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外国人の雇用保険の手続きや加入条件が分からず、戸惑う企業は少なくありません。難しく面倒なイメージを持たれるかもしれませんが、実は日本人の場合とほとんど同じです。
ただし、手続き書類に外国人ならではの記入欄があったり、雇用保険の適用が除外される対象者がいたりと注意が必要な点もあります。
この記事は、外国人雇用に慣れていない方に向けて執筆しました。外国人の雇用保険の加入条件や手続きだけでなく、雇用の際に押さえておくべきポイントなどもまとめています。ぜひご一読ください。
目次
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外国人の雇用保険の加入条件は基本的に日本人と同じです。「週の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上継続して雇用する見込みの人」は対象になります。つまり、正社員として外国人を採用した場合は、基本的に加入手続きが必要です。
ただし、適用が除外される場合もあるため、雇用する外国人労働者が条件に該当しないか確認しておきましょう。
参照元:厚生労働省「雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!」
以下の条件に当てはまる外国人は、雇用保険の加入手続きが不要です。
ワーキングホリデーは、休暇目的で来日する外国人に対して滞在費を補うための就労を許可する制度です。この制度で日本に滞在している外国人は、雇用保険の適用対象外とされています。
なお、ワーキングホリデー制度を利用する外国人の在留資格は「特定活動」です。「特定活動」はほかの在留資格と違い、行える活動の種類が多岐にわたっており、ワーキングホリデー制度を利用した就労も許可されています。
個々の許可内容ごとに就労可能かどうか異なるため、雇用の際は在留資格で判断せず、活動内容が記載された「指定書」を確認しましょう。
所定労働時間が週20時間未満の外国人従業員は、日本人と同様に雇用保険の適用対象外です。
なお、2028年から雇用保険の加入条件が変更され、適用除外されるのは週の所定労働時間数が10時間未満の従業員となります。
30日以下の短期間だけ雇用する場合も、雇用保険の対象外となります。
週20時間以上働いている従業員でも、昼間部の学校に通っている留学生は雇用保険の加入対象になりません。また、海外大学からの交換留学生も加入対象外です。
ただし、その学校の課程を修了する要件に一定の出席日数が含まれておらず、企業でほかの労働者と同じように勤務する学生などは加入対象になる場合があります。
海外の大学から、一定期間だけ来日し、日本の企業でインターン活動をしている外国人も雇用保険の対象にはなりません。
出向で海外企業から給与所得を受けている外国人の場合、海外の失業保険制度に入っていれば日本の雇用保険は加入対象外となります。
ここでは、外国人を雇用した際の雇用保険の加入手続きを解説します。
日本人と同様に「雇用保険被保険者資格取得届」の提出が必要です。ただし、外国人従業員の場合は記入方法が異なるので注意しましょう。
「雇用保険被保険者資格取得届」の提出は、外国人を雇用する際の「外国人雇用状況の届出」を兼ねています。外国人が雇用保険に加入しない場合は別途「外国人雇用状況届出書」の提出が必要です。詳しくは後述の「「外国人雇用状況の届出」について」をご覧ください。
「雇用保険被保険者資格取得届」は企業の所在地を管轄するハローワークに提出します。また、e-Gov電子申請での手続きも可能です。
手続きは外国人を雇用した月の翌月10日までに行います。
雇用保険の加入手続きでは「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」を使います。
ここでは、雇用保険被保険者資格取得届の記入方法を解説します。外国人を雇用する際は通常の記載内容に加え、17~23番も忘れずに記入しましょう。
参照元:厚生労働省「外国人雇用のルールに関するパンフレット [PDF形式:1842KB][10.2MB]」
24番~27番は記入不要です。
外国人が雇用保険に加入する場合、17~23番を記入し提出することで「外国人雇用状況の届出」を行ったものとみなされます。
参照元:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」
「外国人雇用状況の届出」は外国人労働者の雇用や退職の際に、事業主がハローワークに届け出るものです。外国人が雇用保険の対象外である場合は、「外国人雇用状況届出書」を提出する必要があります。
雇用保険とは異なり、外国人特有の手続きのため忘れないようにしましょう。届出を行わなかった場合は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
ここでは、外国人が雇用保険に加入しない場合の「外国人雇用状況届出書」の手続きについて解説します。
届出書類は、外国人労働者が働く事業所を管轄するハローワークに提出します。
外国人労働者の雇用と退職のどちらの場合も、翌月末日が提出期限です。
「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」が必要です。
参照元:厚生労働省「外国人雇用のルールに関するパンフレット [PDF形式:1842KB][10.2MB]」
「外国人雇用状況届出書」の記入方法について紹介します。
このほか、雇入れ年月日や離職年月日、事業所情報などを記載します。
外国人が退職して雇用保険を脱退するときは、「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出します。
雇用保険に加入したときと同じハローワークで手続きします。
「雇用保険被保険者資格喪失届」は、外国人が離職した日の翌々日から数えて10日以内に提出する必要があります。雇用保険加入時と比較すると提出期限が早いので注意しましょう。
「雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)」を提出します。従業員が離職票を希望しない場合を除き、離職証明書と関連書類も必要です。
参照元:厚生労働省「外国人雇用のルールに関するパンフレット [PDF形式:1842KB][10.2MB]」
外国人の「雇用保険被保険者資格喪失届」は、通常の記載内容に加えて裏面の以下の項目を記入します。
表面の住所欄と裏面の14~19欄を記載することで、離職時の「外国人雇用状況の届出」を行ったものとみなされます。
ここでは、雇用保険の手続きで注意すべきことを解説します。特に、日本の保険制度についての説明は必ず行いましょう。
従業員の雇用保険の手続きを怠ると、企業に罰則が科されます。刑罰は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金です。
外国人も条件を満たせば雇用保険に加入する必要があります。企業側が責任を持ち正しく手続きを行いましょう。
初めて日本で働く外国人を雇用する際は、雇用保険の仕組みを理解しているか確認し、納得してもらうことが重要です。説明をしないまま加入させてしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。
特に「必ず加入しなくてはならない」「本人と企業両方が支払う」という点を説明しましょう。加入を拒む外国人には、失業したときに基本手当(失業保険)を受けられるメリットを伝えることも大切です。
ここでは、外国人雇用の際に押さえておくべき大切なポイントを紹介します。
外国人を雇用する際は、在留カードについて「本物か」「在留期限は切れていないか」「就労可能な在留資格か」、また就労できない在留資格であれば「資格外活動許可が下りているか」などの確認が大切です。
就労が可能でも、業務が制限される在留資格もあります。自社で外国人に任せる仕事が在留資格で許可されている範囲内かどうか、あわせて確認しましょう。
就労が認められていない外国人や在留期限切れの外国人を働かせた場合、企業は「不法就労助長罪」に問われます。在留資格の許可の範囲を超えた業務に従事させる場合も同様です。罰則は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金もしくはその両方が企業に科せられます。
なお、2027年までに施行される改正出入国在留管理法では、この罰則が、5年以下の懲役または500万円以下の罰金またはその両方が科せられます。
雇用してからも在留期限が切れた状態で働かせないように、在留資格の更新の時期を労働者と確認しておくことも大切です。
なお、雇用保険の手続きに必要な書類を記入する際は在留カードを確認し、外国人の氏名や在留資格などを在留カードに記載されているとおりに記入しましょう。
雇用保険の手続きには在留カードやパスポートの情報が必要です。情報は雇用時と退職時に記入するため、本人に許可を取ったうえでコピーを取っておきましょう。
また、日本の社会保険制度について知ってもらうため、外国人向けの資料を渡せるよう用意しておくのがおすすめです。出入国在留管理庁で公開されている「生活・就労ガイドブック」は外国語で読めるため、日本での生活や仕事に関する基本的な情報を理解してもらえるでしょう。
給与や労働時間などの待遇に関して、従業員の国籍を理由に差を設けてはいけません。労働基準法第3条は均等待遇について書かれており、外国人だからと労働条件を差別するのは禁じられています。
外国人雇用は在留資格や手続きなどで調べることが多く、不安に感じるという企業は少なくありません。外国人特化の人材紹介サービス「WeXpats」では、在留資格についてご相談いただけます。採用後のフォローも行っていますので、興味のある担当者さまはお気軽にお問い合わせください。
参照元:出入国在留管理庁「生活・就労ガイドブック」
外国人も条件を満たしていれば雇用保険に加入します。手続きの方法は日本人とほぼ変わりませんが提出書類には外国人特有の記入事項もあるため、確認しながら準備を進めましょう。
執筆:WeXpats
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