日本の伝統工芸とは?伝統工芸品15選も紹介

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2024/09/30

日本の伝統工芸品は、人形や陶磁器、金工品、木工品などの種類があります。アクセサリーやお弁当箱のように日常生活で使えるものや、使っていくうちに色合いが変わる経年変化を楽しめるものなどさまざまです。

この記事では、伝統工芸の特徴や伝統的工芸品について詳しく解説します。伝統工芸品の持ち味や製造場所などを種類ごとに紹介しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

目次

  1. 日本の伝統工芸とは
  2. 日本の伝統工芸品【染色品】
  3. 日本の伝統工芸品【陶磁器】
  4. 日本の伝統工芸品【木工品・竹工品】
  5. 日本の伝統工芸品【金工品】
  6. 日本の伝統工芸品【人形・こけし】
  7. 日本の伝統工芸品【扇子・楽器】
  8. まとめ

日本の伝統工芸とは

日本の伝統工芸とはの画像

伝統工芸とは、長年受け継がれる技術が使われた工芸のことです。

日本の伝統工芸には大きく4つの特徴があります。

1つ目は、日常生活で使われるものであること。たとえば、陶磁器やガラス製品などは人々の生活で多く使われています。また、着物や足袋などは古くから親しまれる日本の伝統衣装です。そのほか、雛人形や羽子板は日本の季節行事と深い関わりがあり、日本の暮らしを豊かに彩っています。

2つ目は主な工程が手作業で行われていることです。なお、工芸品本来の持ち味を損なわない範囲で、機械が補助的に用いられることも。たとえば、江戸切子(えどきりこ)というガラス工芸では、模様をカットする工程でダイヤモンドホイールという円盤状の切削工具が使われています。また、陶磁器作りで用いられているのはろくろという回転台です。

3つ目は、受け継がれてきた長い歴史があること。4つ目は高い技術が必要なことです。

「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づき、経済産業大臣に指定された工芸品を「伝統的工芸品」と呼びます。その数は2024年8月時点で241品目です。

指定を受けるには「主に日常生活で使われる」「主に手作業で作られる」「伝統的な技術により作られる」「伝統的に使われてきた原材料が主に用いられる」「一定の地域で少なくない人数の者が製造を行っていること」の5つの条件を満たしている必要があります。

参照元
経済産業省「伝統的工芸品

日本の伝統工芸品【染色品】

日本の伝統工芸品【染色品】の画像

染物にはさまざまな種類があり、その表現方法は多様です。たとえば、布の上に筆で多彩な色付けをする染色方法もあれば、型紙を使用する手段も。また、布の一部をくくることで、部分的に染色されないようにして模様を作り出す「絞り染め」という技法もあります。

ここでは「東京染小紋(とうきょうそめこもん)」「加賀友禅(かがゆうぜん)」「京鹿の子絞(きょうかのこしぼり)」といった伝統工芸品を紹介するので、ぜひご覧ください。

東京染小紋

東京染小紋は、主に東京で製造されている染色品です。小紋とは、小さい柄が全体的に入っている染め物を意味します。武士の正装の柄として使われ、その後町人にも親しまれました。

東京染小紋は細かい小紋柄のため、遠目には無地に見えます。1枚の型紙をつないで染めていくため、数mmの細かな模様をずらさずに染める高度な技術が必要です。着物だけでなく、ネクタイやストールなどにも活用されています。

加賀友禅

加賀友禅は、石川県金沢市で主に製造されています。江戸時代の扇絵師「宮崎友禅斎」によって発明された、職人の手によって一つひとつ描かれる友禅染めの一種です。四季の草花や自然の美しい景色などが描かれています。加賀五彩と言われる藍、臙脂(えんじ)、黄土、草、古代紫を基調とした美しい彩りが特徴です。

京鹿の子絞

京鹿の子絞は、京都府で主に製造されています。布を糸などでくくり、白く残るようにした部分に模様が表れる絞り染めです。染められた模様が、鹿の背のまだらに似ていることから鹿の子絞りと呼ばれています。糸でくくられる粒の細かさや、立体的な模様が特徴です。

絞り染めには「疋田絞(ひったしぼり)」「一目絞(ひとめしぼり)」などの50種類以上の技法が用いられ、1種類ごとに特化した職人が一つひとつ模様を作ります。そして、多色染色や乾燥などを行い、京鹿の子絞は完成するのです。

日本の伝統工芸品を一覧で紹介!有名な漆器や海外でも人気の和紙を知りたい」では、和紙や織物についても紹介しています。「京友禅(きょうゆうぜん)」や「琉球(りゅうきゅう)びんがた」といった染色品についても解説しているので、興味がある方はぜひご覧ください。

日本の伝統工芸品【陶磁器】

日本の伝統工芸品【陶磁器】の画像

陶磁器は焼き物と呼ばれ、材料や加熱方法などによって地域ごとに異なる特色があります。

主に陶器と磁器の2種類に分けられ、陶器に使われるのは陶土とよばれる粘土です。器の生地は厚く、ザラザラした感触があります。また、磁器は、陶石を細かく砕いた石粉が用いられ、生地は薄くて硬く、ツルツルしているのが特徴です。

「日本三大陶磁器」と呼ばれる産地「伊万里(いまり)」「有田(ありた)」「美濃(みの)」をはじめ、それぞれ地域の名前がつく焼き物が多くあります。

伊万里・有田焼

伊万里・有田焼(いまり・ありたやき)は、主に佐賀県の伊万里市、武雄市(たけおし)、嬉野市(うれしのし)、西松浦郡有田町などで製造されています。1616年に、朝鮮から連れられた李参平(りさんぺい)が有田町で白磁鉱を発見し、日本最初の磁器が焼かれました。

伊万里・有田焼は、白い磁器に青色で絵をつけた染付(そめつけ)や、絵柄を施した色鮮やかなものなど、表現がさまざまです。大きく分けて「古伊万里(こいまり)」「柿右衛門(かきえもん)」「鍋島(なべしま)」の三様式があり、耐久性と使いやすさがあります。

美濃焼

美濃焼(みのやき)は、主に岐阜県で作られています。朝鮮半島から、須恵器(すえき)が伝えられたことから始まりました。さまざまな種類があり、伝統的工芸品に指定されているのは15品目です。

不透明な乳白色の器に酸化鉄を含む絵具で文様が描かれた「志野(しの)」や、変形した器や文様の色合いが多彩な「織部(おりべ)」、黄褐色で美しく整った「黄瀬戸(きぜと)」などがあります。

備前焼

備前焼(びぜんやき)は岡山県で主に製造されています。平安時代にはすでに作られており、1000年の歴史を持つとして有名です。

窯の状態や土の性質で模様が生まれるため、一つも同じデザインにならない魅力があります。素朴であたたかみがある焼き物で、表面に薬品を塗らず絵付けもしないシンプルさも特徴です。

日本の伝統工芸品【木工品・竹工品】

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木工品や竹工品は、杉や竹などを加工して作られる伝統工芸品です。木工の伝統技術には、薄い木材を曲げて繋ぐ「曲物(まげもの)」や釘を使わずに板を組み合わせる「指物(さしもの)」などがあります。また、木材を回転させて削りながら作る「挽物(ひきもの)」という技法も。竹工の技術には、竹を編み込むものが多数です。

大館曲げわっぱ

大館曲げわっぱ(おおだてまげわっぱ)は、秋田県大館市が主な製造地域です。天然の秋田杉を薄く剥ぎ、熱湯につけて柔らかくしたあと、コロという道具を使い曲げて作ります。

大館曲げわっぱが使われている品物はお弁当箱やおひつなどです。木がお米の余分な水分を吸い取り、逆に乾燥を防いでくれるので、ご飯を美味しく保つことができます。

箱根寄木細工

箱根寄木細工(はこねよせぎざいく)は、神奈川県小田原市や足柄下郡箱根町が主な製造地域です。色の違うさまざまな種類の木を寄せ集めて幾何学文様を表現しており、箱や小だんす、筆記具、アクセサリーなど幅広い製品に使われています。木を切り出す角度や、寸法の正確さなど高い技術が必要な伝統工芸品です。

勝山竹細工

勝山竹細工(かつやまたけざいく)は主に岡山県真庭市で作られる竹工品です。真竹を原材料として、皮むきなどを行なわず素材の良さを活かしています。時が経過すると飴色に変わっていき、深い味わいが生まれるのが特徴です。「そうけ」という「ざる」や、手提げかご、花器などの製品があります。

日本の伝統工芸品【金工品】

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金工品づくりは弥生時代に始まり、稲作の道具や装飾品、祭事の道具などが作られるようになりました。基本的な製造方法が開発されたのは奈良時代です。

銅や銀などの金工品には、使うにつれて色合いが変化する魅力があります。

南部鉄器

南部鉄器(なんぶてっき)は、岩手県の盛岡市と奥州市水沢で作られています。とても丈夫で、正しく手入れをすれば長く使えるのが特徴です。また、鉄器を調理に使うと鉄の成分が溶け出して、鉄分が補給でき健康に良いとされています。さらに、熱伝導率が良いため加熱から沸騰までが早く、保温性も優れているので料理をじっくり温めることが可能です。

南部鉄器は黒い鉄瓶のほか風鈴やアクセサリーなども作られています。近年では、カラフルな急須も人気です。

高岡銅器

高岡銅器(たかおかどうき)は、主に富山県高岡市で作られています。品物は花器や文鎮、置時計、仏像など種類が豊富です。鋳造後に彫金や象嵌(ぞうがん)、着色などの加工を施します。時が経つと深みが生まれ、経年変化を楽しめることも魅力の一つです。

日本の伝統工芸品【人形・こけし】

日本の伝統工芸品【人形・こけし】の画像

こけしは木製の人形で、頭は丸く胴は円筒状です。江戸時代から続いている「伝統こけし」のほか、新型こけしや創作こけしなどがあります。

ここでは、人形やこけしの伝統工芸品を紹介するので、ぜひご覧ください。

宮城伝統こけし

宮城伝統こけしは、主に宮城県で製造される伝統工芸品です。技術を受け継ぐ職人によってすべて手作業で作られています。代表的なのは「鳴子系(なるこけい)こけし」「弥治郎系(やじろうけい)こけし」「遠刈田系(とおがったけい)こけし」「作並系(さくなみけい)こけし」です。

鳴子系こけしはこけしの発祥の地の一つ、鳴子で作られます。弥治郎系こけしはカラフルさが印象的で、遠刈田系こけしは赤い髪飾りと華やかさが特徴です。作並系こけしは、細い胴に「かに菊」と呼ばれる絵柄が施されています。

一つひとつが手作りだからこそ、それぞれ違った表情を見せてくれるのがこけしの魅力です。

京人形

京人形は、主に京都府で作られている伝統工芸品です。3月3日の桃の節句に飾られる雛人形(ひなにんぎょう)や5月5日の端午(たんご)の節句に飾られる五月人形(ごがつにんぎょう)などがあります。京人形は、頭や手足など製作工程が細かく分けられておりそれぞれに職人がいるため、出来上がる人形の品質は高度です。

節句とはどんな日?初節句の風習や行事の意味について理解しよう」では、桃の節句や端午の節句について紹介しています。これらを含む五節句についても解説しているので、日本の行事に興味がある方はぜひご覧ください。

日本の伝統工芸品【扇子・楽器】

日本の伝統工芸品【扇子・楽器】の画像

扇子(せんす)は、あおいで風を起こし涼しさを得る道具です。折りたたんで持ち運ぶことができ、広げると扇形になります。

ここでは、扇子や楽器の伝統工芸品を紹介するので、ぜひご覧ください。

京扇子

京扇子は、平安時代から受け継がれてきた長い歴史があります。京都扇子団扇商工協同組合の組合員だけが作ることができる扇子です。制作における87の工程を分業し、それぞれ異なる職人が担当します。京扇子は、夏に涼をとるために使われる身近なものから、結婚式などに使われる儀式的なものまで種類が豊富なうえ、上品な趣と品質の良さが魅力です。

三線

三線(さんしん)は、沖縄県が琉球王国として栄えていた時代に、中国から伝わってきた楽器「三絃」を元に発展した弦楽器です。古くから沖縄では、高価な蛇皮張りの三線を持つことが家庭の裕福さの象徴とされており、床の間に飾ることで家の地位を示せるとされていました。

三線作りは、職人の繊細な技術が求められ、仕上がるまでに年数を要することも珍しくありません。沖縄の民謡には欠かすことのできない楽器であり、素朴な音色は多くの人々を魅了しています。

日本の伝統的な楽器について「日本の伝統楽器にはどのような種類があるの?詳しく解説!」でまとめているので、あわせてご覧ください。

参照元
京都扇子団扇商工協同組合「京扇子・京うちわ

まとめ

日本の伝統工芸とは?伝統工芸品15選も紹介のまとめの画像

伝統工芸は、受け継がれてきた長い歴史があり、高い技術が必要です。主に手作業で作られ、日常生活で使われています。

伝統工芸品の種類は金工品や人形など幅広く、製造地域もさまざまです。興味のある工芸品があれば、その地域への旅行や展覧会に行くなどして直接鑑賞するのも良いでしょう。難しい場合は、オンラインで購入できる品もあるため、探してみるのもおすすめです。

ライター

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生活・仕事・留学に関するお役立ち情報から、日本のディープな魅力を紹介するコラムまで、バラエティ豊かな記事をお届けします。

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