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「外国人労働者問題の現状とは?」「どのような問題が起きているの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。また、企業で問題が起きたときの解決策を知りたい方もいるでしょう。外国人労働者を雇用する企業では、言葉や文化の違いによるトラブルや差別行為、あるいは雇用契約時の認識相違などさまざまな問題が起きる可能性があります。
このコラムでは、事例を基に対処の仕方を紹介しているので、参考にしてください。
目次
近年、日本では外国人労働者が増加しており、外国人労働者を雇用する企業では、労働環境の劣悪さや言葉や文化の違いによるトラブルなど、さまざまな問題が起きています。これらの問題は、外国人労働者に対する企業側の認識不足も要因の一つだと考えられます。
企業で起きやすい外国人労働者問題の事例と解決策は、後述するのでご参照ください。
外国人労働者が増加している大きな理由は、日本社会の少子高齢化による若者の労働人口減少です。
近年、人材不足問題を解消するため、入管法(出入国管理および難民認定法)改正が行われました。それにより外国人労働者を受け入れる間口が広がり、技能実習生や特定技能の外国人を雇用する企業が増加しています。また、留学生30万人計画により、日本の教育機関に通う外国人留学生も増加しました。これにより、日本で働く外国人も増えました。日本の労働人口は今後も減少していきますが、外国人労働者は増え続けることが予想されるでしょう。
「外国人労働者を取り巻く現状と問題を企業に向け解説!解決策も紹介」のコラムでも、外国人労働者の問題と企業が取り組める解決策を紹介しています。ぜひ、雇用する際の参考にしてみてください。
企業で外国人労働者を雇用すると、言葉や文化の違いによるトラブルや、外国人労働者に対する差別行為などの問題が起きる可能性があります。以下で主な事例を解説するので参考にしてください。
外国人労働者と雇用主の間では雇用契約締結や解雇の際に認識に相違によるトラブルが起きやすいでしょう。契約を交わす前に外国人労働者が内容を正確に理解していないと、就労開始後に「聞いていない」「その仕事はできない」と言われ、トラブルになる事例もあります。また、外国人労働者が自社で就労可能な在留資格を所持していないにも関わらず雇用してしまい、あとになって不法就労だと気付くケースもあるようです。雇用契約締結の際は、必ず在留資格の確認をしましょう。不法就労は外国人労働者本人はもちろん、雇用主である企業側も処罰の対象です。
解雇の際に起きやすいトラブルは、企業側から見れば正当な理由だとしても、外国人労働者が納得しない・理解できない場合に起きやすいと考えらえます。たとえば、「勤務態度が著しく悪く指導しても改善が見られない」といった理由でも、「言い掛かりだ」「不当解雇だ」と誤解され外国人労働者から企業が訴えられる事例もあるようです。
外国人労働者に対し規定の範囲を超える長時間労働や、低賃金での就労を課す企業もあり問題になっています。なかには、外国人労働者の給与を適正に支払わない企業もあるようです。企業が外国人労働者を雇用する際は、同じ業務を行う日本人従業員と同等以上の報酬を支払わなければなりません。しかし、不当な就労だと気付いても、誰にも相談できずに我慢し続けている外国人労働者がいるのも現状です。
企業で外国人労働者を雇用すると、言葉や文化の違いによるトラブルの事例も多くあります。意思疎通が難しく業務内容を理解できない、あるいはミスを繰り返すなどの問題が起きる可能性もあるでしょう。また、日本語を理解できたとしてもルールや手順、時間を守るなどの意識を強く持っていない外国人労働者もいます。こうした慣習の違いから、外国人同士または日本人従業員と外国人労働者の間でトラブルに発展するケースがあるようです。
外国人労働者に対する差別行為やいじめ、ハラスメントも問題になっています。外見に対し差別的な発言をしたり、宗教上の理由で着用しているスカーフをめくったりする事例があるようです。このような行為をレイシャルハラスメントといいます。またこうした明らかに悪意ある行為以外にも、何気ない言動や行動が外国人労働者にとっては差別になる場合もあるでしょう。
企業で外国人労働者を受け入れる際、近隣住民の理解を得るのが困難な場合もあります。同じ地域に多くの外国人がいると、「治安が悪化する」「日本語が通じない外国人は怖い」と考える日本人がいるのも事実です。しかし、説明不足やコミュニケーション不足が原因ということも考えられます。企業側が近隣住民に対し、きちんと説明をして外国人労働者と交流を持つ場を設けるといった対応をすれば解決できることもあるでしょう。
「外国人労働者を雇用する際に気を付けるべき点を紹介!」では、外国人労働者を雇用するメリットやデメリットを解説しています。また、外国人労働者の雇用の際に気をつけると良いポイントも説明。内容を参考にして、外国人労働者の雇用をスタートさせましょう。
外国人労働者問題を解決するには、外国人が働きやすい環境を整えコミュニケーションを図ることが大切です。また、日本人従業員への適切な指導も必要でしょう。以下で詳しく解説します。
雇用契約書をはじめ資料やマニュアルは、分かりやすい日本語、あるいは外国人の母国語で作成しましょう。イラストや動画を用いて説明するのも効果的です。特に業務内容や勤務時間、賃金に関する事項は、外国人労働者に内容を正確に理解してもらうことで、認識の相違やトラブル回避に繋がります。
複数の外国人労働者を雇用する企業では、個人的な思想の違いからトラブルに発展する場合も多く見られるようです。また、外国人労働者のなかには、時間を守ることに対しルーズな考えを持つ方もいます。これらを避けるためには、「職場では政治や宗教に関する話はしない」「時間を守って行動する」などをルール化するのも一つの手でしょう。
外国人労働者が孤立を感じたり、差別を受けたりしないように積極的にコミュニケーションを図ることも大切です。日本での生活や就労が初めてで、不安を抱えている外国人労働者は多くいます。言語をはじめ文化や思考も異なる国から来た外国人に対しては、企業が対応に戸惑うこともあるでしょう。しかし、小さな試みでも初めてみるのが大切です。
たとえば1ヶ月に一度、10分間の個別面談をするだけでも効果はあります。定期的に個別面談があり、その面談の際に雇用主や上司と直接話せるのは、外国人労働者にとって大きな安心材料となるでしょう。また、社内でイベントを開催し、外国人労働者と日本人従業員の交流の場を設けるのも、信頼関係を深めるには効果的です。
企業で外国人労働者問題を解決するには、社内で働く日本人従業員の意識を改善することも重要です。雇用主は日本人従業員に対し、外国人労働者受け入れの理解を求めると同時に、「差別やいじめ、ハラスメント行為などをしてはいけない」と指導を徹底する必要があります。日本人従業員からしてみると何気ない言動や行動が、外国人労働者にとっては不快である場合もあるので、社内全体で外国人に対する意識の改善に努めましょう。
外国人労働者問題を解決するには、受け入れに必要な手続きや法律を学ぶことも大切です。たとえば、外国人労働者の雇用契約時や退職の際は、ハローワークへの届け出が必要となります。また、不法労働を避けるために外国人労働者の在留資格の確認や、更新時期が近付いたら手続きをサポートするのも雇用主として重要な役割です。
労働基準法は日本で就労する外国人労働者にも適用されるため、違反しないよう把握しておきましょう。
また、日本における外国人の雇用状況を知りたい方には、「日本での外国人の雇用状況は?企業に向け詳しく解説」のコラムもおすすめです。外国人を雇用する企業の方はぜひご一読ください。
企業で外国人労働者問題に直面したときは、各都道府県にある労働局やハローワークへ相談しましょう。団体監理型で外国人技能実習生を受け入れている企業は、監理団体へ相談するのも一つの方法です。また、厚生労働省では外国人労働者問題啓発の活動をしており、実際に起きている問題や解決策などの情報を得られます。
なお、行政の相談ダイヤルは英語や中国語、タガログ語などさまざまな言語での対応が可能です。外国人労働者は一人で問題を抱え込み疲弊してしまう場合もあるので、直接相談できる窓口の電話番号を伝えておくと良いでしょう。
参照元 厚生労働省「外国人労働者の人事・労務支援ツールを作成しました」
外国人労働者問題には労働環境の劣悪さや言葉や文化の違いによるトラブル、あるいは近隣住民の理解を得にくい点など、さまざまな問題が起きているのが現状です。こうした問題を解決するには、外国人労働者一人ひとりの特徴を知り、コミュニケーションを図ることがとても重要になります。
企業は手続きや法律に関する知識を深めたうえで、外国人労働者と日本人従業員の双方にとって働きやすい環境になるよう努めましょう
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