外国人留学生が就職するために必要なことを知っていますか?母国を離れての就職には不安が伴いますが、日本で働く動機や、グローバル人材としての強みが明確にできれば、就職活動を乗り越えられるはずです。
コラムでは日本の就職活動のスケジュールや対策をご紹介するので、就職を考えている方は参考にしてください!
目次
外国人留学生が就職するために必要なこと
外国人留学生が日本で就職するには、その心構えがあるのかを考えてみる必要があります。
社会人になると学生の時にはなかった大変さを感じ、母国に帰りたいと思う場面もあるでしょう。外国人留学生の就活は日本人の学生以上に大変だと予想されますし、企業は留学生に対して外国人ならではの強みを求めてきます。「横並び」や「年功序列」といった独特の風土がある日本企業で、うまくやっていくことができるでしょうか。
日本での就活を始める前に、次の点を自分に問いかけ、本当に日本で就職するのかを決定してください。
- どうして日本で働きたいのか
- 日本で働いた経験は将来役に立つのか
- 大変なことがあっても頑張れるのか
- 日本の文化の中でやっていけるのか
- 外国人ならではの強みを活かせるのか
日本で働くのに必要な日本語力は?
日本で働くには、最低限の日本語力が必要です。採用時点で一定の日本語力を求める企業は多く、特に海外に事業展開する企業では「現地の言葉+日本語」ができると高く評価されます。
日本では書類選考を経た後で面接選考に入りますが、会話に自信があっても書類選考でアピールすることはできません。そこで、日本語力を証明するためには、日本語能力試験(JLP:Japanese Language Proficiency Test)を受験するのがおすすめ。日本語能力試験には、難易度が低い方からN5、N4、N3、N2、N1があり、書類選考の時点でN2、N1レベルを基準とする企業もあるようです。
「日本で就職するために必要なこととは?外国人留学生に向けて紹介」では、外国人留学生が日本で就職するために必要なことや、日本企業で働くメリットを解説。在留資格の変更についてもまとめているので、参考にして必要な手続きを行いましょう。
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日本での就職活動の流れ
日本では在学中に就職活動を行い、卒業後すぐに働き始めるのが一般的です。就活スケジュールを知らないと出遅れるので、どの時期に何をすれば良いのか把握しておきましょう。なお、ご紹介する就活スケジュールは2019年時点のものです。
大学3年生の6~2月:サマーインターンシップ
多くの企業で、春・夏・冬休み中にインターンシップを開催します。日本のインターンは選考過程に組み込まれていないことが多いですが、業界や企業の情報を集めるためにもぜひ参加しましょう。開催時期の1~2ヶ月前を目安に募集受付が始まります。
大学3年生の3月:エントリー開始
企業エントリーが始まり、本格的な就職活動がスタートします。エントリーをすると選考情報が受け取れるようになるので、興味のある企業には必ずエントリーを行いましょう。
大学3年生の3月~大学4年生の5月:会社説明会、応募書類の提出
エントリーした企業から届く案内に従い、会社説明会に参加します。会社説明会では企業の詳しい事業内容や業務内容などについて説明されます。説明会でエントリーシートを配布されることもあるので、都合がつく限りは参加しましょう。
新卒が記入する応募書類の種類は、履歴書とエントリーシートの2つです。どちらの提出が必要かは企業によって異なるので、締め切りと合わせて確認してください。
大学4年生の6月:面接選考が開始
6月から面接選考が開始され、内定をとる学生が出始めます。日本の面接選考の回数は平均2~3回程度。選考の初期段階では、集団面接やグループディスカッションといった形式がとられることもあります。
大学4年生の10月:内定式
多くの企業では、10月1日に内定した学生を集めて内定式を行います。10月を過ぎると新卒募集を行う企業は減りますが、まだ秋・冬採用を行う企業は存在します。内定がなくても諦めず、就職活動を続けましょう。1人での就職活動が厳しいと感じたら、大学のキャリアセンター(就職課)やハローワーク、民間の就職エージェントに相談してみても良いでしょう。
日本での就職をお考えの方は「外国人留学生必見!日本の就職活動の流れや必要な準備について解説」のコラムも、ぜひチェックしてみてください。
就活を成功させるための準備
就活を成功させるためには、エントリー開始前にある程度の準備を整えておくことが鍵となります。
エントリー時期に志望先が絞れていないと、どの企業にエントリーして良いのか分からず効率的に動けません。そのため大学3年生の3月までには志望する業界や企業をある程度決定し、就活が始まったらすぐに動き出せるようにしましょう。
志望先を決めるには、業界・企業研究をすることが大切です。まずは視野を狭めないために幅広く業界を調べ、その中から興味を持った業界について詳しく調べていきましょう。業界や企業に関する情報は、「業界地図」といった書籍や新聞、インターンシップ、OB訪問などで得られます。
そして業界・企業研究と同時に進めたいもう1つの作業が、自己分析です。自己分析とは、過去の経験を振り返ることで、自分の強みや弱み、大切にしている価値観を洗い出す作業のこと。自分についての理解が深まると仕事の向き・不向きが見えてきますし、働く上で重視する条件が何かが分かります。
応募書類・面接の対策をしよう
選考が始まったら、応募書類や面接の対策をします。
履歴書・エントリーシートの書き方
応募書類は丁寧な字で記入し、読み手が見やすい書面に仕上げましょう。押印欄があれば必ずはんこを押し、住所は略さず都道府県名から書き出します。
アルバイトは職歴に含まれないので、アピールしたい場合は職歴欄ではなく自己PRに記載するのが良いでしょう。資格欄には資格を正式名称で書き、どんなスキルがあるかを伝えます。
自己PRでは根拠となるエピソードを取り上げ、主張に説得力を持たせます。自己PRの材料はアルバイト経験やサークル活動など何でも構いませんが、その活動に取り組もうと思った動機や、そこで生じた課題、課題を乗り越えた方法などを具体的に書きましょう。具体的なエピソードを盛り込むことで、あなたの人柄が伝わります。
志望動機は同業他社でも言える内容ではなく、応募企業だからこその理由を意識しましょう。応募企業の特徴を取り上げた上で、なぜ入社したいのか、自分のどんな力を活かせるのかを説明します。
面接で気をつけること
面接では質問への回答内容はもちろん、身だしなみや言葉遣いといったマナーの部分も見られています。入室したら笑顔で挨拶し、はきはきと話しましょう。外国人留学生にはグローバル人材としての強みが期待されるので、自分の持ち味が伝わるように回答するのがポイントです。
〈面接でよくある質問の例〉
- どうして日本に留学したのですか
- どうして日本で就職したいのですか
- 学生時代に頑張ったことは何ですか
- あなたの強みを教えてください
- どうして当社を志望したのですか
- 将来の目標は何ですか
事前に想定される質問の回答を用意しておくと、本番で自分の意見を伝えやすくなります。
在留資格の変更方法
内定をとった後は、在留資格を「留学」から就労可能な資格へ変更する必要があります。申請から許可までは2週間~1ヶ月かかるので、早め早めに準備しましょう。提出書類の中には、会社に用意してもらう書類もあります。
例年、在留資格の変更は卒業年の1月から受け付けています(東京出入国在留管理局、大阪出入国在留管理局は12月)。必要書類を揃えたら、原則として本人が住居を管轄する地方出入国在留管理官署に出向いて手続きを行いましょう。
提出する書類
- 申請書(法務省のWebサイトでダウンロード可能)
- 写真
- 日本での活動内容に応じた資料
- 在留カード(在留カードとみなされる外国人登録証明書を含む)
- 資格外活動許可書(同許可書の交付を受けている人のみ)
- 旅券または在留資格証明書
「日本での活動内容に応じた資料」については、就職先によって提出する書類が異なります。法務省のWebサイトで必要な提出資料を案内しているので、詳しくはそちらをご確認ください(※)。
※参照元:法務省 - 日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請】
「留学ビザ」から「就労ビザ」へ変更する際の審査基準や提出書類については、「日本で就職する外国人留学生は留学ビザから就労ビザへ!必要書類を紹介」でも詳しく解説しています。就労ビザの種類もまとめているので、参考にして必要な手続きを行いましょう。