外国人は派遣でも就労ビザを取得できる!日本のさまざまな雇用形態を知ろう

WeXpats
2024/04/18

「いろいろな仕事を経験できる」「時給が高い」など、さまざまな理由から派遣で働くことを選択する人もいるでしょう。派遣雇用でも、定められている条件を満たせば就労ビザを取得できます。

この記事では、派遣雇用で就労ビザを得る際にチェックされるポイントや注意点を解説。また、日本のさまざまな働き方もまとめています。内容を参考にして、自分に合った働き方を見つけましょう。

目次

  1. 外国人は派遣雇用でも就労ビザを取得できる!
  2. 派遣雇用の3年・5年ルールについて
  3. 日本の雇用形態の種類
  4. 外国人が派遣雇用で就労ビザを得る際の審査基準
  5. 外国人が派遣社員として就労ビザを申請する方法
  6. 外国人派遣社員が就労ビザで働き続けるには
  7. まとめ
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外国人は派遣雇用でも就労ビザを取得できる!

外国人は、派遣雇用であっても条件を満たしていれば就労ビザを取得できます。就労ビザの取得条件に雇用形態は含まれていません。出入国在留管理庁の審査で重視されるのは、勤務先で行う業務の内容です。希望するビザと行う業務内容が合っており、審査要件を満たしていれば派遣社員でも就労ビザを得られます。ただし、仕事の「安定性・継続性」も重要となるため、派遣契約期間が極端に短い場合、正社員と比べるとビザ取得の難易度は上がるでしょう。

派遣契約の形態も、外国人の就労ビザの審査に関係します。派遣契約の主な形態は、「登録型派遣」「常用型派遣」「紹介予定派遣」の3種類です。人材派遣会社と雇用契約を結ぶのはどれも同じですが、登録型派遣は派遣先での業務終了と同時に雇用契約も終了します。一方、常用型派遣は派遣先で就業する期間が終わっても、人材派遣会社との雇用契約は続く形態です。紹介予定派遣は、後々派遣先の企業に直接雇用されることを前提にした派遣を指します。登録型派遣と比べると、常用型派遣や紹介予定派遣のほうが安定した雇用が見込めるため、就労ビザを取得しやすいといえるでしょう。

日本企業に就職した際に渡される「雇用契約書」について詳しく知りたい方は、「雇用契約書で何を確認すべき?確認項目を日本で転職したい外国人に解説」の記事を参考にしてください。

派遣雇用の3年・5年ルールについて

派遣雇用で働こうと考えている方は、3年ルールと5年ルールについて知っておきましょう。3年ルールとは、派遣社員が同じ事業所で働ける期間の上限を定める制度です。一方、5年ルールは有期労働契約を結んでいる労働者の無期転換に関するルールの俗称を指します。

派遣雇用の3年ルールとは

派遣雇用の3年ルールとは、派遣会社と有期雇用を結んでいる労働者が同じ事業所で働ける期間を、3年までとする決まりのことです。このルールは、正社員として雇用される人が減るのを防ぐために作られました。同じ場所で働き続けるためには、「派遣先から無期雇用される」「派遣元に直接雇用される」「部署移動する」のいずれかが必要です。

なお、労働者の年齢が60歳以上の場合や期限のあるプロジェクトに従事している際は、対象外となります。

派遣雇用の5年ルールとは

5年ルールとは、有期雇用の無期転換ルールを指す俗称です。期限付きの労働契約が5年を超えた労働者は、企業に対して無期雇用への転換を申し込めます。この制度は企業からの打診ではなく、労働者からの申し出が必要なので覚えておきましょう。派遣形態の場合は、派遣会社との契約期間が通算5年を超えた際に無期転換を申し込めます。

参照元
厚生労働省「無期転換ルールについて

日本の雇用形態の種類

派遣社員として仕事を探す前に、日本の雇用形態について知っておきましょう。自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶ際の参考にしてください。

正社員雇用

正社員とは、企業に直接雇用されており雇用契約の期間に制限のない労働者を指します。労働時間が全時間帯(フルタイム)であることも、正社員の条件の一つです。ただし、近年では勤務時間や勤務地、職務を限定した「限定正社員」という働き方も広まってきました。

正社員雇用には、雇用や収入が安定しているうえ昇進や昇給が見込めるメリットがあります。また、社会的信用度も高く福利厚生が充実しているので、多くの人が目指す雇用形態です。一方、仕事の責任が重く勤務時間も長くなりがちなので、負担を感じやすいという人も。そのため、あえて正社員にならない働き方を選ぶ人も増えています。

正社員雇用は、長期雇用や安定した収入がある程度保証されるため、ほかの雇用形態よりも就労ビザの許可が得やすいといえます。就労ビザを確実に取得し、なおかつ長い在留期間を得たい外国人は、正社員として働くことを目指しましょう。

契約社員雇用

契約社員とは、期間を定めて企業と直接雇用を結ぶ労働者を指します。契約期間が満了しても、企業により更新されれば継続して働くことが可能です。一方、契約更新がなされなければ、同じ職場で働き続けることはできません。このように、契約更新のタイミングで仕事を失う可能性があり、雇用が不安定な部分があります。しかし、「転職がしやすくさまざまな仕事を体験できる」「仕事の責任が重くなりにくい」などのメリットもある働き方です。

派遣社員雇用

先述したとおり、派遣社員は派遣会社と雇用契約を結ぶ雇用形態です。働き方が自由だったりさまざまな仕事を選べたりするメリットがあります。また、時給が高く設定されるのも良い点といえるでしょう。

アルバイト雇用

パートとアルバイトは、どちらも正社員と比べて1週間の勤務時間が少ない時給制の労働者とされています。ただし、正社員と同じフルタイムで働いていても、給与が時給制の場合はアルバイト(フルタイムアルバイト)と呼ぶのが一般的です。
法律上はパートもアルバイトも「パートタイム労働者」の区分ですが、日本では学生や若者をアルバイト、主婦や主夫などをパートと呼んでいます。

パート・アルバイト雇用は安定性や継続性が見込めるとはいえないため、就労ビザを取得することは基本的にできません。日本でアルバイト・パートをしている外国人は、「留学」「家族滞在」などほかのビザを得たうえで資格外活動許可を得ているか、「永住者」「日本人の配偶者等」など身分に基づくビザを持っている人です。

業務委託

業務委託は、労働者が企業と雇用契約ではなく業務委託契約を結びます。労働者は個人事業主となり、行った仕事に対して報酬が支払われる仕組みです。自由な働き方を選択できるものの、収入が不安定になりやすい側面もあります。
業務委託の形態で報酬を得る外国人も、条件を満たせば就労ビザを取得できます。ただし、審査時に業務委託契約で得る仕事が安定しており、先々も継続して報酬を得られることを証明しなくてはなりません。

日本の給与明細の記載内容について詳しく知りたい方は、「給与明細(payslip)を英語にすると?正しく内容を読み取ろう」の記事を参考にしてください。

外国人が派遣雇用で就労ビザを得る際の審査基準

就労ビザの審査で特に重要視されるのは以下の点です。派遣雇用で働く外国人の就労ビザ取得は、正社員よりも難易度が高くなります。申請する前に、条件を満たせているかよく確認しましょう。

就労ビザの取得要件に合った学歴や経験があるか

一部を除き、ほとんどの就労ビザは専門的な知識や技能がなければ取得できません。審査の際は、各就労ビザごとに定められた学歴や経験を証明する書類を提出します。派遣や正社員などの雇用形態に限らず、自分は就労ビザ取得に必要な学歴や経験があるかを確認してから、就く仕事や働く企業を決めましょう。

派遣先で行う業務と就労ビザの種類が合っているか

就労ビザの審査では、「該当性」がチェックされます。行う業務が希望する就労ビザと合っていなければ、申請は却下されるでしょう。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」のビザを希望しているのにも関わらず、実際に行う業務が料理人や職人などの技術職の場合は許可は下りません。派遣形態で働く場合は、希望するビザと派遣先で行う業務が一致しているかよく確認しましょう。

派遣元に違法性がないか

就労ビザの審査では、雇用契約を結ぶ派遣元(人材派遣会社)に違法性がないかも見られます。人材を企業に派遣する労働者派遣事業を行うには、都道府県労働局の許可が必要です。無許可で派遣事業を行った場合、派遣元はもちろん、人材を受け入れた派遣先も労働派遣法違反で罰せられます。そのような違法な派遣元と雇用契約を結んでも、就労ビザの許可は得られないでしょう。派遣元の労働者派遣事業許可の有無は、派遣契約書で確認可能です。「派▲▲ー▲▲▲▲▲▲」といった許可番号の明記があれば、違法性のない派遣元と判断できます。

派遣元企業の経営状況に問題がないか

雇用契約を結ぶ派遣元の経営状況も、就労ビザの取得条件に含まれます。具体的に審査されるのは、企業の実績や売上などです。企業の経営状況が良くないと、就労ビザが不許可となる場合があります。企業の規模によっては、安定性や継続性を証明するための書類を複数用意しなければなりません。そのため、就職する企業には時間に余裕を持って書類発行を頼みましょう。

日本人と同等以上の報酬が約束されているか

多くの就労ビザの取得条件には「外国人が同じ仕事をする日本人と同等以上の報酬が受け取れるか」との項目があります。これは、不当に低い報酬で働く外国人をなくすために設けられた条件です。派遣形態の場合は、同じ派遣先で同等の業務に従事する日本人が基準になります。

外国人が派遣社員として就労ビザを申請する方法

ここでは、外国人が派遣社員として就労ビザを申請する方法を紹介します。

必要書類

就労ビザの種類や働く企業の属するカテゴリーによって、必要な書類は異なるので注意しましょう。ここでは、カテゴリー3(いわゆる中小企業)に属する企業で働く外国人が、「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザを申請する際を例に、必要書類を解説します。

在留資格変更許可申請

在留資格変更許可申請書は、すでにほかのビザで日本に在留している外国人が行う手続きです。

【必要書類】

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真
  • パスポートおよび在留カード(提示)
  • 企業のカテゴリーを証明する文章(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表や四季報の写しなど)
  • 専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(専門学校卒業の場合)
  • 申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣雇用の場合)
  • 申請人の活動の内容を明らかにする資料(労働条件通知書や労働契約書など)
  • 申請人の学歴および職歴、経歴などを証明する文書(卒業証明書や関連した業務に従事した証明になる在職証明書など)
  • 登記事項証明書
  • 事業内容を明らかにする資料(企業の案内書など)
  • 直近の年度の決算文書の写し、新規事業の場合は事業計画書

派遣雇用の場合は、「申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料」が必要なので、忘れずに依頼しましょう。

在留資格認定証明書交付申請

在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人が就労ビザを取得する際の手続きです。

【必要書類】

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 写真
  • 返信用封筒
  • 企業のカテゴリーを証明する文章(前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表や四季報の写しなど)
  • 専門士または高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書(専門学校卒業の場合)
  • 申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(派遣雇用の場合)
  • 申請人の活動の内容を明らかにする資料(労働条件通知書や労働契約書など)
  • 申請人の学歴および職歴、経歴などを証明する文書(卒業証明書や関連した業務に従事した証明になる在職証明書など)
  • 登記事項証明書
  • 事業内容を明らかにする資料(企業の案内書など)
  • 直近の年度の決算文書の写し、新規事業の場合は事業計画書

実際の手続きは派遣企業が行うので、必要な書類を用意してすぐ送るようにしましょう。

申請方法

すでに日本にいる外国人が就労ビザを取得する場合は、住居地を管轄する出入国在留管理官署で自ら手続きを行います。派遣元企業と連携を取りながら、不備のないよう申請を行いましょう。

海外にいる外国人が就労ビザを取得する際は、派遣元企業が代理で手続きを行うのが一般的です。審査が通り在留資格認定証明書が交付されたら、企業から原本が送られてきます。送られてきた在留資格認定証明書と必要書類を用いて、在外公館で日本への入国査証の発給手続きを行いましょう。

参照元
出入国在留管理庁「在留資格「技術・人文知識・国際業務

外国人派遣社員が就労ビザで働き続けるには

就労ビザを得て派遣形態で働く外国人は、派遣先が変わった際に在留資格外の業務が含まれていないかをよく確認しましょう。また、地方出入国在留管理官署に就業先変更の届出を出すのも忘れてはいけません。

就労ビザの更新を余裕を持って行う

就労ビザを失効させないよう、余裕を持って更新の手続きを行いましょう。在留期間更新許可申請は、期限の3ヶ月前から可能です。在留期限の満了日までに申請を行っても、審査中は特例期間になるため問題はありません。しかし、万が一満了日までに申請をしなかった場合は就労ビザが取り消され、不法滞在になってしまいます。そのような事態を防ぐために、3ヶ月前になった時点で余裕を持って更新手続きを行いましょう。

派遣元が変わったら入管で手続きをする

外国人は就業する場所が変わったら、住居地を管轄する地方出入国在留管理官局に届け出なければなりません。派遣形態で働く外国人の場合は、派遣先が変わるたびに届出が必要です。この届出を怠るとビザの更新や変更に悪影響がでる可能性があります。申請の名称は「所属機関(活動)機関に関する届出です。なお、有しているビザの種類によっては届出が不要な場合もあるので、一度確認してみることをおすすめします。
所属(活動)機関に関する届出は地方出入国在留管理官局の窓口のほか、郵送やオンラインでも可能です。

就労ビザの範囲外の業務は行わない

就労ビザを得て働く外国人は、定められている範囲外の仕事をしてはいけません。就労ビザにはそれぞれ許可されている活動があり、その範囲外の業務を行うと不法就労で罰せられます。たとえば、医療ビザのもと看護師として働く外国人が、転職して語学教室で母国語を教える仕事を行うことは許可されていません。民間の語学教室の教師として母国語を教えるのであれば、「技術・人文知識・国際業務」のビザが必要です。派遣形態で働く外国人は職場が定期的に変わるので、次の派遣先で行う業務が自分の持つビザで許可されているのか、よく確認してからにしましょう。

まとめ

派遣形態で働く外国人も、条件を満たせば就労ビザを取得できます。ただし、派遣契約を結ぶ期間が極端に短いと審査が厳しくなる可能性もあるでしょう。そのため、派遣会社と1年以上の雇用契約を結んでから、就労ビザの申請を行うのが賢明です。

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