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「若手の人材が確保できない」「人手不足解消のために外国人の雇用を考えている」という企業は増加傾向にあります。近年、日本では少子高齢化と労働人口減少によって、人手不足が深刻化する一方です。
この問題を解消するために、さまざまな職種で外国人の雇用が進められています。特に人材不足が深刻な業種は「特定産業分野」に指定されており、「特定技能外国人」の雇用が可能です。
この記事では、特定技能外国人の受け入れが可能な16分野の概要を解説。また、各職種の受け入れ状況もまとめています。人材不足に悩む企業は特定技能外国人を雇用できる職種を確認し、自社が該当するようであればぜひ採用活動に乗り出してみましょう。
目次
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在留資格「特定技能」で就労可能な業種は、16分野あります。以前は12分野でしたが、2024年3月29日に「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4分野が追加されるとの閣議決定が行われました。2024年10月時点で就労可能な16分野は以下のとおりです。
介護
ビルクリーニング
工業製品製造業
建設
造船・船舶工業
自動車整備
航空
宿泊
農業
漁業
飲食料品製造業
外食業
自動車運送業
鉄道
林業
木材産業
「特定技能」は2019年4月1日に「出入国管理及び難民認定法(通称:入管法)」の改正により創設された、就労可能な在留資格です。
日本では、生産性の向上や労働環境の改善などの取り組みを行ってはいるものの、国内の人材だけでは人手不足を補えない状態が続いています。人手不足の解消を目的として、一定の技能を有し即戦力となる外国人を受け入れやすくするために、「特定技能」が創設されました。特定技能外国人を雇用できるのは人材不足が深刻だと認められた職種のみであり、「特定産業分野」と呼ばれます。
特定技能の在留資格は、対象職種における一定の技能および基本的な日本語能力を試験で証明できれば取得できます。ほかの在留資格のように、学歴や職歴は問われません。また、単純労働が行えるのも「特定技能」の特徴です。
「特定技能」には「1号」と「2号」の2種類があり、対象となる分野が異なります。以前は、「建設」「造船・舶用工業(溶接区分)」のみが「特定技能2号」の対象でしたが、2023年6月に「介護」を除くほかの分野も対象とする閣議決定が行われました。ただし、2024年に追加された4分野は「特定技能2号」の対象に指定されていません。
出入国在留管理庁が発表した「特定技能在留外国人数(令和6年6月末現在)」によると、「特定技能2号」を取得した外国人を受け入れている特定産業分野は以下のとおりです。
工業製品製造業
建設
造船・舶用工業
農業
飲食料品製造業
外食業
今後、より多くの職種で特定技能2号の受け入れが進むと予想されます。
参照元
出入国在留管理庁「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」
出入国在留管理庁「特定技能の受入れ見込数の再設定及び対象分野等の追加について(令和6年3月29日閣議決定)」
出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について(令和5年6月9日閣議決定)」
出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和6年6月末現在)」
特定技能 「介護」では、高齢や障害が原因で介護が必要になった人へ、入浴・食事・排せつなどの補助をする業務が可能です。具体的な職種の例として介護士や介護助手などがあり、介護に関連する物品の補充や掲示物の管理なども行えます。
2024年現在、訪問系サービスは行えませんが、厚生労働省は今後従事を認める方向で議論を進めており、2025年度の実施を目指して調整中です。なお、訪問系サービスに従事するためには、「介護職員初任者研修」を修了していることが条件として盛り込まれる予定です。初任者研修にはそれなりの費用や期間もかかりますから、今から準備しておくとよいでしょう。
「介護」分野の特定技能外国人を雇用する際に注意すべきなのは、受け入れ機関ごとに雇用可能な人数枠が設定されている点です。受け入れ機関で雇用する「特定技能1号」の外国人数は、日本人の常勤介護職員の総数を上限とするように決められています。
なお、「介護」は「特定技能1号」までしかなく、「2号」の対象外となっています。理由は、「特定技能2号」とは別に専門的・技術的分野の在留資格「介護」があるためです。在留資格「介護」を取得するには、介護福祉士の国家試験の受験と合格が必要とされています。
「特定技能1号」を修了した外国人に引き続き働いてほしい場合は、在留資格「介護」への移行を打診してみましょう。
出入国在留管理庁が発表した「特定技能在留外国人数(令和6年6月末現在)」の速報値によると、「介護」における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で3万6719人です。「特定技能1号」で在留する外国人の中で3番目に多く、全体の14.6%を占めています。(※以後の、特定技能「介護」以外の特定技能外国人の数や割合も、「特定技能在留外国人数(令和6年6月末現在)」を参照にしています。)
出入国在留管理庁が発表した「特定技能制度運用状況(令和6年6月末)」によると、「介護」の技能試験が実施されているのは、日本および海外12ヶ国です。(※以後の、特定技能「介護」以外の技能試験の開催国数も、「特定技能制度運用状況(令和6年6月末)」を参照にしています。)試験開催国の数は、「建設」「農業」と並んで最も多い状況です。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は8万7371人であり、「特定技能1号」に合格した外国人の中で最多の結果でした。
参照元
厚生労働省「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会中間まとめ(案)」
出入国在留管理庁「特定技能制度運用状況(令和6年6月末)」
特定技能「ビルクリーニング」は、事務所や店舗、興行場、学校など、不特定多数の人が利用する建築物の内部の清掃業務に従事できる職種です。ホテルや旅館での、ベッドメイクや客室の清掃、アメニティの補充などにも従事できます。
なお、特定技能「ビルクリーニング」の外国人を採用する場合、企業は「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録をしなければなりません。
2024年6月末時点で、「ビルクリーニング」における「特定技能1号」の受け入れ人数は4,635人です。「特定技能2号」での受け入れはまだありません。
「ビルクリーニング」の技能試験が行われているのは、日本および海外5ヶ国です(ただし、2024年6月末時点で、特定技能2号の試験はいずれの分野においても国内のみで実施されるとしています)。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において9101人、「2号」において3人です。
ビルクリーニングの需要は今後も増加していくと考えられており、2028年には105万2,000人もの就業者数が必要になると推計されています。そのため、特定技能外国人の受け入れによる人材確保が不可欠とされているのです。
参照元
出入国在留管理庁「ビルクリーニング分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能「工業製品製造業」は金属の加工やコンクリート製品の製造といった工業生産に関する業務に従事可能です。以前は「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3区分でしたが、2024年9月30日にさらに7区分が追加される改正が行われました。
「機械金属加工」は、金属やプラスチック、ファインセラミックスなどの加工を行う職種を指します。素形材製品の製造は多くの製品の基礎となるため重要ですが、従事する人材の数が需要の増加に間に合っていない状況です。「電気電子機器組立て」では、電気電子機器の製造工程や組立工程の作業に従事します。「金属表面処理」は、金属にめっきやアルミニウム陽極酸化といった処理を施す職種です。
「工業製品製造業」における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で4万4044人です。「特定技能1号」で在留する外国人の中で2番目に多く、全体の17.5%を占めています。「特定技能2号」での受け入れ数は23人でした。
技能試験が行われているのは、日本および海外4ヶ国です。2024年6月末時点での技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において947人、「2号」において325人です。「特定技能1号」の技能試験の合格率は15.7%で、ほかの職種と比べて低いのが特徴といえます。
なお、「特定技能2号」の対象となっているのは、「機械金属加工」「電気電子機器組立て」「金属表面処理」の3区分のみです。
参照元
出入国在留管理庁「工業製品製造業分野」
特定技能「建設」は、建造物や橋梁、トンネル等の新設や改築、維持、修繕などに従事する分野です。「土木」「建築」「ライフライン」の3区分に分かれており、建設機械施工や鉄筋施工といった業務を行います。具体的な職種の例は土工やとび職などです。
「建設」も「介護」と同じく、受け入れ機関ごとに雇用可能な「特定技能1号」の外国人の人数が設定されています。「特定技能1号」の外国人の数が、外国人技能実習生と「特定技能1号」の外国人を除いた常勤職員の総数を超えない範囲で雇用しなければなりません。
2024年6月末時点で、「建設」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は3万1853人とされています。「特定技能2号」での受け入れ数は66人で、「2号」の特定技能外国人の中で最も多い人数でした。
技能試験が行われているのは、日本および海外12ヶ国です。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において1853人、「2号」において120人でした。
建設業分野は、労働環境が過酷だというイメージが根強く、人材が集まりにくい業界です。さらに、高齢化が進んでいるため、若い労働力を積極的に確保する必要があります。そのため、今後さらに特定技能外国人の受け入れが期待される職種といえるでしょう。
特定技能「造船・船舶工業」は、船舶の製造工程の作業に従事する分野です。具体的な職種としては、溶接工や塗装工、配管工、とび職などがあります。
特定技能「造船・船舶工業」の外国人は、造船業に該当する企業が多い瀬戸内や九州地方周辺に集中しているのが特徴です。地方は若者の都市部流出で労働力が確保しにくい傾向にあり、造船・舶用工業も人材不足の状態が続いています。
「造船・船舶工業」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で8703人でした。なお、特定技能外国人が従事している職種には、大きな偏りが見られるのが特徴です。最も多くの特定技能外国人が従事しているのは「溶接」で4861人、その後「造船」が2250人、「塗装」が1027人と続いています。「特定技能2号」での受け入れ数は23人でした。
技能試験が行われているのは、日本および海外ではフィリピンのみです。2024年6月末時点での技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において214人、「2号」において85人と発表されています。
特定技能「自動車整備」は、自動車の日常点検整備や定期点検整備、特定整備などに従事できる分野です。電子制御装置の整備や鈑金塗装、洗車作業、車内清掃といった業務にも従事できます。なお、ナビやETCなどの電装品の取付作業は行えますが、自動車の組み立ては特定技能「工業製品製造業」の業務とされているため、従事できません。
自動車整備業界は労働人口の減少に加えて、昨今の自動車離れにより整備業務に関心を持つ若者が少なくなっているため、担い手が減っているといわれています。
2024年6月末時点で「自動車整備」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は2858人でした。「特定技能2号」での受け入れはまだありません。
技能試験が行われているのは、日本およびフィリピンとベトナムの2ヶ国です。2024年6月末時点での技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において3365人、「2号」において0人とされています。
特定技能「航空」には、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2職種があります。「空港グランドハンドリング」は、航空機の地上走行支援業務や手荷物・貨物取扱業務などを行う職種です。「航空機整備」は航空機の機体や装備品などの整備業務に従事できます。
「航空」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で959人とされています。「特定技能2号」の受け入れはまだありません。
技能試験が行われているのは、日本および海外の5ヶ国です。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において3066人とされています。「2号」の合格者は、まだいません。
特定技能「宿泊」は、ホテルや旅館におけるフロント対応やレストランでの接客、コンシェルジュ、清掃といったさまざまな業務を行えます。ほかにも、企画や広報など宿泊客と直接関わらない業務にも従事可能です。
ただし、ベッドメイキングや清掃は主な業務として従事できず、付随業務としてのみ任せられます。また、風俗営業法に規定されている接待業務は行えません。たとえば、ホテル内のラウンジ等で宿泊客の隣に座って会話したりお酌をしたりするのは違法です。
なお、ホテルや旅館以外の簡易宿所・下宿・風俗営業法に規定されている施設では、特定技能外国人を雇用できないので注意しましょう。具体的には、ゲストハウス、カプセルホテル、レンタルルーム、ブティックホテルなどですね。
2024年6月末時点で、「航空」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は492人であり、「1号」の中で最も少ない人数でした。「特定技能2号」の受け入れはまだありません。
技能試験が行われているのは、日本および海外7ヶ国です。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において6694人とされています。「特定技能2号」に合格した人は、4人でした。
日本の宿泊業界では人手不足が深刻です。インバウンド需要の急増も影響して、今後も外国人の雇用が活発になると考えられます。
特定技能「農業」には、「耕種農業」と「畜産農業」の2種類の職種があります。「耕種農業」は栽培管理や農産物の集出荷、選別などの農作業を行う職種です。「畜産農業」では、飼養管理や畜産物の集出荷、選別などに従事できます。どちらの職種も、付随業務としての農畜産物の製造や加工、販売作業などに従事可能です。なお、特定技能「農業」では、技能実習制度では対象外であった稲作、肉牛、ブロイラーも対象業務に含まれています。
「耕種農業」と「畜産農業」はそれぞれ別の技能試験が設けられており、合格した職種のみ携われます。2つの職種で働きたい場合は「耕種農業」と「畜産農業」どちらの試験にも合格することが必要です。
なお、農業分野では農閑期を考慮して、特定技能外国人の派遣雇用が許可されています。例えば、夏はレタス農家、冬は大根農家で派遣就労するといったことも可能です。
「農業」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で2万7786人でした。「耕種農業」での受け入れは2万1862人、「畜産農業」での受け入れは5,924人とされています。「特定技能2号」での受け入れ数は21人でした。
技能試験が行われているのは、日本および海外12ヶ国です。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において5万6555人、「2号」において188人と発表されています。
「農業」分野の特定技能外国人は、北海道や茨城県、長野県など農業が盛んな都道府県での就労が多いのが特徴です。
特定技能「漁業」には、「漁業」と「養殖業」の2つの職種があります。「漁業」は魚介類の捕獲や漁具の製作・修理、漁獲物の選別・函詰めなどに従事できる職種です。「養殖業」では魚類・貝類・藻類などの育成や養殖貝類の殻剥き、魚市場や陸揚港への運搬作業などに従事できます。
「漁業」と「養殖業」にはそれぞれ別の試験が設けられており、合格した職種でのみ就労が可能です。なお、「農業」と同じく派遣雇用が認められています。
2024年6月末時点での「漁業」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は、3035人でした。「漁業」での受け入れは1988人、「養殖業」での受け入れは1047人とされています。「特定技能2号」での受け入れはありませんでした。
技能試験は日本とインドネシアで実施されています。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」で1403人、「2号」では0人でした。
「漁業」分野で働く「特定技能1号」の外国人には、インドネシア人が2,452人と多い点が特徴です。この数字は、「漁業」分野で働く「特定技能1号」の外国人全体の80.8%を占めています。「漁業」分野の特定技能外国人の採用を検討している企業は、インドネシア人の国民性や言語について調べてみると、雇用時に気を付ける点が思い浮かびやすくなるでしょう。
特定技能「飲食料品製造業」は、 酒類を除いた飲食料品の製造や加工、安全衛生の確保を行える分野です。具体的には、原料の処理や加熱、殺菌、成形、乾燥といった、飲食料品の生産の一連の作業に従事できます。業務で使う機械の安全確認やスタッフの衛生管理などの、安全と食品衛生を守るための業務にも従事可能です。
以下の7業態が特定技能「飲食料品製造業」の対象とされています。
食料品製造業
清涼飲料製造業
茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)
製氷業
総合スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行う事業所に限る)
食料品スーパーマーケット(ただし、食料品製造を行う事業所に限る)
菓子小売業(製造小売)
パン小売業(製造小売)
豆腐・かまぼこ等加工食品小売業(ただし、豆腐・かまぼこ等加工食品の製造を行う事業所に限る)
以前、スーパーマーケットでは「飲食料品製造業」の特定技能外国人は雇用できませんでした。しかし、2024年7月23日に行われた改正により、食料品製造を行う業務に限り雇用できるように変わっています。
「飲食料品製造業」分野における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2024年6月末時点で7万202人でした。「特定技能1号」の外国人の中で最も人数が多く、割合は27.9%を占めています。「特定技能2号」での受け入れは11人です。
技能試験は日本とフィリピン、インドネシアで行われています。2024年6月末までの技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において6万8713人、「2号」において148人でした。
「飲食料品製造業」分野で働く「特定技能1号」には、ベトナム人が多いのが特徴です。2024年6月末時点で46,914人が就労しており、「飲食料品製造業」分野で働く特定技能外国人全体の66.8%を占めています。ベトナム人は「特定技能」の多くの分野で高い割合を占めていますが、半数以上を占めているのは「飲食料品製造業」だけです。
特定技能外国人の雇用を検討している「飲食料品製造業」の企業は、まず雇用する可能性が高いベトナム人の国民性や言語について調べてみましょう。それによって、採用後の職場の雰囲気や教育時のコツをイメージしやすくなります。
参照元
農林水産省「飲食料品製造業分野に特有の事情に鑑みて定める基準」
特定技能「外食業」は、レストラン・居酒屋・喫茶店などで調理やホール業務に従事できる分野です。具体的には、キッチンでは食材の下処理や加熱・非加熱調理、味付け、盛り付けが行えます。ホールではレストランでの席への案内や注文の聞き取り、配膳、下膳、会計などに従事可能です。さらに、衛生面の管理や食材発注、メニュー開発といった店舗管理業務にも従事できるのが特徴といえます。
ホテル・旅館のレストランやカフェといった職種でも就労可能です。
2024年6月末時点での「外食業」における「特定技能1号」の受け入れ人数は、2万308人でした。「特定技能2号」での受け入れは9人です。
技能試験は日本および海外7ヶ国で行われています。2024年6月末時点での技能試験の合格者の総数は「特定技能1号」において7万1615人、「2号」において113人でした。
「特定技能1号」の「外食業」でもベトナム人が多く、2024年6月末時点で46,914人が就労しており、同分野で働く特定技能外国人全体の45.1%を占めています。「外食業」に該当する企業は、まずは雇用する可能性が高いベトナム人について調べてみると、特定技能外国人の受け入れ準備がしやすくなるでしょう。
特定技能「自動車運送業」は、トラックやタクシー、バス運送業などの人手不足を解消するために創設されました。自動車運送業は、コロナ禍の影響により多くの離職が起きた業界です。また、「2024年問題」といわれる自動車運送事業における時間外労働規制の見直しの実施により、1人のドライバーが働ける時間も少なくなりました。今後の輸送需要の推移も検討した結果、深刻な人手不足が予想されています。
「自動車運送業」分野における特定技能外国人の受け入れ見込み数は、2028年度末までに最大2万4500人とされています。従事できる業務については、まだ明らかではなく、決定次第、出入国在留管理庁のWebサイト「特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)」に記載される予定です。上乗せ基準告示が施行されてから受け入れ開始が可能とされており、2024年10月時点では「特定技能1号」の雇用はできません。
なお、新しく追加された「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」の4つの分野は、2024年12月時点では「特定技能1号」のみが対象とされています。
参照元
出入国在留管理庁「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能「鉄道」には、「軌道整備」「電気設備整備」「車両整備」「車両製造」「運輸係員」の5つの職種があります。区分ごとに、レール・まくらぎの交換作業や電気設備の検査、駅係員・車掌・運転士などの運輸係員業務に従事可能です。
日本政府はインバウンド回復や国内移動の増加を目標としており、今後、鉄道需要や各施設のメンテナンス量は拡大すると見込まれています。しかし、鉄道分野では、少子化の影響で若手の採用が難しくなっているのが現状です。さらに、高齢化による退職者も増加しており、人材確保が難しくなってきています。
特定技能「鉄道」は、鉄道に関連する幅広い業務を行える外国人を雇用して人手不足を解消するために創設されました。2028年度末までの受け入れ見込み数は、最大3800人です。
指導者の監督の下で、鉄道特有の制約を理解し、特殊な機材や工具を使って作業を行える一定の専門性・技能を有することを期待されています。
参照元
出入国在留管理庁「鉄道分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能「林業」は、森林で樹木を育てて丸太を生産し、苗木を植えるといった業務に従事できる分野です。林業においては、木材需要が拡大している背景があり、適正な伐採と再造林の確保を実施する必要があります。しかし、2010年には5万1000人いた林業従事者は、2020年には4万4000人となり、7000人(14%)減少しているのが現状です。
「林業」における2028年度末までの特定技能外国人の受け入れ見込み数は、最大で1000人です。林業の基盤を維持し持続的な発展を図るためには、基本的な知識や技能を有し、現場の状況に応じて自ら考えて作業を行える外国人の雇用が期待されています。
参照元
出入国在留管理庁「林業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能「木材産業」は、木材や木製品の製造・加工を行う分野です。主な業務には製材や単板(ベニヤ)製造、木材チップ製造などがありますが、家具や建具などの装備品の製造には従事できません。
木材産業の各職種も深刻な人手不足のため、特定産業分野に追加されました。木材需要が拡大している中、木材・木製品製造業の就業者数は、2010年の12万3000人から2020年の10万3000人まで2万人(16%)も減少しています。また、35歳未満の就業者の割合が17.6%と低く、将来的に木材産業の人手不足はより深刻になると予想されています。
日本政府による2028年度末までの「木材産業」分野における特定技能外国人の受け入れ見込み数は、最大5000人です。木材産業の基盤を維持し持続的な発展を続けるために、木材加工の技術を持つ即戦力の外国人の雇用が期待されています。
参照元
出入国在留管理庁「木材産業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
「特定技能1号」を取得するためには、技能実習2号を良好に修了するか、特定技能1号試験と日本語能力を測る試験に合格する必要があります。
技能試験とは職種ごとに設けられている専門的な知識を問う試験のことです。日本語能力を測る試験としては、日本語能力試験(JLPT)または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT)があります。基本的に、日本語能力試験ではN4以上の取得、国際交流基金日本語基礎テストの合格が必要です。ただし、特定技能「自動車運送業」のタクシー運転手やバス運転手、「鉄道」の運輸係員のように、日本語能力試験(N3以上)が必要な職種もあります。
「特定技能2号」を取得するためには、実務経験に関する基準を満たし、各職種が定めた技能試験に合格することが求められます。たとえば、特定技能「建設」の場合、班長として複数の建設技能者を指導しながら作業に従事した実務経験が必要です。そのうえで、「建設分野特定技能2号評価試験」「技能検定1級」または「技能検定単一等級」のいずれかに合格しなければなりません。
なお、「特定技能2号」を取得する際は、ほとんどの職種で日本語能力を測る試験は設けられていません。ただし、「外食」「漁業」は日本語能力試験(N3以上)の受験と合格が必要です。求められる実務経験や申し込みに必要な書類、手続き方法などは、職種ごとに異なるので注意が必要です。
参照元
外務省「特定技能外国人を受け入れるまで」
出入国在留管理庁「自動車運送業分野」
出入国在留管理庁「鉄道分野」
出入国在留管理庁「建設分野」
日本では、人手不足が深刻な職種を特定産業分野に指定し、外国人の雇用によって問題の解決を図っています。2024年10月時点で特定産業分野に指定されているのは16分野です。人材不足に悩む企業は、特定技能外国人の受け入れを検討してみましょう。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net