日本にはいろいろな挨拶(あいさつ)があります。人と会ったり別れたりするときに挨拶をするのはもちろん、食事の前後や家を出るときにも決まった挨拶の言葉があるのです。
また、日本にはお辞儀の文化があり、基本的に挨拶するときは相手に頭を下げます。挨拶する相手によって、言葉やお辞儀の深さが変化するのも特徴です。
このコラムでは、覚えておくと良いいろいろな挨拶のフレーズを紹介します。
目次
- 日本人にとっての挨拶の意味
- 日本人は基本的に挨拶とともにお辞儀をする
- 初めて会う相手へのいろいろな挨拶の言葉
- 人に会ったときのいろいろな挨拶の言葉
- 人と別れるときのいろいろな挨拶の言葉
- お礼の気持ちを伝えるいろいろな挨拶の言葉
- 相手に謝る場面で使ういろいろな挨拶の言葉
- 食事の場面で使う挨拶の言葉
- 家を出るとき・家に帰ってきたときの挨拶の言葉
- 冠婚葬祭の場面で使う挨拶の言葉
- 挨拶以外のよく使ういろいろなフレーズ
- まとめ
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日本人にとっての挨拶の意味
日本人にとっての挨拶は、礼儀やねぎらいなどの意味合いも強いのが特徴です。
人と会ったときや別れるときのいろいろな挨拶は、コミュニケーションの基本であり大事な礼儀でもあります。
ビジネスの場面で会う相手や家族への「お疲れ様です」といったねぎらいの言葉は、人間関係を良くするために重要です。
相手に失礼な対応をしてしまった際の謝罪も、信頼を取り戻すために欠かせません。
日本のいろいろな挨拶については、「日本語の挨拶は難しい?基本的なフレーズや言葉の意味を解説」のコラムでも紹介しています。また、「お疲れ様です」については「otsukaresama(お疲れ様)の意味や使い方を外国人に向け紹介!」のコラムでも解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。
日本人は基本的に挨拶とともにお辞儀をする
日本人は、挨拶をするときやお礼を言うとき、謝るときなどに、腰を曲げて上半身を相手に倒す動作「お辞儀」をします。お辞儀は感謝や謝罪、敬う気持ちなどを表すしぐさです。
親しい相手には、軽くお辞儀をしながら挨拶の言葉を伝えます。相手が目上の人や客人の場合は、挨拶の言葉を言ったあとにお辞儀をするとより丁寧でしょう。
体を倒す角度で意味合いや丁寧さが異なるので、失礼がないように相手や場面に合わせたいろいろなお辞儀を覚える必要があります。
- 会釈(えしゃく)…体を15度ほど傾ける簡単なお辞儀で、友人や同僚などの親しい相手に使う
- 敬礼(けいれい)…体を30度ほど傾ける丁寧なお辞儀で、客人や初対面の相手に使う場合が多く、ビジネスの場面で最も一般的なお辞儀
- 最敬礼(さいけいれい)…体を45度ほど傾ける最も丁寧なお辞儀で、重要な相手に挨拶するときや深い謝罪をするときに使う
最敬礼は、会社の重役や取引先の代表者などに挨拶するときや冠婚葬祭のときに使います。より敬意や謝罪の気持ちを伝えたい場合は、体を90度くらいまで傾けても良いでしょう。
お辞儀については、「日本特有のマナーとは?食事や日常生活、ビジネスシーンの礼儀・作法を紹介」のコラムでも紹介しています。
初めて会う相手へのいろいろな挨拶の言葉
ここでは、初めて会った相手へのいろいろな挨拶の言葉を紹介します。初めて会った相手への基本的な挨拶を知り、失礼のないようにしましょう。
初めて会う相手への挨拶の言葉「はじめまして」
初めて会った相手には、まず「はじめまして」と挨拶します。「初めてお目にかかります」という意味があり、会うまえに電話やメール、手紙でやり取りしていた相手にも使える挨拶の言葉です。
日常生活やビジネスシーンなどの幅広い場面で使えます。
相手に名乗るときの言葉「私の名前は▲▲です」
初めて会った相手には、「はじめまして」の挨拶の言葉と一緒に、「私の名前は▲▲です」と名乗りましょう。
学校やビジネスの場面では、名前とともに簡単な自己紹介を求められるときがあります。その場合は、「▲▲から来ました」「▲▲歳です」と出身や年齢を伝えると良いでしょう。
好意を伝える言葉「よろしくお願いします」
自己紹介をしたら、最後に「よろしくお願いします」と挨拶しましょう。何かをお願いするときに使う言葉で、初めて会った相手に「これから親しくしてほしい」と伝える意味があります。
【例文】
「はじめまして。私の名前はオリバーです。アメリカから来ました。23歳です。よろしくお願いします」
初めて会った相手や自己紹介を求められた場面では、以上のように挨拶できると良いでしょう。
初めて会った相手へのいろいろな挨拶は、「「hajimemashite」とはどういう意味の日本語?使い方を解説」「yoroshiku(よろしく)の意味や使い方を外国人に向けて紹介!」のコラムでも詳しく説明しています。
参照元 文化庁「あいさつをしよう」
人に会ったときのいろいろな挨拶の言葉
人と会ったときの挨拶は、朝・昼・夜で異なります。いろいろな挨拶の言葉から、適切なフレーズを選びましょう。
朝に会った相手への挨拶の言葉「おはようございます」
朝に会った相手には、「おはようございます」と挨拶しましょう。自分より早く来ている人へのねぎらいから生まれた表現といわれていますが、目上の相手にも使える丁寧な挨拶の言葉です。
友達や家族には、基本的に「おはよう」と省略して言います。「おはよう」は目上の相手に使うと失礼にあたるので注意しましょう。
なお、「おはようございます」「おはよう」が使える時間については諸説あり、概ね午前10時ごろまでといわれています。
昼に会った相手への挨拶の言葉「こんにちは」
午前10時から午後6時にかけて会った相手には、「こんにちは」と言います。相手の機嫌を伺う意味がある「今日はご機嫌いかがですか」というフレーズが省略された挨拶の言葉です。
目上の相手やよく知らない人にも使えます。
夜に会った相手への挨拶の言葉「こんばんは」
午後6時以降に会った相手には、「こんばんは」と言います。「こんにちは」と同じで「今晩はご機嫌いかがですか」というフレーズが省略された挨拶の言葉です。
なお、日本では、前述した「こんにちは」や「こんばんは」は、職場の上司や同僚にはあまり使いません。昼や夜に職場で会った相手には、「お疲れ様です」と挨拶するのが一般的です。
「こんばんは」については、「konnichihaの意味とは?konnichiwaとの違いも解説」のコラムでも
紹介しています。
人と別れるときのいろいろな挨拶の言葉
人と別れるときは、相手の立場や状況、場面を考慮して、いろいろな挨拶の言葉から適切なフレーズを選びましょう。
親しい相手への挨拶の言葉「さようなら」
親しい相手と別れるときに使える挨拶の言葉は「さようなら」です。人と別れるときに使われていた挨拶の言葉「左様なら(それでは)、これで別れましょう」が短くなり生まれました。
家族や友達のように気さくな間柄なら、「じゃあね」「またね」「ばいばい」と言うこともあります。相手や場面によって使い分けると良いでしょう。
目上の相手への挨拶の言葉「失礼します」
目上の相手と別れるときは「失礼します」と言いましょう。
「失礼します」はビジネスの場面でよく使われる挨拶の言葉です。人と別れるとき以外にも、断りを入れる表現として、部屋に入ったり相手に話しかけたりするときにも使われます。
なお、「失礼しました」という過去形の挨拶は、すでに起こった出来事に関する謝罪に使われる言葉です。
相手の健康を願う挨拶の言葉「お元気で」
相手の健康を願う「お元気で」も別れの挨拶に使われる言葉です。別れたあとにしばらく会えないだろうと思われる相手に使われます。
なお、ビジネスの場面で会った相手には、「お元気で」ではなくより丁寧な「ご自愛ください」という挨拶の言葉を用いましょう。
病気や怪我をしている親しい間柄の相手と別れるときは、「お大事に」と挨拶するのも良いでしょう。目上の相手には、「お大事になさってください」というより丁寧な挨拶の言葉を選ぶと、失礼がありません。
夜に人と別れるときの挨拶の言葉「おやすみなさい」
夜に会った相手と別れるときや就寝の挨拶に使われる言葉が、「おやすみなさい」です。
もともとは、相手に「どうぞ休んでください」と勧める「御休みなさい」という意味でした。この「休み」は休息や休憩ではなく寝る行為を指しており、夜にしっかりと眠れるようにとの気遣いが込められています。
家族や友人などの親しい相手には、より気さくなフレーズである「おやすみ」という挨拶の言葉も使われます。
いろいろな別れの挨拶については、「「sayounara」はいつ使うあいさつ?同じ意味の日本語も紹介」のコラムでも解説しています。
参照元 文化庁「場面に応じたあいさつをしよう」
お礼の気持ちを伝えるいろいろな挨拶の言葉
お礼の気持ちを伝える挨拶にもいろいろな言葉があり、相手との関係性によって適切なフレーズが異なります。お礼を言う際は、気持ちを伝えるためにきちんとお辞儀をしながら挨拶するようにしましょう。
親しい相手へお礼の言葉「ありがとう」
家族や友人などに感謝やお礼の気持ちを伝えるときの挨拶の言葉は「ありがとう」です。「ありがとう」と言われたら、「どういたしまして」と返しましょう。
なお、目上の人やビジネスの場面で会った相手に「ありがとう」を使うと失礼にあたります。
丁寧なお礼の言葉「ありがとうございます」
目上の相手やよく知らない人にお礼を言うときは、「ありがとうございます」と言いましょう。ビジネスの場面でも使われる丁寧な挨拶の言葉です。
よく知らない人に親切にしてもらい、お礼を伝えるときにも使えます。
過去形でお礼を伝える言葉「ありがとうございました」
過去に相手がしてくれた行為に対して、感謝やお礼の気持ちを伝える挨拶の言葉は「ありがとうございました」です。
目上の人やビジネスの場面で会った相手にも使える丁寧な挨拶の言葉です。
「arigatouの意味や使い方を外国人に向けて紹介!」のコラムでは、「ありがとうございました」以外にもいろいろな挨拶の言葉を紹介しています。
相手に謝る場面で使ういろいろな挨拶の言葉
謝罪をするときは、相手との関係性や出来事の深刻さに応じて、いろいろな挨拶の言葉を使い分けます。重要な謝罪のときは深い角度でお辞儀をして、謝罪の気持ちを伝えるようにしましょう。
親しい相手への謝罪の言葉「ごめんなさい」
「ごめんなさい」は家族や友人に謝る際に使う挨拶の言葉です。言葉とともに、顔の前で両手の平を合わせる動作をする場合もあります。
軽い謝罪に使える言葉「すみません」
「すみません」は「ごめんなさい」よりも丁寧な謝罪の挨拶で、友人や近所の人などに使えます。軽い謝罪以外にも、感謝の気持ちを伝えたり知らない人に呼びかけたりするときにも使える挨拶の言葉です。
【例文】
「遅れてすみません」(謝罪)
「お見舞いをいただいてすみませんでした」(感謝)
「すみませんが、駅への行き方を教えてください」(呼びかけ)
前述した「ごめんなさい」や「すみません」は、ビジネスの場面で用いると失礼にあたります。「失礼しました」と言い換えるようにしましょう。
目上の相手への謝罪の言葉「申し訳ありません」
目上の人やビジネスの場面で会った相手に謝るときには、「申し訳ありません」「申し訳ございません」という謝罪の言葉を用います。
「言い訳のしようがない」という意味で、詫びる気持ちを強く表している言葉です。きちんとお辞儀をして、謝罪の気持ちを伝えるようにしましょう。
【例文】
「準備に手間取って申し訳ありません」
「本当に申し訳ございません」
過去に起こった出来事に関して謝罪する場合は、「申し訳ありませんでした」「申し訳ございませんでした」と言います。
「sumimasen(すみません)の意味や使い方を外国人に向けて紹介!」のコラムでも、謝罪する際に使われるいろいろな挨拶の言葉を解説しています。
食事の場面で使う挨拶の言葉
日本では食事の前後に「いただきます」「ごちそうさま」と挨拶をします。食事の前後の挨拶は、日本以外の国ではあまり見かけない文化です。
食事のまえの挨拶の言葉「いただきます」
両手を胸の前で合わせて「いただきます」と言うのが、食事をする際の基本的なマナーです。より丁寧にする場合は、食事に向かって軽くお辞儀をしても良いでしょう。
「いただきます」の挨拶の言葉には、食事を作ってくれた人や食材となった命への感謝の意味が込められています。
食事のあとの挨拶の言葉「ごちそうさま」
食事のあとは、両手を胸の前で合わせて「ごちそうさま」と言います。より丁寧に挨拶したい場合は、「いただきます」と同じように軽くお辞儀をしましょう。
「ちそう」はもともと「走り回る」という意味で、食事を作るために準備をしてくれた相手への感謝の気持ちが込められた挨拶の言葉です。
「いただきます」や「ごちそうさま」については、「「itadakimasu」はどのような日本語?使える場面や意味を紹介!」や「gochisousamaはいつ・なぜ言うの?使い方や意味を解説!」のコラムでも解説しています。
家を出るとき・家に帰ってきたときの挨拶の言葉
家を出るとき・家に帰ってきたときに使う挨拶の言葉があるのも、日本ならではです。出発や帰宅の挨拶の言葉は、日本以外の国ではあまりありません。
「行ってきます」「行ってらっしゃい」
家を出るときに家族に言う挨拶の言葉が、「いってきます」です。出かける相手には「いってらっしゃい」と声を掛けましょう。
「ただいま」「おかえりなさい」
家に帰ってきたときは、家族に「ただいま」といいます。「ただいま」は、「ちょうど今」という意味があり、「ちょうど今戻りました」というフレーズが短くなった挨拶の言葉です。
帰ってきた相手には、「おかえりなさい」「おかえり」と声を掛けましょう。
「ただいま」や「おかえりなさい」については、「「tadaima」はどのような場面で使う日本語?意味や返し方を解説」や「「okaerinasai」は誰に・いつ使う日本語?意味や由来を解説」のコラムでも解説しています。
冠婚葬祭の場面で使う挨拶の言葉
冠婚葬祭とは、結婚式や成人式、葬式などの大きなイベントを指します。冠婚葬祭の場面で使われる挨拶の言葉は以下のとおりです。
お祝いの気持ちを伝える挨拶の言葉「おめでとう」
友人や親しい相手が結婚する場合は「おめでとう」と挨拶しましょう。目上の相手や結婚式で会った新郎新婦の親族には、より丁寧に「おめでとうございます」と挨拶します。
日本では、「成人式」といわれる20歳を迎えた人々を祝う儀式があります。「おめでとう」は成人した相手にも使える挨拶の言葉です。
ほかにも、相手が誕生日を迎えたり進学・昇進したりといった喜ばしい場面で、お祝いの気持ちを伝えるために使われます。
人が亡くなったときの挨拶「お悔やみ申し上げます」
葬式に参列して遺族に会った場合は、「お悔やみ申し上げます」という挨拶の言葉を言います。「亡くなった人の死を残念に思って、悲しんでいます」という意味の挨拶の言葉です。ご遺族との会話以外にも、弔電という弔いの気持ちを伝える電報の文章にも使えます。
葬式でよく使われる挨拶の言葉には、「ご愁傷様(ごしゅうしょうさま)です」もあります。「大切な方が亡くなって、気の毒に思っています」という意味があり、会話のみに用いられる言葉で、弔電には使えません。
冠婚葬祭については、「冠婚葬祭って何のこと?外国人に向けて意味や該当する儀式を紹介」でも紹介しています。また、「おめでとう」という挨拶の言葉について詳しく知りたい方は、「omedetouの意味や使い方を外国人に向けて紹介!」のコラムもご覧ください。
挨拶以外のよく使ういろいろなフレーズ
挨拶以外のよく使うフレーズを覚えておくと、日本語で会話するのに便利でしょう。以下では、日本語の勉強を始めたばかりの方に向けて、覚えておくと便利な挨拶以外のフレーズを紹介します。
肯定は「はい」否定は「いいえ」
相手の示している内容を肯定するときは「はい」、否定や反対するときは「いいえ」と言います。
なお、「いいえ」は相手にきつい印象を与える可能性がある言葉です。お誘いの返答やビジネスの場面でのやりとりなどに用いるのは、なるべく避けたほうが無難といえます。
その場合は、「すみませんが」「申し訳ありませんが」などの柔らかい断りの言葉を入れてから、意見を言うようにしましょう。
「もう一度お願いします」
言葉が聞き取れなかったときは、「もう一度お願いします」と言いましょう。
ビジネスの場面では、より丁寧に「申し訳ございません。もう一度お伺いしてもよろしいでしょうか」と聞き返すのがマナーです。
話している人の声が小さい場合でも、「もう少し大きな声でお願いします」のように、相手の非を感じさせる言い方は失礼です。
「どういう意味ですか?」
相手の言葉の意味が分からなければ、「どういう意味ですか?」「どのような意味でしょうか?」と言って聞くことが可能です。
しかし、これらの聞き方は、目上の人やビジネスの場面で会った相手には失礼にあたり、ふさわしくありません。より丁寧に「申し訳ありませんが、●●についてご教示いただけますでしょうか?」と聞きましょう。
場所を尋ねる「▲▲はどこですか?」
目的地への行き方を聞くときは「▲▲はどこですか?」「▲▲への行き方を教えてください」と聞きましょう。知らない人に聞くときは、「すみません」や「お尋ねしても良いですか?」と確認してから聞くのがおすすめです。
【例文】
「すみません。駅はどこですか?」
「お尋ねしても良いですか?トイレはどこでしょうか?」
「すみません。▲▲への行き方を教えてください」
自分が今いる場所が分からなくなった場合は、「ここはどこですか?」と聞くと良いでしょう。
欲しい物があるときは「▲▲をください」
店舗で商品を買いたいときや電車の切符がほしいときは「▲▲をください」と伝えましょう。
【例文】
「これをください」(欲しい物を指差しながら)
「▲▲駅までの切符をください」
また、言葉だけで伝わりづらいときは、欲しい物の写真をスマートフォンに表示させながら聞くのも一つの手です。
まとめ
日本人は挨拶とともに基本的にお辞儀をします。人と会ったときや別れるときは、お辞儀をしながら挨拶しましょう。
また、親しい人と目上の相手とでは、使う挨拶の言葉が異なります。相手に合わせた挨拶ができるようになれば、よりスムーズに会話ができるでしょう。