ビジネス文書を作成する際は鏡文を添付するのがマナーです。鏡文とは、取引先に送る書類や公文書の内容を簡単に説明するため、一番上につける添え書きのこと。送付状やカバーレター、鏡と呼ばれる場合もあります。
この記事では、鏡文をつける理由や書き方を紹介。例文がついているので、初めて書く方も安心です。また、「鑑文」の表記が正しいかどうかも解説しています。鏡文の役割を知り、社会人としてのビジネスマナーを身につけましょう。
目次
鏡文とは
鏡文とは、公文書や取引先に送る書類につける添え書きのことです。本文を読まなくても文書の内容が分かるように、1枚の用紙に作成日や作成者、内容などをまとめます。
鏡文をつけ忘れたり内容を間違えて添付したりすると、相手に失礼になるうえトラブルを引き起こす可能性があります。鏡文はすべてのビジネス文書に必要なので、社会人は書けるようにしておきましょう。
鏡文のほかにもビジネスシーンでよく耳にする言葉の意味を知りたい方は、「日本語のビジネス用語を紹介!今さら聞けない言葉の意味も解説」をチェックしてみましょう。ご了承・ご理解・ご容赦の違いや、英語を取り入れたビジネス用語の解説も行っています。
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鏡文の例文と書き方
鏡文は、行政や各省庁が作成する文書に添えられています。また、起案書や仕様書、請求書といった取引先に送る書類にも添えるので、鏡文の書き方を知っておきましょう。
照会
照会書の鏡文の表題は「~~について(照会)」「~~について(伺い)」のように書きます。宛名と文書番号、作成日、作成者も明記しましょう。
表題の下には、照会を求める理由といつまでに回答が必要かを記載します。提出期限を設ける場合は、相手の都合を考慮して十分な時間を与えるのがマナーです。
続いて「記書き」という箇条書きで文章を目立たせる方法を使って、照会内容と回答方法を書きましょう。記書きは文書が1ページで終わる場合のみ使用できます。行の中央に「記」と記載したあと1行開け、箇条書きで文章を記載。また1行開け、右詰めで「以上」と書いて締めるのが正しい書き方です。
請求
請求書にも鏡文は必要です。「書類送付状」「請求書のご送付」などと表題を書いたあと、挨拶文を記載します。「拝啓」から書き始める場合は「敬具」で締めくくり、「前略」から始めるときは「草々」で終えるのがマナーです。宛名と作成日、作成者、連絡先などを記載したあと、記書きで請求書の内容を簡潔にまとめましょう。挨拶文の例は以下のとおりです。
「拝啓
貴社におかれましては、ますますご清栄のことと心よりお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。さて、早速ではございますが下記の書類をお送りいたします。ご査収のほどお願いいたします。
敬具」
「前略
失礼いたします。先日納品した商品の料金の振り込みが確認できていないため、改めて請求書をお送りいたします。入金期限が短いため早めの対応をお願い申し上げます。
草々」
協議
協議書の鏡文の表題は「~~について(協議)」「~~協議書」と分かりやすく記載します。宛名と文書番号、作成日、作成者を書いたら、表題の下に大まかな文書の説明を書きましょう。記書きで協議事項を記載したら鏡文の完成です。
報告書
報告書の鏡文の表題は「~~について(報告)」「~~顛末書」と記載するのがベターです。会社のフォーマットが別に用意されている場合はそちらに合わせましょう。宛名と文書番号、作成日、作成者を書いたあと記書きで報告内容を簡単にまとめたら、報告書の鏡文の完成です。法令や契約によって報告が義務づけられている内容をまとめている場合は、しっかり根拠も明記してください。
起案
起案書とは事業の決裁を認めてもらうために、決定すべき内容や理由をまとめた文書です。つまり、事業の決定案をまとめて稟議にかけるために起案書の作成が必要になります。起案書は事業に対して疑問が生じたときに、どのように決定が行われたかの証拠にもなるので、鏡文を用意する際は不備がないかしっかり確認しましょう。
表題は「~~について(起案)」「~~起案文書」というように書き、その下に記書きで文書の内容を簡潔にまとめます。起案書は書類の枚数も多いので、何通同封しているかも記書きに記しましょう。件名と文書番号、起案日、作成者のほか決裁区分の記載も必要です。
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鏡文と鑑文はどちらが正しい?
鏡文は「鑑文」と表記されることもあります。どちらも読みは同じく「かがみぶん」ですが、正しい漢字は「鏡文」のほうです。鏡という漢字には「行政省庁内で、宛先・標題・日付・作成者などを記した決裁書類のおもて紙」という意味があります。しかし、世間一般で鑑文の表記が使われているのも事実です。
鑑の漢字は「照らし合わせて真贋を見分ける」「手本」という意味があります。つまり、ビジネス文書を見る際に鑑みるという理由で「鑑文」の字が定着したようです。もともとは誤用だった「鑑文」の表記ですが、現在は「鏡文」と同じくらい使われているので、一概に間違いとはいえません。状況にあわせて臨機応変に使い分けると良いでしょう。
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まとめ
鏡文はビジネス文書を作成する際に必要な添え書きです。文書の内容を簡潔にまとめ、一目で何の書類か見分けられるようにしましょう。鏡文がきちんと書けないと、迷惑をかけたりトラブルを招いたりする可能性があります。例文を参考に作成して上司や先輩に不備がないかチェックしてもらうと安心です。