日本語能力試験とは?日本語検定との違い・試験概要やレベルを解説

2020年05月10日
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島田亮司 (監修)
日本ビザ国際行政書士事務所
ストックホルム大学交換留学を経て、中央大学法学部卒業。東京書籍株式会社に入社、主に英語辞典や教材の編集、異文化理解教育のテキスト製作を担当。その後、PHP研究所にて英文月刊誌の副編集長として国内外の取材、執筆、編集に携わる一方、松下幸之助研究の研究スタッフとして外国人経営者向けの研修セミナーの企画、運営、講演を行う。伊藤忠商事食料カンパニー向けのアナリストを経て独立。1997年設立のNPO国際交流団体SIEN(埼玉県国際交流協会登録)の代表として現在までの22年間、異文化理解、交流促進に関わる社会活動をする他、外国人社員教育、外国人採用コンサルティング、在日外国人向けに生活サポートや賃貸物件のアドバイス等も行う。宅地建物取引士。英語通訳案内士。 http://visa-nihon.com/

日本語能力試験とは、日本語を母語としない人たちの日本語運用能力を測定し証明するための試験です。日本語能力試験の結果は、日本の企業が外国人を採用する際の基準として利用されたり、昇給・昇格の際に参照されたりすることもあります。では、企業側は日本語能力試験の成績を採用に役立てたい時、どのような点に着目すべきでしょうか?日本語能力試験の概要や、日本語能力試験を受けた外国人を採用する際のポイントについて詳しく解説します。

日本語能力試験とは?

日本語能力試験とは、日本語を母語としない人たちの日本語運用能力を測定し認定するための試験です。1984年に初めて実施され、2019年の応募者数は全世界で136万人以上にのぼり、世界最大の日本語能力を測定するテストとなっています。

・日本語能力試験の概要

日本語能力試験は、単純な日本語の知識を問うのではなく「課題遂行のための言語コミュニケーション能力」を測ることを旨としており、試験では以下の3つの要素が問われます。

  • 言語知識(文字・語彙・文法)

  • 読解

  • 聴解

解答はマークシートを利用した選択方式で、日本語を記述したり話したりする能力を直接的に測る試験科目はありません。

・日本語能力試験を受けるメリット

日本語を母語としない人が日本語能力試験を受けて日本語能力の認定を受けることは、日本で仕事する上で様々なメリットがあります。

  • 日本の国家試験を受けるための条件の1つ(歯科医師・看護師・薬剤師など)

  • 日本の准看護師試験を受験するための条件の1つ

  • 日本の中学校卒業程度認定試験の一部試験科目の免除

  • EPA(経済連携協定)に基づく看護師・介護福祉士の候補者選定の条件の1つ

日本の国家試験・准看護師試験を受けるためには日本語能力試験N1の認定が、中学校卒業程度試験の試験科目免除を受けるためにはN2以上の認定が必要となります。また、EPAに基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日する看護師・介護福祉士の候補者は、日本語能力試験N5程度(インドネシア、フィリピン)またはN3(ベトナム)以上の認定が必要です。

・日本語能力試験と日本語検定の違い

両者は試験名がよく似ているので混同されがちですが、日本語能力試験と日本語検定では試験内容に大きな違いがあります。おおざっぱに言えば前者は外国人向けで、後者は日本人向けです。

もちろん日本に帰化した人でも、日本語能力試験を受ける人がいるでしょう。同様に日本語検定も日本語が得意な外国人がさらに自分の日本語能力を証明するために日本語検定を受ける人もいるでしょう。但し、実際の受験者データを見てみるとそうした人はほとんど見られません。

日本語検定は1級から7級まであり、1級が最上級で7級が最も低い級です。しかしながら7級の問題を見てみると、日本語能力試験のN1で出てきてもおかしくない問題があります。また、漢字の画数を問う設問もあり、内容的にも日本人向けの試験と言えるのではないでしょうか。日本語能力試験にも日本語検定にも公式ウェブサイトにサンプル問題があるので興味のある方は一度解いてみてはどうでしょうか。

  日本語能力試験 日本語検定
試験の対象 日本語を母国語としない人 日本語を使うすべての人
試験の内容 言語知識(文字・語彙・文法)・読解・聴解 漢字・表記・敬語・言葉の意味・語彙・文法
参照:日本語能力試験公式ウェブサイト
日本語検定公式ウェブサイト

日本語能力試験のレベル(Nレベル)

日本語能力試験の難易度はN1~N5の5段階に分かれており、受験者が自分のレベルにあったテストを受けることができます。N1が一番難しく、数字が大きくなるほど易しくなります。以下、それぞれのレベルの基準について見てみましょう。(日本語能力試験公式ウェブサイトを参照しています)

・日本語能力試験:N1レベル

N1の合格者は、幅広い場面で使われる日本語を理解することができるとしています。

読む

  • 幅広い話題について書かれた新聞の論説、評論など、論理的にやや複雑な文章や抽象度の高い文章などを読んで、文章の構成や内容を理解することができる。

  • さまざまな話題の内容に深みのある読み物を読んで、話の流れや詳細な表現意図を理解することができる。

聞く

  • 幅広い場面において自然なスピードの、まとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを詳細に理解したり、要旨を把握したりすることができる。

N1は一部の人から「日本人でも合格するのは難しい」と言われていますが、55%以上の正答率であれば合格できるので、日本語を母語とする人であれば簡単だと思います。ただ、満点となると難しいかも知れません。

また「…要旨を把握したりすることができる」と書いてある通り、N1を持っている人であれば日本語のリスニングが完璧ということではありません。

詳細はこちら:日本語能力試験N1の難易度は?外国人採用で求められる日本語レベル

・日本語能力試験:N2レベル

N2の合格者は、日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができるとしています。

読む

  • 幅広い話題について書かれた新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、論旨が明快な文章を読んで文章の内容を理解することができる。

  • 一般的な話題に関する読み物を読んで、話の流れや表現意図を理解することができる。

聞く

  • 日常的な場面に加えて幅広い場面で、自然に近いスピードの、まとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解したり、要旨を把握したりすることができる。

N2は日本で就職を目指す多くの外国人が目標としています。実際に外国人向けの求人案内には日本語能力をN2程度以上と定めているところが多いです。そのため受験者数も5つのレベルの中でN2が一番多くなっています。ただ、なかなかN2以上を持っている人がいないため、N3以下でも採用する会社もあるようです。

詳細はこちら:日本語能力試験とは?特徴やN2のビジネスレベル

・日本語能力試験:N3レベル

N3の合格者は、日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができるとしています。

読む

  • 日常的な話題について書かれた具体的な内容を表す文章を、読んで理解することができる。

  • 新聞の見出しなどから情報の概要をつかむことができる。

  • 日常的な場面で目にする難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば、要旨を理解することができる。

聞く

  • 日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる。

全体の受験者数の中ではN2の次に受験者数が多く、国内の受験者数だけで見ると最も多くなっています。上述した様に、日本で就職するために最低限必要な資格であると考えている外国人が多いからかも知れません。

詳細はこちら:日本語能力試験N3スコアのレベルとは

・日本語能力試験:N4レベル

M4の合格者は、基本的な日本語を理解することができるとされています。

読む

  • 基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。

聞く

  • 日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる。

・日本語能力試験:N5レベル

N5の合格者は、基本的な日本語をある程度理解することができるとしています。

読む

  • ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を読んで理解することができる。

聞く

  • 教室や、身の回りなど、日常生活の中でもよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取ることができる。

N4とN5については受験者数が他のレベルに比べて少なく、あまり人気がないことがうかがえます。これも日本語能力試験が日本で就職するためのツールと認識されているからかも知れません。ちなみに各レベルの合格率は2019年7月実施のデータによると、N1(29.3%)、N2(36.0%)、N3(39.4%)、N4(32.7%)、N5(47.6%)となっています。

日本語能力試験だけで人材を判断するのは困難

ここまで解説してきたように、日本語能力試験は詳細にレベル分けがされており、各レベルに合格した人は一定の日本語能力を証明することができます。企業も外国人を採用する際の大きな指標になります。但し、試験の結果だけで採用すべき人材を判断するのは困難です。

・受験していない場合がある

企業に応募する外国人人材の中には、日本語能力試験を受験をしていないにもかかわらず「自称Nレベル」や「推定Nレベル」と記載する人がいます。たとえ履歴書にNレベルが記載されていても、それが公式に認定されたものなのか確認が必要でしょう。受験した人には「日本語能力試験認定結果及び成績に関する証明書」というものが主催者から発行されます。

・同一レベル内にも差がある

各レベルには合格点が定められています。N1であれば180点満点の100点以上、N2であれば90点以上取れば合格できます(但し、各要素で定められた基準点をそれぞれクリアしなければなりません)。つまり、N1でも180点を取ったツワモノから、100点ギリギリのある意味ラッキーだったN1認定者がいるわけです。これはN2についても言えることです。

韓国語は日本語と言語的に近いため、日本で働く韓国人のほとんどはN1を取得しています。そのため、履歴書にはN1を何点で合格したかを書くと言います。そうしないと他の人と差がつかないからです。この得点数も上記の証明書に記載されています。

筆者の友人にもN1を取ったアメリカ人がいますが、正直コミュニケーションの観点からはN1とは言い難いレベルと感じています。つまるところ、日本語能力試験の結果は参考程度に考えて、実際の採用には面接時にしっかりと日本語能力を確認する必要があると思います。

採用時には日本語能力試験以外の面もチェック

日本語能力試験の結果だけで外国人人材の採用可否を判断すると、採用後にミスマッチが生まれてしまう可能性があります。業務をこなす上で日本語能力の重要度が高い場合においても、Nレベルの優劣だけでなく、当然ながらその他の項目をチェックすることが欠かせません。

・日本語レベルは仕事能力ではない

面接した外国人が日本語を高いレベルで扱えたり、流暢に話すことができたりすると、優秀な人材に見えてしまいがちです。ただし、日本語能力は仕事を行う上で必要なスキルの1つであり、むしろ業務に関わる上で必要になってくるスキルは日本語能力以外の部分が大きいかもしれません。日本語能力も大切ですが、日本語能力は採用後に仕事を通して伸ばすことも可能です。

・4技能のうちどれが重要かを考える

言語能力には主に「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能がありますが、企業の採用担当者はその仕事にどの能力が重要かを考えることもヒントになるでしょう。

例えば、単純作業が中心の職種であればマニュアルを理解し、指示を的確にこなすことができるようになれば、高度なコミュニケーション能力を要求される場面は少なくなるかも知れません。そのような仕事には、N1レベルの高い日本語能力は不要でしょう。「読む」力があればNレベルは関係ないかも知れません。逆に介護や接客などの職種では「話す」能力が重視されるかも知れません。日本語能力試験では「話す」能力は測ることができません。面接を通して直接確認する必要があるでしょう。実際、面接の前に電話インタビューの形で外国人の日本語能力を確認する会社もあります。

まとめ

今回は、日本語能力試験の概要や、日本語検定との違い、外国人を採用する際のポイントについて説明しました。

  • 日本語能力試験とは、日本語を母語としない人たちの日本語運用能力を測定し証明するための試験。日本語検定は主に日本語を母語とする人向けの試験。

  • 日本語能力試験のレベルはN1~N5の5段階に分けられており、N1が一番難易度が高く、N5が一番難易度が低い。

  • 履歴書に推定のNレベルが記載されていることがあったり、同一Nレベル内にも能力の差があったりすることから、Nレベルだけで日本語能力を判断するのは困難。

  • Nレベルだけで人材を判断するのではなく、業務の内容に必要な能力と、実際のコミュニケーション能力を面接などを通して確認することが必要。

日本語能力試験は外国人の日本語能力を測る上で、とても参考になる試験です。また、今回の記事では触れませんでしたが、BJTビジネス日本語能力テスト、実用日本語検定J.TESTといった試験もあります。各公式サイトで日本語能力試験のNレベルとの比較表を公表しているので、必要であれば参照してみましょう。

詳細はこちら:日本語能力試験の実施状況や試験のレベルを知りたい!

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