんなを追いかけて、捕まえてタッチされた人が鬼になります。
基本のルール以外にも「走らない鬼ごっこ」やタッチの代わりに影を踏むことで鬼になる「影踏み鬼(かげふみおに)」などアレンジは無限です。年齢や人数、場所などを考慮して楽しめます。
だるまさんが転んだ
だるまさんがころんだとは、日本で古くから親しまれている遊びの一つです。鬼役が「だるまさんがころんだ」と唱えている間に、ほかの人は鬼にタッチしようと少しずつ移動します。鬼が振り返っている間は動いてはいけません。動いてしまうと鬼に捕まってしまい、仲間が助けてくれるのを待ちます。
だるまさんがころんだで遊ぶのに道具は要りません。また、ルールもシンプルで覚えやすいため、小さな子どもも楽しめる遊びといえます。
けんけんぱ
けんけんぱは、地面に描いた丸や四角などの図形の上を片足や両足で跳びながら前方に進む遊びです。地域によっては「けんけん」や「けんぱ」などと呼ばれています。
図形の中を「けん、けん、ぱ」と声を掛けながら跳び進み、「けん」のときは片足、「ぱ」のときは両足で着地するのが決まりです。間違えてしまった場合、次の人と交代します。
けんけんぱは明治時代以降にヨーロッパから伝わったとされていて、特に1960~1970年代にかけて人気がありました。体幹を鍛える遊びとして、近年ではスポーツのトレーニングでも取り入れられています。
缶蹴り
鬼に見つからないようにしながら、鬼が守る缶を蹴って遊ぶのが缶蹴りです。
缶蹴りに必要なものは空き缶です。鬼役を決めたら、地面に円を描き、その中心に空き缶を置きます。缶蹴りの始まりは鬼以外の1人が空き缶を思いっきり蹴ることです。蹴られた空き缶を鬼が拾いに行っている間に、ほかの全員が隠れます。鬼は隠れている人を探しに行き、見つけたらその人の名前を大きな声で呼び、円に戻って空き缶を踏むのです。見つけられた人は円の中に入らなければなりません。全員が捕まったら終了で、最初に見つかった人が次の鬼役です。
缶蹴りは、鬼が隠れている人をたくさん見つけても、最後の一人に缶を蹴られてしまったら負けというルールがあります。隠れる側も、鬼に見つからないように近づいて缶を蹴りに行くため、スリルが楽しめる遊びです。
お正月の日本の遊び
日本では、福笑いや羽根突きなど伝統的な遊びで楽しむ風習があります。縁起の良い遊びもあり、種類は豊富です。ここでは、日本のお正月ならではの遊びを紹介します。
羽根突き
羽根突きは日本の伝統的な正月遊びの一つで、羽根を羽子板で打ち合う遊びです。打ちそこなった人は、顔に墨で落書きをされます。
羽根突きには魔除けの意味があり、羽根を突くことで邪気を払うと信じられていました。また、羽根には「無患子(むくろじ)」という植物の種が使われているため「子が患わない」という意味があり、縁起が良いとされています。。
凧揚げ
風を利用して、凧を空高く揚げる遊びが凧揚げです。家族や友人と一緒に楽しむ遊びとして、古くから親しまれています。日本の凧は竹や木の骨組みに紙や布を貼り付けたもので、四角形や六角形のほか人物や動物を模したものなど形はさまざま。地域ごとに独自のデザインが施されており、その土地ならではの文化や風習が反映されています。
お正月に凧揚げをする風習は江戸時代に始まりました。男の子の誕生を祝い、その成長を祈ったのです。現代でも、子どもの成長や健康を祈る意味があります。
福笑い
福笑いとは、お正月に楽しむ日本の伝統的な遊びです。目隠しした状態で目や鼻、口などのパーツを顔の輪郭だけ描かれた紙の上に乗せていきます。勝敗を決める際は面白いほうが勝ち、正確なほうが勝ちというようにルールは自由自在です。
日本には「笑う門には福来る」ということわざがあり、新年のうちから笑えるのはめでたいことだと考えられてきました。そのため、福笑いは現在までお正月の福を招く遊びとして親しまれ続けています。
かるた(百人一首)
かるたとは文字札と絵札を使い、読み手が読む文章にあった絵札を取る遊びです。かるたにはさまざまな種類があり、なかでも読み札がいろは歌の「いろはかるた」と、100人の歌人の和歌を集めた百人一首を使った「百人一首かるた」が有名です。
百人一首は、散らし取り、源平合戦、逆さまかるたなどの遊び方があります。もともとは宮中で遊ばれていましたが、江戸時代に庶民の遊びとして広がりました。
百人一首は競技としての側面も持ち合わせています。毎年1月には滋賀県の近江神宮で名人戦(男子の部門)とクイーン戦(女子の部門)が、7月には全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会が開催され、「畳の上の格闘技」と呼ばれるほど激しい戦いが行われることで有名です。
だるま落とし
だるま落としは木製のおもちゃで、いくつかの積み木の上にだるまの顔が乗せられています。小槌が付属しており、だるまの頭を落とさないように一番下の段から叩いて弾くのが基本の遊び方です。
だるまは転んでも起き上がることから、縁起物とされています。最後まで崩さないように落とせると、その年の災いを避けることができるとされているため、お正月に親しまれている日本の伝統的な遊びです。
日本のお正月の過ごし方については「日本のお正月とは?玄関飾りや料理について解説!新年の過ごし方を知ろう」をご覧ください。
まとめ
日本には昔から親しまれている遊びやおもちゃがたくさんあります。ルールがシンプルだったり、道具が不要だったりする遊びも多く、世代を問わず楽しめるのが日本の遊びの特徴です。
なかには、アレンジを加えながら現代でも親しまれている遊びも少なくありません。国籍を問わず楽しめる遊びもあるので、興味がある方はぜひ一度日本のおもちゃ遊びを体験してみてください。