外国人留学生は、冬休みや夏休みなど学校が決めた長期休暇中は1日8時間、週40時間までアルバイトできます。ただし、掛け持ちしているアルバイトや残業に従事した時間も含めて、週40時間以内に収めなければいけません。このルールを破ると、外国人留学生は「不法就労」と判断されて、雇用主は「不法就労助長罪」に問われます。
このコラムでは、冬休み中に募集が多いアルバイトを紹介しているので、ぜひチェックしてください。
目次
- 外国人留学生がアルバイトする際は許可が必要
- 外国人留学生が冬休み中にアルバイトできる時間は?
- 外国人留学生が就労時間を守らずアルバイトしたら
- 外国人留学生の就労時間超過は発覚する?
- 外国人留学生がアルバイトする際に知っておくべきこと
- 冬休み中の外国人留学生におすすめのアルバイト
- まとめ
外国人留学生がアルバイトする際は許可が必要
日本でアルバイトをする際は、在留資格外の活動を認める「資格外活動許可」を取得しましょう。なぜなら、外国人留学生が取得している在留資格「留学」では、収入を得る活動は認められていないからです。そのため、アルバイトを始める前に、自分の居住地を管轄する地方出入国在留管理官署で「資格外活動許可」の申請を行う必要があります。
申請の処理には2週間〜2ヶ月程度掛かるため、アルバイトをする可能性がある場合は早めに手続きをしましょう。なお、成田国際空港や羽田空港など、その場で在留カードを受け取れる空港では入国審査時に「資格外活動許可」の申請が可能です。許可が下りると、在留カードの裏面に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載されます。
参照元 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」 出入国在留管理庁「資格外活動許可申請」 出入国在留管理庁「「在留カード」はどういうカード?」
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外国人留学生が冬休み中にアルバイトできる時間は?
外国人留学生は、冬休みや夏休みなどの長期休暇中は1日8時間、週40時間までのアルバイトが可能です。1日の就労時間を守る必要があるため、1回の勤務が10時間、週4日働くといったアルバイトの仕方は禁止されています。なお、一時的な連休や休講など、学校が定めた長期休暇以外の休みには1日8時間、週40時間のルールは適用されません。
外国人留学生の就労時間のルールは、アルバイトをし過ぎて学業に悪影響を及ぼさないためにあります。2つ以上のアルバイトや残業をする場合は、就労時間の合計を週40時間までに収めることが必要です。冬休み中であっても、許可された就労時間をオーバーしないように注意しましょう。
長期休暇中のアルバイトを検討している方には、「留学生のアルバイトは夏休み中「週40時間」まで可能!必要な許可も解説」や「外国人留学生は長期休みもアルバイトできる?時間制限がある理由も解説」のコラムの参考にしてみましょう。
参照元 出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」
外国人留学生が就労時間を守らずアルバイトしたら
外国人留学生が許可された就労時間以上にアルバイトしたら、本人と雇用主の両方が罰則を受けます。
外国人留学生は「資格外活動許可違反」と見なされる
外国人留学生が就労可能時間を超えてアルバイトした場合、「資格外活動許可違反」となり「不法就労」と見なされます。
「不法就労」になると、在留資格「留学」の更新や就労可能な在留資格への変更ができません。悪質なケースと判断されると、「退去強制」を命じられる場合も。「退去強制」処分を受けて出国した外国人は日本に5年間再入国できないため、留学を続けられなくなります。
雇用主は「不法就労助長罪」に科せられる
外国人留学生の「不法就労」が分かると、雇用主は「不法就労助長罪」に問われます。「不法就労助長罪」に問われると、3年以下の懲役または300円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる可能性も。不法就労は、外国人留学生本人と雇用主の両方に不利益をもたらします。アルバイトをしながら留学する際は、ルールをしっかり把握しておきましょう。
「外国人がアルバイトする際の時間や業種の制限とは?罰則や注意点も知ろう」や「外国人留学生のアルバイトには時間制限がある!上限を超えた場合の罰則とは」のコラムでも罰則について解説しています。
参照元 警視庁「外国人の適正雇用について」
外国人留学生の就労時間超過は発覚する?
留学生のアルバイト状況は地方出入国在留管理官署やハローワーク、市区町村役場などで共有しており、就労時間の超過は必ず発覚します。外国人留学生がアルバイトする場合、雇用主は就労時間をハローワークに届け出るのが義務です。地方出入国在留管理官署は、ハローワークに届け出られた情報から外国人留学生がアルバイトしている会社と就労時間を知ることができます。
また、市区町村役場が発行する「納税証明書」でも、外国人留学生のアルバイトの時間超過の判断が可能です。「納税証明書」には外国人留学生の給与が記されています。地方出入国在留管理官署は、時給に対して外国人留学生の給与額が高過ぎる場合、就労時間の超過を疑って調査を行うのです。そして、就労時間のオーバーが分かると不法就労と判断します。
外国人留学生がアルバイトする際に知っておくべきこと
外国人留学生がアルバイトする際は、就労時間や業種に関する知識は必須です。また、資格外活動許可の有効期限や休日・休憩は法律で決まっていることも覚えておきましょう。
アルバイトできるのは基本的に週28時間まで
冬休みや夏休みなどの学校が定める長期休暇中を除いて、アルバイトできるのは週28時間までです。外国人留学生は、どの曜日から数えても週28時間までになるようにシフトの希望を出す必要があります。
アルバイトの掛け持ちをしている場合は、就労時間の合計が28時間以内に収まるようにしなくてはいけません。仕事が終わらず終業時間後に働く場合は、残業時間も含めて週28時間以内になるように調整しましょう。
なお、就労時間に関するルールは、大学・大学院・短大・専門学校・日本語学校などの留学先に関わらず共通です。
風俗営業店ではアルバイトできない
外国人留学生は、風営法が定める風俗営業店ではアルバイトできません。風俗営業店には、キャバクラやスナック、ホストクラブなど、接客を伴う飲食店が含まれます。ゲームセンターや麻雀店、パチンコ店も風俗営業店に該当する店舗です。
外国人留学生は、風俗営業を行っている会社での清掃や皿洗い、チラシ配りなどのアルバイトも禁止されています。アルバイトする際は、応募先の業種をよく確かめましょう。
資格外活動許可の有効期限は在留資格と同じ
「資格外活動許可」の有効期限は、在留資格「留学」の在留期間満了日と同一です。在留期間が終わる状況で留学とアルバイトを継続したい場合は、在留資格と「資格外活動許可」を更新しなければいけません。「資格外活動許可」は、「在留期間更新許可申請」をしても自動で更新されないので注意が必要です。
なお、外国人留学生は、「資格外活動許可」の有効期限内であっても学校卒業後はアルバイトできません。なぜなら、「資格外活動許可」は在留資格が認める活動をしながら、アルバイトすることを認めるものだからです。学校卒業後は「留学」という在留資格の大本の活動をしなくなるため、「資格外活動許可」があってもアルバイトができなくなります。
休日や休憩時間は法律で決まっている
労働基準法により、外国人留学生は日本人と同様に休日や休憩を取るように決められています。休日は少なくとも週1日、または4週間に4日以上取るのが法律上の決まりです。たとえば、冬休み中に毎日5時間ずつ7日間続けてのアルバイトはできません。
休憩は1日6時間より多く働く場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上と法律で決められています。アルバイトを短時間で終わらせたいからといって、休憩を取らないのは法律違反です。
参照元 警視庁「風俗営業等業種一覧」 e-GOV法令検索「労働基準法」
冬休み中の外国人留学生におすすめのアルバイト
大学や短大などの学校が冬休みになる12月は、リゾートバイトやクリスマス関連のアルバイト、郵便局でのアルバイトの募集が増えます。いずれも短期間の募集なので、冬休み中だけアルバイトしたい外国人留学生におすすめです。
リゾートバイト
リゾートバイトとは、ビーチや温泉、スキー場などの観光地に住み込みで働くアルバイトのことです。冬休み期間に当たる12月〜1月初旬は、温泉やスキー場でのアルバイトの募集が増加します。温泉旅館での仕事内容は、調理補助や料理の提供、清掃などです。スキー場での仕事内容には、スキー板の貸し出しやリフト券の販売・確認などがあります。
家賃や食費などを負担してくれるアルバイト先が多いため、お金が貯まりやすいのもおすすめできる理由です。
クリスマス関連のアルバイト
12月には、クリスマスのイベントやプレゼント関連のアルバイトが募集されます。具体的な例は以下のとおりです。
- クリスマスケーキの製造
- クリスマスケーキの販売
- プレゼントのラッピング・販売
- クリスマスのイベントスタッフ
クリスマス関連のアルバイトでは、だいたい12月初旬からクリスマス当日まで働きます。学校が冬休みに入っていない時期も含まれるので、シフトを入れ過ぎないように注意しましょう。
郵便局でのアルバイト
12月~1月初旬にかけて、郵便局では年賀状の仕分けのアルバイトが募集されます。機械が受取人ごとに仕分けた年賀状を、配達する順番に並べるのが仕事です。また、機械で住所が読み取れない場合は、人が送り先を確認します。そのため、複雑な漢字が読めるネイティブレベルの日本語が必要です。室内での作業のため、肉体的な負担が少ないアルバイトといえます。
まとめ
外国人留学生は、冬休みや夏休みなどの長期休暇中のみ1日8時間、週40時間までのアルバイトが可能です。ただし、許可された就労時間を超えてアルバイトすると、不法就労と見なされます。不法就労と判断されると、外国人留学生本人だけでなく雇用主も罰せられるので注意が必要です。アルバイトをする際は、事前にルールを把握してから働き始めましょう。