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外国人を雇用した事業主は、ハローワークで「外国人雇用状況届出」を行う必要があります。また、外国人の離職の際も同様です。これらは日本人の雇用では発生しない手続きなので、忘れないようにしましょう。
この記事では、外国人雇用状況届出の提出期限や記入項目をできるだけ分かりやすく解説。さらに、24時間申請できて便利な電子申請の方法も紹介しています。外国人雇用状況届出の方法を把握して、スムーズに提出できるようにしましょう。
目次
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外国人雇用状況届出とは、事業主がハローワークに雇用した外国人の氏名や在留資格を届け出る手続きのことです。
労働施策総合推進法により2007年から義務化された制度で、正しく届け出なければ罰金刑に処せられる場合があります。
外国人雇用状況届出は、外国人の雇用・離職時に事業所を管轄するハローワークで行う手続きです。
外国人を雇用した事業主が、外国人の氏名や在留資格、在留カード番号などを届け出ます。直接ハローワークの窓口に出向くほか、インターネットでも手続きが可能です。
日本人の雇用では発生しない手続きなので、初めて外国人雇用を行う企業は忘れないように注意しましょう。
外国人雇用状況届出を行うのは、正社員雇用したときだけではありません。雇用形態は関係ないので、アルバイトやパートでの雇用でも手続きを行う必要があります。
留学生アルバイトなど、短期間の雇用であっても必ず届け出をしましょう。
以下の在留資格を持つ外国人は、外国人雇用状況届出の対象外です。
一般的企業が「外交」や「公用」の在留資格を持つ外国人を雇用することはありません。しかし、特別永住者(いわゆる在日韓国人・朝鮮人・台湾人)は2024年6月末時点で27万7664人おり、雇用する可能性は十分あります。
特別永住者は在留カードの代わりに特別永住者証明書を持っています。確認して外国人雇用状況届出が必要かどうか判断しましょう。
外国人雇用状況届出は、雇用主に届け出の義務があります。派遣社員の雇用主は派遣元なので、派遣先企業が外国人雇用状況届出を行う必要はありません。
外国人雇用状況届出の手続きは、雇用対策法で義務付けられているため、怠ると法律で罰せられるので注意しましょう。外国人の雇用・離職時に手続きを怠った場合は30万円以下の罰金が科されます。
ただし、うっかり出し忘れてしまった場合は、気付いた時点ですぐに届出を行えば処罰を受けなくても済む可能性も。出し忘れに気づいたら、まずは事業所の所在地を管轄するハローワークへ相談し、指示を仰ぎます。
虚偽の申告を行った場合も同様に罰金が科せられるので、必ず雇用する外国人の個人情報や雇入れ日に誤りがないか確認したうえで届け出を行いましょう。
参照元:出入国在留管理庁「令和6年6月末現在における在留外国人数について」
政府が外国人雇用状況届出を義務付けている理由は、日本で働いている外国人労働者の雇用状況を把握するためです。
ハローワークは外国人雇用状況届出に基づいて事業主へ助言や指導を行うことで、外国人労働者の雇用環境の改善を目指しています。離職した外国人への再就職支援も、外国人雇用状況届出に基づいて行われるのです。外国人労働者が安心して働ける社会のために、企業は外国人雇用状況届出をしっかりと行う必要があります。
なお、厚生労働省は各社から提出された外国人雇用状況届出書の結果をまとめて、毎年1月に分かりやすいレポートを公表しています。このレポートには、国籍別の外国人雇用状況、前年比で増加率が大きい国、外国人労働者が多い都道府県、業種などが記載されています。ざっと目を通すだけでも、今後の外国人採用の参考になるはずです。
参照元: 厚生労働省「外国人の雇用」 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況について(報道発表)」
外国人雇用状況届出書の提出方法は、雇用保険加入の有無で異なります。雇用保険の加入条件は日本人と同様で「1週間の所定労働時間が20時間以上」「31日以上の雇用見込みがある」の2点です。なお、上記条件を満たしていても、昼間部の留学生アルバイト(卒業間近の人を除く)は雇用保険の対象にはなりません。
ここでは、「雇用保険未加入」の外国人の外国人雇用状況届出書の提出方法を紹介するので、参考にしてください。
ハローワークにある外国人雇用状況届出書に必要事項を記入して提出します。なお、外国人雇用状況届出書は厚生労働省のWebサイトでもダウンロード可能です。Webサイトからダウンロードして印刷する場合は、1ページ目の記入面を用紙の表に、2ページ目の注意を用紙の裏に印刷しましょう。
外国人の在留カードやパスポートをよく確認しながら記入しましょう。
インターネット上で電子申請する場合は、厚生労働省の外国人雇用状況届出システムを利用します。初めて利用する場合は、新規ユーザID登録が必要です。
ユーザー登録をしてログインしたのち、雇用情報メニューから「外国人雇用情報新規登録」を選択して必要事項を入力します。入力する項目は、ハローワークで届け出る場合と同様です。
なお、過去にハローワークで外国人雇用状況届出書を提出した企業は、外国人雇用状況届出システムからの新規登録ができません。この場合は、以前届出を行ったハローワークへの問い合わせが必要です。
外国人が雇用保険加入条件を満たす場合、「雇用保険被保険者資格取得届」もしくは「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出することで、外国人雇用状況届を行ったとみなされます。
雇用保険被保険者資格取得届の提出期限は、雇用した日の翌月10日まで。雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限は離職の翌日から起算して10日以内です。
手続きは、ハローワークの窓口やe-Gov電子申請で行えます。e-Govとは、デジタル庁運営のポータルサイトで、さまざまな行政手続きを自宅に居ながらにして行うことが可能です。
ここでは、ハローワークの窓口で届け出る方法を解説します。
雇入れる外国人が雇用保険加入条件を満たす場合、雇用保険被保険者資格取得届を提出することで外国人雇用状況届を行ったとみなされます。
直接窓口で申請する場合は、事業所を管轄するハローワークへ行きましょう。雇用保険被保険者資格取得届が置いてあるので記入し、雇用保険に関する手続きを扱っている窓口に提出します。
ハローワークへ簡易書留で郵送する場合は、Webサイト「ハローワークインターネットサービス」で様式をダウンロードしましょう。様式のみダウンロードする方法と、必要事項を記入してからダウンロードする方法が選べます。
記入項目は日本人の場合とほとんど同じですが、外国人労働者の場合は以下の項目も記入が必要です。
外国人労働者の在留カードを確認しながら、ミスがないように記入しましょう。
雇用保険加入者である外国人が離職する場合、雇用保険被保険者資格喪失届を提出することで外国人雇用状況届を行ったとみなされます。
雇用保険被保険者資格取得届と同様にハローワークの窓口や郵送での届出が可能です。ハローワークインターネットサービスからも様式をダウンロードできます。
記入項目は日本人の場合とほとんど同じですが、外国人労働者の届出の際は以下の項目も記入します。
ほかには、事業主の氏名・住所・電話番号といった項目も記入が必要です。雇用保険の資格取得年月日や離職等年月日なども正確に記入しましょう。
雇用保険被保険者資格取得届と雇用保険被保険者喪失届は、e-Gov電子申請からも手続きできます。なお、電子申請には電子証明書とアカウントの登録、アプリケーションのダウンロードが必要です。電子証明書は認証局(電子証明書を発行している機関)に発行を依頼しましょう。
雇用保険被保険者資格取得届はe-Gov電子申請の「雇用保険被保険者資格取得届」の項目から手続きできます。記入項目は、ハローワークに届け出る場合と同様です。
提出書類がある場合は、ファイルを指定し、最後に提出先を選んで届け出ましょう。
雇用保険被保険者資格喪失届はe-Gov電子申請の「雇用保険被保険者資格喪失届」の項目から手続きできます。1〜19欄と事業主の情報を記入して提出しましょう。
参照元: 厚生労働省「Q&A~事業主の皆様へ~」 厚生労働省「外国人雇用状況届出システム」 厚生労働省「新規ユーザID登録」 厚生労働省「雇用保険被保険者資格取得届」 厚生労働省「雇用保険被保険者資格喪失届」 e-Gov電子申請「手続検索」 e-Gov電子申請「電子証明書のご案内」 e-Gov電子申請「e-Govアカウントの登録方法」 e-Gov電子申請「2.アプリのインストール」 厚生労働省「e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介」 e-Gov電子申請「雇用保険被保険者資格取得届(令和4年6月以降手続き)」 e-Gov電子申請「雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付なし)(令和4年6月以降手続き)」
外国人雇用状況届出書の提出前には、自社で雇用しても問題ない人材かを確かめるため、在留カードで在留資格や在留期間をしっかり確認しましょう。
また、アルバイト雇用をする場合は、資格外活動許可の確認も必要です。
外国人の採用が決定したら、在留カードに記載されている在留資格や在留期間、就労制限の有無などを確認しておきましょう。
参照元:「在留カードとは?」
在留資格や在留期間、就労制限の有無は在留カードの表面を見れば確認可能です。なお、在留カードの確認は、能力や適性に関係ないパーソナルな事項の把握に繋がるため、採用選考時は避けたほうが良いでしょう。
面接時の在留資格や在留期間の確認は口頭で行い、採用を決定してから本人の了承を得て在留カードを提出してもらうのがスムーズです。
就労できない在留資格を持つ外国人や在留期限が切れている外国人を雇用すると、事業主は「不法就労助長罪」に問われます。3年以下の懲役または300 万円以下の罰金、もしくはその両方が科されるので、必ず雇用する前に外国人の在留資格や在留期間の確認が必要です。
在留資格「留学」や「家族滞在」を持つ外国人をアルバイト雇用する際は、資格外活動許可を取得しているかを確認しましょう。これらの在留資格では本来就労が許可されていません。しかし、資格外活動許可を申請している場合、風営法に関わる仕事以外であれば、週に28時間以内のアルバイトが可能です。
資格外活動許可は、地方出入国在留管理局や入国時の空港、またほかの在留資格の各種申請と同時であればオンライン申請もできます。
もし、外国人が採用面接時の時点で資格外活動許可を取得していなくても、地方出入国在留管理局で申請すれば早くて2週間ほどで取得可能です。実際にアルバイト業務に付けるのは、資格外活動許可を取得してからになるので、その前から働かせないよう注意しましょう。
資格外活動許可を得ていない外国人をアルバイトとして雇用した場合も、事業主は不法就労助長罪に問われます。前述したように、ハローワークへ届け出る外国人雇用状況届出書にも資格外活動許可の有無を記入する項目があるので、必ずチェックしてください。
関連記事:「【記入例】在留資格変更許可申請書の書き方は?就労ビザごとの必要書類も紹介」
関連記事:「在留資格認定証明書の役割とは?交付の流れや有効期限について解説」
参照元: 出入国在留管理庁「在留カードとは?」 厚生労働省「不法就労に当たる外国人を雇い入れないようにお願いします。」 出入国在留管理庁「資格外活動許可について」
外国人雇用状況届出の手続きを行うには、在留資格や国籍などの外国人の個人情報を確認しなくてはなりません。その際、取り扱いには十分注意する必要があります。
また、在留資格の管理は採用後も継続して行うので、外国人雇用を始めたタイミングで管理システムの改善や外部ツールの導入を検討してみましょう。
在留カードやパスポートなどの本人確認書類は、原本を預かるのではなく、写しをもらうかその場でコピーするようにしましょう。
預かったパスポートを紛失した場合、外国人本人が日本にある自国の大使館や領事館で再発行の手続きをしなくてはなりません。また、在留カードも地方出入国在留管理局で再発行の申請をする必要があります。
外国人の身分を証明する重要な身分証を、企業が無くすことは決して許されません。紛失のリスクを回避するためにも、原本を預かるのは絶対に避けましょう。
なお、個人情報保護法では、「個人情報を取得する場合はあらかじめ本人に利用目的を明示しなければならない」とあります。そのため、在留カードやパスポートの写しを取得する際は、ハローワークへ提出する届出作成のためである旨を外国人に伝えましょう。
各種書類の写しも厳重に管理し、紛失や情報漏洩に注意してください。
外国人の在留期間の管理は常に必要となります。情報を適切に管理し、在留期限が切れる前に更新を促せるようなシステムや外部ツールの導入を検討するのも良いでしょう。
社内システムやExcelなどで管理している場合は、更新日が近づいたらアラートが出るような改修を行うと、更新漏れを防げます。
一般的な人事管理サービス(HRサービス)であれば、外国人の在留資格更新をリマインド通知してくれる場合が多いので、もし、利用している場合は機能を確認してみましょう。また、特定技能外国人や技能実習生のスケジュールや在留資格を管理する、より外国人に特化した人材管理サービスも存在します。
これらの人員管理サービスを、外国人のためだけに導入するのは躊躇してしまうかもしれません。しかし、今後も継続的に外国人雇用をしていく場合、このようなシステム無しでは管理しきれなくなっていく可能性があります。
人数が増えることも想定して、社内システムの改修や外部サービスの導入を検討してみましょう。
外国人の雇用や離職があった際は、必ず「外国人雇用状況届出」の手続きを行いましょう。ハローワークの窓口のほか、インターネットでも申請可能です。
外国人が雇用保険に加入しているか否かで手続き方法や届出期限が変わってくるので、忘れないよう注意が必要です。
監修:濵川恭一
外国人専門の人材ビジネス会社勤務を経て、外国人のビザ専門行政書士事務所を設立。専門分野は、就労ビザ申請、外国人採用コンサルティング。著書に、「これ1冊でまるわかり!必ず成功する外国人雇用」、「実務家のための100の実践事例でわかる入管手続き」等がある。 http://svisa.net