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人手不足に悩み、特定技能外国人の受け入れを検討する漁業従事者は多いでしょう。特定技能「漁業」とは、漁業分野において即戦力となる外国人労働者を受け入れ、人手不足を改善するための在留資格です。このコラムでは特定技能「漁業」の概要や、行える業務を紹介します。また、外国人が特定技能「漁業」の在留資格を得る方法や、受け入れる企業の要件も解説。内容を参考にして、人手不足解消の足掛かりにしましょう。
目次
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特定技能「漁業」は、漁業分野での外国人雇用を拡充するためにできた在留資格です。特定技能「漁業」の在留資格ができた背景には、漁業分野の深刻な人手不足があります。
在留資格「特定技能」は、人手不足の産業分野(特定産業分野)で、一定の専門性や技能を持った即戦力となり得る外国人を受け入れるための在留資格です。特定産業分野は14分野あり、漁業もそのうちの一つに含まれます。
特定技能の在留資格は、ほかの在留資格と比べ取得が容易です。また、漁業と農業分野に限っては特定技能外国人の派遣雇用も認められています。ですから、繁忙期だけ派遣で受け入れるといったことも可能です。以上のことから、特定技能の在留資格の創設は漁業分野での外国人受け入れ拡充に大きく役立っているといえるでしょう。
特定技能「漁業」の在留資格ができた背景には、漁業分野の深刻な人手不足が関係しています。農林水産省が発表した「令和2年漁業構造動態調査結果(令和2年11月1日現在)」によると、2020年の漁業就業者数は135,660人でした。
引用:農林水産省「令和2年漁業構造動態調査結果(令和2年11月1日現在)」
10年前の2010年の漁業就業者数である202,880人と比較すると、大幅に減少しています。要因は収入の低さや不安定さ、業務の肉体的・精神的な負担の大きさが関係しているでしょう。以上の理由から漁業従事者は若者が集まりにくく、65歳以上が4割近くを占めています。この先、年配者が引退し始めると人手不足はさらに加速するでしょう。
漁業分野では、生産性の向上や国内人材を確保するために、漁船の高性能化、漁業全般の作業の自動化・協業化、情報通信技術(ICT)の活用が進んでいます。しかし、そういった取り組みだけでは現状を打開できないのが現実です。このような現状を打破するのに、外国雇用の拡充は非常に有効な手段といえます。
参照元 水産庁「漁業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」 農林水産省「平成22年漁業就業動向調査報告書調査結果の概要」
外国人が特定技能「漁業」の在留資格で許可される作業は、漁業と養殖業で異なります。また、漁業と養殖業を業務の中心とし、付随する業務への従事も可能です。
漁業分野で許可されているのは以下の作業です。
また、関連業務として漁具の積込み・積下し、漁獲物の水揚げ、漁労機械の点検、船体の補修および自家原料を使用した製造、加工、出荷、販売などの作業も行えます。
養殖業分野では以下の作業が許可されています。
また、関連業務として養殖業に係る梱包・出荷および自家原料を使用した製造、加工、出荷、販売などの作業も可能です。ただし、特定技能外国人を関連業務のみに従事させることはできません。たとえば、自社が経営する販売店で、養殖した魚介や海藻などを販売させる業務だけを行わせるのは禁止されているので注意しましょう。
参照元 水産庁「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-漁業分野の基準について-」
漁業分野で特定技能外国人を受け入れるには、漁業特定技能協議会の構成員になる必要があります。また、協議会が求める協力には応じなければなりません。
特定技能外国人を適切に受け入れるために、企業には支援計画の実施も義務付けられています。自社での支援計画の実施が困難な場合は、登録支援機関への業務委託も可能です。
派遣で特定技能外国人を受け入れる際は、派遣事業者との労働者派遣契約も必要とされます。
外国人が特定技能「漁業」の在留資格を得るには、技能評価試験および日本語能力を証明する試験に合格する必要があります。また、漁業もしくは養殖業分野での技能実習2号を良好に修了している場合は、無試験での移行も可能です。
漁業技能測定試験は、漁業と養殖業で出題内容が異なります。試験は真偽式の学科試験と、多肢選択式の実技試験の2種類です。実技試験は実際に作業を行うのではなく、図やイラストを用いて実技能力を判断します。
日本語能力を測る試験では、日本語能力試験(JLPT)のN4レベル、もしくは国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2レベルの取得が求められます。どちらのテストでも、求められているのは基礎レベルです。日本語である程度コミュニケーションが取れる外国人であれば、スムーズに認定を受けられるでしょう。
漁業関係で技能実習2号を良好に修了した技能実習生は、試験免除で特定技能「漁業」の在留資格に変更できます。移行可能な技能実習の作業は以下のとおりです。
引用:外国人技能実習機構「技能実習制度 移行対象職種・作業一覧(85職種156作業)」
技能評価試験の免除を受けるには、行っていた作業と特定技能で行う予定の業務が同じでなくてはなりません。たとえば、技能実習でかつお一本釣り漁業を行っていた技能実習生が、養殖業分野で特定技能の在留資格を取得する場合は、技能評価試験の受験が必要です。
特定技能「漁業」の在留資格によって外国人労働者を雇用する場合、雇用期間は5年が上限です。特定技能2号に移行すると在留期限は無期限になります。しかし、2022年1月時点では、漁業は特定技能2号への移行対象外です。ただ、特定技能「漁業」の在留資格は多くの特定技能分野とは異なり、派遣での受け入れも可能です。漁業は、繁忙期と閑散期のある業種ですので、繁忙期だけ派遣で受け入れるといった採用方法も可能です。派遣での受け入れを有効に活用しながら、人材を確保しましょう。
日本の漁業分野では深刻な労働力不足の現状があり、新規就業者も少なくなっています。特定技能「漁業」の在留資格で、専門性や技能を持った即戦力となり得る外国人労働者を受け入れるのは、労働力確保の有効な手段となるでしょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net