特定技能外国人を宿泊業界で雇うには?注意点を企業に向けて解説

2022年01月18日
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濵川恭一 (監修)
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net

宿泊施設を運営する企業には、人手不足が深刻なところも多いでしょう。特定技能「宿泊」を持つ外国人は幅広い業務に従事できるため、宿泊業界の人材不足解消への貢献が期待されています。このコラムでは、特定技能「宿泊」の概要や、特定技能外国人を雇用するうえでの注意点紹介。また、外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を得る方法も解説します。人手不足に困っている企業は内容を参考にし、外国人雇用を検討してみましょう。


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目次

  1. 人手不足の宿泊業界では人材採用の増大が急務
  2. 在留資格「特定技能」とは
  3. 外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を得る要件
  4. 【宿泊分野】特定技能外国人を受け入れる企業の注意点
  5. まとめ

人手不足の宿泊業界では人材採用の増大が急務

宿泊業界は慢性的な人手不足に陥っており、人材採用を増やすのが急務です。外国人観光客の増加から、ホテルや旅館などの宿泊施設は増加し続けています。さらに、日本政府は2030年までに1年間の訪日外国人旅行者数を6000万人に増やす目標を発表済みです。目標に向けて国全体で観光促進に取り組んでいる最中であり、今後さらにホテルや旅館などの宿泊施設の需要増加が見込まれるでしょう。しかし、宿泊業は休日の少なさや不規則な勤務形態などの理由から離職率が高く、なかなか人手不足が解消されない業界です。少子高齢化の影響で労働人口が減少している日本で安定した労働力を確保するためには、外国人の雇用も積極的に進めていく必要があるでしょう。

参照元
外務省「インバウンド観光促進のためのオールジャパンの対外発信強化

在留資格「特定技能」とは

「特定技能」は、人手不足の14業種での外国人採用をスムーズに進めるために、2019年4月にできた在留資格です。ここでは、特定技能の在留資格の概要や外国人が行える業務、技能実習との違いを解説します。

人材不足に対応するためできた在留資格

「特定技能」は、国内の人材不足に対応するため2019年4月に創設された在留資格です。特定技能の在留資格を有している外国人は、単純労働も許可されます。特定技能の在留資格ができるまで、宿泊業界では外国人を在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当するフロント業務や、通訳業務といった専門性の高い業務でしか雇用できませんでした。しかし、特定技能の在留資格が創設されたことで、幅広い業務で外国人を雇用できるようになったのです。

特定技能の在留資格は14の業種に分かれている

外国人が特定技能の在留資格で就労できるのは、以下の14業種です。
 

・1.介護

・2.ビルクリーニング

・3.素形材産業

・4.産業機械製造業

・5.電気・電子情報関連産業

・6.建設業

・7.造船・舶用工業

・8.自動車整備業

・9.航空業

・10.宿泊業

・11.農業

・12.漁業

・13.飲食料品製造業

・14.外食業
 

以上の14業種は、人材不足解消の対策を講じたものの状況が好転せず、外国人雇用を促進する必要があると判断された業種です。業種ごとに外国人が行える作業が決まっています。なお、特定技能の在留資格には1号と2号がありますが、2号の外国人の在留は2021年12月時点でありません。また、2号で受け入れられる職種も2021年12月時点では「建設業」と「造船・舶用工業」のみです。そのため、特定技能といえば特定技能1号を指すと考えて良いでしょう。特定技能1号の在留期間は最長5年で、それ以上の更新はできません。

特定技能の在留資格については、「特定技能14業種を一覧で紹介!行える業務内容も解説」や「特定技能評価試験とは?介護や外食など在留資格を得られる14業種を紹介!」でもまとめています。ぜひチェックしてみてください。

特定技能「宿泊」で外国人が行える業務

特定技能「宿泊」の在留資格を持つ外国人は、フロント業務や客室清掃やドアマンなどの宿泊サービスに関わる業務のほか、ホテル内のレストランスタッフとしても働けます。また、企画や広報などの業務も可能です。なお、上記の業務を中心としていれば、付随的に館内販売や備品の点検などの業務も許可されます。

ホテル・旅館業で外国人雇用する方法とは?従事できる業務や注意点を解説」では、ホテル・旅館業で雇用できる外国人の在留資格の種類を解説しています。外国人雇用におけるメリットや注意点もまとめているので、参考にしてみましょう。

在留資格「技能実習」との違い

在留資格「技能実習」と「特定技能」は、名称は似ているものの制度の目的が異なります。技能実習は、発展途上国出身の外国人に日本の技能を移転し、母国の発展に貢献してもらうのが目的の在留資格です。そのため、外国人技能実習生を労働力の補填に利用してはいけません。一方、特定技能の在留資格は元々人材不足を解消するためにできたという経緯があります。企業側からするとより外国人雇用に踏み出しやすくなったといえるでしょう。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「特定技能」が創設されます

外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を得る要件

外国人が特定技能「宿泊」の在留資格を得るには、日本語能力を測る試験で合格基準を満たし、宿泊業技能測定試験に合格する必要があります。

日本語能力を測る試験で合格基準を満たす

特定技能の在留資格を得るには、「日本語能力試験(JLPT)」もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格しなくてはなりません。日本語能力試験(JLPT)では、N4以上のレベルに合格する必要があります。N4は「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活のなかでも身近な話題を読んで理解する」「日常的な場面でややゆっくりと話される会話であれば、内容が理解できる」といったレベルです。なお、日本語能力試験(JLPT)はマークシート方式で行われます。

「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」ではA2レベルを取得する必要があります。A2は簡単で日常的な範囲の事柄について情報交換ができ、基本的でよく使われる文や表現が理解できるレベルです。テストはCBT方式を用いてパソコンで行われます。「日本語能力試験(JLPT)」「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」のどちらを受ける場合でも、基本的な日本語が理解できていれば問題ないでしょう。

宿泊業技能測定試験に合格する

特定技能の在留資格を得るには、各業種の技能試験に合格する必要があります。宿泊業の場合は「宿泊業技能測定試験」です。この試験では、宿泊施設全般の業務に関する筆記試験と実技試験が行われます。フロントや接客業務だけではなく、安全衛生の知識も身に付けなくてはなりません。筆記試験と実技試験の正答率が65%以上であれば合格です。

参照元
日本語能力試験 JLPT「N1~N5:認定の目安」
国際交流基金 日本語基礎テスト「JFT-Basicとは

【宿泊分野】特定技能外国人を受け入れる企業の注意点

特定技能外国人を受け入れられるのは、旅館業法で旅館もしくはホテル営業の許可を受けている宿泊施設のみです。また、行う業務や報酬にも注意すべき点があります。

旅館・ホテル営業の許可を受けている施設以外は就労不可

特定技能外国人は、旅館業法で旅館もしくはホテル営業の許可を受けている施設でなければ就労できません。民泊やペンション、ゲストハウス、カプセルホテルなどの宿泊施設であっても「簡易宿泊所営業」で許可を受けている場合、特定技能の在留資格を持つ外国人は就労不可です。また、風営法で風俗営業に分類される施設でも外国人は雇用できないので注意しましょう。

風営法における「接待」業務は禁止されている

特定技能「宿泊」の在留資格を持っていても、風営法における接待業務は禁止です。たとえば、宿泊施設のレストランで給仕業務を行うのは問題ありませんが、利用客の隣に座ってお酌をしたり、会話をしたりするのは接待業務に該当します。当該外国人がどの行為が接待業務になるのかを理解していない場合があるため、企業側はあらかじめ教育を行っておきましょう。

報酬は日本人と同等以上を支払う

外国人を雇用する際は、同じ仕事をする日本人と同等かそれ以上の報酬を支払う必要があります。この決まりは、特定技能の在留資格を持つ外国人に限ったことではありません。企業が「外国人だから」という理由で、不当に日本人より低い報酬を設定するのは禁止されています。なお、特定技能外国人の雇用形態は正社員のみです。特定技能外国人を雇用する際は、同じ仕事をする正社員の日本人と同等、もしくはそれ以上の報酬を設定しましょう。

特定技能協議会へ加入する必要がある

特定技能「宿泊」の在留資格を持つ外国人を雇用する企業は、「宿泊分野特定技能協議会」への加入が必要になります。特定技能協議会は、特定技能の在留資格を持つ外国人の適正な受け入れや保護が目的の組織です。特定技能外国人を受け入れてから4ヶ月以内に加入しなくてはなりません。加入方法は、観光庁のWebサイトから必要書類をダウンロードして記入後、観光庁の観光人材政策室に郵送します。

参照元
国土交通省 環境庁「宿泊分野における新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」)

まとめ

特定技能「宿泊」の在留資格を持つ外国人は幅広い業務に従事できるため、人材が不足している宿泊業界にとって貴重な存在です。宿泊施設を運営する企業は、特定技能制度について正しく理解したうえで、特定技能外国人の受け入れを検討しましょう。

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