日本のビジネスマナーは、働く上で必要な基本スキルです。服装や言葉遣いなど、普段の生活にはない独特な作法がさまざまあり、これらは立場の異なる人同士が円滑な人間関係を築くために必要なルールといえます。この記事では、日本で働くうえで必要なビジネスマナーを解説。記事を参考にビジネスマナーを習得して、職場で円滑なコミュニケーションを取れるようになりましょう。
目次
ビジネスマナーとは
ビジネスマナーとは、ふるまいや仕事の仕方など、働くうえで求められる作法のことです。ビジネスマナーは社会人にとって最も基本的なスキルであり、社会に出たらまずはじめに身につけるべきスキルと考えられています。ビジネスマナーの内容は、身だしなみや言葉遣い、挨拶といった基本的な作法から、文書の書き方、電話対応、職場ごとのルールなどさまざまです。
働いていると、顧客や上司、同僚など多くの人と接します。年齢や性別、立場の異なるさまざまな人たちと関わるなかで、トラブルなくやりとりを行うのに必要とされている一定のルールがビジネスマナーです。適切なビジネスマナーを身に付ければ、関わる相手と良好な関係を築けるようになります。
ビジネスシーンでは敬語表現が使われます。そのため、面接時から敬語の知識は必要です。敬語については、「面接で使う敬語表現を一覧で紹介!正しい言葉遣いを知って就活に役立てよう」で紹介しているので、チェックしてみてください。
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ビジネスマナーが必要なのはなぜ?
ビジネスマナーが必要な理由は、相手に不快な思いをさせないため、そして良好な人間関係を築くためです。
たとえば、社外の人に失礼な言葉遣いをしたり挨拶をしなかったりすると、「信頼して良いのか?」「社内教育が行き届いていない」などの不信感を与えてしまう可能性があります。一方、適切なビジネスマナーが身についていれば、相手に好印象を与えられるだけでなく企業としての信頼も得られるでしょう。
基本的な6つのビジネスマナー
基本的なビジネスマナーを身につけることは、業種・職種を問わず重要です。ビジネスシーンで要求されるふるまいは普段の生活とは異なることが多いので、ビジネスマナーを意識しながら働いて少しずつ身につけていきましょう。
以下では、日本で働くうえで必要になる基本的なビジネスマナーを紹介するので、参考にしてください。
身だしなみを整える
人の第一印象は身だしなみによって変わります。清潔感のある髪型や服装は、ビジネスシーンで人に良い印象を与えるための基本的なマナーといえるでしょう。ビジネスマナーに沿った身だしなみのチェックポイントは以下のとおりです。
- 服やメイクは派手ではないか
- 服にしわやしみがないか
- 髪がはねたり伸びたりしていないか
- 爪は伸びていないか
- 香水はつけ過ぎていないか
職場によっては制服が決められています。制服の着こなしにルールがある場合は従って、ない場合はビジネスマナーを参考に着用しましょう。
しっかりと挨拶やおじぎを行う
ビジネスで人に会うときは、自分から挨拶やおじぎをするのがマナーです。出社時は「おはようございます」、退勤時は「お先に失礼します」と職場の人に挨拶をしましょう。また、自分に直接関係がなくても、来社した人には「お世話になっております」の言葉とともにおじぎをするのも、社会人として大切なマナーです。
言葉遣いに気をつける
日本語の敬語には尊敬語・謙譲語・丁寧語があり、ビジネスでは相手によって使い分けます。尊敬語は、上司や先輩、取引先の人など自分より目上の人を敬うときに使う敬語です。謙譲語は、自分を低く表現し相手への敬意を示すときに使います。丁寧語は、相手との立場に関係なく言葉を柔らかくする敬語です。同じ意味の言葉でも、行動する人によって選ぶ敬語を変えます。
- 「言う」は尊敬語で「おっしゃる」、謙譲語で「申し上げる」、丁寧語で「言います」
- 「見る」は尊敬語で「ご覧になる」、謙譲語で「拝見する」、丁寧語で「見ます」
- 「聞く」は尊敬語で「お聞きになる」、謙譲語で「伺う」「拝聴する」、丁寧語で「聞きます」
敬語の知識を身に付けたい人は、「BJTビジネス日本語能力テスト」に挑戦してみましょう。BJTについては、「「BJTビジネス日本語能力テスト」の勉強方法は?試験内容やレベルを紹介」で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
こまめに報連相を行う
「報連相(ほうれんそう)」は重要なビジネスマナーの一つで、報告・連絡・相談を略した言葉です。報連相をしっかりと行うと、行き違いが少なくなり業務をスムーズに進められます。報連相を行う際のポイントは、以下のとおりです。
- 報告:業務の状況や結果、ミスなどを結論から伝える
- 連絡:情報や出来ごとを自分の意見を入れずに知らせる
- 相談:不安や疑問があれば、早めに相談する
報連相は簡潔・迅速に行うのがマナーです。相談後には結果も伝えるようにしましょう。
時間を厳守する
出社時間や締め切り、集合時間を守るのは最低限のマナーです。日本ではビジネスマナーとして、決められた時間ちょうどではなく、少し早めの行動が求められます。たとえば、出社は15分ほど、人との約束は5~10分ほど早く着くようにするのが一般的です。初めて行く場所の場合は事前に行き方や交通手段、所要時間を調べておきます。もしも、時間に間に合わないとわかったときは、すぐに相手に連絡し、謝罪と遅れる時間を伝えるのがマナーです。
有給を取る際や欠勤をする際は連絡をする
有給は、上司や一緒に働いている人に事前に日にちを相談したうえで取ります。業務に支障が出ないように引継ぎを行うのがマナーです。また、欠勤が分かった時点で上司に連絡します。無断欠勤はしないようにしましょう。
業務上のビジネスマナー
業務におけるビジネスマナーは、名刺交換や電話対応、メールの送信など広い範囲に及びます。名刺交換の仕方や立ち位置のルールは日本独自のマナーで複雑です。以下では、業務におけるビジネスマナーを紹介するので、参考にしてください。
名刺交換は立って行う
名刺交換は、立って行うのがマナーです。机がある場合は、机の横に移動して相手の正面で行います。名刺は相手が読みやすい向きにしたうえで、名刺入れの上に置いて両手で差し出しましょう。渡す際に社名や部署、氏名を名乗ります。なお、名刺を渡す順番は、訪問した側もしくは立場が下の人からです。
名刺の受け取りは両手で行います。受け渡しを同時に行う場合は、自分の名刺を右手で差し出し、相手の名刺を左手で受け取りましょう。受け取った名刺をすぐにしまうと失礼にあたるので、商談や打ち合わせの間は名刺入れの上に乗せ、机の左側に置きます。
電話をかけるタイミングや名乗りに留意する
電話をかける際は、業務が忙しいと思われる時間や休憩時間の直前は避けます。電話をかけた人から名乗り、簡潔に用件を述べるのがマナーです。電話をとる際は、呼び出し音が3回鳴るまでにとりましょう。相手の氏名や用件を聞き、担当者不在の場合は「折り返しお電話いたしましょうか」と聞きます。折り返し電話が必要な場合はメモをとり、後ほど担当者に内容を伝えましょう。電話は顔が見えないからこそ、明るい声と丁寧な言葉遣いで対応するのが重要です。
ビジネスメールは読みやすく簡潔に
ビジネスメールは、簡潔にわかりやすく書くのがポイントです。
メールの件名には、差出人の社名・氏名・簡単な用件を入れましょう。用件がないと、内容がわからずほかのメールに埋もれる可能性があります。また、本文は、相手の社名・部署名・敬称をつけた氏名を書いた後に、「お世話になっております」といった挨拶からはじめるのがマナーです。内容は簡潔にまとめ、最後に自分の会社名・部署名・氏名・電話番号などを記載します。
上座・下座を意識する
上座(かみざ)・下座(しもざ)は、会議室や車、エレベーターなどにおける位置の優劣を示す言葉です。上座は、室内の中でも落ち着ける奥の席や景色が見える場所などの良い位置を指します。下座は入口に近い位置です。ビジネスの場では、目上の人や取引先の人を上座に案内します。たとえば、会議室で目上の人や取引先の人を案内する際は、「奥の席へどうぞ」と声をかけ、上座をすすめましょう。
訪問前にはアポイントを取る
取引先へビジネスで訪問する際は、事前にアポイントを取るのがマナーです。訪問の1週間ほど前に、電話やメールで連絡をして訪問の約束をしておきましょう。氏名や用件、所要時間を伝えたうえで、相手の都合も踏まえて訪問の日程を決めます。この際、訪問先の予定を優先するのが重要です。
社内行事を大切にする
新年会や忘年会、歓送迎会といった社内行事は、業務に直接関係するものではありませんが、社員同士の親交を深める重要な場と考えられています。気が進まなくても参加するようにしましょう。また、くだけた雰囲気の場であっても自分の立場をわきまえ、周囲への気配りを忘れないようにすることが重要です。
日本語のメールの書き方については、「日本語のメールの書き方を知りたい方に例文やポイントを紹介」で詳しく解説しています。ビジネスメールの書き方や例文も紹介しているので、ぜひご覧ください。
日本の働き方の特徴
ビジネスマナーにはさまざまな作法がありますが、基本となっている考えは「相手への気遣い」です。ここでは日本の働き方の特徴について解説するので、以下のポイントを押さえて相手のことを気遣えるようになりましょう。
一人よりも協力して動くことを求められる
海外では個人の成果が求められます。いわゆる個人主義・能力主義の世界です。一方、日本は協調性やチームワークが重視される傾向にあります。チームメンバーとして自身の責任を果たし、調和を乱さないように働くのが普通です。チームワークを意識して、周りのことを考えて行動するようにしましょう。
準備期間を大切にする
成果主義の海外に比べ、日本は過程や準備期間を重視するのが特徴です。もちろん日本の企業でも成果が求められますが、良い成果というのはあくまで日々の業務をきちんと行ったうえで得られるものという考え方が浸透しています。目標を決めたら、しっかり準備をして確証を得てから行動に移すのが一般的です。そのため、課題に対しての準備期間が長く取られます。
意見はオブラートに包んで言葉にする
日本のビジネスマナーには、言いにくいことは遠回しに伝えるという考え方があります。思ったことをストレートに伝えるのではなく、柔らかい表現を用いることで相手に配慮し、円滑な人間関係を築こうとしているのです。何かを断るときや相手の間違いを指摘するときなどは、角の立たない言い回しを心がけましょう。
日本の企業文化については「日本の企業文化の特徴を解説!組織内での働き方や仕事の慣習を理解しよう」でも紹介しています。興味のある方はぜひご覧ください。
まとめ
日本で社会人として働くうえで、ビジネスマナーは必要な知識といえます。ビジネスマナーを身につけると、相手に良い印象を与え、業務をスムーズに進められるでしょう。ビジネスマナーを身につけるには、一緒に働いている上司や先輩をお手本にしたり、研修や本から学んだりするのがおすすめです。
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